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仕事・働き方

2025.9.11

サービス管理責任者の名前だけ貸すのは違法|頼まれたときの対処法や兼務可能なケースを解説

福祉サービスの質を確保するうえで重要な役割を担うサービス管理責任者。近年では、人材不足から「名前だけ貸してほしい」と依頼されるケースが後を絶ちません。

本記事では、サービス管理責任者の名義貸しが法律違反である理由と具体的な事例をご紹介します。

さらに、依頼された際の対処法や適切な欠員対応、兼務可能なケースまで徹底解説します。

サービス管理責任者の名前だけ貸すのは違法

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サービス管理責任者は、障害福祉サービスの質を担保するために施設全体を管理する役割です。

具体的には、個々のサービス利用者の評価や個別支援計画の作成、定期的な評価などサービス提供全般に関する業務を担います。また、他の職員に対する指導的役割も業務の一環です。

障害福祉サービスの質を担保するために欠かせない存在であるサービス管理責任者ですが、その重要な役割ゆえに、法律では人員配置や資格要件が厳格に定められています。

では、サービス管理責任者の名前だけ貸す行為は、なぜ問題なのでしょうか。詳しく解説していきます。

サービス管理責任者の名義貸しとは

条件

サービス管理責任者の名義貸しとは、実際には施設で働いていないにも関わらず、書類上だけサービス管理責任者として名前を記載する行為です。名義貸しは形式的に人員がいるように見せかける行為であり、人員配置基準に違反しているため、法律上明確に違法とされています。

サービス提供責任者の人員配置基準

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サービス管理責任者の配置基準は、障害福祉サービスの種類や利用者数によって細かく規定されています。例えば生活介護事業所の場合、利用者60人以下であれば1人以上、61人以上であれば2人以上のサービス管理責任者の配置が必要です。

これらの基準は単なる目安ではなく、厚生労働省令の指定障害福祉サービスの人員、設備および運営に関する基準によって法的に定められたものです。この基準を満たさない場合、事業所は指定取消しや業務停止などの行政処分を受ける可能性があります。

サービス管理責任者の名前だけ貸すリスク

サービス管理責任者の名前だけを貸すことで、事業所だけでなく、サービス管理責任者本人にもさまざまなリスクが生じます。

まず発生するのは法的責任です。名義貸しが発覚した場合、虚偽申請や詐欺の共犯として刑事責任を問われる可能性があります。また、サービス管理責任者としての資格はもちろん、基礎となる介護福祉士の資格も剥奪されるリスクがあります。

次に、道義的責任の問題も見過ごせません。サービス管理責任者の役割は、利用者の個別支援計画の作成や見直し、職員への指導などサービスの質を確保するために重要なものです。名義貸しによってこれらの業務が適切に行われないと、利用者の安全や生活の質に直接影響を及ぼす恐れがあります。

さらに、万が一事故が発生した場合、書類上の責任者として責任を問われる可能性があります。自分が関与していない業務での事故や不祥事の責任を負わされるリスクはとても大きいといえるでしょう。

名義貸しは短期的には「お互いに都合がよい」と思える場合もありますが、長期的には関係者全員にとって大きなリスクです。

サービス管理責任者の名義貸しの事例

実際にサービス管理責任者の名義貸しを行い、処分を受けた事例もあります。
ここでは、3つの事例を紹介します。

大阪府吹田市の事例

2013年、大阪府吹田市の障害福祉サービス事業所「株式会社Eco Life」が指定取消し処分を受けました。この事例は、サービス管理責任者が実際には勤務しておらず、名義だけが使用されていた例です。さらに、書類上のサービス管理責任者は偽名を使用しており、二重の虚偽行為が行われていました。

大阪府福祉部の調査によって、この事業所ではサービス提供記録の改ざんや架空請求も行われていたことが明らかになったようです。最終的に事業所の指定が取り消されただけでなく、関係者が詐欺罪で刑事告発される結果となりました。

長崎県の事例

2019年、長崎県の障害者支援施設で名義貸しに関連する問題が発覚しました。この施設では、サービス管理責任者が月に数回しか出勤していなかったにも関わらず、常勤として届け出ていたことが問題でした。

監査が入った結果、サービス管理責任者の業務である個別支援計画の作成や見直しが適切に行われておらず、利用者へのサービスの質が低下していることが判明したようです。その結果、改善勧告と返還金命令が下されました。

