特養で働くケアマネジャーの仕事内容

特養は介護保険施設の一つで、在宅での生活が困難になった、要介護3〜5の高齢者が入居できる公的な老人ホームです。

民間の有料老人ホームよりも、料金の基本設定は安くなっており、所得によって介護保険自己負担限度額認定証の制度が利用できます。

ここでは、特養で働くケアマネジャーの仕事内容について紹介します。

ケアプランの作成と管理

入居者が自立した日常生活を送れるように、必要なニーズを把握したうえでケアプランを作成し、管理します。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づいて、介護サービスを提供するため、特養において不可欠な業務です。

入居者やその家族にヒアリングし、本人の希望に沿ったプランを立てることになります。入居後の短期目標から長期目標を設定し、入居者に合わせたサービス内容を組み入れます。

ケアプランは入居者の身体的な健康だけでなく、精神的な健康や社会的なニーズも考慮し、個人を尊重することが重要です。

アセスメント

アセスメントは、入居者に合ったケアプランを作成するための必要な業務です。アセスメントは施設入居前と入居後の2回行います。入居前は自宅や医療機関を訪問して面談し、入居後は入居者の居室を訪問して行います。

入居前は課題になっている状況やその背景、本質となる原因などを詳細に把握することが重要です。入居後は施設での生活や心身の状況の変化など、生活全般に抱える課題を把握する必要があります。

入居者の健康状態やニーズに変化が生じた際には、再度アセスメントを行い、ケアプランの見直しを行うようにしましょう。

サービス担当者会議

定期的に介護職員や医師、入居者およびその家族などを召集して、ケアプランの妥当性を協議します。アセスメント結果から草案を作成し、参加者の視点からの意見を共有します。

ケアマネジャーが会議を進行し、介護職員や医師の専門的な知見によって、入居者に適したケアを提供するための戦略を練る場です。サービス担当者会議は、入居者のケアプランを見直すために定期的に開催する必要があります。

入居者のニーズを確認し、ケア業務に従事する現場職員の実際の声を聞ける貴重な会議です。入居者のニーズを把握し、その家族の要望も確認できます。施設全体のサービス品質の向上のために、積極的に参加する必要があります。

モニタリング

ケアプラン作成後、実施状況を把握し、入居者の心身状態の変化などを注意深く観察します。心身状態の変化によって、ケアプランで作成した課題や目標、サービス内容を変更する必要があります。

ケアプランの見直しについて、入居者や家族、介護職員と共有することが重要です。モニタリングは、定期的に入居者と面接して行う必要があり、入居者の心身状態に応じて、適切な頻度で行うようにしましょう。

モニタリングの結果を定期的に記録することが必要です。

モニタリングの記録は、入居者が快適に過ごすために、食事や入浴のサポートの質や効果を確認することになります。医療機関との連携によって、定期的な健康診断や治療の進捗を確認し、必要な調整も行います。

モニタリングにおいて、入居者の希望や意向を確認し、ケアプランの見直しや調整を行うことが重要です。

その他の業務

特養で介護職員として介護に携わるだけでなく、各種事務手続きも担当します。

• 介護業務（入居者の日常生活全般に必要な支援）
• 要支援・要介護認定の申請手続き
• 各種加算の算定や給付管理
• ケアプランの見直し・更新
• 介護サービス関係各所との調整

特養のケアマネジャーは、職場によって仕事内容が異なるため、事前に確認しておくようにしましょう。

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特養のケアマネジャーならではの特徴

ここでは、特養のケアマネジャーならではの特徴を紹介します。特養のケアマネジャーに興味があるという方は、ぜひ確認してみてください。

担当件数が多い

特養のケアマネジャーは、施設の入居者を担当するため、担当件数が多い傾向にあります。人員配置基準は、入居定員100人に対して一人のケアマネジャーが最低人数です。

特養のケアマネジャーは最大100名分のケアプランを作成する場合がありますが、居宅ケアマネジャーの場合は40名が基準となります。

施設規模が大きくなるほど、特養のケアマネジャーの負担は大きくなるといえるでしょう。　

施設内での生活を前提としたケアプラン作成

特養のケアマネジャーは、施設が提供するサービスや生活環境を考慮して計画するため、施設内での生活を前提としたケアプランを作成します。

ケアプラン作成において、日常生活に密着することができるので、入居者に寄り添った対応がしやすいです。入居者に合わせたケアプラン作成ができるのは、居宅にはない特養のケアマネジャーならではのやりがいだといえるでしょう。

