介護職が働く施設の種類

介護職で転職を考える際は、施設により働き方の調整が可能です。介護施設にはさまざまな形態があり、利用者が生活をする施設だけでなく、デイサービスのように定期的に通うところや訪問ヘルパーのように利用者の自宅へ向かう方法もあります。
そのため、夜勤がきついと感じている場合は夜勤がない施設を選択する方法もあります。身体的な理由やライフスタイルにあわせ、働きやすい施設を選択するとよいでしょう。
ここでは、介護職が働く施設の種類を紹介します。特徴や違いを紹介しますので、ご自身の理想とする働き方の参考にしてみてはいかがでしょうか。
公的施設
介護職が働く施設の種類には、まず公的施設があります。公的施設とは国や地方団体・社会福祉法人などにより運営されている施設で、民間施設よりは低料金で利用できます。公的施設の種類は以下のとおりです。
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- 経費老人ホーム(ケアハウス)
介護老人福祉施設は、一般的に特養と呼ばれている施設です。特養は、介護度が高い方が多く入居しています。
具体的には、要介護3以上の認定を受けている自宅での生活が困難な方です。入居の際は、介護度がより高い方や、入居の必要性が高い方が優先されるため入居待ちとなる方も多くいます。
特養では、介護度の高い方が多いため介護に必要な知識や技術は身につけやすいです。夜勤業務もあり、介護職の経験を積みたい方に向いています。
介護老人保健施設は、一般的には老健と呼ばれています。老健は、高齢者の在宅復帰を目指して医療ケアやリハビリを行う介護施設です。
ケアプランは3ヶ月ごとに、支援継続か退所かを見直します。入れ替わりがよくあるため、さまざまな方とのコミュニケーション力が求められます。
対象は要介護1以上の認定を受けている方です。特養に比べ介護度が低い方も多く、看護師も常駐しているため利用者の状態で不安なことがあればすぐに相談ができます。
介護医療院は2018年4月に介護療養型医療施設等の見直しによって新設された医療提供施設です。この施設は、老健の在宅復帰を目指す目的とは違い、要介護高齢者の長期療養と生活をすることが役割です。
また、介護医療院は介護療養病床に近いⅠ型と医療の提供やリハビリをメインに行う老健に近いⅡ型があります。
軽費老人ホームは、軽費老人ホームC型と呼ばれる施設です。主に60歳以上の高齢者が対象となり、介護認定を受けていなくても在宅での生活が困難であれば入居できます。
低額で利用でき、サービス内容は食事の提供や生活相談などです。また、デイサービスや訪問介護事業所を併設している施設もあります。
民間施設

次に、介護職で転職する施設として民間施設があります。民間企業や団体が運営する施設で、代表的なものは以下のとおりです。
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 介護付有料老人ホーム
認知症対応型共同生活介護施設は、グループホームとも呼ばれます。認知症高齢者を対象にしており、要支援2以上の認定が必要です。
職員のサポートのもとで家事を分担し共同生活を送ります。家事を分担してもらうのは、自分でできることを継続して行うことで、認知症の進行を緩やかにする目的があります。
介護度が低い方も多いため、高度な技術がなくても働きやすいでしょう。
介護付有料老人ホームは、介護保険を利用し24時間介護サービスを受けられます。また、看護師も常駐している施設もあります。
有料老人ホームはさまざまな種類があり、介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・健康型有料老人ホームの3種類です。
施設によっては、要支援1から受け入れ可能であったりお見取りまで行ったり、受け入れ対象は幅広いです。
デイサービス

ほかにも、介護職が働く施設にはデイサービスがあります。通所型介護ともいわれます。利用目的は、利用者が自宅で自立した生活が送れることや社会的孤立の防止、家族の介護負担の軽減などです。
対象は要介護1以上の認定を受けている方です。要支援の方は利用できません。デイサービスにいる間は食事の提供や入浴介助を行います。
また、リハビリやレクリエーションを通して、体を動かしたりほかの方との会話を楽しんだりしてもらいます。自宅で日常生活を送っている方も多いため、介護度は低い方がほとんどです。
夜勤がない施設も多く、パートでも働けるため小さなお子さんがいる方などはライフスタイルにあわせやすいでしょう。
訪問介護事業所
介護職で働ける施設には、訪問介護事業所もあります。利用者の自宅に訪問し、身体介護や生活援助を行う訪問ヘルパーを雇っている事業所です。
身体介護には食事・排泄・入浴などの介護が含まれます。生活援助は掃除・洗濯・買い物や調理など日常生活の支援を行います。
また、以下のような利用者以外のことや、日常生活の援助の範囲を超えるサービスは行えません。
- 家族の手伝い
- 来客の対応
- ペットのお世話
- 草むしり
- 大掃除
訪問介護の対象は、要介護認定を受けた方で、要介護1以上の認定が必要です。ヘルパーは、利用者のお宅へ直行直帰できる事業所もあります。
時間の融通を効かせやすいため、働き方をライフスタイルに合わせたい方は、訪問ヘルパーという選択肢もあります。
介護職が働きやすい職場の特徴

