介護におけるポジショニングとは
体位を整える場面は、寝返りや食事、排泄など日常生活動作で頻回にあります。
健常な方はご自身が過ごしやすいよう体勢を整えますが、身体に不自由があると不快な部位や身体の向きを変えることさえ難しくなり、さまざまな障害が生じます。
体の向きを変える技術は体位変換ですが、ポジショニングとは介護用具を活用しながら体位を整えることで、合併症の予防を視野にいれた介護技術です。
具体的には、以下のような点を目的としています。
- 身体にかかる圧力のムラをなくす
- 心身のリラックス
- 安楽な姿勢の保持
同じ体勢でいると身体の一点に圧力が集中してしまい、褥瘡のリスクが高まるでしょう。ポジショニング技術を活用すると二次的な血流障害を予防できます。
また身体が安楽で快適な状態にあると、筋肉の緊張やこわばりが緩みやすく、精神面の安定につながります。
高齢で筋肉の萎縮や関節の拘縮がある方は、心身が緊張していると症状が悪化する可能性もあり、心身のリラックスを考慮しながらのポジショニングが大切です。
正しいポジショニングは、利用者さんの健康を左右する専門性の高い重要な介護スキルです。
ポジショニングの技術と知識を活かしてキャリアアップを目指すこともできます。
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長時間同じ姿勢でいることで生じる悪影響
不適切な姿勢だけで合併症を発症する可能性があります。
長時間同じ姿勢でいると拘縮・褥瘡・浮腫・呼吸器障害など、身体へさまざまな影響を及ぼす場合があり、一つずつ具体的な影響をみてみましょう。
拘縮
関節拘縮とは、通常の関節の可動域が減少した状態で、拘縮が起こると元の状態へ戻すことが難しくなります。
介護の現場でも関節拘縮の症状をもつ寝たきりの利用者さんが多く、拘縮の予防がとても大切です。
拘縮の原因は、怪我や高齢により身体が動かしにくくなり、関節を動かす機会が減ることで引き起こされます。
拘縮を防ぐためには、安楽な体勢を保ち身体にストレスがかからないようポジショニングのスキルの駆使が大変重要です。
筋肉や関節がリラックスした状態にあると、拘縮を予防する研究報告もあります。
浮腫
浮腫は身体の体液や血液の循環と関係があるので、仕組みとともに説明しましょう。
心臓がポンプとなり血液が全身へ送り出され、細胞間液になり酸素や栄養を細胞に運びます。
使用後の細胞間液は血液に吸収され静脈やリンパ管を通って心臓に戻りますが、何らかの原因で細胞間液がスムーズに血液に戻らないと、細胞組織に水分が過剰に溜まりむくみんだ状態が生じます。
長時間同じ体勢でいることも浮腫の一因です。重力で体液が下に溜まりやすくなるので、ご自身で身体を動かせない寝たきりの利用者さんは背中や全身に浮腫が起こりやすくなります。
適切なポジショニングによる浮腫の予防が大切でしょう。
褥瘡
褥瘡とは、皮膚の細胞に血液や栄養の供給が長時間に渡り不十分になったときに起こり、皮膚に紅斑やただれなどができる状態です。
褥瘡が発生しやすくなるのは、ご自身で体位変換ができない方が長時間同じ姿勢でいる場合です。
重力で血流が滞りやすい骨の突出部位の皮膚にできやすく、体勢によりできやすい部位が違います。
仰向けで寝ている場合は仙骨部や踵部などに発生しやすく、横向きの場合は肩や腸骨、膝などに発生しやすくなります。
褥瘡は医療処置が必要になるケースがあり、適切なポジショニングにより予防に努めることが大切です。
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呼吸機能の低下
身体の生理機能は使わないと失われていきやすいので、寝たきりの利用者さんなどでは呼吸機能も低下しやすくなるでしょう。
寝たきりの体勢は肺活量の低下を招くと報告されており、さらに長時間同じ状態が続くと呼吸に関わる筋力も低下し、負の連鎖が起こります。
安楽に呼吸できるよう姿勢を整え、呼吸機能低下も回避する一つの手段がポジショニングの活用です。
呼吸器の感染症
長時間同じ姿勢でいて、さらに呼吸機能や咳反射も低下した状態では、気管に痰が貯留しやすくなります。
痰の細菌が増殖し、気管支の細菌感染や肺炎を引き起こす可能性があります。
また、食事のときに適切なポジショニングが保持できていないと、嚥下機能の低下した利用者さんは誤嚥性肺炎を合併するケースがあるので注意が必要です。
体勢別ポジショニングの実践方法
利用者さんの健康状態や身体機能をアセスメントし、個人に合わせた適切なポジショニングの提供が大切です。基本的なポジショニングの方法をみていきましょう。
仰臥位
仰向けに寝た状態を仰臥位といい、身体の血流を良好に保てる体位です。また、支持面積が広いので心身の安定が図れる体位です。
