喀痰吸引とは
喀痰吸引は、介護職員であれば耳にしたことがある医療的ケアかと思います。
一方で医療的ケアにあたるため、資格や研修の受講によって実施できる職員に制限があります。そのため敬遠してとらえている介護職員も少なくありません。
まずは喀痰吸引がどのようなケアかを知ることから始めましょう。
概要
喀痰吸引とは、喀痰を吸引する医療的ケアです。
喀痰とは一般には痰と呼ばれることも多く、健康な方にも存在しています。喀痰には唾液や鼻水も含まれており、健康な方であれば咳やくしゃみで排出することが可能です。
鼻をかんで排出することもあるでしょう。無意識に飲み込んでいることもあります。常に少量の喀痰が体内に発生していて、正常に排出しているとイメージするとわかりやすいでしょう。
しかし喀痰を自分自身で排出できない方もいます。喀痰を排出できないと、気道内に溜まってしまうため、気道が狭まって窒息や呼吸困難につながりやすくなります。
このようなケースでは、吸引によって喀痰を取り除かなければなりません。これが喀痰吸引です。
喀痰吸引は以下の3種類の方法があります。
- 鼻から吸引チューブを入れて吸引を行う鼻腔内吸引
- 口から吸引チューブを入れて吸引を行う口腔内吸引
- 気管カニューレにチューブを入れて吸引を行う気管カニューレ内吸引
それぞれのリスクとメリットを踏まえて吸引を行うことが重要です。
必要になるケース
喀痰吸引が必要となる利用者さんは、さまざまな要因で喀痰の排出をご自身で行うことができません。
要因としては以下のようなケースが考えられます。
- 気管内にカニューレが挿入されているため、有効な咳ができない
- 嚥下障害などにより、鼻汁や唾液を胃に飲み込むことができない
このような場合には、喀痰が気道にたまりやすく、窒息や呼吸困難を起こしかねません。また誤嚥による肺炎にもつながりやすい状態です。
そのため吸引によって喀痰の排出を手助けする喀痰吸引によるケアが必要となります。
介護職員は喀痰吸引できる?
介護職として現場でケアを行っている方のなかには、喀痰吸引を介護職員で行えるのかと不安に思う方もいるでしょう。
喀痰吸引は医療的ケアのため、誰でもできるケアではありません。研修の受講が必要です。制度がしっかりと整っているため、ご自身が喀痰吸引に携わることができるか確認することをおすすめします。
またこれから研修の受講や資格の取得を検討してみてもよいでしょう。喀痰は利用者さんに限らず日常的に体内に発生しているため、そのケアも頻度が高く重要です。
携わることができるようであれば、積極的に関わっていくことで、スキルアップにつながるでしょう。
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介護職員が喀痰吸引を行うための条件
介護職員でも喀痰吸引を行うことができますが、そのためには研修の受講が必要です。また研修を受けた後にも登録などの作業が必要なため、プロセスを確認しておきましょう。
特に研修を受けたらすぐに喀痰吸引の業務に携われるわけではない点に注意が必要です。研修を修了した本人と、その勤務先の双方が都道府県に登録をしなければなりません。
業務を開始する前に必要な内容が多いため、周囲に相談しながら進めることをおすすめします。
介護職員が喀痰吸引等研修を受ける
まずは喀痰吸引等研修を受けなければなりません。研修は知識をインプットする講義の受講や知識を確認する筆記試験だけではなく、演習や実地研修で実際に喀痰吸引や経管栄養に携わります。
医療的ケアの場合、知識のみをインプットした状態で現場に出ることはリスクを伴います。利用者さんに正しく接することができないと、かえって症状を悪化させかねません。
喀痰吸引等研修で演習や実地研修を踏まえて現場に出るため、安心感を持って業務に取り組むことができるでしょう。
また介護福祉士の資格を取得している場合には、実地研修のみの受講となる場合があります。取得した時期によっても必要な研修が異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
研修後に認定特定行為業務従事者認定証の交付を受ける
研修を受けたらすぐに現場で喀痰吸引を行えるわけではありません。
研修を修了した際に発行される修了証明書を都道府県庁に提出し、認定特定行為業務従事者認定証の交付を受ける必要があります。
介護福祉士の資格を取得している方は、プロセスや必要な書類が異なります。介護福祉士登録証の実施可否項目を更新する必要があるため、社会福祉振興・試験センターで登録を行うようにしましょう。
介護事業者が届出を行い登録事業者になる
研修を修了した本人だけではなく、事業者も登録を行わないと現場で喀痰吸引を行うことはできません。
