ユマニチュードとは

ユマニチュード(Humanitude)はフランス語で「人間らしさを取り戻す」という意味の造語です。40年以上前に2人の体育学の専門家によって考案されました。
彼らは当初、病院で腰痛予防指導をするために国から派遣されてきました。しかし高齢者が本来立てる状態にも関わらず、車いすで過ごしたり、寝たまま介護を受けていたりする過度なケアに疑問を抱いたのです。
そこで彼らは協議を重ね、自立できる作業は本人が行い、できない部分のみ介助することを提案しました。
その結果、一人ひとりがより人間らしく生き、介護を受ける方・する方が互いに良好な関係でいられるケアが可能となったのです。
数々の試行錯誤を繰り返しながら確立されたユマニチュードの技法は、フランスのみならず世界中に知られるようになります。
日本でも2012年に初めて導入され、次第にユマニチュードの存在が知られるようになりました。今では講習会や研修を通してユマニチュードを取り入れる医療・介護現場が増えつつあります。
ユマニチュードで心をつかむ4つの基本

ユマニチュードには4つの基本的な技術があります。
- 見る技術
- 話す技術
- 触れる技術
- 立つ技術
この4つはユマニチュードの基本的な柱と位置づけられ、介護を受ける方を大切に想うことを伝える技法として大変重要です。
ここでは、ユマニチュードの4つの基本的な技術とそれぞれの持つ役割についてみていきましょう。
見る技術
ユマニチュードにおける見る技術は、仕事上で相手の安全を確認し見守ることではありません。具体的には以下のような対応をとります。
- 相手の正面に立つ
- 同じ目線に合わせる(背骨が曲がっている方には下から覗き込むように見る)
- 近くで見る
ここでは介護をする側、受ける側がお互いを認め、対等な関係でいることがポイントになります。上から見下ろしたり、遠くで見たりすることは、相手を支配するもしくは見張っている印象を与えてしまうため注意が必要です。
また相手を「見ない」ことは、相手が存在しないまたは存在を認めていないメッセージを与え、不安な気持ちにさせてしまいます。
話す技術

話す技術は相手に気持ちや優しさを伝えるための技術です。
私たちは普段の会話で子どもや大人によって声のトーンや話すスピードを無意識に変えています。相手に自分の気持ちや想いを伝えたいために話し方を工夫しているのであって、介護の現場でも話し方の技術はとても重要です。
ユマニチュードでは以下のような話し方を意識します。
- 低い声で
- ゆっくりとわかりやすく
- 前向きな言葉
介護を受ける方は聞き取りにくかったり判断に時間がかかったりするため、できるだけゆっくりと低い声で話しかけるのがよいです。
高い声は相手に緊張や怒りのサインと受け取られるため、声のトーンを意識するようにしましょう。
相手が反応しなかったり、返答に時間がかかったりする場合は「身体を拭きますね」「いいですね」など動作の実況を話すようにするとより安心感を与えられます。
無言でいる、話さないは「見ない」と同様に相手の存在を認識していないメッセージになるため要注意です。
触れる技術
介護の現場ではケアを行う際に必ず介護者の身体に触れることになります。相手を不安にさせないためには以下の点に気を付けましょう。
- 広い面で触れる
- ゆっくりと動かす
- つかまずに支える
- 反応を伺う
介護を受ける方との関係性が築けていないうちは、して欲しい介護としなくてもよい介護の境界線がわからず、対応に悩むこともあります。
そのような場合でも相手に触れるときは、背中や肩などなるべく広い部位から接するようにします。
手足を急につかむ、袖を引っ張るなどは相手に恐怖心を与えてしまうので避けましょう。また、身体を移動させるときは言葉を交わしながらゆっくりと動作を促すことがポイントです。
動作ごとに相手の反応を確認し、嫌がっていないか注意深く観察しましょう。
立つ技術

ユマニチュードにおける立つ技術は、身体機能だけでなく生活意識にも影響を及ぼします。日常生活における立つ動作は以下のような役割が考えられるでしょう。
- 身体機能の自立
- 社会的な自立
- 自信と誇り
ユマニチュードでは1日あたり合計20分以上立った状態が維持できると、寝たきりの生活を予防すると言われています。
トイレに行く、物を取りに行くなど少しの動作を積み重ねるだけでも立つ時間を増やせるでしょう。
また、立つ時間が長くなると視野が広がり対人関係も深くなることから、社会性も育まれるようになります。
「立つ」ことは当たり前な動作かもしれませんが、人間らしく生きるうえで大きな要素であり、人としての自信と誇りを守るうえで欠かせないものなのです。
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ユマニチュードの具体的な5つの手順

