介護現場で高齢者とコミュニケーションを取る効果

介護現場で高齢者とコミュニケーションを取る効果は、利用者にとってよいことがたくさんあります。

高齢者がコミュニケーションにより得られる効果はまず、お互いの信頼関係を構築できることです。また、認知機能の低下を防げたり、孤独感を緩和できたり利用者の不安や悩みの把握したりすることができます。

では、コミュニケーションにより得られる効果には、高齢者へどのように影響があるのか詳しく解説してまいります。

信頼関係を構築できる

コミュニケーションを取ることで信頼関係を構築できます。信頼関係の構築ができれば、スムーズな介護ケアの提供が行えるでしょう。

信頼されていなければ介護拒否につながり、利用者に必要なケアを行うことが難しくなります。

介護スタッフは、身を任せても大丈夫な存在と認識してもらうためにも高齢者に寄り添ったコミュニケーションが必要です。

認知機能の低下を防げる

コミュニケーションを行うことで、認知機能の低下を防ぎやすくなります。コミュニケーションにより、脳は刺激を受け活性化します。

介護スタッフやほかの利用者とのコミュニケーションはよい刺激となるでしょう。特に、笑ったり褒めあったりするコミュニケーションでは脳にドーパミンが放出されます。

ドーパミンは脳の神経伝達物質として機能しています。ドーパミンの作用は以下のとおりです。

• 快楽や多幸感を感じる
• 意欲を作ったり感じたりする
• 運動調節をする

ドーパミンの分泌が減少すると、アルツハイマー型認知症が起こりやすくなります。ドーパミンの分泌を促すためにも、日々のコミュニケーションによる刺激が必要です。

孤独感を緩和できる

コミュニケーションをとることで孤独感を緩和できます。高齢者は、今までできていたことができなくなることへの喪失感を感じたり、定年退職により社会とのつながりが薄れたりするため孤独感を覚えやすくなります。

そのため、定期的に話しかけてもらえることで自分を気にかけてくれる人がいると感じられ、安心感につながるでしょう。

利用者の不安や悩みを把握できる

コミュニケーションを取ることで、利用者の不安や悩みを把握できます。コミュニケーションにより、相手が普段思っていることや考えていることを聞くことが可能です。

コミュニケーションを通じて相手の抱えている問題を知り、それをともに解決していくことで、信頼関係を築くことができます。

しかし、介護現場は忙しく、利用者にゆっくり寄り添って話を聞くことも難しい現場も少なくないでしょう。

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介護現場で高齢者とコミュニケーションを取るコツ

介護現場で高齢者とコミュニケーションを取るコツは、まず高齢者が聞き取りやすいように話すことです。

さらに安心感を与えることで話しやすい雰囲気を作れます。具体的な方法は、以下の項目に沿って解説いたします。

低いトーンでゆっくり話す

高齢者に話しかける際は、低いトーンで話すことが大切です。高齢になると高音域が聞こえづらくなります。高い声では聞こえづらいため、話しかける際の声は低いほうが聞こえやすいです。

また、話すペースも大切です。認知機能も低下してくるため早すぎる口調は聞き取りにくく、内容の理解も難しくなります。話している内容がわかるようにゆっくりと話しましょう。

話の邪魔をせずしっかり聞く

高齢者と話すときは、話の邪魔をせずしっかり聞きましょう。高齢者とのコミュニケーションでは、話すよりも高齢者の話を聞くほうが大切です。

共感的な姿勢で、話に耳を傾けることで安心感を与え、信頼関係も構築できます。同じ話をされたり、間違ったことを言っていたりしても、途中で遮らず最後まで話を聞きましょう。

途中で止められたり、指摘をされたりすると高齢者は自尊心が傷つき、話す意欲を失う可能性があります。ペースをあわせて最後まで聞く姿勢が大切です。

オウム返しをして共感する

高齢者と話すときは、オウム返しをして共感しましょう。オウム返しをされると自分の思いをわかってくれていると感じ、安心感を与えることができます。

例えば、「家に帰りたい」と訴えている場合、「まだ帰れませんよ」などの否定をせず「家に帰りたいんですね。帰って何かしたいことがあるんですか？」というように話すとよいでしょう。

