介護福祉士実務者研修とは？

介護福祉士実務者研修は国家資格の介護福祉士の質を高めるために導入された研修制度です。介護業界でのキャリアパス形成において、介護福祉士を目指すための重要な研修として位置づけられています。

高齢化が進む社会では、世帯構造の変化に対応しながら、質の高い介護サービスを継続的に提供するための人材確保とスキルアップを目的としています。

研修の意義は、幅広い利用者に対して基本的な介護のスキルを提供できることが目的です。実務経験だけではなく介護福祉士の知識や技術を学ぶ必要があります。

介護福祉士国家試験に必須の資格要件

介護福祉士国家試験の資格取得方法は一元化されており、3つのルートで受験できるようになっています。詳しく見ていきましょう。

• 実務経験ルート：3年以上の実務経験・実務者研修修了
• 養成施設ルート：介護福祉養成施設（専門学校など）の卒業
• 福祉系高校ルート：福祉に関する学科やコースがある高校の卒業

　

実務経験ルートでは450時間の実務者研修の科目の履修が必要とされる一方、過去に特定の研修を修了している方は、研修の科目が免除される制度があります。

免除になる主な研修と免除後の実務者研修受講時間は以下のとおりです。

• 介護職員初任者研修：320時間
• 訪問介護員養成研修：1級（95時間）、2級（320時間）、3級（420時間）
• 介護職員基礎研修：50時間
• 認知症介護実践者研修、喀痰吸引研修：該当する科目がすべて免除

　

実務者研修に課せられるカリキュラムの450時間をすべて通信学習だけで修了することはできません。通学が必要な介護過程Ⅲと医療的ケアの科目があります。

上記の科目を履修すれば、それ以外は通信学習で資格取得が可能です。

実務者研修で学ぶ内容

実務者研修は、さまざまな利用者に対応できる介護スキルを実践的に習得することを目的としており、カリキュラムは幅広い内容で構成されています。

主な研修内容と科目を紹介します。

• 人間と社会の理解：尊厳と自立・社会の理解Ⅰ・Ⅱ
• 介護の基本的な知識と技術：
  介護の基本Ⅰ・Ⅱ、コミュニケーション技術、生活支援技術Ⅰ・Ⅱ
• 心身の状態の知識：
  発達と老化の理解Ⅰ・Ⅱ、認知症の理解Ⅰ・Ⅱ、障害の理解Ⅰ・Ⅱ、
  こころとからだのしくみⅠ・Ⅱ
• 実践的な介護過程の展開：介護過程Ⅰ・Ⅱ

　

上記のカリキュラムは、働きながらでも通信教育を活用すれば受講が可能ですが、介護過程Ⅲと医療的ケアは通学による対面授業が必須です。

介護業界で資格を取得するには、それぞれの資格ごとに条件が異なります。
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実務者研修は通信だけで修了できる？

前述でお伝えしたとおり、実務者研修は通信学習だけでは修了できません。実務者研修を修了するため、2007年に法令で研修時間が600時間から450時間に改正されました。

研修時間の見直しの背景には、長時間の研修に負担を感じる方が少なくありませんでした。

今回の改正は、働きながらでも受講しやすい通信教育の活用や、身近な地域での研修環境の整備とほかの資格の研修を活用することを目的としています。内容を詳しく見ていきましょう。

通信（自宅学習）の範囲

厚生労働省の定めたガイドラインによって研修カリキュラムは20科目で450時間となっており、通信教育で学べる範囲は19科目で405時間になります。

通信教育の範囲と時間数は以下のとおりです。

• 人間の尊厳と自立：5時間
• 社会の理解Ⅰ：5時間
• 社会の理解Ⅱ：30時間
• 介護の基本Ⅰ：10時間
• 介護の基本Ⅱ：20時間
• コミュニケーション技術：20時間
• 生活支援技術Ⅰ：20時間
• 生活支援技術Ⅱ：30時間
• 介護過程Ⅰ：20時間
• 介護過程Ⅱ：25時間
• 発達と老化の理解Ⅰ：10時間
• 発達と老化の理解Ⅱ：20時間
• 認知症の理解Ⅰ：10時間
• 認知症の理解Ⅱ：20時間
• 障がいの理解Ⅰ：10時間
• 障がいの理解Ⅱ：20時間
• こころとからだのしくみⅠ：20時間
• こころとからだのしくみⅡ：60時間
• 医療的ケア：50時間

　

なお、医療的ケアは50時間とは別に通学し演習を修了しなければなりません。

通学（スクーリング）が必須となる部分

前述のとおり、通信教育だけでは修了が認められない実務者研修は2科目のみ通学（面接授業）が必須になります。通学が必須の科目の範囲と時間数は以下のとおりです。

• 介護過程Ⅲ：45時間
• 医療ケア（演習）：12～16時間程度

　