登録特定行為事業者の登録は都道府県で行います。事業者の登録には1ヶ月以上の期間を要する都道府県もあることから、登録の前に確認しておくとよいでしょう。
事業者として登録のない場合には、喀痰吸引を行うことはできません。スキルアップや業務の幅を増やしたいといった思いから喀痰吸引に携わりたいと考えるのであれば、実際に業務を行っている職場への転職も有効な方法です。
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喀痰吸引の研修の種類
喀痰吸引等研修には種類があります。ご自身に合った研修が何かわからず困惑される方も少なくないでしょう。
研修ごとの違いや、選び方を解説します。ご自身の携わりたいと考える業務や今の職場環境と照らしあわせながら、どの研修を受けるか検討してみるとよいでしょう。
第1号研修
第1号研修と第2号研修は医療的ケアを必要とする不特定多数の利用者さんへの喀痰吸引を行うことを対象とした研修です。
特に第1号研修では喀痰吸引と経管栄養のすべての処置を学ぶことができます。
50時間の講義とシミュレーターを使用した演習を経て、筆記試験と実地研修を受けます。第2号研修と比較すると幅広い業務に取り組むことを前提とした研修のため、スキルアップにもつなげやすいでしょう。
実地研修では医師や看護職員の指導を受けながら、以下の内容を実際に行います。
- 口腔内の喀痰吸引
- 鼻腔内の喀痰吸引
- 気管カニューレ内部の喀痰吸引
- 胃ろうまたは腸ろうによる経管栄養
- 経鼻経管栄養
喀痰吸引等研修では知識だけでなく実際の技術も身に着けられる点が特徴です。研修を通じて、現場で活かせるスキルを着実に得ることができるでしょう。
第2号研修
第2号研修は第1号研修で受講する内容のうち、一部を限定した内容です。
具体的には喀痰吸引では口腔内吸引と鼻腔内吸引のみを対象としており、気管カニューレ内吸引については除かれています。
喀痰吸引と同時に学ぶ経管栄養も、経鼻経管栄養を除いた内容となっているため、一定の範囲の業務に取り組む予定がわかっている方には適した内容といえるでしょう。
第1号研修と同じ内容で50時間の講義とシミュレーターを使用した演習を受講します。実地研修も第1号研修と同様に医師や看護師の指示のもとで実際に経験を積むことができますが、範囲が限定されている点が特徴です。
第3号研修
第3号研修は第1号研修や第2号研修と対象者が異なり、特定の者に特化した内容です。具体的には重度の心身障害を持つ方を対象とする喀痰吸引等を学びます。
第1号研修や第2号研修と比較すると、対象とする方の範囲が狭まるため、研修の講義時間や演習の時間が短い点が特徴です。
実地研修でも特定の者に対しての必要な医療的ケアを学びます。
現場で行う業務が限定されている方に向いている研修内容です。どの研修を受けるかは、職場で相談してみるとよいでしょう。
喀痰吸引の研修にかかる費用
研修でスキルアップを図る方にとって、その研修にかかる費用は気になるポイントでしょう。喀痰吸引等研修の場合には研修の種類もさまざまなため、費用面の違いは知っておきたいところです。
なお喀痰吸引等研修にかかる費用は、受講する機関によって異なります。本記事では一般的な内容について解説します。
また自治体によっては補助金や助成金を受けられるケースもあるようです。受講前に受けられる支援がないかを確認しておくとよいでしょう。
事業所によって研修支援や補助制度を設けていることもあります。どの研修を受けるかを含め、事前に事業所で周囲の方に相談しておくことをおすすめします。
スキルアップを目指すうえで、研修制度や資格取得の補助が整っている職場への転職を検討するのも一つの有効な選択肢です。
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第1号研修の費用
第1号研修を受講する場合にかかる費用は、約100,000~200,000円といえるでしょう。第2号研修や第3号研修と比較すると研修時間が多く、学ぶ範囲も広いため必要な費用が大きくなるケースが多いようです。
なお講義と演習の費用と実地研修の費用を一括で払うのか、別で費用が必要となるかといった点も確認しておくとよいでしょう。
介護福祉士の方で実地研修のみを受講する場合には費用感が異なる可能性があるため、調べておくことをおすすめします。
第2号研修の費用
第2号研修を受講する場合にかかる費用は、約50,000~120,000円が一般的です。受講する機関によってもさまざまなため、事前に確認しておくことをおすすめします。
第1号研修と比較すると対象とする喀痰吸引や経管栄養の種類が限定されるため、実地研修のボリュームが少なくなり、費用面にも反映されています。
実際の現場で必要とする業務の範囲からも、受講する研修を検討する必要があるため、職場で相談してみるとよいでしょう。
