認知症ケア専門士の受験資格で実務経験は必要?

認知症ケア専門士を受験するためには、試験実施年の3月31日を基準として、過去10年以内に認知症ケアに関する実務経験が3年以上である必要があります。
実務経験に関しては、認知症専門の施設や機関での経験である必要はありません。職種や職務内容、施設を問わず認知症ケアに関わったことのある方であれば受験資格を得ることができます。
ただし、ボランティア活動や実習などは実務経験に含まれないため注意が必要です。また、介護福祉士や介護支援専門員などの有資格者であったとしても3年の実務経験が必要となります。
受験に必要な実務経験年数
認知症ケア専門士の受験に必要な実務経験年数は3年です。ボランティアや実習など無償での活動は実務経験年数に含まれません。
受験年の3月31日を基準として過去10年以内に3年以上の実務経験があれば、途中で休職やキャリアチェンジをしていても対象となります。
実務経験年数以外の受験資格は設けられておらず、介護福祉士などの有資格者であっても、実務経験は必ず3年以上必要な点に注意しましょう。
しかし、受験資格が実務経験のみのため、これから介護職を目指す方やすでに介護職として働いている方にとっては目標としやすい資格といえるでしょう。
実務経験として認められる業務例

認知症ケア専門士の受験資格となる実務経験には、ボランティアや実習などの経験は含まれません。
例えば、デイサービスやグループホームでの認知症高齢者の介護やケア業務、病院での認知症患者さんの看護などが挙げられます。
就業形態は不問のため、パートタイム勤務であっても過去10年以内に3年間の実務経験があれば認知症ケア専門士の試験を受験することが可能です。
認知症ケア専門士の資格取得方法

認知症ケア専門士の資格を取得するためには、年1回の募集期間中に受験申請をしたうえで2回の試験に合格する必要があります。
試験は1次試験のWeb試験と2次試験の論述試験に分かれており、それぞれ介護の基礎知識と実践スキルを持っているかどうかを問う試験です。
この章では、認知症ケア専門士の受験申請方法や試験の詳細について解説します。「受験のハードルが高そうで不安」や「受験前に試験概要を知っておきたい」という方の参考になれば幸いです。
受験申請
認知症ケア専門士の募集は年に1回で、申し込み期間は例年3〜4月です。1次試験は7〜8月に実施され、2次試験の申し込み期間は8〜9月、最終的な合否は1月頃になります。
受験申請をするためには、受験の手引を購入する必要があります。受験者一人につき1冊の購入が必要で、費用は1,000円です。
受験の手引はインターネットと電話、FAXで購入可能ですが、発送までに1週間程度かかるため受験を希望する方は早めに準備しておくとよいでしょう。
試験の主な内容

認知症ケア専門士の試験は2段階で実施され、1次試験は選択式、2次試験は論述式の試験となっています。
1次試験は、Web試験で五肢択一の選択式問題が出題されます。以下4つの分野で合計200問が出題され、4分野すべてで70%以上の正答ができれば合格です。
- 認知症ケアの基礎
- 認知症ケアの実際Ⅰ:総論
- 認知症ケアの実際Ⅱ:各論
- 認知症ケアにおける社会資源
認知症ケア標準テキストが出題範囲となっており、認知症やケアの方法に関する知識が問われます。制限時間内に解ききることと、苦手分野を放置しないことが重要です。
もし合格点に達しなかった分野があった場合、5年以内であれば再受験が可能です。受験料は3,000円×受験分野数で決まります。勉強を積み重ねたうえで、「再チャレンジもできる」と考え、リラックスして受験するとよいでしょう。
2次試験は、論述試験で事例問題に対する論述が3題出題されます。論述試験の評価ポイントは以下のとおりです。
- 適切なアセスメントの視点を有している者
- 認知症を理解している者
- 適切な介護計画を立てられる者
- 制度および社会資源を理解している者
- 認知症の人の倫理的課題を理解している者
1次試験が認知症に関する基礎的な知識を問う試験であったのに対し、2次試験はより実践的なスキルや思考が求められる試験だといえるでしょう。
受験にかかる費用

