実務者研修とは？

実務者研修は、実践的な介護知識や技術を習得し、より質の高い介護サービスを提供することを目的としています。　

3年以上の経験を積み実務者研修を修了すれば、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。また、医療ケアの知識や技術が習得でき、キャリアアップによる待遇改善も望めるでしょう

受講すれば多くのメリットがある実務者研修
に関して、学ぶ内容や意義、受講の形式などを解説していきます。

実務者研修で学ぶ内容

実務者研修では、将来介護福祉士として働く際に必要な、介護保険制度と関連する法律を学びます。

複雑で法律的な表現も多く、なじみにくさを感じる部分です。そうした点には対策が考えられ、介護の現場での実態と法制度との結びつきが学びやすいように工夫されています。

また、喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアの実技学習が必修科目です。

実習では、医療職の指導・監視のもとで吸引などを行います。多くの研修機関ではシミュレーターや動画を活用し、段階的に無理なく技術を習得できる仕組みです。

さらに、介護全般の実務も学び、一定の習得後には実技試験で確認が行われます。移乗介助、着脱介助、オムツ交換など、代表的な介護を実際に行う試験です。

不安や緊張を伴いますが、適切な指導と十分な練習によって克服できます。

介護福祉士受験に必須となった背景

旧来の介護福祉士の業務は、入浴・排せつ・食事などの身体的介護にとどまっていました。ところが、介護保険制度の施行や認知症高齢者の増加、成年後見制度の創設などにより、介護をとりまく社会情勢は大きく変化しました。

さらに社会福祉士及び介護福祉士法が改正されました。その結果、介護福祉士の業務は身体的介護にとどまらず、心身の状況に応じた介護が求められるようになりました。

そして、「求められる介護福祉士像」も制定されました。これを実現するため資格取得方法も改められ、一定のプロセスを経て国家試験を受験して取得する方法に統一されました。

養成施設の卒業だけで資格が取得できた旧制度には国家試験が加えられ、実務3年で国家試験が受験できた旧制度には実務者研修が加わりました。現在の実務者研修があるのは、こうした背景が主な理由です。

研修の受講形式

受講形式は、大きく分けて通学制と通信制があります。通学の場合は毎日通って座学と実技を学びますが、実際にはこのタイプの受講者は多くありません。

通学・通信とも、進行に応じて科目ごとの試験やレポート提出が行われます。試験は理解度の確認を目的としており、成績が悪い場合は補講や追試を繰り返して合格レベルに到達させます。
多くの方が選ぶ通信制は座学を自宅で受講し、実技は通学で受ける方法でgpiす。実技の講習日数は施設によって異なりますが、おおむね7～10日間程度が一般的なようです。

仕事の都合などで実技講習が受講できなくなる場合もありますが、その際に柔軟に振替対応する制度の施設を選びましょう。

資格を取って新しい仕事にチャレンジしたいと考えても、「何から始めればいいのかわからない」と悩み、なかなか決断できない方も多いでしょう。

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実務者研修は難しい？修了の難易度について

実務者研修は科目数も講習時間も相当なボリュームです。そして科目を見ると、人間の尊厳と自立・社会の理解・介護の基本・コミュニケーション技術など、難しそうなものが並びます。

このように難しそうな内容を働きながら学べるのだろうかと、多くの方は不安に思うでしょう。実際の難易度はどうなのか、以下で詳しく解説します。
　

カリキュラムのボリューム

実務者研修のカリキュラムは20科目に及び、6か月以上、時間にして450時間かけて学ぶとされています。

ただし、これは資格を一切持っていない場合です。介護職員初任者研修や訪問介護員研修など何らかの資格があれば、それに応じて科目と時間が減免されます。

減免がなく、すべての科目を受講することになっても、心配する必要はありません。多くの方が選択する通信教育では、自分の都合のよい時間を見つけて課題をこなせるはずです。

普段から計画的に受講を進めれば、無理なくこなせる分量の課題です。

医療的ケアの内容が難しいと言われる理由

受講科目のうち医療的ケアは特に難しいとされています。医療的ケアには合計50時間が割り当てられており、その中にはスクーリングで行う喀痰吸引や経管栄養の実地研修も含まれます。

難しいとされるのはこの部分で、手順を誤ると吸引できないうえ、患者さんのお口の中を傷付けることになりかねません。

この喀痰吸引を行うには専門的な知識や技術が要求されるため、難しいのは仕方のないことでしょう。しかし実務者研修で学ぶ吸引法は、介護初心者でも安全に行える技術のため問題はおこりません。