第3号研修の費用
第3号研修は、約50,000円から受講できるケースもあるようです。
喀痰吸引等研修では、第3号研修は費用面を抑えられる研修といえるでしょう。その要因としては研修で扱う対象者を、重度の心身障害を持つ方に限定していることが挙げられます。
講義や演習の時間がほかの研修と比較して少ないため、受講しやすい点が特徴です。
一方で受講できる範囲が狭まるため、実際の現場で必要としている範囲をカバーできているかを事前に確認しておく必要があります。
職場で相談しながら、どの研修を受講するか決めるとよいでしょう。また相談する際には、事業所から受けられる支援策がないかを確認しておきましょう。
介護職員が喀痰吸引等研修を受けるメリット
喀痰吸引を行えるようになると、どのようなメリットがあるでしょうか。
介護職に携わる方は普段の業務が忙しい方も多いため、なかなか新たなスキルの取得までは手が伸びない方もいるでしょう。せっかく検討するのであれば、研修を受講するメリットも知っておきたいところです。
喀痰吸引等研修を受講することで得られるメリットを紹介します。あなたの仕事の幅を広げる後押しとなれば幸いです。
仕事の幅が広がる
喀痰吸引等研修を受講し、都道府県にご自身と事業者が登録することで、喀痰吸引を業務として行うことができます。
ご自身が取り組める業務が増えるため、仕事の幅が広がるといえるでしょう。また看護師も同じ現場で働いているケースでは、看護師の業務負担の減少など、より広い職域で携わることができる点も大きな強みです。
喀痰吸引は昼夜を問わず必要な業務となることから、人員の少ない夜勤での業務にも携わりやすくなるといったメリットがあるでしょう。
スキルアップにつながる
喀痰吸引は研修を受講しないと携われない業務のため、取り組むことでスキルアップにつながります。研修には演習や実地研修も含まれており、現場で利用者さんに喀痰吸引を行う前に多くの経験を積むことができます。
実地研修は医師や看護師の指示のもとで喀痰吸引を行う点も特徴です。わからないことや不安を解消する機会が設けられているため、自信を持って現場に出られる点もメリットといえます。
実際に利用者さんをケアする際にも、呼吸器系の状態の変化に対する知識や経験を活かすことができます。利用者さんの急な体調変化に落ち着いて対応できるようになることにもつながるでしょう。
日々の観察力や落ち着いた早期対応といった観点から、喀痰吸引以外のケアでもスキルアップにつなげられるため、大きなメリットです。
収入アップにつながる可能性がある
喀痰吸引を行うことのできる職員は限られるため、職場でキーパーソンとなることもあるでしょう。
すべての介護職員が行える業務ではないため、給料や手当の面で反映され、待遇の改善につながる可能性があります。
特に人員の少ない夜勤の時間帯では、より幅広い業務に携われる方が働きやすくなる傾向にあります。喀痰吸引は昼夜を問わず必要な業務なため、夜勤もできると重宝されるでしょう。夜勤は深夜手当の観点からも収入アップにつながる可能性があります。
また研修を通じてケア全般でのスキルアップを認められて給料アップとなるケースも考えられます。
研修の受講は費用と時間の面からご自身に負荷をかける経験ですが、将来的に処遇を改善できる可能性があるため、メリットといえるでしょう。
転職に有利になる
多くの業務に携わることができる人材は、幅広い職場で即戦力として活躍することができます。特に喀痰吸引等研修は講義だけで50時間もの時間を要するため、すでに修了している場合は大きなアドバンテージです。
そのため現在の職場を何らかの理由で離れることとなった場合にも、スムーズに転職を行える可能性が高くなります。
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喀痰吸引の研修を受けてより求められる人材を目指そう
本記事では喀痰吸引について、業務の内容や必要な研修を紹介しました。
喀痰吸引は利用者さんの日常に寄り添う重要なケアです。一方で医療的ケアのため、研修を受講した方でなければ行うことはできません。
喀痰吸引に携わりたいと考える方は、研修の受講を検討してみるとよいでしょう。
研修には複数の種類があるため、どの研修を受講するか、職場でよく相談する必要があります。また費用は幅広い対象者の、全般的なケアを学ぶ第1号研修が高く、対象者が限定される第3号研修の費用が低い傾向にあります。
ただし自治体によって補助金などの支援を受けられる場合があるため、事前に確認するとよいでしょう。事業者が支援制度を設けている場合もあります。どの研修を受講するか相談する際に、あわせて確認しておくとスムーズです。
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