障害者施設でレクリエーションを行う目的

障害者施設は、身体的・知的・精神的などで障害を持つ方に対してさまざまな福祉サービスを提供する施設のことをいいます。

障害者施設は法律によって、”適宜利用者のレクリエーション行事を行うように努めなければならない”と明記されています。

レクリエーションの主な目的は以下のとおりです。

• 身体機能や認知機能の維持
• 生活を明るく豊かにする
• QOL（生活の質）の向上
• 社会性の促進

　

レクリエーションは、一般的に利用者さんの生活を明るく豊かにし、楽しいものであると考えられています。

しかし、障害者施設におけるレクリエーションにはさまざまな目的を持って行われることが少なくありません。

例えば、身体機能が低下した高齢の方や事故や病気などで障害がある方に対しては、機能回復や残存能力の維持・向上などの目的を持って行われます。

レクリエーションを通して、自立した生活ができるようにする狙いがあります。

リハビリテーションと異なる点は、訓練という意識に捉われずに楽しみながら遊び感覚で意欲的に取り組めることです。

このようにレクリエーションは、身体的にも精神的にも利用者さんに対して重要な役割を持っています。

障害者施設で行うレクリエーションの種類と得られる効果

障害者施設で行われるレクリエーションは主に、スポーツ・脳トレ・創作・リフレッシュの4種類に分類できます。

ここでは、それぞれの活動の様子や狙い、適している利用者さんなどを解説します。

スポーツ系レクリエーション

スポーツ系のレクリエーションは、障害者の日常生活に必要な動作の維持・向上の効果が期待されています。日常生活に必要な動作としては、例えば、腕を動かしたり歩いたりする筋力などがあります。

体幹の維持も障害者にとって欠かせません。車椅子生活の方は、寝たきりにならないためにも筋力維持が重要となります。

また、スポーツではありませんが、顔のストレッチを取り入れている施設もあります。口を大きく開けたり閉じたり、頬を膨らませたりするストレッチは表情筋を動かすストレッチです。

結果として、血液循環がよくなり食事の際に口を動かしやすくなる効果があります。

脳トレ系レクリエーション

脳トレ系のレクリエーションは主に高齢の障害者の方に向けて行われ、認知症の予防や改善の効果が期待できるものです。

また、脳トレ系のレクリエーションであれば身体を動かさずに行えるため、障害のある方に適しています。

創作系レクリエーション

創作系のレクリエーションは、脳トレと同様に認知症の予防が期待できます。それだけではなく、手先を動かすためリハビリの効果も期待できます。

創作活動を楽しむことができれば、利用者さんのQOLの向上にもつながり、日常生活をより豊かなものにしてくれるでしょう。

リフレッシュ系レクリエーション

リフレッシュ系のレクリエーションは、利用者さんの好きなことを行うことで日常に彩りを添え、生活の質向上にもつながります。

例えば音楽のレクリエーションでは、運動や認知機能だけでなく、感覚・視覚・聴覚などの感覚器官に刺激を与えられます。

歌や音楽に合わせて身体を動かせば、心身両面においてよい影響をもたらすでしょう。

さらに活動を通じて、ほかの利用者さんとの交流が持てることも大きな魅力の一つです。

このように、障害者施設でのレクリエーションは、利用者さんの心身の健康を支えると同時に、社会的なつながりを育むうえで欠かせない活動です。

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楽しめるレクリエーションにするコツ

レクリエーションを担当することになった場合、「失敗したらどうしよう」「楽しんでもらえなかったら……」などの不安がよぎることもあるでしょう。

しかし、レクリエーションの目的を明確にし、パラスポーツを参考にすれば充実した活動にすることができます。スタッフ同士の連携や積極的な声かけを意識して行いましょう。

準備や工夫次第でレクリエーションを盛り上げ、楽しいものにできるでしょう。

レクリエーションの目的を明確にする

レクリエーションを企画するときは、目的を明確にすることが重要です。例えば、利用者さんが何のために行っているかわからないレクリエーションでは、効果が感じにくくなります。

