ケアマネジャーは深刻な人手不足?

ケアマネジャーの人手不足は、今後国の大きな課題になりそうです。特定の事業所ではなく、業界全体の構造的な問題だからです。
2024年、介護支援専門員の養成に関する調査研究事業の報告書が発表されました。そのなかで2022年度と比較し、2025年度は27,000人、2040年度までに83,000人の上積みが必要です。
これはケアマネジャーの担当件数がこれまでどおりと仮定した場合の数です。数万人単位で不足していることがわかります。
ケアマネジャーを辞める理由

ケアマネジャーが人手不足なのは、業界全体の課題です。ではなぜ人手不足に陥るのか、さまざまな要因が考えられます。
人手不足になる理由の一つに、ケアマネジャーが辞めてしまうことが挙げられます。なぜケアマネジャーの仕事を辞めるのか、その理由は多種多様です。
ここではケアマネジャーを辞める主な理由を見ていきます。以下の情報を見れば、さまざまな事情が関係していることがわかります。
決して個人的な理由だけで辞めてしまうとは限りません。
業務が多岐にわたり負担が大きい
ケアマネジャーを辞めたい理由の一つに、業務量の多さが挙げられます。ケアマネジャーはケアプランを作成するだけが業務ではありません。
ほかにも給付管理、モニタリング記録、アセスメントシートなどの資料作成や担当者会議への出席など多岐にわたります。
さらに居宅ケアマネジャーの場合、利用者宅への訪問が月1回以上あります。このようにさまざまな業務をこなさなくてはなりません。
場合によっては、残業続きで体調を崩してしまい辞めるケアマネジャーも少なくありません。
作成する書類の量が多い
作成すべき書類が多いのも、ケアマネジャーを辞めたくなる理由の一つです。例えばケアプランの作成が、ケアマネジャーの主要な業務です。
ただケアプランは段階ごとに複数の書類を作成しなければなりません。加えて、関連する資料の準備も必要です。
ほかにもアセスメントシートやモニタリング記録の作成もしなければなりません。このように多くの書類の作成・管理が、ケアマネジャーの大きな負担になりがちです。
しかもそれぞれ納期が設定されています。納期も管理しつつ、優先順位をつけて正確に書類を作成しなければなりません。
利用者や家族から過度な期待をされる

利用者やその家族から過度な期待をかけられ、精神的なプレッシャーに耐えかねて、ケアマネジャーを辞めたくなる方も見られます。
利用者のなかには、ケアマネジャーに相談すれば何でもしてくれると考えている方も少なくありません。結果、介護だけでなく医療や行政との板挟みになって、精神的に疲弊してしまいます。
ケアマネジャーは、介護保険で担当できる仕事の範囲が決められています。しかし利用者は法的な事情を知らずに、本来の業務の範疇を超えてお願いしてくることも珍しくありません。
このような頼まれごとを何でも引き受けると、業務量も増します。できないことはできないと、毅然とした対応が必要です。
制度改正のための継続的な知識更新が必要になる
ケアプランを作成するためには、介護保険制度の専門知識が必要です。さらに自治体によって、独自の介護サービスに関するルールを設けている場合もあります。
適切にケアプランを作成するためには、このような法律や制度に関する知識は欠かせません。しかもたびたび法改正が行われます。
法改正されるたびに、新しい情報を覚えなければなりません。業務をこなしつつ、制度関連の勉強も必要なため、対応しきれず辞めたくなる方もいます。
休日や時間外に対応を求められるケースがある
ケアマネジャーの労働環境に起因する離職問題も考えられます。事業所によっては、24時間体制で連絡が取れることが就業条件となっている場合もあるためです。
すると夜間に連絡が入ったり、土日祝日に対応したりする場合も出てきます。休みがないため、疲労が蓄積して辞めたいと考えるようになるわけです。
ただし事業所によっては、時間外や休日対応がほぼないところも見られます。休日や時間外における業務の取り扱いは、入職する前に確認しておきましょう。
収入と業務負担の不均衡