長時間の仰臥位は呼吸機能が低下する研究報告があり、咳反射や呼吸機能の低下した利用者さんへのポジショニングには不向きなケースがあるので、医療者と連携する場合もあります。
以下のような仰臥位のポジショニングのポイントに気を付けましょう。
- 膝を90度に曲げる
- 姿勢に歪みがない
- 首の後ろに隙間を作らない
下肢を伸ばした状態は仙骨部周辺に圧力が集中しやすく、筋肉も緊張して安楽な状態ではありません。
膝を90に曲げてクッションを挟んでサポートすると、筋肉の緊張も緩和され骨盤も安定します。
左右の肩の高さや骨盤の位置、体幹が捻じれていないことも大切です。歪みが生じていると筋肉が緊張し痛みを感じる場合があります。
また、首の後ろも枕やクッションを使用して隙間ができないようにしましょう。隙間があると首周囲の筋肉や関節が緊張し痛みを伴ってきます。
側臥位
横を向いて寝ている状態を側臥位といい、完全な横向きになる90度側臥位(完全側臥位)と、骨の突出部がなく臀部の筋肉で体重を支える30度側臥位(半側臥位)があります。
90度側臥位も30度側臥位も、基本は仰臥位と同様に、姿勢の歪みや首の後ろの隙間がないよう注意が必要です。以下の点にも気を配りながらポジショニングしましょう。
股関節と膝関節が90度に屈曲している
両足が平行に並んでいる
両足の重なり部位が圧迫し合わないようクッションを挟みます。またリラックスできるよう、背中側にもクッションなどを置いて姿勢をサポートします。
30度側臥位は、骨突出部とベッドの接触が少ないため、褥瘡予防に適しているようです。仰臥位や完全側臥位と違い、安定性に欠けるため背部へしっかりクッションの挿入し体勢を安定させる必要があります。
ベッド上長座位
ベッド上で足を伸ばした状態で背中の角度を90度にして座る体位を長座位といい、下肢を下して安定して座位を保持できない場合に有用です。
食事時での誤嚥予防や呼吸を助ける姿勢ですが、身体に不自由が生じている利用者さんには不安定で疲労しやすい体勢です。
身体が左右に傾いてしまう方には頭側のベッドをギャッジアップして、横側や膝の下などにクッションを入れたり、足底に固定具を使用したりして安定性を高める必要があります。
ギャッジアップ後は背抜きを忘れず行い圧を分散させましょう。
端座位
端坐位はベッド横に足を下して座り、骨盤で座る姿勢が保持でき、足底が床に着いてバランスが保たれている状態です。
背もたれやアームレストなどがないため、支えなしでの座位が問題なくできる方に向いているでしょう。
座位
座位は椅子に座る状態をいい、椅子の幅や高さなどは身体に合うサイズのものを選択する必要があります。
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介護でのポジショニングのコツ
適切なポジショニング技術を提供したくても、日々の忙しい業務のなかで、とりあえず体位交換をするので精一杯な現状もあるかもしれません。
しかし、介護職者の小さな工夫で利用者さんの快適度が大きく変わるので、ポイントを押さえて技術に活かすことが大切です。
身体の軸を整える
ポジショニングは利用者さんの体軸を意識して行うことが重要で、体軸が歪んでいると筋肉や関節に負荷がかかり拘縮やADLの低下を招きかねません。
体軸の取り方ですが、ポジショニングは頭から骨盤に向かって行っていきます。
頭部は身体全体の向き、肩は上半身で骨盤は下半身の向きをコントロールしているからです。
左右の肩と骨盤の軸に歪みがない姿勢が、身体に余計な緊張がなくリラックスできます。
身体とベッドや椅子の間にすき間を作らない
ポジショニングの基本は点ではなく面で支えることで、枕やクッションを使用する際は身体とベッドとの間を埋めるように使用します。
身体の一部分にクッションなどを使用するのではなく、クッションと身体の接触面積を広くして使用すると、身体が安定するでしょう。
また利用者さんが快適に過ごせるだけでなく、筋肉や関節がこわばらず拘縮や筋萎縮の予防になります。
重力の影響を考慮する
身体には常に重力がかかっており、身体を自由に動かせない利用者さんに対してポジショニング技術を活用し、重力による圧力の集中を防ぐ必要があります。
例えばベッドに寝たきりの利用者さんの場合を検討してみましょう。
仰臥位で寝ている場合、骨の突出している仙骨部と踵骨部が身体を支える支持面になっています。
さらに骨盤と下肢の重みも突出部に加わり、多重の負荷が突出部位に集中し、褥瘡が発生しやすくなります。
圧の集中を分散させ褥瘡を予防する必要があり、解決策の一つがクッションや枕を使用したポジショニングです。
クッションを膝の下に入れると身体をサポートする支持面が大きくなり、突出部にかかる圧が分散されます。
