特養とは

特養とは、特別養護老人ホームのことです。要介護度3以上の日常生活が困難な65歳以上の方が、施設に入居して生活を送る老人ホームです。
24時間体制で介護や見守り、日常生活の支援を提供しています。そのため、一人での生活が困難な高齢者でも安心感を持って生活を送ることが可能です。
また介護だけでなく、健康管理や療養などの医療ケアも充実しているため、利用者が健康的な毎日を過ごせるような生活環境も整っています。
特養は利用者が入居する施設のことで、施設長は施設の運営や管理などの役割を担っています。
特養施設長の仕事内容

特養の施設長は、施設の管理や運営が主な仕事内容です。
施設全体の管理業務のほかにスタッフのマネジメントや、利用者やそのご家族の対応を行うなど、施設長の仕事内容は多岐にわたります。
では、具体的な仕事内容についてみていきましょう。
施設の運営
特養は、老人福祉法や介護保険法に基づいて運営しています。
老人福祉法とは65歳以上の高齢者を対象に、介護保険法は40歳以上の要介護認定を受けた方を対象とした法律です。
特養の施設運営は老人福祉法や介護保険法に基づいて、必要な設備や従業員の数、入所定員などを決定します。運営方針や理念に沿って運営を行うのも施設長の仕事の一つです。
また、行政や地方自治体による運営指導や監査の対応なども施設長の業務となっています。
収支管理

施設を運営するうえで、収支管理は重要な業務の一つです。
家賃や光熱費、人件費などの支出管理に加えて利用者の利用料や日用品代、嗜好品代や理美容代などの請求業務を行います。
利用者の入居は、施設にとって大きな収入源となるので、入所人数と収支のバランスを保つことで円滑な運営へとつながることでしょう。
また、年間の予算計画も作成します。年間で必要な予算を計算し、今のままでよいのか、削れる箇所はないかなどの再確認も行います。
スタッフのマネジメント
特養では24時間体制でサービスを提供しているため、スタッフのマネジメントも欠かせません。従業員の数は足りているか、一人あたりの仕事量や労働時間は適切かを確認します。
スタッフ一人ひとりが自分のパフォーマンスを発揮できる場所で仕事ができているかを確認し、適材適所への配置を行うことも重要です。
また、スタッフの採用や教育は人事部が担当するものですが、施設長が担う場合もあります。
利用者やご家族への対応

利用者やそのご家族への対応も施設長の仕事です。
施設に入居する利用者の健康状態や介護レベルなどを詳細に把握し、利用者一人ひとりにあわせたケアプランの作成を行います。
ケアマネジャーが作成したケアプランをもとに施設内でどのようなサービスや介護ケアが実施されるのかを丁寧に説明します。
また、施設内で発生したトラブル対応も施設長の仕事です。
もし、利用者同士のトラブルが発生した場合には利用者の間に入って話を聞き、原因を特定します。
トラブル対応後には、原因を分析し記録しておいたり、予防できるものであれば対策を講じたりしておきましょう。
利用者同士のトラブルが大きくなってしまった場合には、強制退去をお願いすることもあります。
再び同じようなトラブルが発生しないように対策を考えて、スタッフと共有しておくことが大切です。
介護業務
特養施設長の業務は、施設全体の管理や運営がメインとなりますが、ときには介護業務を行う場合もあります。
施設長の介護業務とは、単に介護を行うだけではありません。
利用者の声やスタッフの働き方、利用者とスタッフの関係などを把握し、施設全体の運営に役立てるために行います。
施設長が実際に現場に出て、業務をこなすなかで見えてくる問題点や改善点にアプローチし、迅速な対応を行うことでトラブルの予防につながります。
事務所や外での仕事だけでは見えなかった問題を解決するためにも、定期的な介護業務も外せません。
特養施設長に必要な資格