ここまで見てきたように、ケアマネジャーの業務量は膨大です。その反面、その働きが給与面に反映されていない点に不満を抱くケアマネジャーも少なくありません。
現在の介護報酬制度は介護職員に重きを置く傾向が見られます。ケアマネジャーの業務が十分に反映されていません。
また経験を重ねても、なかなか評価が上がらないのも辞めたくなる理由の一つです。年数を重ねても収入がなかなか上昇せず、将来に不安を感じるケアマネジャーもいます。
業務量が多くても待遇がなかなか上がらないと、頑張りが報われないと感じてしまいます。
相談できる相手がおらず孤独を感じる
ケアマネジャーは、個別対応することの多い職種です。個人がそれぞれ業務にあたり、周りに相談しにくいためストレスに感じ、辞めてしまうケアマネジャーも少なくありません。
特に小規模事業所の場合、孤独感をより強く感じるケースも珍しくありません。少数精鋭で運営しているため、教育体制も整っていないからです。
ケアマネジャーのなかには、入職して短期間で離職する方も見られます。定着しないのは、職場で孤立するのが原因と考えられます。
キャリアパスが不明瞭で将来に不安を感じる
ケアマネジャーを辞めたいと考える理由に、将来への不安も挙げられます。キャリアパスが不明瞭なためです。
ケアマネジャーはほかの職種と比較すると、評価があいまいな部分があります。成果の数値化が難しいためです。
昇進や昇給の機会もあまり多くありません。年数を重ねても働き方や収入にあまり変化が見られないと、仕事を続けるモチベーションも低下します。
また年齢を重ねると、体力面での不安も出てきます。今と同じように働けないかもしれない、将来の見通しが立たないと離職を選択する方も出てくるわけです。
資格を取得してもケアマネジャーとして働かない理由

ケアマネジャーが人手不足になっている要因に、資格があるけれども働かない方がいることも挙げられます。
なぜ資格を取得してもケアマネジャーの仕事をしないのか、いくつか理由があります。
- 業務量の多さに不安がある
- 責任が重い
- 労働環境に不安がある
- ハラスメントに遭うリスクがある
- 資格更新のコストと時間負担
- ほかの職種で介護業界で働いている
なぜ、これらの事情がケアマネジャーとして働かない理由になるのか、見ていきましょう。これからケアマネジャーとして働く際の注意点として、参考にしてください。
業務量の多さに不安がある
ケアマネジャーの業務量が膨大なために、資格取得しても働かない選択をする方が少なくありません。ケアマネジャーの業務範囲は近年、拡大傾向にあるためです。
インフォーマルサービスの調整をはじめとした介護保険外の業務を担当しなければなりません。ほかにも医療サービスとの連携や多様な相談対応なども担います。
このように介護保険にとどまらず、ケアマネジャーの業務が広がっています。業務量が多く対応しきれない恐れがあるため、資格取得しても就職しないケアマネジャーは少なくありません。
責任が重い

ケアマネジャーの責任が日増しに重くなっているのも、資格保有者が就職しない理由です。その背景には介護業界全体の慢性的な人材不足が影響しています。
人材が不足しているため、従事しているケアマネジャー一人にかかる責任が大きくなります。人手不足で、利用者の望むサービスが提供できないかもしれません。
結果、利用者やその家族から叱責されることも出てきます。精神的な負担に耐えられるか不安で、ケアマネジャーの仕事をしない有資格者も少なくありません。
労働環境に不安がある
労働環境への不安で、就職を希望しないケアマネジャーも少なくありません。入所施設をはじめ、24時間体制で稼働しているところもあります。
すると夜間や土日祝日に連絡が入り、対応しなければならない場合もあります。電話だけでは対応しきれない場合、休日出勤しなければならないかもしれません。
このような不規則な勤務体制に不安を感じ、就職を躊躇する方が出てきます。不安のなかで仕事を続けるくらいなら、就職しないという選択肢をとるケアマネジャーもいます。
ハラスメントに遭うリスクがある
ケアマネジャーとして仕事をすると、ハラスメントに遭うのではないかと懸念し就職しない方も少なくありません。上司や利用者、その家族など対象は多種多様です。
特によくいわれるのは、パワハラやモラハラです。暴言を吐かれる、夜遅くまでの残業を強要されるといったパワハラが見られます。
またモラハラとして、あいさつしても無視されたり、昼夜問わず利用者から訪問するように要請されたりするハラスメントが挙げられます。
このような体験談はインターネットでしばしば紹介されているので、躊躇してしまうケアマネジャーも少なくありません。
資格更新のコストと時間負担

ケアマネジャー資格は、5年ごとの更新が義務付けられています。更新するためには更新研修を受講しなければなりません。
更新研修は合計88時間のカリキュラムを受講する必要があります。しかも更新研修に参加するためには、受講費用も必要です。
時間と経済的なコスト負担を考えると、更新する必要があるのかと疑問に感じるケアマネジャーも出てきます。結果、就職にも躊躇してしまいます。
ただし更新費用に関しては、全額負担してくれる事業所も少なくありません。転職先を選ぶ際の判断材料にしてみるとよいでしょう。
ほかの職種で介護業界で働いている
ほかの職種で活躍しているため、資格保有者でもケアマネジャーとして働かない方も見られます。ではなぜ資格取得するのか、資格手当が出るためです。
事業所のなかにはケアマネジャーの資格保有者を対象に、資格手当を給料に上乗せするところもあります。収入アップにつながるので、資格取得を目指す方も見られます。
ただケアマネジャーになると、基本夜勤はありません。時間外手当がつかなくなるのでケアマネジャーの資格を取っても、引き続き介護職員として働く方も少なくありません。
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ケアマネジャーが不足すると起こる問題