重力と圧の分散の関係を意識しながらポジショニングを行うことが大切です。
声をかけながら行う
ポジショニングをする前に声をかけずに急に身体を動かそうとすると、筋肉や関節が緊張してこわばってしまいます。
また、何をされるのか不安に感じたり自尊心の低下を引き起こし信頼関係の構築が難しくなります。
簡単に強張りを弛めるのが難しい拘縮のある利用者さんでは、強張りが強くなってしまったり痛みを感じてしまったりするかもしれません。
動かす部位や程度を事前に説明してコミュニケーションを図ると、効果的なポジショニングを提供しやすい環境が作れます。
意思疎通が難しい利用者さんへも声かけをしてケアを提供するとQOLの低下を防ぐことができ、利用者さんらしい生活を送るサポートにつながるでしょう。
力づくで行わない
筋委縮や拘縮のある利用者さんは、力づくで動かそうとすると痛みが出現し、身体の過緊張と不安からますます動かなくなる場合があります。
ゆっくり優しく動かして、強張りや痛みを引き起こさないようなポジショニングがポイントです。
また、利用者さんの表情の変化にも気を配りながらケアを提供しましょう。
研修などを利用して正確な介護技術の習得に力を入れている職場もあり、職場によってはあなたの介護スキルを向上させることができます。
ハッシュタグ転職介護では、あなたのこれまでの経験を活かしながら、長期的なキャリア形成を見据えた支援と職場探しを丁寧にサポートしています。
「もっと介護の知識や技術を磨きたい」
「これまでの経験を活かして働きたい」
そんな方は、福祉業界に精通した専門キャリアアドバイザーへの無料相談をぜひご利用ください。
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介護におけるポジショニングの注意点
ポジショニングのポイントに加え、二次的な事故を防ぐためにも危険な点を理解したケアの提供が大切です。以下のような点に気を付けてポジショニングをしましょう。
- 過剰な角度をつける
- 骨突出部の圧迫
- 誤った姿勢保持
体圧を分散させるためにポジショニングを行いますが、クッションを入れる角度が過剰になると圧力が集中し逆に褥瘡が発生しやすくなります。
また骨突出部の圧が高まる体位は褥瘡のリスクが高まる要因です。正しい姿勢が保持できないと関節や筋肉も緊張し、痛みや拘縮の悪化につながります。
リスクマネジメントを心がければ事故や利用者さんへの苦痛は軽減できるので、医療者とも連携を取りながら、利用者さん個人への適切なポジショニングを行いましょう。
ポジショニングで使う道具
ポジショニングをするとき、タオルを丸めてクッションの代用に使用したり、利用者さんに苦痛なく移動介助する方法がわからなかったりと悩まれていないでしょうか。
ポジショニングで使用する介護用具を紹介します。
- クッション
- 体圧分散グローブ
- スライディングシート
- 体圧分散寝具
クッションには枕型やスネーク型、バナナ型などさまざまな形状や触感があるのが特徴です。
利用者さんのADLや、褥瘡リスクや呼吸機能など健康状態をアセスメントして適切なクッションを選択します。
体圧分散グローブは手袋タイプの除圧用具で、体位変換時に使用できます。
滑りやすい素材でできているので利用者さんの身体の下にスムーズに入れて背抜きや足抜き、ポジショニングができるでしょう。
スライディングシートは寝たきりの利用者さんのポジショニングや移動介助する場合に使用します。
すべりやすい素材で利用者さんの身体への摩擦を軽減して移動でき、褥瘡予防に有効です。
体圧分散寝具は、褥瘡のある利用者さん、または褥瘡リスクの高い利用者さんへ使用される場合があります。
体圧を分散できるさまざまなマットレスがありますが、リスクの高い利用者さんには個人の状態に応じてマットレスの圧を調節できるエアマットレスが使用されるケースがあります。
介護用具の仕組みと適切な使い方を理解できると、利用者さんが快適に過ごせることにつながるので、道具の有効活用が大切です。
正しいポジショニングのやり方を知って介護の仕事で生かそう
ポジショニングは専門性の高い技術なので一見難しいように感じますが、基本を理解しコツをつかめば上達します。
介護の質が向上して利用者さんに安楽に過ごしてもらえるだけでなく、ご自身のスキルアップにも結び付くでしょう。
「もっとポジショニング技術を習得して介護の現場で実践したい」と意欲のある方は、職場選びも大切です。
高齢化社会で介護が必要とされている昨今、研修や勉強会などを積極的に実施している職場も多く、介護の質を高める努力をしています。
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