2015年の介護保険法改正により、喀痰吸引などの医療ケア教育が必要とされ、演習が義務化されました。

完全通信では修了できない理由

介護福祉士実務者研修は、通信教育のみで修了できず、一部の科目では通学による面接授業が義務付けられています。

こうした仕組みは専門性と安全性が特に求められる実践的な知識と技術をしっかり習得してもらうためであり、実践力の習得と技術評価、特に安全性の高い医療的ケアの確保のためです。

ハッシュタグ転職介護は、医療・介護業界に特化した転職支援企業として、専門のアドバイザーが人生のキャリアパートナーとして長期的に寄り添います。

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通信講座のメリット

実務者研修の必須修了時間は405時間と、かなり膨大です。仕事や家庭生活を送りながら講座の時間を確保し、学習を進めていくのは大きな負担となります。

そこで役に立つのが通信講座です。自分のペースで学習が進められるため、スケジュール調整がしやすく、無理なく修了を目指せる点が大きなメリットです。

詳しくメリットを見ていきましょう。

働きながら学べる

介護の仕事場でも働きながら通信講座を利用すれば、自宅や職場の休憩時間や休日など、自分の生活リズムに合わせて学習を進めることが可能です。

通学のための移動時間も不要で働きながらでも効率的に学べる点は大きな魅力です。忙しい社会人にとって、スマートフォン対応の教材を提供するスクールもあり、通信講座は資格取得を現実的にする有効な手段です。

自分のペースで進められる

通信講座の大きな魅力は、自分のペースで学習を進められることです。仕事や家事、育児などで忙しい日々を送っていても空いた時間を活用して学べるため、無理なく継続できます。

理解が不十分な部分は繰り返し学習ができ、逆に得意な内容は効率的に進められるので、自分の状況や理解度に合わせて学び方を自由に選ぶことが可能です。

選択肢が豊富にあるため、実務者研修を最後までやり遂げる大きな支えとなります。

費用が安い

通信講座の大きなメリットは、費用が安いことです。通学制の講座に比べて教室の維持費や交通費がかからないため、受講料が抑えられている場合が少なくありません。

また、自宅で学習できることで移動にかかる時間や交通費の負担もなく、経済的にも負担を抑えて学ぶことができます。

資格取得には少なからず費用がかかりますが、通信講座を選ぶことで負担を軽減し、安心感をもって学習を続けられるのも魅力です。

通信講座の注意点・デメリット

通信講座にはメリットばかりでなく、デメリットや注意点も存在します。例えば、学習スケジュール管理やモチベーションの維持を自分自身で行う必要があります。

サポート体制が十分でない講座を選んでしまうと、疑問点を解決できずに挫折してしまう可能性もあるでしょう。

「ほんとうに自分に合っているのか？」と不安を感じる方も少なくありません。詳しく注意点とデメリットを見ていきましょう。

通学日程の調整が必要

通信講座で自由に自分のペースで自宅で学習できますが、一部の科目では通学が必須です。そのため、仕事や家庭の予定にあわせて通学日程を調整しなければならず、想像以上に調整が負担になることがあります。

特に仕事のシフトが不規則な方や家庭の都合で時間に融通が利きにくい方にとって、日程調整が通信講座の大きなデメリットとなる場合があります。

自己管理が難しい

通信講座の大きなデメリットは、自己管理の難しさです。通学制と異なり、決まった時間に授業があるわけではないため、学習スケジュールを自分で組み立てて、計画的に進める必要があります。

仕事や家事、育児と両立しながら学習を進めるなかで、疲れて学習を後回しにしてしまったり、未学習の教材がどんどん溜まってしまったりするケースも少なくありません。

通信講座では強い意志と継続力が求められる点も、避けられないデメリットです。

実技や演習は対面でしか学べない

実務者研修の修了には実技や演習が必須であり、通信講座だけでは修了できません。介護技術や医療的ケアは安全性と正確性が求められるため、通学日を設けて講師から直接指導を受ける必要があります。

このため、通信講座だけで完結できず、通学による対面授業が必須となります。忙しい社会人や子育て中の方にとっては、日程調整や通学の負担が避けられない点がデメリットとなるでしょう。

ハッシュタグ転職介護では、介護業界での転職やキャリアアップを目指す方を、専任の担当者が一気通貫型でサポートしています。選考対策から内定まで、さらに入社後のフォローに至るまで、一人の担当者が継続的に伴走するため、安心感を持ってキャリア形成に取り組むことができます。

