介護職が資格取得でスキルアップするメリット

介護・福祉の分野で働いている方のなかには、将来の働き方や待遇に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

介護職では、資格の取得によって業務の幅が広がります。また、国家資格や専門資格の取得で、給与面での待遇改善や新たなポジションへの挑戦が可能でしょう。

本記事では、介護職としての将来設計に役立つ資格と取得方法を解説します。資格の活用によって実現できる働き方を知り、今後のキャリア形成に役立ててください。

給与や待遇の向上

介護職の資格有無は給与に直接影響する要素です。介護福祉士などの国家資格を取得すると、資格手当の支給や基本給の増額などの待遇向上が期待できます。

介護現場では、介護職員処遇改善加算などの制度も導入されているため、職場側も資格取得を積極的に評価しやすい環境です。

介護福祉士のような上位資格を持つことで、リーダー職や役職登用などのキャリアの道も開け、長期的な収入増にもつながります。

仕事の幅が広がる

介護職は資格の取得で業務の種類が増えます。無資格では生活援助などに限定されますが、資格があればより専門性の高い仕事も任されるでしょう。

現場では利用者に応じた個別のケアが必要です。また、ほかの職員への指導や家族との連携など、さまざまな対応が求められます。

資格があるとチームのなかで中心的な役割を担う場面が増え、責任ある仕事を任されることで、立ち位置も変わっていくでしょう。

転職やキャリアアップが有利に

介護職の資格は、自分の能力を客観的に示す手段の一つです。特に転職の場面では、現場経験だけでなく資格があることが強みです。

保有資格によって応募できる求人の選択肢が増えます。夜勤のない正社員求人や、将来的に管理職を見据えた募集では、資格保有者が優遇されるケースが多くあります。

キャリアアップの面では、一定以上の資格を持つことで管理職や教育担当へのステップアップも可能です。

基本的な介護資格と取得方法

介護の仕事を始めたばかりの方にとって、最初にどの資格を目指せばよいのか迷うことも多いでしょう。

現場では段階的にステップアップできる資格制度が整備されており、初任者研修から国家資格である介護福祉士まで、順を追って取得する流れが一般的です。

ここでは、未経験の方が最初に取得する資格から介護職として一定のスキルを積んだ先に目指す資格まで、代表的な3つの資格を紹介します。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、介護の基礎を学ぶための入門的な資格です。以前のホームヘルパー2級に相当します。

研修は130時間と短期間で修了でき、通信と通学を組み合わせた講座も多く、働きながらの取得も可能です。

取得後は、身体介護や生活援助を単独で行えるようになるため、現場での活躍の幅が一気に広がります。介護業界で働き続けるための第一歩となる資格でしょう。

介護福祉士実務者研修

実務者研修は、介護福祉士国家試験の受験資格を得るために必要な中級資格です。訪問介護のサービス提供責任者として配置される条件の一つです。

研修時間は450時間と初任者研修よりも長く、医療的ケアや介護過程の理解を深める内容が含まれます。初任者研修を修了している場合は、一部科目が免除です。

この資格の取得で、より専門的な介護技術を身につけられ、重度の要介護者にも対応できるようになります。職場での役割も広がり、チーム内での信頼も高まるでしょう。

介護福祉士（国家資格）

介護福祉士は、介護職で唯一の国家資格です。専門性と実務経験の証明となる資格であり、取得によりキャリアや待遇に大きな差が生まれます。

受験には、実務経験3年以上と実務者研修の修了が必要です。試験は年1回実施されており、筆記と実技の両方で評価されます（実技は原則廃止され、介護技術講習などで代替可能）。