施設長の仕事は施設全体を把握して、円滑に運営することです。
施設全体や現場の状況を理解することで、スタッフのモチベーションや職場環境の向上、利用者へ高品質なサービスの提供を実施できます。
では、施設長になるための資格や条件には何があるのでしょうか。
社会福祉主事の要件を満たす者
社会福祉主事とは、生活に困っている高齢者や障害者に対して生活支援や援助を行うための任用資格です。
特養の施設長になるためには、まず社会福祉主事の任用資格を取得する必要があります。
社会福祉主事の要件を満たすには、次の5つのどれかの方法で満たさなければいけません。
- 大学や短大で社会福祉に関する科目を3科目以上履修
- 所定の通信教育課程を修了
- 介護や福祉系の指定養成機関を修了
- 都道府県等講習会を受講する
- 社会福祉士・精神保健福祉士の資格を取得する
社会福祉主事の要件を満たすには、大学や専門学校などの養成機関で必要な課程を修了する必要があります。
働きながら勉強する場合には、通信であれば勉強時間の自由が利くため、取得しやすくなるでしょう。
また、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持っている場合は、社会福祉主事の要件を満たしているということになります。
社会福祉事業に2年以上従事した者

社会福祉事業とは、社会福祉法に基づいて運営される施設のことで、第1種と第2種に分けられます。
第1種とは利用者の保護を目的とした入居をメインにしたサービスで、第2種は利用者の自宅での生活を支えるサービスのことです。
具体的には、第1種は特養や養護老人ホーム・軽費老人ホームが該当し、第2種はデイサービスやショートステイなどが該当します。
老人ホームのほかに、児童養護施設や障害者支援施設なども該当しています。
社会福祉事業に該当する施設で2年以上従事することも施設長になるための条件の1つです。
社会福祉施設長資格認定講習会を受講した者
社会福祉施設長資格認定講習会とは、全国社会福祉協議会の中央福祉学院が実施している講習のことです。
福祉に関する幅広い知識や施設を運営するための経営、財務管理をはじめ、心理学や保健医療などについて学習します。
学習期間は、約8ヶ月間の通信学習に加えて、5日間の集合研修を受けて講習修了となります。
特養施設長に求められるスキル

施設長は、施設全体の管理業務がメインとなるので、現場のスタッフとなかなかコミュニケーションを取る機会が少なくなってしまいます。
しかし、現場で活躍しているのはスタッフなので、スタッフとの信頼関係は必要不可欠なものです。
定期的にスタッフと会話する機会を設けたり、現場に出る回数を増やしたりして、スタッフと良好な関係を築いていくことが大切です。
では、特養の施設長として求められるスキルには一体何があるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
リーダーシップ
施設長は施設全体の運営管理やスタッフの総括、職場改善や利用者へのサービスの見直しなどを行い、スタッフの先頭に立って進む存在です。
スタッフ一人ひとりが施設や利用者のことを考えた行動を取れるよう、施設長が模範を示す必要があります。
普段から利用者へのサービス向上を考えた介護業務を行ったり円滑な運営のためにリーダーとしての意見を伝えたりすることも重要です。
介護業務を引っ張っていくには、現場の豊富な経験や高い柔軟性が求められます。
多くの経験をしてきたからこそ、リーダーとしての意見を伝えられるしっかりと割り切った行動が必要です。
リーダーシップを学ぶためには、優れたリーダーシップを持つ方のもとで意欲的に働くことで身につきやすくなります。
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コミュニケーション能力

施設全体を管理・統括する施設長は、コミュニケーション能力が求められます。
施設長はスタッフや利用者、利用者の家族、外部の業者などさまざまな方と対話する機会が豊富です。
特に、スタッフや利用者とのコミュニケーションは重要で、現場の声や現状を把握しやすくするためにスタッフや利用者との関係性を構築しておく必要があります。
何気ない会話を繰り返し、話しやすい施設長であることで職場の環境が見直され、スタッフ同士のトラブルを抑制することも可能です。
職場の環境が整うことで、利用者へのサービスの質も向上します。
介護業界では、職場環境の見直しが大切です。
介護の現場は慌ただしいことが多く、環境が整っていないとイライラが募り、スタッフ間のトラブル発生につながりやすくなります。
そのため、介護業界への転職や新しい職場へ転職する際には、プロの力を頼ってみませんか。
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問題解決能力
施設経営をしていると、小さなものから大きなものまで、さまざまな課題に直面します。
収益の問題やスタッフ不足、利用者の満足度など、さまざまな問題が日々発生していることでしょう。
すぐに解決できる問題は迅速に対応し、大きな問題にならないようにしましょう。
すぐには対応できないことでも、今後どのように解決していくのかを計画・立案することで少しずつ問題解決に近づくことも重要です。
ストレス耐性