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特養で働くケアマネジャーの一日のスケジュール

特養のケアマネジャーとして働く場合、決まったスケジュールで働くことがほとんどです。全体的な流れは施設によって異なりますが、入居者やその家族にヒアリングする機会も多いため、基本的には日中の勤務となります。

午前中は9時に出勤して、朝の申し送りから始まり、ケアプランの作成や介護業務を行います。午前中に、入居者へのアセスメントやモニタリングも行なっておくのがほとんどです。

午後の業務に備えて、入居者の食事介助を終えてから、昼食をとることになります。午後は、入居者やその家族にヒアリングを行いながら、ケアプランの見直しを図ります。

空き時間を活用し、事務処理を進めていくことも必要です。サービス担当者会議やレクリエーションを行い、全体ミーティングにて引き継ぎ業務を18時頃の退勤までに済ませておきます。

特養のケアマネジャーの一日の仕事内容は日によって異なります。日々変化する業務において、臨機応変に対応する力が求められるでしょう。

職場によっては、介護業務を兼務することもあるため、スケジュールの管理能力が重要です。

ケアマネジャーが特養で働くメリット

ケアマネジャーは、入居者に合った介護サービスの根幹となるケアプランを作成する専門職であり、介護業界でキャリアアップを図るうえで重要な仕事です。

ここでは、ケアマネジャーが特養で働く際の3つのメリットについて紹介します。

多くのケアプラン作成に携われる

特養のケアマネジャーは、最大100名の入居者を担当するため、多くのケアプラン作成に携われます。自身のケアプランによって、入居者が自立して日常生活を送れるようになることで、やりがいを感じられる方もいるでしょう。

入居者やその家族から直接感謝の言葉を伝えられることもあり、喜びにつながることもあります。介護業界で働くうえで、自信につながり、モチベーション向上にもつながります。

仕事にやりがいを求める方にとって、多くのケアプラン作成に携われる、特養のケアマネジャーの仕事はメリットだといえるでしょう。

高収入を目指せる

特養で働くケアマネジャーは、他の職種と比較して高収入を目指せる点でメリットです。

厚生労働省の令和４年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要によると、特養のケアマネジャーの平均給与額は、412,720円です。

ケアマネジャーは資格が必要なため、一般的な介護職と比べて、高めに設定されています。介護業務を兼務する場合、夜勤手当や職務手当によって、さらに高い給与を期待できるでしょう。

基本給や諸手当は職場によって異なるため、事前に確認しておく必要があります。

きめ細やかなケアマネジメントができる

ケアマネジャーが特養で働くメリットとして、きめ細やかなケアマネジメントができる点が挙げられます。基本的に施設に常駐しているので、入居者の施設での生活や健康状態を直接確認することが可能です。

入居者の心身状態に応じて、ケアプランの作成や見直しを図れます。現場の介護職員とコミュニケーションを取る機会が多く、入居者の情報を共有しながら、多角的な視点からケアプランを確立しやすいです。

特養で働くケアマネジャーは、関係者と連携しながら、入居者のケアマネジメントを行えます。入居者の気持ちに寄り添いながら介護をする、というケアマネジャーの役割を活かせる環境だといえるでしょう。

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特養で働くケアマネジャーになる方法

　

特養でケアマネージャーとして働くためには、2つの重要なステップがあります。

• 受験資格を満たす
• 所定の実務研修を受講する

2つのステップを満たすことが、ケアマネージャーとして働くためには不可欠です。

まずは、介護支援専門員実務研修試験に合格する必要がありますが、特定の国家資格を保持していなければ受験できません。特定の国家資格はさまざまであり、社会福祉士や介護福祉士、精神保健福祉士などが挙げられます。

必要な資格を取得するだけではなく、資格が必要な実務を通算5年以上し、さらに900日以上従事することが必要です。試験合格後は、所定の実務研修を受ける必要があります。

