移乗介助の基本
移乗介助で大切なのは、利用者と介助者が安全面に注意をしながら移乗を行う環境を整えることです。そのためには事前の準備から声掛け、身体の使い方までを意識して対応することが求められます。
まずは移乗介助の基本から紹介します。
介助前に利用者の体調を確認する
利用者の体調が優れない状態で無理に移乗介助を行うと、立ちくらみやめまいを引き起こし、転倒や転落などの怪我のリスクが高まります。
そのため、介助の前には「気分は悪くありませんか?」「めまいはしていませんか?」といった声かけを行い、利用者の体調を確認することが重要です。
事前の体調確認は移乗介助以外でもケアを行ううえで基本となります。
利用者の身体能力を確認する
移乗介助を行う際には利用者の身体能力を把握しておきましょう。筋肉量や関節の動きは人によって異なります。また、痛みがある場合は日によって変化するため、事前に把握しておくことが重要です。
身体の状態を把握しておくことで見守りだけでよいのか、一部介助や全介助が必要なのかを判断できるようにしておきましょう。
動作のたびに声掛けをする
介助の際は、動作ごとに声掛けをしましょう。次に何をされるかわからないまま動かされると利用者は不安になったり、緊張して身体に力が入ったりしてしまいます。
こうした状態で無理に移乗介助をすると、事故のリスクが高まるため、注意が必要です。「今から立ちますね」「ゆっくり座りましょう」など、事前に動作を伝えることで利用者自身の心の準備ができ、身体を動かす意識が生まれます。
また、声掛けを行うことで表情や反応を確認でき、体調や状態の変化に気付きやすくなります。信頼関係を築くうえでも、声掛けは介護技術にとって欠かせないスキルのひとつです。
危険を予測し介助を行う
介助を行う前には、事前にどのようなリスクがあるかを想像し備えることが重要です。移乗時に車いすからずり落ちたり、車いす乗車後にバランスを崩して前傾姿勢での転落など思わぬタイミングでトラブルが起きることがあります。
こうしたリスクを減らすためにも、予測できる危険を事前になくして介助を行う必要があります。
介助にはボディメカニクスを活用する
移乗介助を行う際には、ボディメカニクスを活用しましょう。ボディメカニクスとは身体力学の原理を活用した介護技術で、身体への負担を抑え効率的に体を動かすことが可能です。
ボディメカニクスを取り入れることで身体的な負担は軽減できるので、腰痛や筋肉への負担を防ぐことができます。ボディメカニクスの方法については、次で詳しく解説します。
移乗介助にはボディメカニクスが重要
ボディメカニクスを移乗介助に取り入れるには、ボディメカニクスの8つの原則を理解しておく必要があります。ボディメカニクスの8つの原則は以下のとおりです。
- 対象者に近づく
- 膝を曲げ重心を下げて骨盤を安定させる
- 支持基底面積を広くする
- 対象者の体を小さくまとめる
- 足先を動作方向に向ける
- 大きな筋肉群を利用する
- てこの原理を活用する
- 水平に移動させる
ボディメカニクスを使った移乗介助では対象者に近づき、足を広めに開いて支持基底面を広くし、膝を曲げて重心を低く保つことを意識しましょう。
こうすることで動作が安定し、小さい力でスムーズな介助が可能です。移動の際には、対象者にコンパクトな姿勢を取ってもらい、身体の接地面を小さくして摩擦による抵抗を少なくします。
腕や腰だけでなく体全体の大きな筋肉を使い、体をねじらず水平に移動させることで、腰への負担も軽減されます。てこの原理を応用すれば、小さな力で体の大きな利用者の移乗も無理なく行うことが可能です。
ボディメカニクスは介護する方やされる方にとって身体の負担を少なくする技術であり、移乗介助では必須のスキルといえます。
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車いすによる移乗介助の手順
移乗介助は日常的に行っているが、正しい手順が知りたいという方も少なくないのではないでしょうか。現場で慌てないためにも移乗介助の手順を理解しておく必要があります。
ここではベッドから車いす、車いすから椅子といったよくある移乗場面の手順をわかりやすく解説します。
ベッドから起き上がる
まずベッドの高さ調整を行います。その次に、利用者の膝を片方ずつ曲げて両膝を立てた姿勢をつくり、寝返る側に目線を向けてもらい側臥位をとってもらいます。
介助者は一方の手で肩甲骨付近を、もう一方の手で腰を支えながら、ゆっくりと身体を引き起こしましょう。力任せに動かすのではなく、膝下をベッドから下ろしながら同時に上半身を起こすと楽に起き上がることができます。
