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2026.10.2

認知症の方が食べ物を飲み込まないのはなぜ?嚥下障害の原因と解決策を解説

認知症の方が食べ物を口に入れたまま飲み込まなかったり、食事中にむせたりする様子を見て、どのように対応すべきか悩んでいる介護職の方は少なくないでしょう。

なかには、自分の介助の方法が間違っているのではないか、誤嚥させてしまうのではないかと不安を感じている方もいるかもしれません。

認知症では、飲み込む機能が低下していたり、食べ物を認識したりするのが困難になる場合があります。

このような嚥下障害に対し、適切な対応がなされないと、誤嚥や低栄養になる可能性があります。

また嚥下障害がある場合、食物や唾液の誤嚥による誤嚥性肺炎にも注意が必要です。

そのため、本記事では、嚥下障害の原因から対処法までを整理しています。さらに、リハビリと食事介助のポイントを解説します。

利用者に合わせた食事介助やリハビリを行う際の参考にしてください。

食べ物を飲み込まない嚥下障害と認知症の関係性

嚥下とは、食べ物を認識して口へ運び、咀嚼した後に飲み込む一連の動作を指します。

食べ物を胃へ送り込むための重要な機能です。

認知症になると、脳機能の低下によって食べ物を認識する力や、飲み込むための動作を調整する力が衰えることがあります。

その結果、口腔内に食べ物をため込んだり、うまく飲み込めなかったりする嚥下障害が生じます。

また、認知症による嚥下障害は、単に飲み込む力が弱くなるだけではありません。食べ物を認識できなくなったり、食事の方法を忘れたりするため、食事を拒否するのも特徴の一つです。

嚥下障害が進行すると、誤嚥や低栄養、脱水などのリスクが高まります。食べ物や唾液が気管に入ると誤嚥性肺炎を引き起こす可能性もあるため、早期に気付き、適切に対応するのが大切です。

認知症の方が食べ物を飲み込まない原因

介護職の方のなかには、認知症の方はなぜ食べ物を飲み込まないのだろうと疑問に感じた経験がある方もいるでしょう。

また、無理に食べてもらうべきか、それとも様子を見るべきか判断に迷う場合も少なくありません。

認知症の方が食べ物を飲み込まない原因はさまざまです。飲み込む機能そのものが低下している場合もあれば、食べ物を食べ物として認識できなくなっている場合もあります。

原因によって適切な対応方法は異なるため、まずは飲み込めない理由を理解するのが大切です。

ここでは、認知症の方にみられる代表的な原因を解説します。

飲み込む機能が低下している

飲み込む機能の低下は、認知症の方が食べ物を嚥下できない原因の一つです。食べ物を嚥下するためには、口唇や舌、喉などの嚥下に関連した筋肉が連携して働く必要があります。

加齢や活動量の低下、認知症の進行などによってこれらの筋力が衰えると、食べ物をうまく喉へ送り込めなくなります。飲み込む動作が十分に行えなくなるのが特徴です。

食べ物を飲み込んでも、口腔内に食べ物が残ったり、誤嚥が生じたりします。

また、本来であれば食べ物や飲み物が喉に到達すると自然に嚥下反射が起こります。これは食べ物を食道へ送り込み、気管への侵入を防ぐための重要な反応です。しかし、嚥下機能が低下すると、この反射がうまく機能しない場合があります。

その結果、口腔内に食べ物をため込んだり、飲み込むまでに時間がかかったりするケースも少なくありません。

飲み込む力の低下は誤嚥や誤嚥性肺炎のリスクを高めます。ただし、原因や重症度の判断には専門的な知識が求められるため、気になる症状が見られる場合は医師や言語聴覚士などの専門職に相談しましょう。

食べ物だと認識できていない

認知症の方のなかには、食べ物を食べ物として認識できず、食べるのを止めてしまう方がいます。これも認知症の方の嚥下障害の特徴の一つです。視覚や嗅覚、味覚の機能低下が関連している場合もあります。