働きやすい職場を選ぶ際は、自分自身がどのような働き方をしたいかが大切です。人間関係・福利厚生・教育体制など何を重視するのか明確にしておくと転職先を探す際に絞り込みやすくなります。
ここでは、働きやすい職場環境について以下の項目に沿って解説します。ご自身が理想とする働き方の参考にしてもらえると幸いです。
人間関係が良好
介護職で働きやすい職場環境の特徴は、人間関係が良好であることです。介護職は、他職種と関わる場面も少なくありません。
利用者さんを中心にケアマネージャー・作業療法士・看護師などさまざまな職種の方と関わります。そのため、連携を強固にしたり業務を円滑に進めたりするためにも良好な人間関係が求められます。
上司に相談しやすい
介護職で働きやすい職場の特徴は、上司に相談がしやすいことです。介護職は、利用者さんの対応をするうえで困ることやわからないことが起こりやすい現場です。
高齢の方は、持病や認知症を持っていることが多くあり、予期せぬ出来事が起こることもあります。困ったことやわからないことがあったときに、一緒にその問題へ向き合って解決へ導いてくれる上司であれば心強いでしょう。
また、利用者さんへのケアや自分自身のスキルアップなど何か新しいことに挑戦したいときに、否定せず背中を押してくれる上司がいる職場は活気的で働きやすい環境です。
休暇が取りやすい

休暇の取りやすさは、働きやすさへ大きく影響します。介護職は人手不足の現場も多く、休暇を取りづらいと感じる方が多いのではないでしょうか。
しかし、ライフイベントや体調不良など急な休暇が必要になることは誰にでもあります。そのようなときに、お互い様精神を持ってくれている上司や職場であれば休暇の依頼もしやすいでしょう。
また、心身の疲労を回復するためにも有給休暇などを活用し、リフレッシュする時間をとることも大切です。
柔軟な働き方ができる
勤務時間や業務範囲を調整するなど柔軟な働き方ができる職場は、働きやすい環境です。ライフステージによっては、時短勤務で働きたい場合もあるでしょう。
また、腰痛などの体調の関係で介護度が高い方のケアが難しいなどの事情をお持ちの方も少なくないでしょう。可能な勤務時間や業務を考慮し、調整してくれる職場であれば無理なく続けられます。
教育制度やサポートが充実している
教育制度やサポートが充実している職場は、経験が浅い方でも働きやすいです。新人の教育体制やスキルアップのための資格取得支援などが整っていればキャリアアップもしやすくなります。
また、介護の現場は身体的疲労に加え精神的な疲労を感じる方も少なくありません。利用者さんとのコミュニケーションがうまくいかないことや、スタッフ間での意見の食い違いなどが負担になります。
そのため、定期的な面談やストレスチェックなどの精神的な苦痛も緩和できる体制が整えられていると、勤務が続けやすくなるでしょう。
子育ての支援制度がある

子育ての支援制度の有無も、働きやすさへ影響します。小さなお子さんがいるご家庭は、フルタイムで勤務している場合、仕事と家庭の両立が難しいこともよくあります。
子育てとの両立がしやすいように、時短勤務にしたり夜勤免除の対応してくれる体制が整っている職場であれば、働きやすいでしょう。
キャリアアップしやすい
キャリアアップを目指す方にとって、成長を支援する職場は理想的な環境といえるでしょう。介護職でのキャリアアップは、無資格の場合は介護福祉士の資格取得を目指す選択肢があります。
介護福祉士として働いている方には、さらに別の資格取得や管理職を目指す選択肢もあります。介護福祉士の経験を活かして目指せる別の資格は以下のとおりです。
- 認定介護福祉士
- 社会福祉士
- ケアマネージャー
- 生活相談員
- 看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
介護福祉士にはさまざまなキャリアパスがあります。資格取得をサポートしてくれる体制が整えられた施設であれば、資格取得を目指しながら働きやすいでしょう。
理念や経営方針に共感できる
働きやすい職場選びの基準として、理念や経営方針に共感できることも大切です。理念や経営方針に共感できるかの判断材料として、自分自身が介護を行う際の理念や価値観を明確にしておくとよいでしょう。
自分自身の理念と施設の方針が合致していれば、同じ方向を向いて働き続けやすくなります。しかし、見つけ方がわからないという方もいるのではないでしょうか。
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介護職が働きやすい職場の見分け方

