看護助手の離職率はなぜ高い?

看護助手の離職率が高いとの話を聞いたことがある方は少なくないでしょう。日本看護協会が実施した2024年病院看護実態調査によると、2023年度の正規雇用看護補助者の離職率は13.6%、非正規雇用では25.5%という結果が出ています。
正規雇用と非正規雇用を平均すると約20%前後の離職率となり、看護師の離職率11.3%と比較すると高い水準であることがわかります。
では、なぜ看護助手の離職率は高くなりやすいのでしょうか。その背景には複数の要因が関係しています。ただし、これらの課題はすべての職場に当てはまるわけではありません。
環境次第で働きやすさは大きく変わるため、職場選びの際に注意すべきポイントとして理解しておきましょう。
雑務が多い

看護助手の業務は多岐にわたります。患者さんの身の回りのお世話だけでなく、シーツ交換や清掃・医療器具の洗浄・備品の補充など、いわゆる雑務と呼ばれる作業が日常業務の大きな割合を占めています。
こうした作業は一つひとつは単純に見えますが、入院患者さんの人数分だけ発生するため、業務量は想像以上に多くなりがちです。
患者さんのケアに集中したいと考えて入職した方のなかには、雑務の多さに戸惑いを感じるケースもあります。
仕事のイメージと実態にギャップがあると、モチベーションの維持が難しくなることもあるでしょう。
人手不足で一人あたりの業務の負担が大きい
厚生労働省の職業情報提供サイトによると、2023年度の看護助手の有効求人倍率は4.13倍でした。これは求職者一人に対して4件以上の求人がある状態を意味し、慢性的な人手不足が続いていることを示しています。
人手が足りない職場では、一人あたりの業務量が増加します。本来であれば複数人で分担すべき作業を少人数でこなさなければならず、身体的にも精神的にも負担が大きくなる傾向です。
特に夜勤帯は少ない人数で対応することが多く、急な対応が求められる場面で追い詰められた気持ちになる傾向があります。
仕事内容と待遇が見合わない

厚生労働省の2024年賃金構造基本統計調査によると看護助手の平均月給は約235,200円、年間賞与は約463,300円で、平均年収は約3,280,000円です。
同じ調査で看護師の平均年収は約5,000,000円を超えており、その差は約1,700,000円以上になります。
患者さんの命に関わる医療現場で働きながら、業務量に対して給与が見合わないと感じる方は少なくありません。
特に、身体介護や夜勤を含む業務を担当しながらこの給与水準なことに、不満を感じて離職を考えるケースもあります。
教育体制が十分でないケースがある
看護助手は資格がなくても働ける職種のため、未経験から入職する方が多くいます。しかし、人手不足の影響で新人教育に十分な時間を割けない職場も存在します。
マニュアルが整備されていなかったり、先輩スタッフが忙しくて質問しにくい雰囲気があったりすると、不安を抱えたまま業務にあたることになりかねません。
医療現場では正確な対応が求められるため、教育体制が不十分だと自信を持って仕事に取り組むことが難しくなります。結果として、早期離職につながることもあります。
看護助手はやめた方がよいといわれる理由

「看護助手はやめた方がよい」という声を聞いたことがある方もいるでしょう。こうした意見が出る背景の要因は、仕事特有の大変さです。
ただし、大変さの感じ方は人それぞれであり、環境や経験によっても変わります。ここでは、ネガティブな意見につながりやすいポイントを整理して解説します。
看護師との人間関係が大変
看護助手は看護師の指示のもとで業務を行うため、看護師との連携が不可欠です。しかし、医療現場は患者さんの命を預かる緊張感のある職場であり、忙しさやプレッシャーからコミュニケーションがうまく取れないと感じることがあります。
特に、看護師が多忙なときに指示を仰ぐのをためらったり、厳しい言い方をされて萎縮したりするケースもあるでしょう。
多職種が連携するチーム医療の現場では、職種間の関係性が働きやすさを大きく左右します。人間関係に悩んで離職を考える方も一定数いるのが現実です。
身体的な負担が大きい

看護助手の業務には、患者さんの移動介助や入浴介助、体位変換など身体を使う作業が多く含まれます。
自分よりも体重の重い患者さんを支えながらケアを行う場面もあり、腰や肩、膝に負担がかかりやすい仕事です。
また、病棟勤務の場合は夜勤があり、不規則な勤務形態が続くことで生活リズムが乱れやすくなります。体力的なきつさから、長く続けることに不安を感じる方もいます。
責任が重く精神的な負担が大きい
看護助手は資格がなくても働ける職種ですが、医療現場で患者さんと直接関わる以上、責任は軽くありません。
患者さんの状態の変化に気付いて看護師に報告することも大切な役割であり、見落としがあったらどうしようという緊張感を常に感じながら働くことになります。
また、終末期の患者さんやそのご家族への対応など、精神的に負荷のかかる場面もあります。心のケアができる環境がないと、精神的な疲労が蓄積してしまうこともあるでしょう。
看護助手の主な仕事内容

看護助手の仕事に興味があっても、具体的に何をするのかわからないと思う方は少なくありません。
看護助手の業務は大きく分けて、患者さんの身体介護・環境整備・看護師の補助業務の3つに分類されます。ここでは、それぞれの内容を詳しく解説します。
身体介護
身体介護とは、患者さんの日常生活をサポートする業務です。具体的には、食事介助・入浴介助・排泄介助・着替えの介助・移動の補助などが含まれます。
自力で動くことが難しい患者さんに対して、負担なくかつ快適に過ごしてもらえるようにケアを行います。
なお、看護助手は医療資格を持たないため、注射や採血などの医療行為は行えません。あくまで看護師の指示のもとで、療養上の世話を担当します。
未経験から始める場合でも、先輩スタッフから指導を受けながら徐々に慣れていくことができます。
清掃やリネンの交換