また、食事の目的や食べ方そのものを忘れてしまい、目の前に食べ物があっても食事だと理解できないケースもあります。

食べ物を認識できていない場合、介助しても口から出してしまったり、拒否したりするのも特徴です。

施設などでは対応が困難な場合もありますが、本人の好きなものなら認識する場合もあるため、試してみるのも方法の一つです。

口腔内トラブルや疲労により飲み込めない

口腔内のトラブルや疲労が原因で、食べ物をうまく飲み込めない場合があります。口腔内のトラブルとしては、義歯の不具合や口内炎、歯の痛みなどが挙げられます。

特に義歯の不具合は食べにくさにつながりやすいです。気になる症状がある場合は歯科医師に相談しましょう。

義歯を調整し、正しく装着できるようになると、口腔内の違和感が軽減されるだけではありません。咀嚼や嚥下もしやすくなります。

また、疲労によって飲み込む力が低下しているケースもあります。注目したいサインは、食べ始めは問題なくても、途中から食事のペースが落ちる場合です。

さらに、むせ込みや誤嚥が増える場合は疲労の影響が考えられます。そのような場合は、一度に食べる量を減らし、食事を複数回に分けて摂取する方法も有効です。

さらに、食事そのものだけでなく、入浴やレクリエーションなどによる疲れが影響している可能性もあります。そのため、食事の場面だけに着目するのではなく、一日の活動量やスケジュール全体を見直すのも大切です。

認知症による嚥下障害のサイン

利用者に嚥下障害による小さな変化が見られても、見過ごしてしまう場合があります。

なかには、年齢のせいだから仕方がないと考えてしまう方もいるかもしれません。しかし、嚥下障害には早期に気付くためのサインがあります。

食事中のむせや食事時間の延長、食後の声の変化などは代表的な症状です。

この章では、認知症による嚥下障害のサインを解説します。日常の食事場面で確認したいポイントも紹介するので、参考にしてください。

食事中にむせることが増えた

食事中にむせるのは、必ずしも誤嚥しているとは限りません。しかし、嚥下機能が低下しているサインの一つです。特に、一口ごとにむせたり、その状態が続いたりする場合は注意が必要です。

認知症の方は介助者の声かけや指示が伝わりにくい場合がありますが、しっかり咳払いができれば気道内の異物を排出できることがあります。

一方で、むせ込みが続く状態で食事を継続すると、誤嚥や窒息につながる可能性があります。そのため、食事を一度中断し、口腔内や呼吸状態を確認するのが大切です。

また、吸引が必要になる前に咳払いを促したり、姿勢を整えたりすると改善する場合もあります。

食事に時間がかかる

食事時間が以前より長くなった場合も、嚥下障害のサインの一つです。特に、どの場面で時間がかかっているのかを観察するのが重要です。

食べ始めるまでに時間がかかるのか、口腔内に食べ物をため込んでいるのか、それとも飲み込むまでに時間がかかっているのかを確認しましょう。

飲み込みのどの段階でつまずいているかによって、原因は異なります。適切な対応につなげるためにも、状態をよく観察するのが重要です。

食事への意欲が低下している場合はメニューの工夫が有効なことがあります。一方、飲み込みにくさが原因であれば、食形態の変更や姿勢の調整が効果的な場合もあるでしょう。

食後に声質が変わる

食後に声がかすれたり、喉の奥がゴロゴロしたような声になったりする場合も、嚥下障害のサインです。

これは、飲み込み切れなかった食べ物や飲み物が喉や声帯付近に残っていることが原因として考えられます。

放置すると誤嚥につながる可能性があるため、注意が必要です。食後の声の変化に気付いた場合は、口腔内や呼吸状態を確認し、必要に応じて専門職へ相談しましょう。

むせや食事時間の延長、食後の声の変化などは、嚥下障害の可能性を示すサインです。ただし、原因や適切な対応は利用者によって異なります。

食事の時間や食形態、姿勢などを見直すと改善する場合もありますが、専門的な評価が必要なケースも少なくありません。気になる変化が見られた際は、記録を残し、多職種で情報共有を行うのが大切です。

嚥下障害への対応には、介護職だけでなく、看護師や言語聴覚士など多職種との連携が欠かせません。

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食べ物を飲み込まない認知症の方への対処法

認知症の方が食べ物を飲み込まない場面に直面すると、無理にでも食べてもらった方がよいのではと考えてしまう方もいるでしょう。

しかし、原因を確認せずに食事を続けると、誤嚥や窒息につながる可能性があります。また、本人にとって大きな負担となり、食事そのものを嫌がる原因になる場合もあります。

大切なのは、なぜ飲み込めないのかを見極め、その方の状態に合わせて対応することです。食事環境の調整や介助方法の工夫によって改善が期待できるケースも少なくありません。