働きやすい職場か見分ける際は、実際に働いている人の雰囲気や利用者の表情・施設内の雰囲気にも注目するとよいでしょう。
また、就職後の待遇面も働きやすさに関わります。ここでは、働きやすい職場の見分け方について解説します。
職員や利用者の雰囲気が明るい
働きやすい職場か見分けるには、職員や利用者の雰囲気が明るいか注目するとよいでしょう。働きやすい職場であれば、職員や利用者も自然と笑顔が増えます。
職員が笑顔で明るく対応していれば、利用者も穏やかに過ごせます。職員の言葉遣いや接し方が日頃から丁寧であれば、利用者も笑顔が多くなるでしょう。
施設に清潔感がある
働きやすい職場は清潔感もあります。施設に入ったときの印象は大切です。利用者やその家族も清潔感のある施設のほうが安心感を持って任せられるでしょう。
清潔であることは居心地の良さにもつながります。そのため、働きやすさや定着率も高まりやすいでしょう。また、感染予防の観点からも清潔であることは求められます。
給与面などの待遇がよい

給与面などでの待遇の良さは、働きやすさを見分ける際のわかりやすい判断基準です。介護職は身体的疲労やストレスも溜まりやすい職業となるため、仕事量に見合った給与が求められます。
仕事量を適切に評価して、昇給などの機会もある職場であればモチベーションも維持しやすいでしょう。
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働きづらい職場を選ばないためのコツ

介護職で働きづらい職場を避けるためには、求人票のチェックや実際の施設見学が効果的です。求人票では、常に求人が載っている施設は労働環境が過酷である場合が考えられます。
ただし、求人が常に出ているというだけでは、働きづらい職場とは限りません。。そのため、実際に施設を見学することで、より正確に状況を把握できます。
その際に、清潔感がなかったり利用者やスタッフに笑顔がなかったりすれば働きづらい可能性があるでしょう。
また、見学の際に気になる点を質問してみるのもよいでしょう。曖昧な返答をされた場合は、注意が必要です。
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施設の見学時にチェックしておきたいこと

施設の見学時にはやはり、職員や利用者の表情・施設の清潔感をチェックすることが大切です。特に利用者さんの表情に注目するとよいでしょう。
職員が利用者さんに接するときの言葉遣いや態度は、見学者がいる間だけ取り繕えるかもしれないですが、日頃の接し方は利用者さんの表情や態度にあらわれるでしょう。
例えば、認知症の方は正しい接し方をしていれば進行を遅らせられ、認知症の方本人も穏やかに過ごせるといわれています。
日頃から否定的な言葉をかけられていると、職員に協力的になりにくく、安心感を持って過ごすことも難しくなるため、落ち着かない様子が見られるかもしれません。
また、施設の清掃が隅々まで行き届いており、清潔感があるかどうかも重要なチェックポイントです。忙しくて掃除まで手が回らない、もしくは不潔な状況を気にない風潮があるなどの状況が考えられます。
働きやすい職場への転職方法

働きやすい職場へ転職するには、まずは求人情報を探しましょう。介護職の求人情報は、求人サイト・ハローワーク・転職エージェントを活用します。
ハローワークは公的な職業紹介所です。地域に密着した情報を豊富に取り扱っているため、地元で転職したい場合や、自宅から近い場所で探したい場合に適しているかもしれません。
求人サイトは、働きたい分野に関するさまざまな情報を複数チェックできます。自分自身の希望に絞り込んで検索などもできるため効率的です。
また、求人サイトからの応募では転職エージェントを紹介してもらえることがよくあります。転職エージェントは履歴書の作成から面接対策など、転職までの全般をサポートします。
転職の際には、自己分析をして自分がやりたいこととできることを整理しておくと絞り込みやすくなるため、働きたい施設を探しやすくなるでしょう。
自己分析や整理が苦手な方は、人に話すのもおすすめです。自分では気付けない部分に気付いてもらえたり考えがまとまったりしやすくなります。
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