青森県の事例

2021年、青森県の特定非営利活動法人が運営する障害福祉サービス事業所が6ヶ月間の業務停止処分を受けました。この事例では、サービス管理責任者が別の事業所で常勤として勤務しながら、当該事業所のサービス管理責任者としても名前を貸していたことが問題です。

調査の結果、勤務実態がないにも関わらず出勤簿が偽造されていたこと、サービス管理責任者の変更届が適切に提出されていなかったことなどが明らかになりました。

サービス管理責任者の名前だけ貸すことを頼まれたときの対処法

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人材不足が深刻な福祉業界では、サービス管理責任者が「名前だけ貸してほしい」と頼まれるケースが少なくありません。ここでは、名義貸しを頼まれたときの対処法を紹介します。

きっぱり断る

名義貸しの依頼を受けた場合、きっぱり断ることがとても重要です。曖昧な返事や条件付きの承諾は、後々トラブルの原因となります。

断る際には、名義貸しは法律違反であり、発覚した場合には双方が処分を受ける可能性があるという事実を伝えるとよいでしょう。相手が「みんなやっている」「バレない」などと主張してきても、それは事実ではありません。行政の監査は年々厳格になっており、名義貸しの摘発も強化されています。

断る理由を明確に伝えることで相手も納得しやすくなり、自分の専門性や倫理観を大切にする姿勢は、長期的な信頼につながります。

弁護士に相談する

弁護士

断りにくい関係性がある場合や、しつこく依頼される場合は、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。弁護士に相談することで、法的根拠に基づいた断り方や対応策について助言を受けられます。

弁護士は守秘義務があるため、相談内容が外部に漏れる心配はありません。また、実際に名義貸しをしてしまった場合の対応策についても、適切なアドバイスを受けることができます。

自治体の福祉課に相談する

相談

名義貸しの問題は、各自治体の福祉課や障害福祉課でも相談に応じています。匿名で相談することも可能なため、まずは一般的な質問としてサービス管理責任者の名義貸しについて問い合わせてみるのもよいでしょう。

自治体の担当者からは、法的な解釈や適切な対応方法について公的な立場からの助言を得ることができます。また、事業所が人員基準を満たせない場合の適法な対処法についても情報を得られるでしょう。

別の施設へ転職する

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現在勤務している施設から名義貸しを強要されるような場合は、職場環境自体を見直すことも検討する必要があります。名義貸しを求めるような組織は、ほかの面でも法令遵守や倫理観に問題がある可能性が高いです。

サービス管理責任者の資格要件を持つ人材は福祉業界でとても需要が高く、転職市場でも有利な立場にあります。転職を検討する場合は、専門家を頼るのも一つの手です。

ハッシュタグ転職介護では、スピード感のある一気通貫型の人材紹介を強みに、一人の担当者が相談から入社後フォローまで一貫して対応します。

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サービス提供責任者が欠員した場合にすべきこと

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サービス管理責任者の欠員は施設運営にとって大きな問題です。しかし、名義貸しという違法行為に走る必要はありません。

ここでは、サービス管理責任者が欠員した場合にすべきことを紹介します。

都道府県の障害福祉課自立支援係に連絡する

サービス管理責任者が退職や病気などで突然欠員となった場合、最初にすべきことは行政への報告です。やむを得ない事由によるサービス管理責任者の欠如が発生した場合、速やかに都道府県の担当部署に連絡することが求められています。

連絡の際には、欠員となった理由や補充の見込み、その間の業務体制などを詳しく説明しましょう。多くの自治体では、一定期間内に適切な手続きを行えば、一時的な人員基準の緩和措置を受けられる仕組みがあります。

発生後10日以内にサービス管理責任者の変更届を提出する

欠員の発生を報告した後は、法定期間内に正式な手続きを行う必要があります。多くの自治体では、欠員発生から10日以内にサービス管理責任者等の変更届の提出が必要です。

この変更届には、欠員となった事実と理由、今後の対応方針などを明記します。欠員がやむを得ない事由によるものであれば、一定期間減算を受けながら事業を継続できる特例措置が適用される場合があります。