ここでは、認知症の方が食事を続けられるよう、介護現場で実践しやすい対処法を紹介します。

言語聴覚士による専門療法を試みる

言語聴覚士は、嚥下障害の評価やリハビリを専門とする職種です。

認知症の方が食べ物を飲み込まない場合も、嚥下機能評価を行い、原因を把握します。

評価の結果、改善が見込める場合は、一人ひとりの状態に合わせたリハビリプログラムの作成も言語聴覚士の担当です。嚥下体操や口腔機能訓練、食事動作の練習などを通じて、飲み込めるように支援します。

また、食形態や食事介助の方法について助言を受けられます。介護職だけで判断するのは危険なため、医師や言語聴覚士、看護師などの専門職と連携しながら対応するのが大切です。

食事に集中できる環境を整える

食事に集中できる環境を整えるのも重要な対処法です。認知症の方は周囲の音や人の動きに注意が向きやすく、食事への集中が途切れてしまう場合があります。その結果、食べるのをやめてしまったり、飲み込むタイミングが乱れてむせたりします。

特に大人数のグループテーブルでは気が散りやすいため、必要に応じて一人用のテーブルを使用したり、パーテーションで視界を調整したりするのも有効です。

ただし、危険なく食事を続けるためには観察も欠かせません。そのため、自室で一人で食べてもらうのではなく、職員が様子を確認できる環境を整えるのが大切です。本人が落ち着いて食事に取り組める環境づくりを心がけましょう。

無理せずゆっくり食べてもらう

認知症の方が食べ物を飲み込まない場合は、無理に食事を進めるのではなく、本人のペースを尊重しながらゆっくり食べてもらうのも大切です。

食べる意欲があり、自力摂取が可能な方であれば、急がせず見守るだけでスムーズに飲み込める場合があります。

利用者自身のペースで食事をした方が、むせ込みや食べこぼしが少ない場合は、食べる速度と飲み込むタイミングが合っていると考えられます。

一方で、注意が必要なのは、認知症の影響により早食いになっている場合です。それにより、むせや誤嚥がみられる方もいます。

その場合は、自力摂取にこだわらず、職員が声かけや介助を行いながら食事を進めた方が危険なく摂取できます。

大切なのは、一人ひとりの状態に合わせて食事方法を調整することです。

認知症による嚥下障害への対応には、介護職だけでなく、看護師や言語聴覚士など多職種との連携も欠かせません。

利用者に合った支援を行うためには、相談しやすい職場環境や専門職との協力体制が整っているのも重要です。

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嚥下機能を維持・改善するためのリハビリ

認知症により飲み込まない場合や、嚥下機能が低下していても、リハビリによって維持や改善が期待できる場合があります。誤嚥を予防するためにも、重要な取り組みです。

ただし、認知症の進行状況や嚥下機能の状態、本人の意欲などによって効果には個人差があります。

嚥下リハビリには、間接訓練と直接訓練があります。食べ物を使用せずに口唇や舌、喉の機能を鍛えるのが、間接訓練です。実際に食べ物や飲み物を使用して行うのが、直接訓練です。

認知症の方のなかには、訓練の目的を理解するのが難しく、間接訓練への参加が困難な場合もあります。また、訓練を始めてもすぐに効果が現れるわけではないため、本人の状態に合わせながら継続できるようにしましょう。

この章では、嚥下機能の維持・改善を目指す代表的なリハビリ方法について解説します。

リハビリの内容や進め方を理解しておくことが、適切な支援の第一歩です。

舌・口唇・頬の運動や嚥下体操を行う

舌・口唇・頬の筋肉は、食べ物を口腔内でまとめたり、喉へ送り込んだりする役割を担っています。そのため、これらの筋肉を動かす運動は、嚥下機能の維持・改善に役立ちます。

