精神保健福祉士の概要

精神保健福祉士は、精神科の患者さんや精神障害者の支援にあたるための資格で、精神保健福祉法に基づく国家資格です。精神的な病や障害を抱えている方が社会生活や日常生活を送れるよう支援するために、医療や障害福祉、行政の分野で活躍しています。

精神保健福祉士の資格を取得するためには、複数のルートがあります。福祉系の4年制大学を卒業している場合は、そのまま精神保健福祉士の試験を受験可能です。しかし、一般の4年制大学を卒業した場合は、養成施設で1年以上の研修を受ける必要があります。

その他にも、福祉系の3年制大学を卒業した場合や2年制の短大や専門学校を卒業した場合は、数年の実務経験が受験要件になります。ご自身の学歴やキャリアに合った方法で資格取得を目指すとよいでしょう。

精神保健福祉士の仕事内容

精神保健福祉士の仕事内容は、主に医療分野、障害福祉分野、行政分野に分かれています。同じ精神保健福祉士でも、働く分野ごとに仕事も少しずつ異なるため、分野ごとの仕事内容を解説します。

医療分野では、精神障害者の支援が主な仕事です。精神障害者が医療機関を受診する際や入退院時の支援を行います。退院後、スムーズに社会生活に復帰できるようサポートする場合もあるでしょう。

障害福祉分野では、訓練施設や就労支援施設での仕事が挙げられます。施設の目的や利用者の用途によって仕事内容は変わるものの、訓練施設では日常生活の基本動作をサポートしたり、就労支援施設であれば就労に向けたサポートしたりといった業務が考えられるでしょう。

行政分野であれば、直接のサポートではなく仕組みづくりが主な仕事になります。就労支援事業や地域の支援活動を計画したり、地域住民への啓蒙活動をしたりといった業務が考えられます。

支援を必要としている方と直接関わりたい場合は、医療分野や障害福祉分野への就職がおすすめです。一方で、支援を必要としている方に向けた仕組みづくりなど広い視点でサポートしたい場合は、行政分野への就職を検討するとよいでしょう。

カウンセラーとの違い

精神保健福祉士とカウンセラーは、どちらも心や精神の問題を抱える方に関わる職業です。共通点もある一方で、仕事内容や働き方には違いがあります。

まず、精神保健福祉士が国家資格であるのに対し、カウンセラーの資格には民間資格も多く、国家資格を所持していなくても就労が可能です。

仕事内容も異なり、精神保健福祉士が精神疾患を持つ患者さんの社会復帰を目的とする支援を行うのに対し、カウンセラーは心の悩みに関するカウンセリングが主な仕事です。

そのため、働く場所も異なります。精神保健福祉士が医療機関や福祉施設、行政機関で働くのに対し、カウンセラーは医療機関だけでなく学校や相談所、企業で働きます。

活躍できる職場

精神保健福祉士は、医療福祉や障害福祉、行政の分野で活躍できるでしょう。具体的には、医療機関や福祉施設、市役所などの行政機関が挙げられます。

実際に精神保健福祉士として就労している方のうち、障害福祉分野で働いている方が24.4%、医療分野が23.3%の順で多くなっています。次いで、高齢者福祉分野が15.2%、行政が10.8%です。

精神保健福祉士の平均給与

精神保健福祉士の平均年収は4,040,000円です。障害福祉分野の職員の賞与込み月給が295,000円で、年収に換算した場合3,540,000円であることを考慮すると、やや高い年収といえるでしょう。

精神保健福祉士の給与は男女で差があり、男性の平均年収が4,630,000円であるのに対し、女性の平均年収は3,770,000円です。

精神保健福祉士の将来性

精神保健福祉士は、これからさらに必要性が高まるとされています。特に、精神保健福祉士が担う役割は徐々に拡大を続けています。

これまでは精神障害者に対する援助が主だったのに対し、精神障害によって日常生活や社会生活に不自由を感じている方や、メンタルヘルスケアが必要な方への支援も行われるようになりました。

活躍の場も広がりつつあり、教育や司法、産業での活躍も期待されています。そのため、精神保健福祉士を取得する際の養成カリキュラムを変更する動きがあります。変更後のカリキュラムには、ソーシャルワーク技術や就労支援、刑事司法などの科目が追加される予定です。

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認定精神保健福祉士とは

認定精神保健福祉士は、精神保健福祉士の上位に位置する資格です。日本精神保健福祉士協会が認定する資格で、国家資格ではありません。

認定精神保健福祉士になるためには、精神保健福祉士になった後で日本精神保健福祉士協会となり、研修を受ける必要があります。研修は短期間で受講できるわけではなく、数回のステップに分かれているため、時間をかけて取得する必要のある資格です。

認定精神保健福祉士を取得するメリット

認定精神保健福祉士は取得に時間がかかる資格です。しかし、そのぶん資格を取得するメリットも大きいです。主なメリットとしては以下の4点が挙げられるでしょう。

• 自身のスキルアップにつながる
• 給与や待遇の改善が見込める
• 転職の際にアピールできる
• 知識やスキルを支援に活かせる

各メリットの詳細について解説していきます。

自身のスキルアップにつながる

認定精神保健福祉士を取得する大きなメリットとして、スキルアップにつながることが挙げられます。

資格取得には生涯研修制度の基幹研修の受講が必須です。

日々の業務に加え、研修の受講やそれに伴う勉強を行うことで、実務に活かせる知識が増やせるでしょう。また、認定精神保健福祉士を取得する途中で研修認定精神保健福祉士を取得すると、認定成年後見人や認定スーパーバイザーなどの資格取得を目指すことも可能です。