患者さんが快適に療養生活を送れるよう、病室の環境を整えることも看護助手の重要な仕事です。ベッドのシーツ交換・枕カバーや布団カバーの交換・病室の清掃・ゴミの回収などを行います。
医療現場では衛生管理がとても重要です。使用済みの器具の洗浄や消毒、汚染された衣類やリネンの適切な処理なども担当します。感染予防の観点から、正しい手順で作業を行うことが求められます。
看護師の補助業務
看護師がスムーズに業務を行えるよう、さまざまなサポートを担当します。医療器具の準備や片付け・備品の補充・カルテや検査伝票の整理・患者さんの検査室やリハビリ室への誘導などが該当します。
また、患者さんの様子に変化があった場合、すぐに看護師に報告することも大切な役割です。
患者さんと接する時間が長い看護助手だからこそ気付ける変化もあり、チーム医療を支える存在として重要な役割を担っています。
看護助手として働くメリット

ここまで看護助手の大変な面を見てきましたが、この仕事にはメリットややりがいも多くあります。ネガティブな情報だけでなく、よい面も理解したうえで判断することが大切です。
未経験からでも働きやすい
看護助手には必須の資格がないため、未経験・無資格から医療現場で働き始めることができます。
学歴や年齢を問わない求人も豊富です。医療の仕事に興味がある、人の役に立つ仕事がしたいとの気持ちがあれば挑戦しやすい職種です。
入職後は先輩スタッフから指導を受けながら、実践を通じて知識やスキルを身につけていきます。
介護職員初任者研修といった資格取得支援制度を設けている職場もあり、働きながらスキルアップを目指すこともできます。
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需要が多く就職先や転職先が多い

前述のとおり、看護助手の有効求人倍率は4.13倍と高く、全国的に需要が高い職種です。病院やクリニック、介護施設など、さまざまな場所で看護助手が必要とされています。
求人数が多いということは、自分の希望条件に合った職場を選びやすいことでもあります。自宅から近い職場で働きたい方や日勤のみで働きたい方など、ライフスタイルに合わせた働き方を選択できる点は大きなメリットです。
やりがいがある
看護助手の仕事には、患者さんやその家族から直接感謝される機会が多くあります。
「いつもありがとう」と声をかけてもらえたとき、退院する患者さんが笑顔で挨拶をしてくれたとき、この仕事を選んでよかったと実感できる瞬間があるでしょう。
また、医療現場で働くなかで、医療や看護に関する知識が自然と身につきます。将来的に看護師や介護福祉士を目指す方にとっては、現場経験を積みながらキャリアアップの準備ができる点も魅力です。
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看護助手として長く働ける職場を選ぶには?

環境によって働きやすさが変わると思うことは、言い換えればよい職場を選べば長く働き続けられるということです。では、どのような点に注目して職場を選べばよいのでしょうか。
まず確認したいのは、教育体制が整っているかどうかです。
未経験者向けの研修やマニュアルが用意されている職場であれば、不安なく仕事を覚えていくことができます。先輩スタッフに質問しやすい雰囲気があるかどうかも重要なポイントです。
次に、職員数と業務量のバランスを確認しましょう。
人手が十分に確保されている職場では、一人あたりの負担が軽減され、余裕を持って業務に取り組めます。求人情報だけでなく、職場見学や面接の際に実際の雰囲気を確認することをおすすめします。
また、福利厚生や待遇面もチェックしておきましょう。
住宅手当や資格取得支援制度、有給休暇の取得率など、長く働くうえで重要な要素です。院内託児所がある職場であれば、子育て中の方でも働きやすいでしょう。
日本看護協会の調査によると、病床規模が大きい病院ほど看護職員の離職率が低い傾向にあります。大規模病院は研修制度や福利厚生が充実していることが多く、働きやすい環境が整いやすいでしょう。
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看護助手を辞めたいと思ったときの対処法

働き始めてから辞めたいと感じることは、どのような仕事でもありうることです。大切なのは、その気持ちを一人で抱え込まず、適切な対処法を知っておくことです。
そのための具体的な行動について、一緒に確認していきましょう。
上司など身近な方に相談する
辞めたいと感じたとき、まずは身近な上司や先輩に相談してみましょう。業務量の調整やシフトの変更など、職場内で解決できる問題もあるかもしれません。
相談する際は、具体的に何が辛いのか、どのような点を改善してほしいのかを整理しておくと伝わりやすくなります。
人間関係の悩みであれば、配置換えを検討してもらえる可能性もあります。一人で悩まず、まずは声をあげてみることが大切です。
ほかの職場への転職を視野に入れる
職場に相談しても状況が改善しない場合や、そもそも相談しにくい環境の場合は、ほかの職場への転職を視野に入れることも一つの選択肢です。
看護助手の求人が多いため、より自分に合った環境を見つけられる可能性があります。転職を検討する際は、現在の職場で辛いと感じている原因を明確にしておきましょう。
人間関係が原因なのか、業務量が原因なのか、待遇面の問題なのかを整理することで、次の職場選びで同じ失敗を繰り返さずに済みます。自分に合う働き方を見つけることが大切です。
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働きやすい職場で看護助手として活躍するなら

ここまでお読みくださり、看護助手の仕事の理解が深まったのではないでしょうか。
離職率が高いとされる背景には、職場環境や個人の適性などさまざまな要因があります。しかし、適切な職場を選べば、やりがいを感じながら長く働き続けることができる仕事でもあります。
自分に合った職場を見つけたい、未経験から看護助手に挑戦したいけれど不安があるという方は、転職のプロに相談することがおすすめです。
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