例えば、パタカラ体操は口唇や舌、頬などの筋肉を動かす訓練です。食事前に行うと、口や舌の動きがスムーズになり、食べる動作がしやすくなります。

また、首や肩を動かす体操を取り入れるのもよいでしょう。食事前に実施すると、口や喉の動きがよくなり、スムーズな飲み込みにつながる場合があります。

認知症の方の場合は、複雑な動作が難しいこともあるため、無理のない範囲で継続するのが大切です。

発声練習や呼吸訓練で飲み込みを支える

発声練習や呼吸訓練も、嚥下機能の維持や改善に役立つリハビリの一つです。飲み込む動作には口や喉の筋肉だけでなく、呼吸機能も深く関係しています。

深呼吸や咳払いの練習などの呼吸訓練は、誤嚥した際に異物を排出する力の維持につながります。

認知症の方の場合は、長時間の訓練が負担になるため、本人の状態に合わせて無理のない範囲で継続できるようにしましょう。

専門職の指導のもと直接訓練を行う

直接訓練とは、実際に食べ物や飲み物を使用して行う嚥下リハビリです。飲み込む機能の状態を確認しながら、食事ができるよう訓練を進めるのがポイントです。

訓練では、一口量や食べる速度、姿勢などを調整しながら進めます。また、とろみを付けた飲み物や嚥下しやすい食形態の食品を使用する場合もあります。

ただし、直接訓練には誤嚥のリスクが伴うため、自己判断で行うのは避けましょう。医師や言語聴覚士などの専門職の指導のもとで実施するのが重要です。

介護職は、訓練中の様子や食事場面での変化を観察し、多職種へ情報共有する役割を担います。専門職と連携しながら支援すると、より適切な食事介助につながるでしょう。

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誤嚥や誤嚥性肺炎を防ぐ食事介助のポイント

認知症の方の嚥下障害では、リハビリだけでなく日々の食事介助も重要です。適切な介助を行うと、誤嚥や誤嚥性肺炎を予防するとともに、食事量の低下による低栄養や脱水の防止にもつながります。

利用者の状態に合わない食事介助を続けるのは、食事が進まなくなったり、誤嚥を引き起こしたりする原因になりかねません。低栄養や脱水、誤嚥性肺炎などにつながる可能性もあります。

ここでは、日常の介護現場で実践しやすい食事介助のポイントを紹介します。

食形態を嚥下状態に合わせて調整する

認知症の方が食べ物を飲み込まない場合は、嚥下状態や認知機能に合わせて食形態を調整するのが大切です。

食べ物が飲み込みにくい方には、とろみを付けた飲み物や、やわらかく調理した食事などが有効な場合があります。利用者の状態に合わせて食形態を見直すと、むせ込みや誤嚥の予防につながるでしょう。

一方で、認知症の影響により食事が進まない方には、見た目や香りを工夫するのも重要です。本人の好きな食べ物を取り入れたり、一品ずつ提供したりすると、食べ物だと認識しやすくなる場合があります。

また、食べやすさだけでなく、食べる意欲を引き出す工夫も欠かせません。食事量やむせ込みの状況を観察しながら、一人ひとりに合った食形態を検討しましょう。

食前・食後の口腔ケアを徹底する

口腔ケアは、誤嚥性肺炎の予防に欠かせない取り組みです。口腔内に細菌が多く存在している状態で誤嚥が起こると、誤嚥性肺炎を発症するリスクが高まります。

食前の口腔ケアには、口腔内を清潔にするだけでなく、唾液の分泌を促したり口腔内を刺激したりする効果も期待できます。そのため、食事の準備として実施するのは有効です。

また、食後は口腔内に残った食べかすや汚れを取り除くのも重要です。特に認知症の方は、自分で訴えられない場合もあるため、介護職が口腔内を確認しながら丁寧にケアを行いましょう。

食後すぐに横にならず姿勢を保つ

食後はすぐに横にならず、しばらく座った姿勢を保つのが大切です。食後すぐに横になると、胃の内容物が逆流しやすくなり、誤嚥のリスクが高まる可能性があります。

また、認知症の方のなかには、食後も口腔内に食べ物が残っている場合があります。その状態で横になると、残った食べ物や唾液を誤嚥するおそれがあるため、注意が必要です。

食後は口腔ケアや口腔内の確認を行いながら、30分程度は座位を保つのが望ましいでしょう。車いすを使用している方も、背もたれの角度を調整し、できるだけ安定した姿勢を維持するのが大切です。

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対処法を知って認知症の方の食べる力を支えよう

認知症の方が食べ物を飲み込まない原因にはさまざまあります。嚥下機能の低下だけでなく、食べ物を認識する力の低下や口腔内のトラブル、疲労などが要因です。

そのため、飲み込まないという行動だけで判断せず、原因を見極めながら適切に対応するのが大切です。

食事環境の調整や口腔ケア、リハビリなどを行うと、食事を続けられる場合もあります。介護職だけで抱え込まず、医師や看護師、言語聴覚士などの専門職と連携しながら支援していきましょう。

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