相手が興味を持ちそうな質問する

高齢者と話す際は、相手が興味を持ちそうな質問がおすすめです。興味を持ちそうな質問であれば高齢者も楽しくなり、会話は広がりやすくなります。

高齢者とのコミュニケーションでは、まず話を聞くことが大切です。話をしてくれた内容に興味を持ち、質問をしていくとよいでしょう。

例えば「若い頃は忙しかったよ」と働いていたときの話をされた場合、「どのような仕事をしていたのですか？」とオープンクエスチョンで返すことで会話は広がります。

オープンクエスチョンはYesやNoだけでは答えられない質問の仕方です。

高齢者とコミュニケーション取るときに効果的な仕草

高齢者とコミュニケーションをとるときには、安心感を与える仕草で接しましょう。コミュニケーションには、会話だけでなく、表情やジェスチャーなどを用いて行う非言語的コミュニケーションもあります。

高齢者は、難聴となったり思うように発声ができなくなったりすることもあるため、会話のみではコミュニケーションが難しいことも少なくありません。

非言語コミュニケーションでは言葉を交わさなくても表情や仕草により、感情を伝えることができます。安心感を与えられる接し方を心がけましょう。ここでは、どのような仕草が効果的か解説いたします。

視線や目線の高さを合わせる

高齢者とコミュニケーションを取るときは、相手の視線や目線の高さに合わせましょう。相手が座っている場合は、隣に座ったりしゃがんだりして目線をあわせます。

座っている相手に立ったまま話すと威圧感を与えます。目線の高さをあわせ、目を見て笑顔で話すことでしっかり話を聞いてくれていると感じるでしょう。

笑顔で接する

高齢者とコミュニケーションを取るときは笑顔で接することが大切です。難聴により聞き取りづらい方でも表情は目で見てわかります。

非言語コミュニケーションとしても表情は大切です。無表情で話しかけられれば、不機嫌な印象を与えます。笑顔であれば、安心感を持てるでしょう。

しかし、実際の介護現場では忙しさや人間関係などが要因で、常に笑顔で接することは難しい現状があるのではないでしょうか。

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話に合わせてうなづく

高齢者と話すときは、話に合わせてうなづくことも大切です。「そうなんですね」「そのときは大変でしたね」など共感をしつつ、相槌を入れることで話を聞いてくれていると感じます。

何も反応せず聞いているだけでは、話を聞いているのだろうかと不安になってしまいます。「うんうん」とうなづくだけでもしっかり聞いている印象を与えられるでしょう。

高齢者とのコミュニケーションがうまくいかないときの対処法

高齢者とのコミュニケーションがうまくいかないときは以下のような対処をしましょう。

• 相手のペースにあわせる
• 沈黙もコミュニケーションの一部であると認識する
• 相手の好きな話題を見つける
• 同じ話をされても最後まで聞く

高齢者とのコミュニケーションがうまくいかないと感じるときは、話すペースがあわなかったり会話が続かず気まずいと感じたりするときではないでしょうか。

まず、話すときのペースは高齢者にあわせることが大切です。特に認知機能が低下している高齢者は状況を判断しながら話すのに時間を必要とします。相手の返事を待って、次の話をするようにしましょう。

高齢者と話しているなかで、会話が続かず沈黙してしまうこともあるかもしれません。沈黙した際に、気まずさを感じる方もいるでしょう。

何か話さなくてはと無理やり話題を作っても、返って負担になることもあります。相手にあわせて一緒にのんびりと過ごすことも大切です。

また、会話をするときは相手の好きな話題を見つけましょう。趣味や勤めていた仕事のことだと高齢者も話しやすいです。

ほかにも、身につけているものや持ち物などから興味を持ち、質問するのもよいでしょう。ほかの好きなことが見つかるかもしれません。

高齢者は、短期記憶の低下が増えてくるため同じ話を何度もする傾向があります。そこで「さっきも聞きましたよ」という声かけはしてはいけません。自尊心を傷つけてしまいます。初めて聞いたような反応で話を聞きましょう。