変更届には法人印を押印した欠如発生理由書と研修受講誓約書を添付する

必要書類

変更届を提出する際には、いくつかの添付書類が必要です。ここでは具体的に提出が必要な書類を説明します。

まず必要なのは欠如発生理由書です。これは欠員となった具体的な理由や経緯、やむを得ない事情であることを説明する文書です。法人の代表者印を押印することが求められます。

次に必要なのは研修受講誓約書です。これは、欠員期間中に新たなサービス管理責任者を養成するために、職員に研修を受講させる計画や誓約を記載した文書です。

また、補充計画書も必要です。これは、どのような方法で、いつまでに欠員を補充するかの具体的な計画を示します。

変更届を提出する際には欠如発生理由書、研修受講誓約書、補充計画書を忘れないように用意しましょう。

サービス提供責任者を確保するための対策

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サービス管理責任者の確保は多くの事業所にとって課題となっています。サービス管理責任者を確保するために、事業側も対策を講じることが大切です。

給与や待遇を改善する

サービス管理責任者の確保で効果的な方法の一つが、適切な報酬体系の構築をすることです。サービス管理責任者は高い専門性と責任を求められる役職ですが、その責任に見合った処遇が提供されていないケースも少なくありません。

サービス管理責任者の平均給与は一般の介護職員と比較して約15〜20%高い水準にあることが望ましいとされています。責任の重さを考慮すると、役職手当や資格手当を設定することも有効です。

また、給与だけでなく、有給休暇の取得促進や柔軟な勤務形態の導入など、ワークライフバランスを重視した環境づくりも重要です。

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サポートや研修を充実させる

サービス管理責任者の業務は多岐にわたり、責任も重大です。そのため適切なサポート体制を整えることが、人材確保や定着には欠かせません。

具体的には、事務作業を補助するスタッフの配置や、ICTツールの導入による業務効率化などが挙げられます。個別支援計画の作成・管理をデジタル化することで、サービス管理責任者の負担を大幅に軽減できるケースもあります。また、継続的な研修機会の提供も重要です。サービス管理責任者として必要な知識やスキルを更新し、専門性を高められる環境があることは、モチベーションの維持にもつながります。

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サービス提供責任者が兼務可能なケース

OK女性

サービス管理責任者の確保が困難な場合、合法的な選択肢として兼務という方法があります。

例えば、同じ建物内で生活介護と就労継続支援B型を運営している場合、一定の条件下でサービス管理責任者の兼務が可能です。利用者数の合計が一定数以下であれば、一人のサービス管理責任者が複数事業所を兼務することができます。

また、管理者とサービス管理責任者の兼務も場合によっては可能です。小規模な事業所では特に、管理者がサービス管理責任者を兼務することで人員配置の効率化を図ることができます。

さらに、一時的な欠員時の特例措置として、別事業所のサービス管理責任者が一定期間兼務することも認められています。この場合、前述の欠員時の手続きを適切に行うことが前提条件です。
兼務を検討する際の重要なポイントは以下のとおりです。
物理的な距離:兼務する事業所間の距離が近いこと。
利用者数の上限:兼務する事業所の利用者数の合計が基準内であること。
サービス種別の関連性:兼務するサービス種別に関連性があること。
業務量のバランス:それぞれの役割を適切に遂行できる業務量であること。
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名前だけではない立派なサービス管理責任者として活躍しよう

外見るおばあちゃん

サービス管理責任者は単なる名前を貸す役職ではなく、障害福祉サービスの質を左右する重要な専門職です。

利用者一人ひとりの個別支援計画を作成し、適切なサービス提供を監督することで、利用者の自立と社会参加を支援します。また、職員への指導や助言を通じて、事業所全体のサービスの質を向上させる役割も担っています。

専門性の向上もサービス管理責任者として大切な姿勢です。障害特性や支援技術に関する知識を学び続けることで、より質の高い支援計画を作成することができます。

さらに、多職種連携の中心としての役割も重要です。医療機関や行政機関など、さまざまな関係者と連携しながら利用者を支援することで、包括的な支援体制を構築することができます。

そして何より、利用者の人生に関わる存在であることを忘れないことが大切です。サービス管理責任者の作成する個別支援計画は、利用者の生活や将来に直接影響を与えます。

障害福祉サービスの現場では依然として人材不足が課題となっていますが、その解決策は名義貸しという違法行為ではなく、福祉人材の育成と処遇改善にあります。あなたの強みを発揮しながら生き生きと働ける環境を探しませんか。

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