教えられたとおりに器具を操作すれば、失敗せずに実施でき、研修も修了できます。

働きながら受講する大変さ

多くの方は働きながら受講できる通信教育を選択するでしょう。その場合は現在の仕事を続けるなかで、時間を捻出して課題をこなす必要があります。

とはいえ、余裕のある仕事は少なく、学習時間の確保が大きな悩みになるはずです。実際には夜間や休日を利用するのが現実的です。

あらかじめ計画を立てて、少しずつでも毎日の学習時間を確保しましょう。計画性がないと途中で挫折する可能性が高いです。

また、スクーリング対策も欠かせません。休日コースが選択できれば負担が少なくできます。夜間コースでは短時間で終わる分、出席回数が増えるというデメリットがあります。

働いていると突発的な業務が避けられません。そのため、振替制度があるスクールを選んでおくのも大切です。

働きながら資格を取得するのは決して簡単なことではありません。特に介護業界が未経験の方にとっては、転職そのものにも不安を感じることが多いでしょう。

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実務者研修に試験はある？修了基準を解説

実務者研修を修了すれば介護福祉士の受験資格が付与されますが、受講するだけでは修了と認められません。

所定の内容を含む研修を受けた場合、研修実施者の判断によって修了と認められます。その判断の根拠となるのが、受講者が提出する試験やレポートです。加えて、実技の評価方法もあります。

筆記試験やレポート課題の内容

実務者研修では研修科目の理解度を確認するために、科目ごとにレポートの提出を求めたり、筆記試験を実施したりします。

レポートや筆記試験の内容は研修施設によって異なります。実施は義務ではないため省略する施設もありますが、大部分の施設で実施されています。

形式はQ&Aの記述式や選択式などがあり、ほとんどが選択式で答えやすい内容です。出題はカリキュラムの範囲内なので、きちんと受講していれば答えられます。
また、研修修了後に修了試験を実施する施設もあります。これも多くは選択式で、難易度は高くありません。

実技演習の評価方法

実務者研修の実技演習は義務ではないため、施設によっては実施しない場合もあります。実施する場合はスクーリングで行われます。

実技の内容は施設によって異なります。一例としては、移乗介助・オムツ交換・食事介助などの動作から選択され、別室で一人ずつ評価を受けます。

評価のポイントは以下のとおりです。

• 安全性と衛生面への配慮
• 適切な声かけ
• 介助技術の基本の理解

　

こうしたポイントを理解したうえで介護ができているかが、評価の対象とされます。この試験も、問題があれば何度でもやり直しが可能です。

不合格になるケースはあるのか

実務者研修は研修であって選抜試験ではないため、不合格は基本的にありません。ただし、施設によっては修了試験があり、その試験で一定レベルに達しない場合は区分上不合格となります。

しかし、研修施設はすぐに対応を行い、合格レベルに達するよう補講や追試を実施して、不合格者を出さない仕組みを整えています。

それでも救えない場合があり、例えば普段からレポートを提出しない方やスクーリングに出席しない方は修了と認められません。全カリキュラムの履修と全スクーリングへの出席が研修修了の条件だからです。

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実務者研修の合格率は？

実務者研修を休まずすべて受講した方は、ほぼ全員が合格して修了が認められます。

例外的に修了が認められない場合もありますが、合格率が高い実務者研修について、もう少し詳しく見ていきましょう。

修了率はほぼ100%と言われる理由

実務者研修は介護福祉士の受験資格を得るのが目的です。つまり、介護福祉士になれる知識や技術を身につけて送り出す研修です。学力の低い方を落とす目的ではありません。

そのため、研修を受講した方のほとんどが修了と認定されるのは当然です。認定が難しい場合でも、不合格にして終わるのではなく、講習を追加して合格レベルに引き上げます。

実務者研修はこのような目的がある研修なので、施設は修了率を上げようと努力します。修了できない方を多く出せばその研修施設の評価も下がるためです。

途中で挫折する人がいる原因

受講者の多くが修了できる実務者研修の内容は難しくはありませんが、修了自体は大変です。20科目を450時間、約6ヶ月にわたって学習しなければ修了できません。

学習環境の多くは通信制とスクーリングの組み合わせで、学習の進行は自己管理が基本です。何も資格のない受講者の場合、半年もの間モチベーションを維持するのは大変なため、挫折する方も出てきます。

また、仕事をしていたり育児中などの方はそちらに時間を取られます。履修科目の学習や課題のレポートに割く時間が不足し、苦慮するうちに挫折してしまう事例も少なくありません。