端座位になったらベッド柵を持ってもらい、しっかりと座ってもらいましょう。両足の裏を地面につけると安定性が増します。
また、注意点としては以下のとおりです。
- 利用者に恐怖を与えないように起き上がりはゆっくりと行う
- 急な動作は起立性低血圧やめまいを引き起こしやすくなる
- 利用者ができる動作は自分でやってもらう
利用者のペースに合わせて一連の動作を行い、移乗動作へとつなげていきましょう。
ベッドから車いすへの移乗介助
事前準備として車いすをベッドの横にやや斜めに置き、ブレーキをかけてフットレストを上げておくことが大切です。フットレストが外れるタイプであれば外しておくと皮膚損傷のリスクを軽減できます。
また、アームレストが動かせるのであれば、アームレストを動かしてスペースを確保しておくと移乗介助がしやすいです。事前準備ができたら端座位になってもらいましょう。
このとき両足が地面にしっかりと接地している状態が望ましいです。職員は両足を広げ、重心を下げた姿勢で利用者の背中に手を回し、利用者には介護職員に抱きつくようにつかまってもらいます。
立ち上がりでは、タイミングを合わせるような声掛けをし、利用者がお辞儀をするように立ち上がります。声掛けがあると利用者も準備をしやすく、動作がスムーズになって立ち上がりやすいです。
立ち上がったら車いす側の足を軸にして方向転換を行い、ゆっくりと腰をかけてもらいます。座り方が浅い場合は、プッシュアップをして座位姿勢を整えましょう。
車いすから椅子への移乗介助方法
車いすから椅子へ移乗する際も、ベッドから車いすへの移乗介助と同様の方法で行います。しかし、椅子に移乗する場合に気をつけてほしいことは椅子からのずり落ちです。
椅子の座面にクッションがあったり、椅子が動いたりする可能性があると、滑って姿勢が崩れる恐れがあります。座位の安定を保つためにも座面に滑り止めマットを敷いたり、移乗後は深く座れているかを確認したりして、ずり落ちのリスクを減らしましょう。
このようなリスク管理の知識や技術を身につけたい方には、教育体制の整った職場環境で働くことをおすすめします。
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状態別の移乗介助のコツ
移乗介助は利用者の身体状況によって移乗方法が変わります。「人によってやり方が違うのはなぜ?」と感じるのは当然です。
状況に応じた対応ができると、無理のない介助ができるようになります。
一部介助の場合
一部介助では、利用者自身の身体能力を活かしたサポートをしましょう。介助者が必要以上に手を出してしまうと、過介助となり自立を妨げてしまいます。
そのため、介助の際は最小限のサポートにとどめるように意識することが重要です。手順としては、まず介助者が車いすの反対側に立ち、利用者には片手でアームレストをしっかりと握ってもらいます。
利用者の動線を妨げないように利用者と介助者の体の間には十分なスペースを確保し、介助者は利用者の脇腹あたりに軽く手を添えるように移乗します。
利用者の動きに合わせて必要な場面だけ身体を支えるようにしましょう。「今から立ち上がりますね」「ゆっくりで大丈夫ですよ」などの声掛けを行うと利用者に安心感を与え、移乗のタイミングを合わせやすくなります。
全介助や片麻痺の場合
片麻痺があり全介助が必要な場合の移乗介助では、基本的に麻痺のない側に車いすを設置します。ベッドと車いすの角度は15〜30度程度を目安にします。
介助者は利用者の麻痺側に立ち、お尻を少し前にずらし浅く座るように心がけましょう。足は車いす側の健側を麻痺側の足より前に出します。
こうすることで、移乗時に足がクロスせずにスムーズな移乗が可能です。麻痺側を守るようにやや後方から利用者の体を支え、利用者の脇腹付近を支えます。
利用者は健側の手で介助者の腰や肩を持ってもらい、声掛けをしてお辞儀をするように立ち上がります。健側を軸に方向転換をして、ゆっくりと座るようにしましょう。
利用者の身体状況にあわせた配慮をすることで、負担の少ない移乗が可能です。
体重がある方の場合
体重の重い方を移乗させる場合は、無理をせず安全性を優先しましょう。移乗方法としては、利用者には車いすに浅く座ってもらい、前かがみの姿勢をとるよう声かけをします。
この姿勢を取ることで身体がコンパクトになり、少ない力でも介助がしやすいです。体を密着させ、声掛けでタイミングを合わせながら移乗を行いましょう。
一人介助で難しい場合は、二人で移乗介助を行い、安全性を重視した無理のない介助をすることが大切です。
移乗介助の注意点