研修内容は、講義形式と演習形式を合わせて87時間以上の内容で、都道府県または都道府県知事の指定した研修実施機関が実施します。すべての研修受講後、3ヶ月以内に研修を受けた都道府県で、登録申請を行いましょう。

資格登録簿への登録申請をすることで、介護支援専門員証の交付を受けられます。ケアマネージャーとして働く際に、必ず携帯しなければならないため、紛失しないように注意しましょう。

ケアマネージャーの資格取得後、特養で働いている場合は、施設内での移動や職種転換を申請する必要があります。特養で働いていない場合は、ケアプラン作成担当者として求人が出ている特養を調べて、転職するようにしましょう。

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【職場別】ケアマネジャーの役割を比較

ケアマネージャーの役割や業務内容は、職場によって異なります。ここでは、ケアマネージャーの役割を職場別で紹介します。

特養（特別養護老人ホーム）

特養での主な業務は、施設内のサービスに基づき、入居者やその家族、介護職員などと連携してケアプランを作成することです。ケアプランの妥当性を確認するために、定期的に施設の医師や介護職員とサービス担当者会議を行います。

日頃の記録や他の介護職員からの情報、入居者の心身状態に応じて、適宜ケアプランの見直しを図ることも必要です。介護業務を兼務して入居者の生活支援を行い、生活相談員として入居者やその家族から相談を受ける場合もあります。

老健（介護老人保健施設）

要介護1〜5に認定された入居者が在宅復帰を目指せるように、入居者やその家族、介護職員などと連携してケアプランを作成することです。

病院から在宅への橋渡し的な存在であり、多職種と連携しながら、入居者への在宅サービスの調整や地域のケアマネージャーとの引継ぎも行います。特養と同様に、介護業務を兼務して入居者の生活支援を行い、生活相談員として入居者やその家族から相談を受ける場合もあります。

グループホーム（認知症対応型共同生活介護）

グループホームでのケアマネジャーの業務は、入居者へのケアプラン作成やその家族に対して、状況説明し同意をもらうことです。グループホームは、要支援2もしくは要介護1〜5に認定された認知症の方が生活する施設です。

1ユニット5〜9人の少人数ユニットを組み、自宅のような共同住宅の形態でケアサービスを提供します。ケアマネジャーの業務の半分は、入居者への介護支援を行い、他の介護職員に指示を出すこともあります。

状況によっては夜間に施設から連絡が入り、緊急対応をする場合もあるため、責任が大きい役割です。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームのケアマネジャーの主な業務は、入居者のケアマネジメントです。施設には、要介護の高齢者が入居しており、介護支援を受けながら生活する場です。

一般的には民間企業が運営しており、入居条件や費用、運営方針などが施設によって異なります。ケアマネジャーは入居者への定期的なモニタリングだけでなく、必要に応じてケアプランの見直しを図ります。

入居者が日常生活で必要な支援を受けられるように、各事業所との連携を図ることも重要な役割です。

居宅介護支援

居宅介護支援のケアマネジャーの役割は、要介護者が適切な介護サービスが受けられるように手配することです。要介護者やその家族にヒアリングし、要介護認定の申請代行や居宅でのケアプランを作成します。

ケアプランを作成するだけでなく、モニタリングによって、適切な介護サービスを受けられているかどうかの確認もします。利用者によって連携している事業者が異なるので、さまざまな事業者とコミュニケーションを図る必要があります。

居宅介護支援のケアマネジャーは、自宅での介護支援のために、細やかな調整力とコミュニケーション力が求められる仕事だといえるでしょう。

特養でケアマネジャーとして活躍するなら

特養で働くケアマネジャーは、介護施設入居者の必要なニーズを把握したうえでケアプランを作成するだけでなく、各種事務手続きも担当することがあります。職場によって仕事内容が異なるため、ワークライフバランスを充実させて、自分らしく働きたい方におすすめの職種です。

自分のケアプランによって、入居者にきめ細やかなケアマネジメントができるので、やりがいにつながりやすい仕事だといえます。

特養のケアマネジャーとして自分らしく働くためには、情報収集やキャリア相談、資格取得が重要です。

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