そこで担当スタッフが『腕を動かしやすくするリハビリ効果があります』と説明すれば、日常生活がより快適になるイメージを持ちやすくなります。

利用者さんに対して目的の説明を行うことで、レクリエーションに前向きな感情で取り組めるようになります。

スタッフにとっても何のための活動かが明確になり、仕事に対するやりがいを感じることができるでしょう。

パラスポーツを参考にする

レクリエーションの内容を考える際に書籍やインターネットなどを利用して情報収集を行う場合、アイデアの一つとしておすすめなのがパラスポーツです。

パラスポーツとは、障害のある方が楽しめるよう工夫されたスポーツの総称です。

障害の種類や程度に応じてルールや用具が用意されており、車椅子バスケットボールやボッチャ、パラ陸上などの多様な競技があります。

日本では1964年の東京パラリンピックを契機に盛んに行われるようになりました。近年は、障害者の体力の維持・向上、自立・社会参加の促進に大きく貢献しています。

スタッフのサポートを確認する

障害者がレクリエーションに取り組む際には安全性への配慮が欠かせません。危険箇所の有無を確認し、転倒や思わぬ事故を防ぐためにスタッフが適切にサポートすることが重要です。

そのため、レクリエーションを行う際は、事前にスタッフの人数や役割分担を確認し、安全性に配慮した体制を整えておきましょう。

積極的に声かけをして盛り上げる

レクリエーションでは、積極的に声かけを行いましょう。担当者が明るく「せーの！」「はい、いきますよー」などと声をかけることで場を盛り上げられるでしょう。

特に、試合やゲームなどでうまくいかなかったり負けてしまったりした方に対して、優しく声をかける配慮も必要です。

少しでもできたことを見つけてよかったところを伝えるだけでも、参加した利用者さんの気持ちに寄り添ってあげられるでしょう。

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障害者施設でレクリエーションを行うときに注意するポイント

障害者がレクリエーションを行うときには、特に気をつけたいポイントが4つあります。

• 難易度設定に注意する
• 利用者さんの安全性を確保する
• 参加を強制しない
• みんなが楽しめる時間設定にする

　

これらの注意すべきポイントを知ることで、問題なくレクリエーションに対応できるでしょう。それでは以下に一つずつ詳しく解説します。

難易度設定に注意する

利用者さんの障害の程度や種類は一人ひとり異なります。そのため、難易度の設定に注意する必要があります。

利用者さんが達成感を味わえる程度の難易度であり、簡単すぎないものがよいでしょう。ただし、全員が無理なく参加できる内容にすることが重要です。

簡単すぎるレクリエーションは、利用者さんのプライドを傷つけてしまう恐れがあります。

利用者さんの安全性を確保する

レクリエーションを行う際は、周囲の環境にも注意し、怪我をしないために利用者さんの安全性を確保するよう気をつけることが重要です。

障害によっては危険を感じにくい方もいるため、スタッフが十分に安全面に十分配慮しましょう。

危険なものが床にあると転倒して骨折することもあるため、注意が必要です。

参加を強制しない

利用者さんによっては、自分の意思を明確に伝えられず、本当は参加したくないと感じている方もいる可能性があります。

そのため、レクリエーションを行う前にはしっかりと参加の意向を確認する必要があります。

参加したくないという意思を確認した場合は強制はせず、希望する方だけがレクリエーションに参加するようにしましょう。

みんなが楽しめる時間設定にする

障害者によっては、長時間の集中力を維持するのが困難な場合があります。また、休憩時間や服薬時間を避けるなどの配慮も必要です。

障害者や高齢者は、少しの活動でも疲れやすい傾向があるため、時間設定を短めにするとみんなが楽しめるレクリエーションの時間にできるでしょう。

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障害者施設で行うレクリエーションの例

障害者施設では障害の程度や種類に応じて多様なレクリエーションが取り入れられています。

ここでは、スポーツ系・脳トレ系・創作系・リフレッシュ系の4種類に分けて、実際の現場で行われている内容を紹介します。

スポーツ系レクリエーション

スポーツ系のレクリエーションは、障害の程度に応じて以下のようにさまざまなものがあります。

• ボール体操
• 風船バレー
• 玉入れ
• ボーリング
• バスケットボール
• ダンス
• 散歩
• お花見

　

