サービス管理責任者とサービス提供責任者の役職の違い

サービス管理責任者とサービス提供責任者はどちらも似た名称ですが、働く分野や役割が異なります。

サービス管理責任者は障害福祉分野、サービス提供責任者は訪問介護分野で活躍している役職です。

サービス管理責任者は、障害福祉系の事業所に配置され、事業所で提供している>サービス全体をマネジメントします。

障害のある利用者の望む生活を実現するため、地域との連携を図り、事業所の代表として会議に出席することもあります。そのため業務の幅は広いです。

サービス提供責任者は、訪問介護において担当する利用者のサービスをマネジメントするため、サービス管理責任者と比較すると業務範囲は狭く深くなります。

担当する利用者に提供するサービスの調整、実施状況の把握、訪問ヘルパーに対する技術指導などの役割を担います。

給与面を比較すると、より業務が幅広いサービス管理責任者の方が給与が高い傾向です。

どちらの仕事も重要な職務のため、支援員として一定の経験を積んだあとにキャリアアップとして就任するのが一般的です。

必要資格の点では、両者に違いがあります。サービス管理責任者の場合実務経験が必要ですが、サービス提供責任者は実務経験を必須としていません。

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サービス管理責任者の仕事内容

サービス管理責任者は障害福祉系の事業所において、サービス提供プロセスの管理を担います。

介護サービスの確認

個別支援計画を立て、計画に基づいて支援を実施します。評価と見直しというPDCAサイクルが機能することで、利用者のニーズに合ったサービスを提供できます。

障害分野では利用者本人が意思表示することに難しさがある場合が少なくありません。

本人の意向を丁寧に把握し、同意を得たうえで計画を策定し、サービス提供を進めます。

職員の労務調整や管理

事業所内ではチームとしてサービスを提供します。

サービス管理責任者はその中でリーダー的役割を担っています。

他職員へ助言や指導、日々のOJT研修・資格取得の推進・個別面談などを通じたチーム全体のレベルアップが欠かせません。

利用者の権利擁護などの幅広い視点を伝え、高度な専門的知識や技術獲得のための研修などを企画運営しコーチング技法を身に付けるなど、人材育成方法を管理者とともに検討します。