認知症ケア専門士の受験では、1次試験と2次試験それぞれで費用がかかります。
1次試験は、1分野につき3,000円かかるため、初回は4分野で12,000円です。再試験を受ける場合は受験する分野数×3,000円が試験費用となります。
2次試験は1回8,000円です。再試験を受ける場合も同等の費用がかかります。
合格後は、登録料として15,000円が必要です。5年ごとの資格更新の際には10,000円がかかります。
また、試験や更新時だけでなく受験の願書として1,000円がかかるほか、テキスト代として1分野につき2,000円前後がかかることを見込んでおく必要があります。
認知症ケア専門士の資格を取得するためには、試験をスムーズにパスできた場合、総額で50,000円ほどかかると考えておくとよいでしょう。
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認知症ケア専門士の資格取得で得られる知識

認知症ケア専門士は取得までに時間もお金もかかります。しかし、資格取得によって認知症に関わる知識やスキルを習得することができます。資格取得で得られる知識やスキルは主に以下の3点です。
- 認知症の基礎知識
- 実践的なケア技術
- 認知症ケアに必要な制度や社会資源の知識
どれも介護職として認知症の方のケアに携わるうえでは重要なスキルです。介護職としてキャリアアップを目指す方にとっては、チャレンジする価値のある資格といえるでしょう。
認知症の基礎知識
認知症ケア専門士では、認知症の基礎知識を習得することができます。医学的な観点だけでなく、認知症の方の心理や取り巻く社会状況など、認知症に関わる知識を幅広く学ぶことができるでしょう。
実践的なケア技術
認知症の方とのコミュニケーションや、施設・在宅での介護方法など、実践的なケア方法についても学ぶことができます。
アセスメントやケアプラン、事例報告のまとめ方など、実務に沿って学ぶことができる点も特徴です。
認知症ケアに必要な制度や社会資源の知識
認知症ケアに必要な制度や社会資源についても知識を習得することができます。公的機関との連携や地域社会で認知症の方をサポートする仕組みなども学ぶことができるでしょう。
認知症ケア専門士の資格更新に必要な領域

認知症ケア専門士は、5年に1回の資格更新が必要です。資格更新時には更新料として10,000円がかかるほか、5年の間に生涯学習活動として以下の活動が求められます。
- 学術集会への参加
- 生涯学習プログラムや研修会への参加
- 論文発表
これらの活動で合計30単位以上を取得することが資格更新の条件となります。もし、30単位以上を取得できなかった場合には、更新保留申請をすることが可能です。
更新保留申請をすることで、更新期間を1年間延ばすことができます。ただし、次回更新では4年間で30単位を取得しなければならない点に注意が必要です。
学術集会への参加
学術集会への参加で2〜8単位を取得することができます。認定委員会が定める学術集会は以下のとおりです。
- 日本認知症ケア学会大会
- 日本認知症ケア学会ブロック大会
- 認定委員会が認める国際学会など
一般参加と、発表者や座長としての参加では、取得できる単位数が異なります。より多くの単位を取得したい場合は、発表者や座長としての参加を検討するとよいでしょう。
生涯学習プログラムや研修会への参加

生涯学習プログラムや研修会への参加でも単位を取得することができます。認定委員会が定めるプログラムや研修会は以下のとおりです。
- 認定委員会が認める学会が主催する教育講演、国際セミナーなど
- 地域部会が主催する講演など
- 認定委員会が認める講演など
- 認定委員会が認める学会ホームページ(動画サイト)において受講できる講演
- 認知症ケアに関する施設内研修など
- 認知症ケアに関する地方自治体などが主催する研修会などでの講師活動など
これらのプログラムや研修会の参加で1〜5単位を取得することができます。講師や座長として参加すると取得できる単位数が多くなります。
一方で、取り組みやすい動画サイトでの受講や施設内研修などは、1年間で取得できる単位数は5単位と上限が決まっているため注意が必要です。
論文発表
論文発表によっても単位を取得することができます。単位取得が可能な論文は以下のとおりです。
- 「日本認知症ケア学会誌」掲載投稿論文
- 投稿論文以外の論文
- 「認知症ケア事例ジャーナル」掲載投稿論文
- 投稿論文以外の論文
- 本学会機関誌以外の掲載論文(原著論文)
- 本学会機関誌以外の原著論文以外の論文
論文発表の場合は、筆頭者と共著者で取得できる単位が異なりますが1〜8単位の取得が可能です。
認知症ケア専門士の資格を取得することも重要ですが、働きながら学び続けなくてはなりません。一人で取り組むだけでなく、職場からのバックアップがあるとよいでしょう。
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認知症ケア専門士の資格取得後の仕事内容