介護福祉士の資格があると、資格手当の支給対象となり、管理職や教育担当への登用機会も増えるでしょう。

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介護福祉士取得後に目指したい上位資格

介護福祉士の資格を取得した後も、さらなるスキルアップを目指す道は多くあります。

上位資格の取得で、業務の裁量や責任の範囲が広がり、現場や組織内での存在価値が高まるでしょう。

ここでは、介護福祉士取得後に目指せる上位資格として、以下の3つを紹介します。

認定介護福祉士

認定介護福祉士は介護福祉士の上位資格です。現場の実践力だけでなく、他職種との連携や後進育成などのマネジメント力が求められます。

資格取得には、介護福祉士の資格保有と5年以上の実務経験が必要です。また、所定の認定研修（約1年間、450時間以上）修了が求められます。

現場経験を積んだうえで実践的な知識・技術に加え、チーム内での指導力や連携スキルを高めたいと考えている方にとって、ステップアップの有力な選択肢となる資格です。

ケアマネージャー（介護支援専門員）

ケアマネージャーは、要介護者が適切な介護サービスを受けられるよう支援する専門職です。介護と医療の架け橋として、利用者・家族・関係機関との調整を担います。

主な業務内容は、ケアプラン（介護サービス計画書）の作成です。

また、サービス提供事業者との連携、利用者の状況把握やモニタリングなども行います。現場での介護業務というよりは、計画と支援の側面が強いです。

介護福祉士などの国家資格を有したうえで、5年以上の実務経験（900日以上）が必要です。

その後、都道府県が実施する介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、実務研修の修了で資格を得られます。

介護現場から一歩進んで、サービス全体を俯瞰しながら支援を行いたい方にとって、キャリアの幅を大きく広げるステップとなる資格です。

居宅介護支援事業所や特別養護老人ホームなど、さまざまな職場で活躍できる点も魅力的です。

主任ケアマネージャー

主任ケアマネージャーは、ケアマネージャーとしての豊富な経験をもとに活躍する上位資格です。ほかのケアマネージャーの指導・育成や、チーム全体の支援体制の強化に取り組みます。

この資格は、介護支援専門員として5年以上の実務経験（通算して900日以上の従事日数）を積み、かつ都道府県が指定する主任介護支援専門員研修を修了で取得できます。

主任ケアマネージャーになると、事業所全体の支援体制にも関わり、後進の育成にも携わっていくでしょう。

複雑なケースに対する助言や、多職種連携の調整役としての立ち回りなど、より高度な判断と経験が求められる場面も多くなります。

また、介護保険制度の改定や地域包括ケアシステムの推進に伴い、地域のケアマネジメントの中核としての役割が期待されています。

職域の広がりと社会的な信頼性の高さから、将来的に管理職や経営層を目指す方にとって、大きなステップになる資格です。

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専門分野でのスキルアップ資格

介護の現場では、利用者の多様なニーズに応える専門的なスキルも求められます。専門資格の取得で、ほかのスタッフとの差別化が図れ、担当できる業務の幅も広がるでしょう。

ここでは、介護現場で実際に役立つスキルアップ資格を紹介します。

それぞれの資格が活かされる場面や取得方法もあわせて解説するため、「自分の得意分野を伸ばしたい」「実務に直結する知識を身につけたい」と考えている方にとって、キャリア選択の参考になるでしょう。

喀痰吸引等研修

喀痰吸引等研修は、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアを介護職が実施するために必要な資格です。

医療行為にあたるこれらの業務は、法律上、無資格では行えません。

研修には、不特定多数の利用者に対する実施が可能となる第1・2号研修と、特定の利用者にのみ対応可能な第3号研修があります。

介護施設や訪問介護などでの医療的ケアが求められる現場では、特に重宝される資格です。

レクリエーション介護士

高齢者施設やデイサービスでは、日常生活の補助だけでなく、心身の活性化や孤立予防としてレクリエーション活動の充実も求められます。

レクリエーション介護士は、高齢者に合った遊びや体操、交流活動などを企画・実施できる専門職です。介護の資格がなくても受講可能で、通信講座などで取得できます。

現場での即戦力となる実践的なスキルが身につくため、施設での評価も高まるでしょう。

介護予防運動指導員

介護予防運動指導員は、利用者の身体機能の維持・改善を目的とした運動プログラムを指導する専門家です。

理学療法士などの専門職とは異なり、運動の基礎的な知識をもとに、現場での実践的な指導が可能になります。

自治体によっては地域包括支援センターなどでも活躍しており、今後の介護予防重視の流れのなかで、注目度の高い資格です。

サービス介助士

サービス介助士は、高齢者や障害者に対する接遇・応対スキルを体系的に学べる民間資格です。

特に接客業務を含む介護施設や、福祉施設の窓口対応などでの活用が期待されており、介護職としてのホスピタリティを高めるうえでも役立ちます。

安全な声かけ・見守り・誘導の基本から学べるため、利用者との信頼関係の構築にも直結します。

実践に直結する専門資格を活かせば、介護現場での評価も高まるでしょう。

資格を取得しても、それを活かせる職場に就くことが重要です。もし、資格を活かせる環境を探しているなら、ハッシュタグ転職介護で転職のプロに一度相談してみてはいかがでしょうか？