チームマネジメントの視点から、チームメンバーのやる気を引き出す働きかけやメンバーの役割明確化、適材適所となる人員配置を行います。

従業員が働きやすい環境をつくるのも、サービス管理責任者の役割です。

関係機関との連携

障害のある利用者が地域で生活するためには、関係機関が連携したチームケアが必要です。

サービス管理責任者は、事業所の顔として関係機関との連絡、調整役を担います。

一つの事業所ができる支援には限りがあるため、関係機関が協働して個別支援計画を作ることで利用者の望む生活を叶えることが可能です。

また、サービス担当者会議への参加も関係機関とのネットワーク構築に役立ちます。

サービス担当者会議は、サービス提供に関わっている相談支援専門員や利用者本人とその家族などが集まり、利用者の状況や課題や今後の支援の方向性について話し合う場です。

顔の見える関係を日頃から築くことで、災害などの緊急時にも機能するネットワークとなります。

関係機関との連携のために、自立支援協議会への参画も重要です。

事例検討会のなかで地域の課題を地域で解決する仕組みを作ります。

事業所や利用者を地域社会へつなげる役割を担うのがサービス管理責任者です。

事業所の経営

サービス管理責任者は現場の判断を任されているため、経営にも関わる場合があります。

事業所の顔として、利用者増加のための営業活動やサービス拡充の提案など、経営に深く関わるケースも多いです。

一般的に、売り上げの管理や事業計画の立案などの事業所全体の意思決定は、管理者である施設長や経営者の役割です。

サービス管理責任者の役割はサービスの質の管理ですが、現場を熟知しているからこそ事業所全体の経営を左右する判断を任されています。

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サービス提供責任者の仕事内容

訪問介護では、訪問介護員が単独で利用者宅へ訪問し、家事援助や身体介護などのサービスを提供します。

現場の訪問介護員をまとめる役割を担うのがサービス提供責任者です。

サービス提供責任者は、訪問介護員と兼務していることが多く、現場に関わりながら業務を担っています。

計画書の作成やヘルパーの教育、利用者対応などサービス全体の調整役であり、業務内容は多岐にわたります。

利用者からの申し込みや相談業務

訪問介護のサービス申し込み依頼は、基本的にケアマネージャーからサービス提供責任者へ相談が入ります。

サービス提供責任者は、利用するために必要な手続きなどの調整を行い、サービスを開始させます。

サービス開始後も、曜日変更や日程変更などの細かな調整に対応したり、担当者として利用者の相談に応じたりとマネージャーのような役割を担います。

利用者にとってサービス提供責任者は、ちょっとした困りごとでも気軽に相談できる頼りになる存在です。

アセスメントや会議の参加

アセスメントとは、利用者やその家族の状況を把握し、課題を明確にするための情報収集や分析のことです。

訪問介護サービスでは、サービスを開始する前に自宅訪問し、利用者本人とその家族との面談を実施します。

自宅訪問の場で、利用者の希望・生活上の課題・過ごしている部屋・トイレ・風呂の状況などから、訪問介護がどのような支援をすれば利用者の望む生活が送れるのかアセスメントを行います。

利用者の状況は日々変化するため、アセスメントはサービス開始前だけでなく、その後も常に必要です。

アセスメントによって利用者の状況を正確に把握することで、適切に訪問介護サービスを提供することが可能です。

例えば、サービス開始時は歩行が難しかったため訪問介護員が家事を代行していたが、アセスメントの結果で歩行状況が改善していることがわかることがあります。

その場合、本人の家事意欲を保持するためにサービスの変更が必要です。

サービス提供責任者は、サービス担当者会議などへ訪問介護サービスの担当として出席します。

サービス担当者会議とは、利用者やその家族と各サービス担当者などが一堂に集まり、ケアマネージャーが作成したケアプラン原案を確認する会議です。

訪問介護サービスの利用者は、自宅での生活を継続するために他サービスも利用していることが少なくありません。

サービス担当者の中でも、特に利用者にとって身近な専門職は、訪問介護員です。

サービス担当者会議のなかで利用者の変化を情報共有したり、思いを代弁したりすることで、それぞれの専門性を合わせたよりよい支援が可能になります。

訪問介護計画書とサービス提供手順書の作成

サービス提供責任者は、ケアマネージャーが策定したケアプランに基づいて、より細やかに利用者の状況に合わせた訪問介護の計画を立案します。

サービス開始後は月に1度程度モニタリングを実施し、作成した訪問介護計画書が現在の利用者の状態に適しているか、目標はどの程度達成されたのかを見直します。

サービス提供手順書とは、時系列でサービス開始から終了までの段取りと注意点が書かれたものです。

訪問介護員は、サービス提供手順書をもとにサービスを提供します。

訪問介護は、急な欠員などで代わりのヘルパーが手順書を頼りにサービスに入ることがあるため、常に新しい情報に更新しておく必要があります。

訪問介護員の教育

訪問介護員の教育も、サービス提供責任者の役割です。

他の訪問介護員の訪問に同行し、サービス内容や手順を実践的に教えます。

訪問介護では訪問介護員が単独でケアを実施するため、利用者の課題やサービスの狙いなどを伝え、適切にケアが行われるようマネジメントします。

また、経験の浅い職員へのフォローもサービス提供責任者の仕事です。

経験が浅い場合は、同行訪問を繰り返すことで技術を習得していきます。

1人で適切な支援ができるかどうか確認し、独り立ちの判断を下します。

他にも、利用者に変化があった場合やサービス内容に変更があった場合などは、定期的に同行訪問によるフォローが必要です。

問題発生時や欠勤が出た場合の対応も、サービス提供責任者が担っています。

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サービス管理責任者とサービス提供責任者の特徴の比較

サービス管理責任者とサービス提供責任者は、名称のほかにも似ている部分がありますが、業務の範囲が違います。

両者の特徴を比較し、自身の希望や強みと照らし合わせて、どちらの方が向いているのか考えてみましょう。

立ち位置

サービス管理責任者とサービス提供責任者は、どちらも会社員でいう中間管理職の立ち位置といえます。

現場の職員へ指示を出したり、全体のマネジメントを行ったりするリーダー的ポジションです。

両者は管理する範囲が異なり、サービス管理責任者は事業所全体を、サービス提供責任者は具体的なサービスの提供を管理し責任を持ちます。

配置される事業所や勤務場所

サービス管理責任者とサービス提供責任者は、配置される事業所や勤務場所が異なります。

サービス管理責任者が配置される施設の種類は療養介護・生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援・グループホームの6つです。