しかし、実際は忙しい現場で利用者のペースにあわせ、同じ話をされて新鮮なリアクションをすることは容易ではないでしょう。

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高齢者とのコミュニケーションに適した話題

高齢者とのコミュニケーションに適した話題は、身近なことや昔のことです。

身近な話題では、天気や趣味、好きな芸能人の話題などがあります。昔のことでは、出身地や育った場所、子どもの頃や現役時代のことを聞くとよいでしょう。

では、どのように話せばよいのかそれぞれ詳しく解説していきます。

天気

天気の話題は、どの年代の方とも話題にしやすいでしょう。挨拶をした流れでそのまま話をするきっかけにしやすいです。

例えば「おはようございます。今日は天気がよいですね。天気がよいときは普段何をされていますか？」などオープンクエスチョンを入れると会話が広がっていくでしょう。

出身地や育った場所

相手の出身地や育った場所について話してもらうのも話題が広がりやすく、おすすめです。育った環境の話を聞くことで、相手のことも深く知れるでしょう。

また、高齢者にとっても自分の話であるため話しやすい話題です。

相手の出身地が知らない土地であれば、「どういうところだったんですか？」とより詳しく聞くことで話も広げられます。同郷の場合は共通の話題ができ、盛りあがることができるでしょう。

子ども時代や現役時代のエピソード

子ども時代や現役時代のエピソードを聞くとよいでしょう。高齢者は短期記憶は低下しますが、子ども時代や現役時代のことはよく覚えています。

例えば、「小さい頃は何をして遊んでましたか？」や「お仕事は何をされていたんですか？」といった質問がおすすめです。

どのような子ども時代を過ごし、現役時代はどのように活躍してきたのか話してくれるでしょう。高齢者自身も懐かしい気持ちになり、楽しく話してくれます。

好きな芸能人

好きな芸能人を聞くのも、話が盛り上がるでしょう。好きな芸能人も身近な話題として話しやすいです。

しかし、「最近の人はわからない」と言われることも少なくありません。その場合は、現役時代に好きだった芸能人のことなどを聞くとよいでしょう。

自分が知らない芸能人であれば「どういうところが好きなんですか？」というように質問をして、好きな芸能人を教えてもらうことで会話を続けることができます。

趣味

趣味の話題も話しやすいでしょう。高齢者は、これまでにさまざまな経験を積んでいます。

趣味を教えてもらったら「その趣味のどういうところが好きですか？」「どういうところが得意ですか？」というように会話も続けやすいです。

もし、「趣味は特にないな」と言われた場合は「何をしているときが楽しいですか？」「最近の一番うれしかったことはなんですか？」と質問を変えてみるとよいでしょう。

介護現場での高齢者とのコミュニケーションで注意すべき話題

介護現場での高齢者とのコミュニケーションで注意すべき話題もあります。注意をせずに話していると、不安を感じさせたり、自尊心を傷つけたりしてしまう可能性があるため避けるようにしましょう。

まず、注意すべき話題が病気や死に関する話題です。高齢者は持病を持っている方が少なくありません。

そのため、病気や死に関する話題は身近に感じている方がほとんどでしょう。高齢者の方から話してきた場合を除き、病気や死に関する話題は避けましょう。

次に、ほかの利用者の話題です。高齢者の方が、ほかの利用者の悪口や噂話をすることもあるかもしれませんが同調してはいけません。一緒に暮らす施設内の人間関係を悪化させる可能性があります。

また、スタッフが「⚪︎⚪︎さんは自分でできますよ」などほかの利用者と比較するような声かけをするのもよくありません。自尊心が傷つき、信頼関係は薄れるでしょう。

ほかにも、前回話した内容を話すことは避けましょう。例えば、「昨日のことなんですが」「さっきの続きを話しましょう」といった声かけです。

認知機能が低下している高齢者に対して、前回の続きを話そうとしても覚えていないことが少なくありません。

自分自身が覚えてないことに不安を感じてしまいます。同じような話をする場合でも、高齢者と話すときは毎回新しい話題を提供するようにしましょう。

このように、高齢者とのコミュニケーションでは注意すべきポイントもあります。コミュニケーション方法をもっと学びたい方は、スキルアップを支援してくれる職場環境が適しているでしょう。

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介護現場で高齢者とのコミュニケーションを円滑にしたいなら

介護現場で高齢者とのコミュニケーションを円滑にするには、共感的な姿勢で安心感を与え、信頼関係を構築していくことが大切です。

話をするときは、目線をあわせ笑顔で接しましょう。高齢者を不安にさせたり、自尊心を傷つけたりするような話題は避け、昔のことや好きなことを聞くことで高齢者自身も楽しく会話を続けられます。

このように、利用者との信頼関係を築いて円滑なコミュニケーションを行うためには、コミュニケーションスキルを磨いたり活かしたりできる職場環境が必要でしょう。

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