ユマニチュードの基本的な4つの技術についてご紹介しましたが、ただ知っているだけでは現場で活かすことはできません。具体的な導入手順を理解しておくのがよいでしょう。
ここでは「見る・話す・触れる・立つ」の4つの技術を活用した具体的な手順について、一つずつ解説していきます。
出会いの準備
出会いの準備ではまず相手に自分が来た旨を伝えるようにします。
相手に自分の来訪を知らせることで人が来たことを認識してもらい、プライベートの領域に入るための準備をしてもらうことが目的です。
相手の部屋に入る前に必ずドアのノックやカーテン越しでの声かけをして、自分の名前や入室することを伝えましょう。
ケアの準備

ケアの準備は相手にこれからどのようなケアをするのかを知らせ、身体に触れてもよいか了解を得るために行います。
いきなりケアの話題に入るのではなく「こんにちは○○です、お変わりないですか」など何気ない挨拶や会話を重ね、あなたに会えてうれしいという気持ちを伝えることが大切です。
また「きれいにしましょうね」「すぐに終わりますよ」など、できるだけ前向きな言葉をかけ、介護を受ける方を安心させるようにしましょう。
もしケアを嫌がるようであれば、いったん作業を中断し落ち着くまで様子を見守ります。無理に実施するのではなく相手の意志を尊重するようにします。
知覚の連結
知覚の連結とは相手が自分を認識し、安心してケアを受けてもらうための行程です。
「見る・話す・触れる・立つ」の4つの動作を2つ以上組み合わせ同時に行うことで、相手の受け取る情報を結び付けるようにします。
具体例は以下のとおりです。
- 相手の目を見ながら対話する(見る・話す の連結)
- 話しかけながら身体を移動させる(話す・触れる の連結)
ポイントは「あなたのことを大切に想う」気持ちを相手に感じ取ってもらうことです。そのためには4つの動作の方向性が共通しているか確認するようにしましょう。
優しく声かけしながら腕や服を引っ張るなど、方向性が矛盾するようなアクションは相手が受け取る情報を混乱させ、心を閉ざすきっかけになってしまいます。
感情の固定

感情の固定は介護を受ける方に前向きな言葉をかけ、不安な気持ちを軽減しケアに対する印象をよくすることです。
例えば、入浴やおむつ交換が終わった後に「きれいになりましたね」「たくさん協力していただきありがとうございます」などのポジティブな言葉を交わすとよいでしょう。
これによりケアを行う側、受ける側の両者が互いによい時間を過ごせた印象が残るため、「次に来た時もケアをお願いしたい」「次もよいケアがしたい」と思えるようになります。
介護されることが相手にとって負担とならず、喜びや心地よいと思ってもらえるよう、ぜひ積極的に声かけをしてみてください。
再開の約束
ケアを終えた後、退出する際に次回の訪問予定を忘れずに伝えます。「明日の〇時頃に来ます」など具体的に知らせることがポイントです。
相手に再訪することを事前に知らせることで、ケアを受け入れやすくなるだけでなく、また来てくれることを楽しみに思われる方もいるでしょう。
なかには認知症を患い、伝えても覚えていないケースもあります。このような場合はメモなどに書き残し、相手がいつでも思い出せる状態にしておくとよいです。
ユマニチュードの狙い

ユマニチュードを介護の現場で取り入れる際には、以下のような狙いがあります。
- 身体の回復を目指す
- 機能保持
- 最期まで寄り添う
これらを先に理解しておくことで、迷わずに相手の尊厳を大切にした良質なケアが提供できるでしょう。ここではユマニチュードの目指す3つの狙いについて解説します。
身体の回復を目指す
ユマニチュードでは身体が本来できる動作を少しずつ行うことで、自身の身体的機能を回復させることを目指しています。
具体的には歩行できる方はすぐに車いすに頼るのではなく、自身の力で少しでも歩いてみるなどです。
介護を受ける方が自身の能力を活かすことで身体の機能回復を試み、よりポジティブな気持ちで過ごすことを目指しています。
そのためには、医師やスタッフとの連携をはかり、どこまで介助に付くべきか十分に協議することも大切です。
機能保持
ユマニチュードとしての機能保持は、今できることをいつまでも続けられるようにサポートし、身体の機能を低下させないことが目的です。
仮に病気やケガをして歩行できなくなったとしても、自分でできるところまで歩いてもらうようにします。途中車いすやスタッフに頼っても問題ありません。
大切なのは「自分でできること」を正確に判断し、過度なケアで機能が衰えないようにすることです。介護を受ける方の気持ちに配慮した、一人ひとりに合ったケアを提供するようにしましょう。
最期まで寄り添う

