介護福祉士とは？

介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく国家資格を持つ介護のプロフェッショナルです。単なる身体介護だけでなく、生活全般の支援や相談援助、さらには介護計画の作成まで行える専門職として位置づけられています。

介護職員初任者研修や実務者研修修了者と比較して、より専門的な知識と技術を持ち、チームのリーダーとして活躍することが期待される職種です。

また、医療・福祉チームの一員として他職種と連携する際にも、介護の専門家として意見を述べる重要な立場にあります。

介護福祉士の資格は、介護職としてのキャリアを積むうえで大きな強みとなるでしょう。

介護福祉士の勤務先

介護福祉士の資格を持つと、さまざまな介護の現場で活躍することができます。施設によって業務内容や勤務形態などが異なるため、自分の希望やライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことができます。

主な勤務先としては、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・障害者支援施設・デイサービスセンター・在宅介護事業所・グループホームの6つが代表的です。

それぞれの現場の特徴を理解し、自分に合った環境を見つけることが転職成功のカギとなるでしょう。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホーム（特養）は、日常的に介護が必要な高齢者に対して、長期的なケアを提供する施設です。介護福祉士は、入居者さんの日常生活全般をサポートし、入浴・食事・排泄などの身体介護からレクリエーションの企画・実施まで幅広い業務を担当します。

24時間体制の施設のため、早番や遅番、夜勤があるシフト制での勤務であることが一般的です。入居者さんとの長期的な関わりができ、一人ひとりの変化や成長を見守れるといったやりがいがあります。

介護老人保健施設

介護老人保健施設（老健）は、病院から在宅復帰を目指す高齢者向けの、リハビリテーション中心の中間施設です。介護福祉士は、日常的なケアやレクリエーションの実施に加えて、理学療法士や作業療法士などの専門職と連携しながらリハビリテーションのサポートも行います。

医師や看護師、リハビリ専門職と密に連携するため、医療的な知識も自然と身につきやすい点が特徴です。

また、老健での仕事は単なる身体介護だけでなく、自立支援の視点が強く求められます。入所者さんの「できるようになった！」という成長や喜びを直接感じられる瞬間が多いのも魅力でしょう。

勤務形態は、特養と同様に24時間体制の施設であるため、夜勤を含むシフト制を採用していることが一般的です。

障害者支援施設

障害者支援施設では、身体障害や知的障害などさまざまな障害を持つ方々の生活をサポートします。

介護福祉士は、入所者さんの日常生活支援に加え、社会参加や就労支援なども行います。コミュニケーション方法や支援内容も障害特性によって大きく異なるため、専門的な知識と柔軟な対応力が求められる職場です。

仕事に慣れるまでは、臨機応変に対応しなければならない場面で、仕事の大変さを感じることもあるかもしれません。しかし、そういった場面を経験するごとに自分自身の成長を感じることができる点にやりがいを感じる方も少なくありません。

勤務形態は、施設体系によって異なります。入所施設では夜勤を含むシフト制、通所施設では日勤のみの勤務が一般的です。

デイサービスセンター

デイサービスセンターは、在宅で生活する高齢者が日中通ってくる通所介護施設です。

介護福祉士は利用者さんの送迎から、入浴・食事の介助、体操やレクリエーションの企画・実施など利用者さんの楽しみや生きがいづくりにも携わります。利用者さんの要介護度も異なるため、一人ひとりにあわせた適切なサポートを行う必要があります。

デイサービスセンターでは夜勤がなく、日中勤務が基本のため、家庭との両立がしやすい職場環境です。

在宅介護事業所

在宅介護事業所（訪問介護）では、利用者さんの自宅を訪問して介護サービスを提供します。介護福祉士は、身体介護や生活援助に加え、ご家族への介護指導も行います。

訪問介護は、施設での業務とは異なり、自宅への訪問からケアまですべて一人で行うことが一般的です。一人でケアに入ることがやりやすいと感じる方もいれば、一人では心細くチームでケアを行いたいと感じる方もいるため、職場選びの際には注意が必要です。