施設長は施設の全体を管理したり、スタッフや利用者、外部の業者の対応をしたりと多岐にわたる業務をこなしています。
仕事量が多く、トラブル対応に追われることも少なくないため、ストレスを抱えやすい役職でもあります。
特に責任感や一人で抱え込む癖がある方は、施設長という重責から大きなストレスを抱え込んでしまうでしょう。
そのため、ストレス耐性があり、上手にストレスを発散できると、施設長となってもストレスは少なく仕事に取りかかれるでしょう。
経営者としてのスキル
施設長は、施設のトップになるので、経営者としてのスキルや視点が求められます。
施設を運営するうえでの収支管理や全体を統括するスキル、利用者や利用者ご家族への質の高いサービスの提供など、経営者視点で施設を運営する力が必要です。
また、施設長は最終判断を下す役職でもあります。
経営者として適切な判断を下せるスキルも施設を運営するために必要なことです。
管理者との違い

施設長と管理者との大きな違いは、役職につくために満たさなければいけない条件があるかどうかです。
特養の施設長になるには3つの条件をクリアする必要がありますが、管理者であれば特に条件はなく、仕事の成果やリーダーとしての素質で役職につくことができます。
では、施設長と管理者の違いについて見ていきましょう。
資格要件がある
特養の施設長になるためには資格や条件が厳しく設けられていますが、管理者になるには資格は必要ない点が異なります。
特養の施設長になるためには、社会福祉主事の要件を満たすこと、社会福祉事業に2年以上従事すること、社会福祉施設長資格認定講習会を修了することの3つの条件や資格が必要です。
管理者は特に指定される条件や資格がありません。
特養の施設長を目指すなら、必要な資格や条件を達成する必要があります。しかし、介護の現場が忙しいとなかなか勉強する時間がなく、気力もなくなってしまうものです。
将来的に施設長を目指したい場合は、働きながら資格取得や研修をクリアできる職場を見つける必要があります。
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管理者より立場が上
施設長は、施設全体の管理や運営を行う役職で、施設の最高責任者となります。管理者は各部門の責任者のことを指します。
施設長は、施設の円滑な運営のためにメンテナンスやスタッフのマネジメント業務、収支管理などを主な業務としています。
また、安定した経営を維持するため、利用者獲得の営業を行うこともあります。
施設長は、現場よりも外への営業や外部の業者との打ち合わせが多くなり、裏方の仕事がメインです。
特養施設長のキャリアパス

特養の施設長となった後も、キャリアを積むことができます。
施設長となった後のキャリアパスでは、いくつかの施設をまとめるエリアマネージャーや、法人全体の運営や管理を担う本部職などの役職に就くことが可能です。
独立もキャリア選択の1つです。
施設長としての経験や豊富な知識を活かして、ほかの施設の運営管理をマネジメントするコンサルタントとして独立したり、次世代の介護スタッフを育てる教育者となったりとさまざまなキャリアを目指せます。
施設長以上のキャリアアップを考えるなら、継続的な自己研鑽や高い学習意欲が求められます。
介護に関する知識や技術だけでなく、スタッフとのコミュニケーションを大切にしたり、経営者視点で物事を考えたりする力を磨きましょう。
また、施設長となった後のキャリアを考えたときに実際に独立した方の話を聞くのも参考になります。
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特養施設長として介護職に従事したい方は

特養施設長は、施設全体の運営管理を行う最高責任者です。
施設の運営が円滑に進んでいるか、介護サービスの質は落ちていないか、スタッフの労働時間や仕事量は適切かなど介護施設において必要不可欠な運営管理を担っています。
また、施設のリーダーとしてスタッフを引っ張っていくリーダーシップや問題を解決する力、スタッフがトラブルなく快適に働けるようにするためのコミュニケーション能力なども施設長として欠かせません。
これから施設長として頑張ってみたい、将来的に施設長を目指したいという方はハッシュタグ転職介護を活用してみませんか。
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