グループホームとはどのような介護施設？

グループホームの正式名称は認知症対応型共同生活介護で、主に認知症のある高齢者を対象とした少人数制の介護施設です。

1ユニットあたり5〜9人ほどが共同生活を送り、家庭的な雰囲気のなかで日常生活を営むことを特徴としています。

職員は食事や入浴などの基本的な生活介助を行うだけでなく、一緒に買い物や調理をしたりレクリエーションを楽しんだりと、入居者ができることを活かしながら暮らしを支えていきます。

このように、グループホームは認知症の方が穏やかに暮らすための施設であることが特徴です。特別養護老人ホームのようにほかの病気の方がいるわけではなく、認知症ケアに特化した施設です。

グループホームでの介護職員の仕事内容

グループホームの介護職員は、利用者が穏やかに日常生活を送れるよう幅広いサポートを行います。

食事や入浴などの基本的な介助だけでなく、レクリエーションの企画・運営や夜勤業務など、担当する役割は多岐にわたります。

少人数制の施設であるため、利用者一人ひとりと関わる時間が長く、家庭的な雰囲気のなかで生活そのものを支えていく点が大きな特徴です。ここでは、具体的な仕事内容を3つの視点から紹介します。

食事・入浴・排泄などの日常生活介助

利用者が自分らしく生活できるよう、基本的な身体介助を行います。食事の準備や見守り、入浴時の安全確保、排泄のサポートなどが中心です。

しかし、グループホームでの介助は、単に手伝うだけではありません。利用者が可能な範囲は見守り、困難な部分だけを補いながら関わることで、「自分でできている」と実感しながら尊厳を守った生活が送れます。

時間に追われることなく、利用者のペースに合わせたケアができるのは、少人数制ならではの特徴でしょう。

レクリエーションやイベントの実施

グループホームでのレクリエーションは利用者の心身機能の維持向上だけでなく、社会とのつながりを感じ、生活に彩りを与える重要な役割を担っています。

職員は利用者の趣味や関心を引き出し、楽しめる企画を立案・実行します。少人数だからこそ、一人ひとりの趣味や好みに合わせたレクリエーションを取り入れやすいのも特徴です。

主なレクリエーションやイベントは、下記のとおりです。

• 七夕やクリスマスなど季節にあわせた飾り付けをする
• 天気のよい日に近所を散歩する
• 体操や歌で楽しむ
• 地域の人々と触れ合うイベントを開催する
• 野菜を育てて一緒に料理する

特別なイベントを企画するケースもありますが、日々の暮らしのなかに楽しみを見出すことが大切にされています。

夜勤業務と生活リズムのサポート

グループホームは24時間365日、利用者の生活を支える場所であるため、夜勤業務は必須です。夜勤では、就寝後の見守りや排泄介助、体調の変化への対応を行います。

少人数とはいえ夜間は基本的に少人数で対応するケースが多いため、責任感と臨機応変な判断力が必要です。

また、朝の起床支援や朝食準備まで担当する場合もあり、利用者の生活リズムを整える重要な役割を担っています。

グループホームの仕事がきついと言われる理由

グループホームは家庭的な雰囲気のなかで利用者とじっくり関われる魅力がある一方で、きついと感じる声も少なくありません。

その背景には認知症ケアの難しさや人員配置の問題、幅広い業務内容や給与面の課題など、いくつかの要因があります。ここでは、具体的にどのような点が負担となりやすいのかを見ていきましょう。

認知症ケアへの理解と対応の難しさ

認知症の症状は人によって異なり、記憶障害や徘徊、感情の起伏などへの対応が必要です。さらに、同じ利用者でも日によって状態が変化するため、マニュアル通りの対応は通用しません。

特にBPSD（行動・心理症状）と呼ばれる徘徊や暴力・暴言、介護拒否などは、多くの職員が難しさを感じる部分です。

症状が認知症に起因するものだと理解していても、現場で向き合う側にとっては大きな精神的負担となりやすいでしょう。そのため、その場の状況に合わせた臨機応変な判断力や、長い目で見て寄り添い続ける姿勢が欠かせません。

少人数体制で人手不足になりやすい

グループホームでは、日中は利用者3名に対し職員1名以上、夜間はユニットごとに職員1名以上と法律で人員配置基準が定められています。

しかし、基準よりも多い職員が配置されているケースは稀で、最低限の人数で運営されている施設がほとんどです。このため、一人の職員が担う役割が大きく、責任も重くなります。

特に、急な欠勤や夜勤などでシフトが回らなくなると、身体的な負担が急増するでしょう。特に一人夜勤の体制をとっている施設では、緊急時の対応や利用者の急変など、すべての判断と責任を一人で背負わなければなりません。

業務範囲が広く多岐にわたる

グループホーム職員の仕事は、日常生活の介助に加え、掃除や洗濯などの家事まで多岐にわたります。さらにレクリエーションの企画や地域行事への参加なども加わるため、介護だけでは収まらない点が大変だと感じやすい理由です。