認知症ケア専門士を取得した後の仕事内容について解説します。資格を取得したからといって、大きく仕事内容が変わるわけではありません。
しかし、一部の業務に関しては有資格者が重宝されることがあります。資格を所持しているかどうかで任される仕事内容は変わってくるでしょう。
認知症ケアを行う職員の指導
認知症ケアのスペシャリストとして、ほかの介護職員や医療スタッフを指導するポジションに選ばれる可能性があります。
認知症に関する知見が不足している職場の業務改善や患者さんのストレス改善につながることもあるでしょう。
認知症の利用者と家族の精神的なケア
認知症の方のストレス軽減だけでなく、家族の精神的なケアも認知症ケア専門士の役割です。認知症の方の家族は肉体的な介護疲れだけでなく、精神的にもケアが必要な場合があります。
家族に対して適切な対応方法のアドバイスをしたり、サポートを行ったりすることが求められるでしょう。
アセスメントと介護計画の立案

認知症ケアでは適切なアセスメント(評価)と介護計画の立案が重要です。認知症は、一般的に軽度・中等度・重度の3段階に分けられます。
認知症の進行具合を、認知症の方とのコミュニケーションや身体症状を踏まえて適切に判断し、介護計画を立てる必要があります。
認知症ケアのスペシャリストとして、これらのアセスメントと介護計画の立案で中心的な役割を担うことが期待されるでしょう。
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認知症ケア専門士のキャリアアップの方向性

認知症ケア専門士の資格を取得した後、認知症ケアに関する知識やスキルを実務に活かせるだけでなく、その後のキャリアアップにつなげることが可能です。
資格を活かしたキャリアアップの方向性としては、認知症ケア専門士の上級資格である上級認知症ケア専門士の取得を目指す、転職をするの2パターンが挙げられます。
どちらを選択しても認知症ケア専門士の資格取得で得た知識やスキルを活かすことができるでしょう。
上級認知症ケア専門士の資格取得を目指す
認知症ケア専門士には、上級資格として上級認知症ケア専門士があります。上級認知症ケア専門士を取得するためには、認知症ケア専門士としての実務経験が3年以上必要です。
加えて以下3点の条件を満たしている必要があります。
- 認知症ケア専門士として生涯学習活動に参加し、講座への参加や論文投稿などで30単位以上を取得していること
- 上級専門士研修会を修了していること
- 筆頭者として、上級専門士制度規則にある学術集会での発表、機関誌などへの論文発表いずれかの経験があること
試験内容は五肢択一のマーク式の試験で、チームアプローチ25問とケアマネジメント25問の計50問を70%以上の正答率で解答する必要があります。
2023年の合格者数は18名と認知症ケア専門士の資格と比較しても難易度の高い資格といえるでしょう。その代わり、認知症ケア専門士よりも専門性の高い人材として重宝される可能性があります。
転職する
認知症ケア専門士の資格を取得した後に転職することもキャリアアップにつながる可能性があります。認知症ケアを重んじる専門施設や老人ホーム、医療機関など転職先は多岐にわたります。
専門的な知識を持った人材として、認知症ケアのリーダーや指導員などのポジションを任されることもあるでしょう。現在の職場で専門的なポジションがない場合は、転職によって現職よりも高めの年収を提示されることもあります。
また、施設によっては有資格者として資格手当がつく場合もあるでしょう。現職での給与や待遇に不満がある場合は、認知症ケア専門士の資格取得は一考の余地があります。
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実務経験を積んで認知症ケア専門士に挑戦しよう

認知症ケア専門士は、認知症ケアに特化した資格です。高齢化が進み、認知症の患者数が増えるなかで今後ますます注目が高まるでしょう。
受験資格として3年の実務経験が必要となるなど、介護職として経験を積んだ方が次のキャリアアップを目指す際におすすめの資格です。
また、これから介護職を目指す方も認知症ケア専門士の取得を視野に入れてキャリアプランを描くと、より専門性の高い人材を目指すことができるでしょう。
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