6種類の施設には、通所型・入所型・就労支援など多様なサービスが含まれます。

サービス提供責任者は、訪問介護事業所にのみ配置されます。

平均給与や年収

給与面でも両者に違いがあります。

• サービス管理責任者：年収約4,700,000円、月給388,000円
• サービス提供責任者：年収約4,300,000円、月給261,000円

　

サービス管理責任者の方が給与が高い傾向です。

必要な資格

サービス管理責任者とサービス提供責任者は必要な資格も異なります。

サービス管理責任者は、実務経験と研修の両方が資格要件となっており、取得後も5年ごとの更新研修が必要です。

必要な実務経験の年数は、基礎資格により3年から10年の幅があります。

現在の資格要件では、新卒で指定の国家資格を保持している場合、最短3年でサービス管理責任者になることができます。

無資格で介護業務に従事している場合は実務経験10年が必要ですが、社会福祉主事任用資格を保持していれば5年以上でよいなど、資格要件は複雑です。

保育士など、福祉分野と一見関係のない資格でもサービス管理責任者の資格要件に含まれる場合があります。

裾野が広い資格のため、自分に合った資格取得方法を選ぶことが可能です。

サービス提供責任者の場合、研修と実務経験は必要なく、以下のいずれかの要件を満たすことで役職に就くことができます。

• 介護福祉士
• 介護福祉士実務者研修修了者
• 旧介護職員基礎研修修了者
• 旧ホームヘルパー1級課程修了者

　

現在、介護職員基礎研修とホームヘルパー1級課程は、介護福祉士実務者研修に1本化されています。

実務経験の年数は問いませんが新卒でサービス提供責任者の職に就くことは少なく、多くは介護の現場で経験を積んだうえで任用されています。

仕事のやりがい

サービス管理責任者のやりがいは、人の成長に関われることです。

現場での直接支援から間接支援になると、より多くの利用者に関わりマネジメントを行います。

利用者のできることが増えて生き生きとした表情がみられたり、事業所職員がチーム一丸となり事業所として成長したり、サービス管理責任者だからこそのやりがいがあります。

スタッフの育成や地域との関わりなども、サービス管理責任者だからこそ携われる仕事でしょう。

サービス提供責任者は、介護が必要であっても自宅に住み続けたいという利用者の希望に沿うことができ本人やその家族から感謝される、やりがいのある仕事です。

訪問介護員と比較すると、サービス提供責任者の方が利用者との関わりが深いです。

どうすればよりよい支援ができるのか、訪問介護員の意見をまとめたり多職種と連携したりと、利用者に貢献します。

サービス提供責任者として経験を積んだ後は、介護支援専門員や介護福祉士の資格取得により、活躍の場をさらに広げることが可能です。

サービス管理責任者とサービス提供責任者の配置基準

障害福祉施設にはサービス管理責任者、訪問介護事業所にはサービス提供責任者が配置されており、いずれも法的に配置が義務付けられています。

サービス管理責任者

サービス管理責任者の主な勤務先は、障害福祉事業所です。

障害福祉事業所では、障害総合支援法に基づいて以下のような配置基準が定められています。

• 療養介護・生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援：利用者60人に対して1人
• グループホーム：利用者30人に対して1人

　

サービス提供責任者

サービス提供責任者は訪問介護事業所に勤務し、介護保険法に基づいて以下のような配置基準が定められています。

• 利用者40人につき1人以上

　

また、以下の要件を全て満たす場合は、利用者50人につき1人でよいとされています。

• 常勤のサービス提供責任者を3人以上配置
• サービス提供責任者の業務に主として従事する者を1人以上配置
• サービス提供責任者が行う業務が効率的に行われている場合

　

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サービス管理責任者とサービス提供責任者の兼務はできる？

サービス管理責任者とサービス提供責任者は、法律上は施設の種別によって兼務が可能なケースとできないケースがあります。

現実的には負担が大きいため、専任が望ましいです。それぞれ役割が異なり、別々に専門性を高める方が適切といえます。

サービス管理責任者とサービス提供責任者の違いを把握して役割を明確に

サービス管理責任者は障害福祉分野、サービス提供責任者は訪問介護分野で働く、現場のリーダー的な役割であることをご説明しました。

どちらも魅力があるため、自身の志向や将来像に合わせて、どちらが適しているのかを検討しましょう。

未経験でも十分に目指すことができる役職なので、まずは現場経験から始めて段階的に目指す道を考えましょう。

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