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また、キャリアアップに欠かせない資格取得に関する不安や疑問についても、専門のアドバイザーが丁寧に対応します。
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実務者研修を取る資格

介護福祉士実務者研修は、介護業界では唯一の国家資格である介護福祉士の受験資格を取得するために必要な研修です。介護分野でキャリアを築くうえで欠かせない資格として位置づけられています。

将来を見据えて介護業界で働き続けたい方は、国家資格の介護福祉士を目指し、実務者研修を通じてキャリアアップを図りましょう。

より詳しく受講資格や申し込み方法などを見ていきましょう。

受講資格と申し込み方法

実務者研修の受講には、特定の学歴や実務経験の要件は必要ありません。介護業界未経験の方でも誰でも受講可能です。

申し込み方法は各研修スクールのWebサイトや郵送、スクールの窓口で行えます。必要な申し込み書類はスクールごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。

介護福祉士試験を受験するために実務者研修を修了する場合は、試験日程に間に合うように計画的な受講が重要です。

また、実務者研修には一部通学が必須の科目があるため、通信講座やスクールごとの日程をしっかりと確認する必要があります。

学習期間と修了までのステップ

実務者研修の学習期間は、保有資格や受講スタイルによって異なります。

標準的には450時間を6ヶ月以上かけて学ぶのが一般的ですが、ほかの介護資格を保有している場合は一部科目が免除され、短縮して修了することが可能です。

学習内容の評価は、試験やレポート、演習、グループワークなど、研修実施機関ごとに定められた方法で行われます。

修了後に受験できる資格

実務者研修は、介護福祉士を目指すための大切なステップです。実務経験が3年以上あり、実務者研修を修了していれば、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。

実務者研修を修了しているだけでも待遇面でメリットがありますが、国家資格の取得でさらに活躍の場が広がります。

また、実務者研修を修了すると、サービス提供責任者としてケアマネジャーや医療関係者と連携しながら現場をまとめる役割を担うことも可能です。

スクール選びのポイント

無資格から実務者研修を受講する場合、学習時間は450時間で、およそ6ヶ月以上かかります。そのため、自分にあったスクール選びがたいへん重要です。

研修には一部通学必須の科目がありますが、学習の大部分は通信講座での受講ができます。

仕事を続けながら学びたい方や、まとまった通学時間を確保しにくい方には、通信講座を活用する方法がおすすめです。

スクール選びの条件はさまざまありますが、本記事では特に重要な3点を詳しく解説します。

サポート体制（質問・添削）

スクールを選ぶ際に重要なのはサポート体制です。スクールごとに教材や内容が異なるのと同じように、サポート体制にも違いがあります。

主なチェック項目は以下のとおりです。

• 質問：質問方法と通信課程でもWebやメールで講師へ質問可能かどうか
• 添削制度：学習フォローや添削が充実しているかどうか
• 振替受講：通学必須の科目の欠席時の振替が無料かどうか
• 就職支援制度：修了後のサポート体制があるかどうか、内容は充実しているか

　

レポート提出については、オンライン提出が可能であれば負担を軽減できるため、事前に確認しておきましょう。

費用・分割払いの有無

実務者研修の費用は地域やスクール、保有資格によって異なります。無資格者の場合は平均150,000円前後、高いところで200,000円程度です。

キャンペーン割引や国・自治体の助成金、補助金制度を利用すれば負担を軽減でき、分割払いに対応しているスクールもあります。

申し込み前に費用や支払方法をWebサイトや資料でしっかり確認しましょう。

通学距離

実務者研修は一部の科目で通学が必須となるため、スクールの立地や交通アクセスはとても重要です。

自宅や職場から通いやすい場所を選ぶことで、家庭や仕事との両立がしやすくなり、学習の負担も軽減できます。

無理なく通える範囲のスクールを選ぶことが、研修を最後まで続ける大切なポイントです。

ハッシュタグ転職介護では、介護業界が未経験の方でも安心感をもって働けるサポート体制を整えています。

仕事を始める前の研修や資格取得支援制度が充実しており、あなたの状況に合わせて専任アドバイザーが適切にアドバイスします。未経験や無資格からでも、スムーズに介護転職のステップにつなげることができます。

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実務者研修について相談しよう

介護福祉士実務者研修を紹介してきましたが、通信講座だけでは修了できない資格のため、対面授業の通学もしっかり視野に入れておきましょう。

介護業界で働く方が目指す介護福祉士の要件となる実務者研修の受講について、一人で悩んでいる方も少なくありません。

さらに詳しい内容は転職支援サービスや専門家への相談で、自分の生活スタイルに合ったスクールやキャリアプランを見つけましょう。

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