実務者研修をスムーズに修了するためのコツ

実務者研修の難易度は高くないとされますが、履修科目が多く研修期間も長いため、修了できるか不安になる方もいるでしょう。

研修をスムーズに進め、修了に到達するにはどうすればよいか、いくつか参考になる方法を紹介しましょう。

学習計画を立ててコツコツ進める

研修期間の目安が長くて半年もかかるため、やみくもに進めても挫折する可能性が高くなります。そうならないために大切なのは、計画を立てそのとおりに着実に進むことです。

まずは課題の全体量を把握します。そのうえでスクーリングの日程を確認し、月ごと・週ごとにスケジュールを決めていきます。急いだり詰め込みすぎたりせず、現実的な計画を心がけましょう。

学習は1科目ずつ取り組むことが大切です。その方が集中でき、達成感も得られ、挫折を防ぐのに有効です。また、進捗の記録は必須で、状況を可視化でき、遅れの調整もしやすくなります。

通信学習とスクーリングのバランス

実務者研修の多くは、自宅で座学を学ぶ通信学習と、実技指導や介護課程Ⅲ・医療的ケアを施設で学ぶスクーリングで構成されています。

通信学習は自宅で受講できるため負担は少ない一方、スクーリングは慣れない施設に通い緊張を伴う実技指導を受けるため、負担が大きくなります。また、日程的にも日常生活に影響が及び、負担のバランスが崩れがちです。

スクーリングが土日に設定されていたり、日程を変更できる振替制度がある施設を選べば、その影響を軽減できます。

さらに、地理的に通いやすい施設を選ぶことで負担を減らし、バランスの取れた研修につなげることができます。

仲間や講師に質問・相談する大切さ

実務者研修の大半は、自宅での通信学習が占められます。そのような環境で疑問点を放置すれば、基準点に満たないレポートになったり提出できなかったりして、修了できない可能性があります。

こうした事態を避けるためには、講師やスタッフとすぐに連絡が取れ、わからない点を自由に質問できる仕組みが必要です。受講前に、それが可能かどうかを必ず確認しておきましょう。

また、スクーリングでは同期の受講仲間と対面でのコミュニケーションが取れます。同じ目標を持つ仲間としての情報交換ができる貴重な機会なので、質問や相談をして積極的に交流を深めましょう。

実務者研修は長期間に及ぶため、研修に集中していると気分が重くなってしまうこともあります。そんなときには、研修修了後や資格取得後のキャリアを思い描きながら、気持ちをリフレッシュすることが大切です。

ハッシュタグ転職介護は、福祉・介護業界に特化した転職支援サービスです。資格取得支援制度もあり、研修修了後や資格取得後の進路相談では、専門のアドバイザーがあなたに合った介護求人やキャリアプランを丁寧にアドバイスします。

研修疲れを感じている方は、ぜひハッシュタグ転職介護の無料相談をご利用ください。未経験や無資格の方でも安心感を持って働ける職場について知ることで、研修への意欲もきっと取り戻せるはずです。

実務者研修を修了すると得られるメリット

実務者研修の内容は、20科目・450時間にわたる膨大な介護知識と技術が盛り込まれています。

習得には大きな労力と忍耐、そして時間を要します。そうした負担を乗り越えて得られる修了認定には、どのようなメリットがあるのかを紹介しましょう。

介護福祉士国家試験の受験資格を得られる

実務者研修の受講は、介護福祉士国家試験を受けるための必須要件です。3年以上の実務経験に加えて実務者研修を修了すれば、介護福祉士の国家試験受験資格が得られます。

この講座を受講する方の多くが、このメリットを得ることを目的としているでしょう。修了後はあらためて国家試験の準備に入り、年に1回の国家試験に臨むことになります。

試験に合格すれば介護福祉士になります。介護の職場ではリーダーとしての業務を任されるようになり、収入面でも向上が期待できます。

サービス提供責任者として勤務可能

実務者研修を修了すれば、訪問介護事業所でサービス提供責任者として勤務できます。主な仕事は訪問介護計画の立案や、ヘルパーへの指示・指導などです。

ケアマネジャーや医療関係者と連携しながら、介護現場のヘルパーによる利用者へのサービスを調整するコーディネーター的な役割を担う仕事です。

訪問介護事業所には配置が義務付けられており、訪問介護サービスの品質を維持するうえで必要不可欠な存在です。

実務者研修の対策を相談しよう

実務者研修はかなりボリュームがあり、一人で長期間受講したりスクーリングに出向くのは不安に思う方もいるかもしれません。仕事と受講の両立も心配です。

そうした不安を抱えたまま受講すると、モチベーションが低下し、挫折のリスクが高まります。不安なときは一人で悩まず、専門家に相談するのが得策です。

研修施設のスタッフや講師、あるいは転職支援サービスでも相談に乗ってもらえるので、積極的に相談すれば適切な助言によって前向きな気持ちに切り替わるでしょう。

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