たとえ室内であっても、工夫次第で手先から全身まで、身体を動かして行えるレクリエーションがあります。

例えば、風船バレーは2人1組になってトスをするもので、うまく行えば楽しく身体を動かせるでしょう。

ペアやチームで行うレクリエーションでは、相手とのやり取りで交流を深めることができ、コミュニケーション能力の向上が期待できます。

このような点もスポーツ系レクリエーションの魅力の一つです。

脳トレ系レクリエーション

脳トレ系のレクリエーションは脳の活性化を促し、認知症の予防や改善につながる効果が期待されています。以下は脳トレ系のレクリエーションの例です。

• 計算
• 漢字クイズ
• ボードゲーム
• カードゲーム
• 間違い探し
• パズル
• 囲碁
• 将棋

　

身体を動かすのが難しい方だけでなく、幅広い年代の利用者さんが楽しめるレクリエーションです。

創作系レクリエーション

創作系のレクリエーションは、単に日常生活のサポートをするだけでなく、利用者さんのQOL向上に欠かせないものです。実際の現場で行われているレクリエーションは以下のとおりです。

• 塗り絵
• 折り紙
• 工作
• 編み物
• 絵手紙
• 料理

　

創作系のレクリエーションで多様なことを学ぶのも、障害者にとっては大切な社会参加の一歩となります。

制作した作品を展示したり、プレゼントしたりすることもできます。心身の健康に大きく貢献するレクリエーションの一つです。

リフレッシュ系レクリエーション

利用者さんはリフレッシュ系のレクリエーションに参加することで、日頃のストレスを解消・緩和できるでしょう。よく行われているレクリエーションには以下のようなものがあります。

• 音楽鑑賞
• 楽器演奏
• 合唱
• 絵画の鑑賞
• マッサージ
• アロマテラピー

　

特に重度の障害のある方は、身体を動かさずに取り組めるものもあるため、リフレッシュ系のレクリエーションが向いています。

ただし、アロマテラピーやマッサージなどのレクリエーションは個人の好みもあるため強制せずに参加の意思を確認して、無理に行わないように気をつけましょう。

障害者施設で行われるレクリエーションは、業界未経験の方でも無理なく取り組めるものがあります。

しかし、職場に支援制度や教育制度が整っているかどうか不安に思う方もいるでしょう。

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障害者施設でのレクリエーションを行うまでの流れ

レクリエーションはどのように準備・実施すればよいのかイメージが湧かずに不安を感じる担当者の方もいるでしょう。

レクリエーションの企画から実施までの大まかな流れは以下のとおりです。

• 企画・段取り
• スタッフ間の連携やサポートの確認
• 利用者さんに合わせた進行を考える

　

企画の段階では、一人ひとりの利用者さんの状況の把握が大切です。

家族も参加するのか、利用者さんだけの参加なのか、どのような内容のレクリエーションに参加したいかなどのアンケートを事前にとることも有効な方法でしょう。

また、レクリエーションの目的を企画の段階で明確にすることにより、効果が期待できる行事になります。全員が参加できる内容にすることも重要です。

次に、誰もが楽しめるように内容を工夫する必要があります。スタッフが協力しながらさまざまなサポートが行き届くように準備を行いましょう。

進行は利用者さんに合わせ、必要に応じてパターンを複数準備しておくと、当日に慌てずに済みます。

障害の程度によっては、あらかじめ決めておいたルールをゆるくしたり、遊び方を簡素化したりするなど臨機応変に対応することも求められるでしょう。

レクリエーションは担当者一人で行うものではないため、スタッフ全員がコミュニケーションを取りながら進めることが重要です。

レクリエーションが豊富な明るい職場で働きたいなら

障害者施設で実施されるレクリエーションには、身体機能や認知機能の維持・向上や生活の質向上などの目的や効果があることがわかりました。

レクリエーションに力を入れている職場では、職員も明るく利用者さんとの交流が豊かである傾向があります。

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