移乗介助では無理な全介助をするよりも相手の力を活かしながら介助者、利用者にとって負担の少ない介助を行うことが重要です。
ここでは移乗介助の注意点を具体的に解説します。
福祉用具も活用する
福祉用具を活用することで体に負担が少なく、移乗介助を楽に行うことができます。主に移乗介助で使用される福祉用具にスライディングボードがあります。
このスライディングボードは、利用者のお尻の下に敷いて持ち上げることなく、座ったまま横に移動させることができる福祉用具です。
このため介助者の体の負担は少なく、移乗介助ができます。表面は滑りやすく、裏面には滑り止め加工が施されているため、安全面に配慮しながらスムーズな移乗が可能です。
スライディングボードには間隔の広い移乗に適した硬めのタイプや、日常的な介助に使いやすいやわらかめのタイプなど、使用環境に応じた種類があります。
レンタルで試すことも可能であるため、こうした道具の力を積極的に活用していきましょう。
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全介助を行うのではなく利用者の残存能力を行う
利用者の残存能力を活かすことは、自立支援やQOLの向上につながる重要な介護技術です。できることに目を向けることで、身体機能の維持はもちろん、介助者の負担も軽減されます。
また、自分でできると自信につながり喜びや前向きな気持ちを引き出すことができます。すべてを介助するのではなく、利用者の残存機能を活かすことが大切です。
移乗介助に役立つ福祉用具
「どのような福祉用具があるのかわからない」「使い方が難しそう」と思われる福祉用具ですが、使い方を覚えると介助者の負担を大きく減らし頼れる存在となるでしょう。
ここでは腰痛や膝の負担を軽減してくれる移乗用の福祉用具を紹介します。使い方がわかれば在宅介護をしている利用者のご家族にもおすすめできます。
介助用ベルト
介助用ベルトは、移乗や立ち上がりをサポートするための福祉用具です。利用者の腰に装着し、ついているグリップを介助者が握ることで、安楽な移乗介助が可能になります。
ズボンや服を直接つかむ必要がなくなるため、ズボンが破れる心配がなく、利用者への不快感も軽減されます。どこを支えたらよいかわからないと迷いがちな場面でも、使いやすい福祉用具です。
リフト
リフトは全身をシートで包み込み、機械の力で吊り上げて移乗を行う福祉用具です。自力での移乗が難しい方や、体重が重く介助が困難な場合でも、安定した介助が可能になります。
特に、介助者が小柄な方や女性スタッフであっても、無理なく使用できる点が大きな魅力です。リフトにはいくつかの種類があり、使用環境に応じて選べます。
床走行式リフト:キャスター付きで移動しやすく、家庭用に向いている。折りたたみ式は収納にも便利です。
据置式リフト:レールで移動するタイプで、移動範囲はレール内に限られます。
固定式リフト:ベッドと一体型で、狭い空間にも導入しやすいのが特長です。
リフトはレンタルも可能なので、気になるようであれば導入してみることをおすすめします。「今いる施設では導入が難しい」「もっと福祉用具を活用した介護を学びたい」とお考えの方は、職場環境を見直すタイミングかもしれません。
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スライディングシート
スライディングシートは、持ち上げることなく滑らせるように移動や移乗ができる福祉用具です。滑りやすい素材で作られており、ベッド上で体の位置がずれたときや体重のある方の移動に便利です。
力に自信のない方や女性スタッフでも少ない力で介助ができるため、介助者の体への負担を大きく軽減できます。また、利用者にとっても身体への負担が少なく、床ずれ予防にも効果的です。
汚れたら洗濯して繰り返し使えるため、衛生的にも管理しやすいです。スライディングシートはさまざまなサイズを選べるため、使用シーンや利用者の身長にあわせて選択することができます。
現場に導入しやすいアイテムのひとつなので、一度使ってみることをおすすめします。
移乗介助は基本手順とコツを理解して行おう
ここまでの内容を理解しても、移乗介助は知識だけでは身につきません。実際の現場で繰り返し実践し、体の使い方や声かけのタイミングを身につけていく必要があります。
スムーズな介助ができるようになるためにも、職場や職場以外の外部研修、講座へ参加してはどうでしょうか。「もっと学んでうまくなりたい」という気持ちが、あなたの成長につながります。
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