一つの業務に集中したい、専門性を高めたいと考えている方にとっては、業務の幅広さが負担に感じられることがあるでしょう。

また、調理や掃除など家事が苦手な方にとっては、毎日の業務が大きなストレスになる可能性もあります。

給与水準が高くない

介護業界全体に共通する課題として、給与水準の低さがあります。特にグループホームは医療的ケアよりも生活支援に重点を置くため、処遇が特養や病院併設型施設よりも低いケースも少なくありません。

厚生労働省の2024年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、グループホームの介護職員の平均給与額は302,010円です。

これは介護業界全体の338,200円と比べても、低い金額です。夜勤手当などが加算されるものの、求められる業務の幅広さや認知症ケアの専門性を考えると、「給与が見合っていない」と感じる方もいることでしょう。

経済的な不安は、仕事のモチベーションを下げる大きな要因の一つです。給与面の不安を解消し、自分に合った条件で働ける職場を見つけるためには、専門的なサポートを受けることも有効です。

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グループホームで働くメリット・やりがい

グループホームの仕事は、たしかに幅広く負担も大きい一方で、ほかの介護施設にはないやりがいや魅力も数多くあります。

少人数制の環境だからこそ利用者と密に関わることができ、そのなかで信頼を得られる充実感や毎日の生活を支える喜びを実感できるでしょう。

ここでは、働くうえで感じられる主な、メリットややりがいを紹介します。

利用者の自立支援に関われる

グループホームの主な目的は自立支援です。何でもやってあげるお世話ではなく、利用者が持っている能力を引き出し、役割を持って生活できるようなサポートが職員の役割です。

例えば元々料理が得意だった方と一緒におやつを作ったり、きれい好きな方と一緒に掃除をしたりするなかで、利用者が自信や笑顔を取り戻していく姿を間近で見ることができます。

日常の小さな場面で「自分でできた」と達成感を持ってもらえることは、職員にとっても大きな喜びです。本人の生活の質を高める支援に関われる点がやりがいにつながります。

利用者と深い信頼関係を築ける

少人数制であるため、一人ひとりの利用者とじっくり向き合う時間が確保できます。利用者の生活歴や性格、大切にしている価値観などを深く理解し、一人ひとりに合った個別ケアが可能です。

毎日顔を合わせ、語り合うことで、まるで家族のような温かい信頼関係が生まれます。名前を覚えてもらったり、笑顔を見せてもらえたりする瞬間は、信頼関係が築けている証です。

このような関係性の積み重ねが、介護職員にとって大きな励みとなります。

少人数制で一人ひとりに寄り添える

大規模施設では、効率や時間が優先され、どうしても流れ作業的なケアになりがちです。しかしグループホームでは、利用者のその日の体調や気分に合わせ、一人ひとりのペースを尊重したケアが可能です。

柔軟で家庭的な対応ができるのは、少人数制だからこそでしょう。マニュアルに縛られず、目の前の利用者に本当に必要なケアは何かを考え、実践できる環境は介護職の専門性を深めるうえでも大きなメリットです。

家族や地域から感謝の言葉を受け取れる

利用者と密に関わる分、そのご家族との連携も重要になります。日々の様子を伝え、ご家族の想いに耳を傾けるなかで、深い信頼関係が築かれます。

ご家族から感謝の言葉を直接いただくと、この仕事をしていてよかったと心から実感できるでしょう。

また、グループホームは地域に根差した施設であり、近隣住民との交流やお祭りへの参加なども積極的に行います。

地域の一員として認知症への理解を広め、社会に貢献している実感も、大きなやりがいにつながります。

グループホームの仕事がきついと感じたときの対処法

グループホームでの介護はやりがいが大きい一方で、認知症ケアの難しさや人手不足などから「続けられるだろうか」と不安になる方も少なくありません。

しかし、大変さに直面したときでも工夫やサポートを取り入れることで、前向きに働き続けられる環境を整えることができます。ここでは、実際に役立つ具体的な対処法をご紹介します。

上司や同僚に相談して負担を減らす

まず大切なのは、信頼できる上司や同僚への相談です。一人で悩んでいると、問題が実際よりも大きく感じられたり、視野が狭くなったりしがちです。

具体的な状況を言葉にして伝えることで、気持ちが整理されるだけでなく、周囲から客観的なアドバイスをもらえることがあります。

経験豊富な先輩職員から対応のヒントをもらえたり、上司が業務の分担を調整してくれたりするかもしれません。

特に、グループホームでの認知症ケアはチームケアが基本です。一人の利用者の情報を職員全員で共有し、チーム全体でケアの方針を考えていくことが、質の高いサービスと職員自身の負担軽減につながります。

一人で責任を背負い込まず、チームの力を借りることを意識しましょう。

認知症ケアのスキルを身につける

きついと感じる原因が、認知症ケアへの知識不足や対応への不安から来ているケースも少なくありません。その場合は、専門的な知識やスキルを積極的に学ぶことで、状況を打開できる可能性があります。