認定精神保健福祉士を目指すことはもちろん、キャリアの幅が広がる点もメリットといえるでしょう。

給与や待遇の改善が見込める

認定精神保健福祉士を取得することで給与アップや資格手当の対象となる可能性があります。

資格取得前に資格手当の支給があるか確認するのもよいかもしれません。転職を希望している場合は、転職先に資格手当があるかの確認も行いましょう。

また、給与に関しては、福祉施設や医療機関よりも行政機関の方が高い傾向にあります。公務員と同等の扱いになるため、勤務年数に応じた昇給や手当も充実していて安定した収入を得られるでしょう。

転職の際にアピールできる

認定精神保健福祉士になると、転職時にアピールしやすくなります。資格取得によって知識を得ているのと同時に、一定程度の実務経験を証明可能だからです。

また、認定精神保健福祉士の取得には長期間の学習が必要となります。現時点でのスキルだけでなく、学び続ける姿勢や日本精神保健福祉士協会の理念を理解していることもアピールポイントになるでしょう。

知識やスキルを支援に活かせる

精神保健福祉士の仕事では、治療方法や支援方法などの情報がアップデートされることもあります。認定精神保健福祉士は、5年に1度の更新研修を受講する必要があります。

認定精神保健福祉士を取得することで、より高度な知識が学べるだけでなく、時代にあった情報を取り入れながら業務に活かすことが可能です。

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認定精神保健福祉士を取得する方法

認定精神保健福祉士の取得には、いくつかのステップがあるものの、主に研修の受講によって資格取得が可能です。また、認定精神保健福祉士を取得するためには、日本精神保健福祉士協会の構成員である必要があります。

認定精神保健福祉士の取得に必要なステップは主に以下の4点です。

• 精神保健福祉士の資格を取得する
• 日本精神保健福祉士協会に入会する
• 生涯研修制度の基幹研修を受ける
• 生涯研修制度の更新研修を受ける

各ステップの詳細について解説していきます。

精神保健福祉士の資格を取得する

認定精神保健福祉士は、精神保健福祉士の上位に位置する資格にあたるため、精神保健福祉士の資格を取得している必要があります。

精神保健福祉士の資格を所持していない方は、実務経験もしくは養成施設での研修を受けて試験に合格することを目標にするとよいでしょう。福祉系の4年制大学を卒業している方であれば、実務経験がなくても試験を受験できます。

日本精神保健福祉士協会に入会する

認定精神保健福祉士になるためには、日本精神保健福祉士協会の構成員である必要があります。日本精神保健福祉士協会が開催する生涯研修制度の課題別研修も、基本的な受講要件は協会の構成員であるため、精神保健福祉士としてキャリアアップしたい方は登録しておくとよいでしょう。

生涯研修制度の基幹研修を受ける

生涯研修制度の基礎研修と基幹研修を修了する必要があります。基礎研修はハンドブックを用いた自己学習です。その後、基幹研修1〜3を受講することで研修認定精神保健福祉士の資格を取得できます。

研修認定精神保健福祉士を取得することで、生涯研修制度の養成研修を受講できるようになります。養成研修を修了すると、認定成年後見人や認定スーパーバイザーの資格を取得可能なため、キャリアの幅も広がるでしょう。

生涯研修制度の更新研修を受ける

研修認定精神保健福祉士を取得したら、更新研修の受講で認定精神保健福祉士の資格を取得可能です。更新研修は一度受講すればよいものではなく、5年ごとの資格更新時にも受講する必要があります。

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認定精神保健福祉士になるまでにかかる期間

精神保健福祉士から認定精神保健福祉士を取得するためには、10年程度を見込んでおく必要があります。特に、基幹研修1〜3の受講に時間がかかるためです。

推奨期間ではありますが、基幹研修1は入会から3年度未満とされ、基幹研修2は入会から3年度以上かつ基幹研修1の修了から3年度未満とされています。また、基幹研修3は基幹研修を修了してから3年度未満に修了することが推奨されています。

認定精神保健福祉士は、取得までにかなりの時間を要するといえるでしょう。そのため、精神保健福祉士を目指す段階で、理想のキャリアを考えておく必要があります。

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スキルアップに役立つ生涯研修制度

認定精神保健福祉士を取得するためには、生涯研修制度のうち基幹研修のみが必須となっています。しかし、生涯研修制度には、基幹研修のほかに養成研修と課題別研修もあります。

精神保健福祉士のような医療従事者は、資格取得時の知識にとどまらず、生涯に渡って学習し続ける必要があるとの考えに基づいています。

認定精神保健福祉士の取得と直接関わりのない研修ですが、精神保健福祉士や認定精神保健福祉士としてスキルアップするために受講してもよいかもしれません。

養成研修

特定分野のスペシャリストを養成する目的で開催される研修です。主に基幹研修を修了した方を対象としています。

認定成年後見人や認定スーパーバイザーの資格取得には、養成研修の受講が必要です。

研修内容によっては実務年数などの受講要件が設定されている場合があります。受講を希望する場合は、受講要項をあらかじめ確認しておくとよいでしょう。

課題別研修

課題別研修は基幹研修を修了していなくても受講が可能です。社会の情勢にあわせたテーマをもとに開催されます。受講要件もテーマによって異なります。

基本的には、日本精神保健福祉士協会の構成員向けの研修ですが、研修の内容によっては非構成員も受講可能です。

認定精神保健福祉士を取得してスキルアップを目指そう

精神保健福祉士としてスキルアップを目指す場合は、認定精神保健福祉士の取得がおすすめです。取得までには実務と並行して研修を受講する必要があり、資格取得は簡単なものではないかもしれません。

しかし、認定精神保健福祉士を取得することで業務の幅が広がったり、待遇がよくなったりとメリットもたくさんあります。今後どのようなキャリアを歩みたいかを考えながら、検討してみてください。

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