また施設とは異なり、利用者さんのプライベート空間での支援となるため、より配慮が必要となります。

訪問時間や件数によって勤務スケジュールを調整できる柔軟性があり、移動時間も含めて計画的に仕事を進めることが必要です。施設によっては、直行直帰を許可しているところもあるので、よりプライベートに時間を割ける場合もあります。

グループホーム

グループホームは、認知症の高齢者が少人数で共同生活を送る施設です。介護福祉士は、家庭的な雰囲気のなかで、調理や掃除などの家事も含めた生活全般の支援を行います。

少人数制のため、利用者さん一人ひとりにじっくり関わることができ、個別ケアを重視した介護を提供できます。認知症ケアの専門性が求められ、その人らしい生活を維持するための工夫や環境づくりが重要です。

小規模な職場のため、スタッフ同士の連携が密であり、チームワークを重視した働き方ができます。

グループホームも24時間体制の施設のため、日勤・夜勤に分かれたシフトが組まれます。

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介護福祉士の仕事内容

介護福祉士の仕事は、単なる身体介護にとどまらず、多岐にわたる専門的な業務があります。特に、現場のリーダー的な存在としての役割が求められます。

利用者さんの自立支援を基本理念とし、その人らしい生活を送るためのサポートを総合的に行うことが介護福祉士の仕事です。

ここでは、介護福祉士の主な仕事である身体介護・生活支援・相談や助言・社会活動支援・チームマネジメントについて詳しく解説します。

身体介護

身体介護は、利用者さんの身体的な生活行為をサポートする基本的な業務です。具体的には、食事・入浴・排泄・移動・着替えなどの介助が含まれます。

介護福祉士は単にこれらの介助を行うだけでなく、利用者さんがどの程度なら自分でできるのか見極めながら、その方の状態にあわせた介助方法を選択することが重要です。

また法改正により、一定の研修を受けた介護福祉士は、痰の吸引や経管栄養などの医療行為を実施できるようになりました。

生活支援

生活支援は、利用者さんが日常生活を快適に送るためのサポートです。食事の準備・洗濯・掃除・買い物など、生活全般に関わる援助を行います。

介護福祉士は単に代行するのではなく、利用者さんと一緒に行ったり、できることは自分でしてもらったりしながら生活の質を高める支援を心がける必要があります。

また、利用者さんの生活習慣や好みを尊重し、その方らしい生活リズムを維持できるように配慮することも大切です。

相談や助言

介護福祉士は、利用者さんやそのご家族からの相談に応じ、適切な助言を行う役割も担います。日常生活での困りごとから、介護保険サービスの利用方法や福祉用具の選定まで、幅広い相談に対応します。

専門的な知識を活かし、利用者さん一人ひとりの状況に合わせた具体的なアドバイスを求められることもあるでしょう。

また利用者さんとほかの専門職（医師や看護師、ケアマネジャーなど）との橋渡し役として、コミュニケーションを円滑にする役割も重要です。利用者さんの代弁者として意見を伝えることで、よりよいケアの実現に貢献できるでしょう。

社会活動支援

社会活動支援は、利用者さんが社会とのつながりを維持し、充実した生活を送るためのサポートです。具体的には、就労支援や地域活動の情報提供、社会参加支援などが含まれます。

利用者さんが社会から孤立せず、ご家族や地域の方々とよりよい関係を保てるようにサポートすることも介護福祉士の重要な業務の一つです。

チームマネジメント

経験を積んだ介護福祉士は、現場のリーダーとしてチームマネジメントの役割を担うことも多くあります。具体的には、介護計画の作成・評価や後輩職員の指導・育成、業務の調整などが含まれます。

専門職としての知識と経験だけでなく、現場全体をサポートするためのコミュニケーション能力や人間力なども必要です。

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介護福祉士の年収

厚生労働省の令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要によると、介護福祉士の月給は勤続年数別で以下のとおりです。

• 勤続年数1～4年：312,960円
• 勤続年数5～9年：324,350円
• 勤続年数10年以上：358,870円

これらの月給を12ヶ月分で計算すると、介護福祉士の全国平均年収は3,700,000〜4,000,000円程度であることがわかります。ただし、この金額は地域差や施設種別、役職の有無などによって大きく変動する点には注意が必要です。