ケアマネジャーは慢性的な人手不足に陥っていること、そうなるにはいくつか要因がある点について見てきました。ケアマネジャーの人手不足の問題は、業界の喫緊の課題です。
人手不足で困るのは、現場の事業所のみと考える方もいるかもしれません。しかし人手不足を放置していると、利用者や社会全体に深刻な影響を及ぼしかねません。
ここではケアマネジャーの慢性的な人手不足をそのままにしていると、起こりうる問題を見ていきます。
ケアマネジャーと契約できない方が増える
ケアマネジャーが不足すると、ケアマネジャーと契約できない方が現れます。すると必要な介護サービスが受けられなくなるのは、大きな問題です。
地域によっては、介護サービスは提供しているものの、ケアマネジャーが不足しているためにサービスの利用に支障が生じる可能性があるでしょう。
要介護者と比較して、要支援者のケアプランは単価が安いといわれています。このため受託している居宅介護支援事業所が少なく、介護サービスが受けられなくなります。
人員確保が困難になり事業所が減っていく可能性がある

ケアマネジャーが不足すると、居宅介護支援事業所の経営も立ち行かなくなります。居宅介護支援事業所が閉鎖して、介護サービスがますます受けられなくなる恐れも出てきます。
大規模な事業所であれば、経営基盤もしっかりしているため続けられるでしょう。一方小規模事業所はケアマネジャーの人員確保が難しくなります。
報酬を上げようにも、その源の財政基盤が盤石ではないためです。小規模事業所を中心に、事業撤退する事例が続出することも考えられます。
介護サービスを受けたくても、近くにケアマネジャーのいる事業所がないといった事態も起こり得ます。
ケアマネジャーが不足すると、要介護者にも影響がおよびかねません。ケアマネジャーが定着できるように工夫している事業所もあるので、このような職場を見つけましょう。
ハッシュタグ転職介護は、求職者にとことん寄り添う姿勢が特徴です。介護業界に精通したキャリアアドバイザーが、転職活動をサポートするためです。
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ケアマネジャーの更新制度は廃止の可能性がある?

ケアマネジャーの資格を取得しても働かない理由の一つに、更新制度の問題があります。実はこの更新制の見直しが今後廃止される可能性があります。
2025年10月27日に開催された社会保障審議会介護保険部会のなかで、ケアマネジャーの資格更新の見直しが取り上げられました。
この作業部会のなかで、ケアマネジャー資格の介護支援専門員証の有効期間の廃止が議論されました。背景として、専門性向上の取り組みが整備されたことも関係しています。
法定研修のなかで、適切なケアマネジメント手法を学習できるようになりました。2026年2月時点で確定していないものの、廃止の動きが活発になりつつあります。
ケアマネジャーの資格更新が廃止されれば、今まで以上に転職しやすくなるでしょう。もし転職に興味があれば、ハッシュタグ転職介護をご利用ください。
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ケアマネジャーの処遇改善の今後の見通し

ここまで見てきたように、介護業界全体の課題として、ケアマネジャーの待遇問題があります。しかしケアマネジャーの待遇の改善案は近年、いろいろと出てきています。
例えば2025年12月23日に、社会保障審議会・介護給付費分科会の議事録が公表されました。そのなかで、居宅介護支援の処遇改善加算の議論が行われています。
これまでケアマネジャーは、処遇改善加算の対象外でした。事業所任せになっていたため、なかなか待遇面で改善されない状況が続いていました。
ケアマネジャーの人材不足解消のためにも、制度上の位置づけが必要という議論が出ています。2026年2月時点では、処遇改善加算Ⅳ相当の要件を基本とします。
これで事業所による格差が生じにくくなりますし、継続的な待遇改善も可能になるかもしれません。
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ケアマネジャーとして活躍するなら

ケアマネジャーは現在、人材不足の問題が起きています。職場の問題だけでなく、職業そのものの構造上の問題も関係しています。
ただし居宅介護支援事業所のなかには、ケアマネジャーの働きやすい環境を整備しているところも少なくありません。ICTの導入による作業効率化や職員同士の協力体制の確立などです。
ケアマネジャーとして長く勤務したければ、どこに転職するかが重要なポイントです。しかし一人で決めるのには、限界があります。
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