ユマニチュードにとって最期まで寄り添うことは、相手の回復が厳しい場合でも、できるだけ人間らしさを損なわないケアを最期まで提供し続けることを意味します。
ケアを受ける方を「見捨てられた」「孤独で寂しい」という気持にさせないためにも、温かく優しいケアを心がけましょう。
「あなたは大切な方です、孤独ではありません」というメッセージを伝え続けることで、たとえ厳しい状況であっても励まされ、最期までその方らしい人生を送ることができます。
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ユマニチュードの効果

ユマニチュードを続けることでケアを受ける方、ケアをする方両方に効果があるといわれています。では具体的にはどのような変化が見られるのでしょうか。
ここではユマニチュードの効果について、ケアを受ける方、ケアをする方それぞれの効果やメリットをみていきましょう。
ケアを受ける方
ユマニチュードによるケアを行うことで本人は自分が大切にされていると認識し、しだいに介護者へ心を開くようになります。
「この人になら頼っても大丈夫」と思えるようになることで介護をする方との信頼関係が生まれ、穏やかで安心した気持ちになれるでしょう。
介護に対する恐怖心や不安な気持ちを介護者へ伝えることで、本人の希望や控えて欲しい対応などがわかるようになるため、より適切な介護へとつながります。
ケアを行う方
ユマニチュードはケアをする側の方にもよい効果があるといわれています。具体的な効果は以下のとおりです。
- 身体的・心理的負担の軽減
- 離職率の低減
- 介護にかかる費用の抑制
ユマニチュードは高齢者との信頼関係を築くことで介護に対する抵抗感を和らげるため、ケアを受け入れてもらいやすくなります。
高齢者が抵抗なくケアを受け入れることで、短時間でも適切な介護ができるようになり、介護をする方の心理的な負担も軽減されます。
介護職における対人関係のストレスも少なくなるため、結果、離職率が下がり質の高い介護を提供し続けられるでしょう。
スムーズな介護が実現されることで、消毒薬やおむつなどの衛生用品の使用頻度も少なくなり、介護にかかる費用の抑制にも効果的です。
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ユマニチュードを取り入れている施設はまだ限られており、とても貴重な環境です。
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ユマニチュードを実施するときのコツ

ユマニチュードによるケアでは高齢者に心を開いてもらうことが重要です。そのためには短時間でケアを済ませるのではなく、時間をかけて丁寧にケアを行う姿勢を意識するとよいでしょう。
また、相手との信頼関係を築くためには一度のアクションで中断してしまうのではなく、何度でも寄り添う気持ちが大切です。
ここでは、介護の現場でユマニチュードを行うために押さえておきたい2つのコツについてご紹介します。
時間に余裕を持つ
ユマニチュードでは、ケアを受ける本人の反応を一つずつ確認しながらケアを進めていくことが重要です。
特に、介護の現場では高齢者が対象となるケースが多いため、反応や返事に時間がかかることが想定されます。
また介助を行う方自身に時間的な余裕がないと、焦りの表情や口調などで余裕のなさが相手に伝わり、よいケアにつながりません。
このことから、ユマニチュードを実践するときはできるだけ時間に余裕をもたせて対応するようにしましょう。
声かけや目線を送る
ユマニチュードを行う際には、優しく声かけをし注意を自分に向けてもらうように促します。また必ず高齢者の視線に介護者が入るようにし、その姿を認識してもらうようにしましょう。
相手の視覚や聴覚に働きかけることで、人がいることを認識しやすくなり介護を受ける方も対話やスキンシップの準備ができるようになります。
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ユマニチュードで介護を行うなら

ユマニチュードの概要や基本的な手順、ケアの目的などについて解説しました。
フランスで誕生したユマニチュードは、自立できる動作を自身で行ってもらうことを大切にし、ケアを受ける方の機能を奪わないケアが特徴です。特に認知症のケアで有効といわれています。
「見る・話す・触れる・立つ」の4つの技術、「出会いの準備・ケアの準備・知覚の連結・感情の固定・再開の約束」の5つの手順を組み合わせ、相手のことを大切に想うメッセージを伝えるようにします。
ユマニチュードはケアを受ける方の身体機能の回復や維持が目的です。たとえ回復が見込めない状況であっても最期まで寄り添う姿勢を貫き、その方らしく生きられるようサポートしましょう。
ユマニチュードはケアを受ける側、する側双方によい影響があります。スムーズな介護や穏やかな人間関係、経費の抑制などのメリットがあるでしょう。
できるだけ時間に余裕をもたせ、相手に自分の姿を認識してもらえるよう優しい声かけや視線に気を配ることがユマニチュードを成功させるためのコツです。
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