一方、無資格や介護職員初任者研修の平均給与額は以下のとおりです。

• 無資格：270,530円
• 介護職員初任者研修：302,910円
• 介護福祉士：331,690円

以上のことから、介護福祉士は無資格や介護職員初任者研修と比較すると待遇がよく、勤続年数が長いほど安定した収入につながりやすいことがわかります。

さらに収入アップを目指す方は、認定介護福祉士やケアマネジャーなど、ほかの資格を取得することもおすすめです。

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介護福祉士に向いている方

介護福祉士に向いている方の特徴としては、まず人と接することが好きという点があげられます。日々利用者さんと密接に関わる仕事なので、コミュニケーションを楽しめる方に向いているでしょう。

また、「人の役に立ちたい」「誰かの生活を支えたい」という思いを持ち、他者のために働くことにやりがいを感じる方も適性があります。責任感が強く、細やかな気配りができる方も介護の現場では重宝されるでしょう。

さらに、チームで連携して業務を行うことが多いため、協調性やチームワークを大切にできる方も向いています。体力面では、ある程度の体力があることが望ましいですが、それ以上に持続力やストレス耐性が重要です。

介護福祉士の資格取得方法

介護福祉士の資格を取得するには、以下の4つのルートがあります。

• 福祉系の高校に通って受験資格を得る
• 養成施設に通って受験資格を得る
• 実務経験を積んで受験資格を得る
• 経済連携協定（EPA）を利用して受験資格を得る

どのルートを選んでも、最終的に国家試験に合格する必要がありますが、受験資格を得るまでの過程が異なります。それぞれのルートの特徴を知り、自分の経験や状況に合ったルートを選びましょう。

福祉系の高校に通って受験資格を得る

福祉系の高校を卒業することで、介護福祉士の国家試験受験資格を得ることができます。高校在学中に介護に関する基礎知識や技術を段階的に学び、現場実習も経験できます。

費用に関しては一般的な高校と差はなく、公立高校で年間500,000円程度、私立高校で年間1,000,000円程度かかることが一般的です。

卒業と同時に受験資格を得られるため、スピーディーに資格取得を目指せるルートといえるでしょう。

養成施設に通って受験資格を得る

介護福祉士養成施設に2年以上（高校卒業後に福祉系大学等・社会福祉士養成施設等・保育士養成施設等への入学・卒業をしている場合は1年以上）通学することで、介護福祉士の国家試験受験資格を得られます。

養成施設の学費は、施設によって異なりますが、2年で1,000,000〜2,000,000円程度かかります。

2017年実施試験までは、指定の介護福祉士養成施設を卒業することで、介護福祉士の資格を取得できました。しかし今後は、指定の介護福祉士養成施設を卒業し、介護福祉士国家試験を受験して資格取得を目指すルートに変更される予定です。

2017年4月1日から2027年3月31日までの期間に介護福祉士養成施設を卒業した方は、特別な経過措置の対象となります。この措置により、国家試験に合格しなくても、卒業してから5年間は暫定的に介護福祉士の資格を持つことができます。さらに、一定の条件を満たせば、その後も資格を継続して保持することが可能です。

実務経験を積んで受験資格を得る

介護現場で3年以上（従業日数540日以上）の実務経験を積み、実務者研修もしくは介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修を修了することで、介護福祉士の国家試験受験資格を得るルートです。ただし、介護職員基礎研修は2012年に廃止されています。

実務者研修の費用は100,000～150,000円程度で、期間は6ヶ月程度であることが一般的です。

このルートは働きながら資格取得を目指せるため、収入を得ながらキャリアアップできます。現場経験を積んでから資格を取得するため、実践的な知識や技術が身についた状態で試験に臨めます。

ただし、働きながらの学習は時間管理が難しく、仕事と勉強の両立にはある程度の覚悟が必要です。

経済連携協定（EPA）を利用して受験資格を得る

経済連携協定（EPA）は、インドネシア・フィリピン・ベトナムから来日する外国人介護福祉士候補者を対象とした特別なルートで、日本人は対象外です。

候補者は日本の介護施設で働きながら実践的な介護技術を習得し、3年以上の実務経験を積んだ後、介護福祉士の国家資格試験に合格することが求められます。

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