認知症介護基礎研修や認知症介護実践者研修の受講や、認知症ケア専門誌の資格取得などを前向きに検討しましょう。

知識がつくことで、これまで理解できなかった利用者の言動の背景が見えるようになります。なぜそのような行動をとるのかがわかれば、対応にも余裕が生まれ、精神的なストレスは大きく軽減されるでしょう。

資格取得支援制度を設けている職場も多いため、積極的に活用し、自信を持ってケアにあたれるようスキルアップを目指しましょう。

研修や資格取得の支援制度が整った職場を選ぶことは、スキルアップだけでなく、安定して働き続けるためにも重要です。

このような制度の有無や内容を自分だけで確認するのは難しい場合もありますが、介護業界に特化した人材紹介サービスを利用すれば、各施設の研修体制や資格取得支援の情報も詳しく教えてもらえます。

ハッシュタグ転職介護では専門知識を持つ担当者が、希望やキャリアプランに沿った職場を複数提案し、入社前後のフォローも行うためスキルを磨きながら安定して働ける環境を効率よく見つけられます。

求人紹介から入社後のフォローまで一人の担当者が対応する一気通貫型を採用しているため、信頼関係を築きながらスムーズな転職活動が可能です。

まずは無料相談を活用して、自分に合った研修制度のある職場を探す一歩を踏み出しましょう。

休養や趣味でストレスを解消する

心と体の健康を保つためには、仕事から離れてリフレッシュする時間を意識的に作ることが不可欠です。

介護の仕事は、利用者の人生に深く関わるからこそ、感情的なエネルギーを多く消費します。使い果たしてしまう前に、自分自身をケアする時間が必要です。

自分に合ったストレス解消法を見つけ、仕事とプライベートのオンとオフを明確に切り替えましょう。

心身が満たされている状態であってこそ、利用者に対して優しく、穏やかな気持ちで接せるようになります。

無理せず転職を検討する

さまざまな対処法を試しても状況が改善しない場合、あるいは職場の人間関係や施設の運営方針そのものに問題がある場合は、無理に我慢し続ける必要はありません。

自分自身の心と体を守るために、転職を真剣に考えることも大切です。介護業界にはグループホーム以外にも、特別養護老人ホームやデイサービス、訪問介護など多様な職場があります。

環境を変えることで、自分に合った働き方を見つけられるかもしれません。無理に我慢するより、自分の心と体を大切にすると長く介護の仕事を続けられるはずです。

転職を検討する際には、自分に合った職場を効率よく見つけるサポートを受けることが大切です。

介護業界に特化した人材紹介サービスのハッシュタグ転職介護では、専門知識を持つ担当者が希望条件やキャリアの方向性を丁寧にヒアリングし、複数の職場候補を比較しながらご提案します。

さらに、面接対策や入社後のフォローまで一貫してサポートしてくれるため、初めての転職でも心配いりません。求職者との密なコミュニケーションと丁寧なヒアリングで手厚いサポート体制が整っています。

自分に合った環境で長く働き続けるためにも、まずはこうした無料相談を活用して、自分に合った職場を見つける一歩を踏み出してみましょう。

グループホームで働くうえで注意したい職場の特徴

グループホームはアットホームな雰囲気のなかで働ける魅力がありますが、職場の環境によっては負担が大きくなり、長く続けにくい場合もあります。

例えば、人員配置が不十分な施設では少人数で多くの入居者に対応しなければならず、いつも忙しい状態になりやすいでしょう。

また、認知症ケアには専門的な知識や技術が欠かせません。研修や教育体制が整っていない職場では、不安を抱えながら自己流で対応せざるを得ず、職員に大きなストレスがかかることもあります。

さらに、職場の雰囲気や人間関係も重要なポイントです。離職率が高い施設は内部に問題を抱えている可能性があり、長く働きたいと考える人にとっては大きなリスクとなります。

加えて、清潔さや安全管理が行き届いているか、運営母体の経営基盤が安定しているかなどの点も見逃せません。

給与や勤務時間だけで判断せず、こうした要素を総合的に確認すれば自分に合った環境を見つけやすくなり、安定して働き続けることにつながります。

しかし、自分だけで情報を集めたり職場の内情を見極めたりするのは簡単ではありません。特に人手不足や研修体制の違い、雰囲気や運営の安定性などは、事前に詳しく確認できないケースも多いでしょう。

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グループホームの大変さを理解して自分に合った働き方を選ぼう

これまでご紹介してきたように、グループホームの仕事には大変さもありますが、その分やりがいや喜びも多くあります。

日々の業務や認知症ケアへの対応、夜勤の負担など、自分にとってどの程度の負荷が許容できるかを考えることが長く働くうえで重要です。

また、少人数制ならではの丁寧な関わりや利用者との信頼関係などのメリットも踏まえ、自分の働き方やキャリアプランに合った職場を見つけることが大切です。

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