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認知症ケアに役立つスキルアップ資格

認知症のある方への介護は、一般的な身体介護とは異なる専門的な知識と対応力が求められます。

高齢化が進むなか、認知症の利用者は今後も増加が見込まれており、現場でも高い専門性が評価される分野です。

ここでは、認知症ケアのスキルを段階的に高められる資格を紹介します。

現場で実践的に役立つ研修から、リーダー職を目指せる上級資格まで、目標や現在の立場に応じて選べるラインナップです。

認知症ケア専門士

認知症ケア専門士は、認知症の人の心理や行動を深く理解し、適切な対応や支援ができる専門職として認定される資格です。

認定試験を受けるには、3年以上の実務経験と研修受講などの条件があります。

取得後は、認知症に関する相談対応や、ほかスタッフへの指導・助言なども担えるようになります。

認知症介護基礎研修

認知症介護基礎研修は、2024年度から原則すべての介護職員に受講が義務化された基本研修です。

認知症の人との接し方や理解の仕方、日常ケアの注意点などを基礎から学ぶことができます。

無資格・未経験で介護職に就く方には最初の一歩として位置づけられ、施設での業務を円滑に行うためにも重要な内容が含まれています。

認知症介護実践者研修

認知症介護実践者研修は、現場での認知症ケアをさらに深めたい介護職向けの研修です。

認知症の理解だけではなく具体的なケア技法や行動・心理症状への対応、記録の取り方など、より実践的な知識と技術が身につきます。

受講には一定の実務経験が必要です。研修を修了すると、職場での認知症ケアの中心的役割を担うことができるでしょう。

認知症介護実践リーダー研修

認知症介護実践リーダー研修は、すでに実践者研修を修了し、一定の経験を積んだ介護職員が対象です。

施設や事業所での認知症ケアの中心的存在として、チームをまとめる役割を担います。

この研修を修了することで、管理者や教育担当など、より高いキャリアステージへの道が拓かれるでしょう。

認知症ケアの専門性は、今後ますます求められる分野です。

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介護職が取得できる関連国家資格

介護職としての経験を活かしながら、より幅広い視点から支援を行いたいと考える方には、福祉全般に関わる国家資格の取得も選択肢です。

これらの資格は、介護現場に限らず、地域福祉や医療との連携にも携わる仕事に就くうえでの武器となります。

ここでは、介護職が目指せる関連国家資格として、以下の3つを紹介します。

社会福祉士

社会福祉士は、生活上の困難を抱える方の相談に応じ、福祉サービスの利用支援や関係機関との調整を行う専門職です。

介護職での経験を基盤に、地域包括支援センターや医療機関、行政窓口などで活躍の場が広がります。

受験には指定された養成校の修了や実務経験が必要です。相談援助の専門性を高めたい方に適した資格です。

精神保健福祉士

精神保健福祉士は、精神疾患をもつ方の社会復帰や生活支援を担う国家資格です。介護の現場でも、精神的に不安定な高齢者のケアや家族支援に役立つ知識が得られます。

受験には専門養成校の修了などが必要で、メンタルヘルスの分野に関心がある方におすすめの資格です。

福祉住環境コーディネーター

福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障害者の住まいに関する環境整備の専門家です。介護職としての視点を活かし、住宅改修や福祉用具の選定を支援する役割を担います。

試験は独学でも受験可能で、介護職のスキルアップとして現場で重宝されやすい資格です。なお、1級・2級・3級があり、2級以上の取得で仕事の幅が大きく広がります。

介護職として資格取得・スキルアップを目指そう

介護の現場で働くなかで、「もっと知識を深めたい」「将来のキャリアを明確にしたい」と感じる場面は少なくないでしょう。

介護職には段階的な資格が多数存在し、それぞれがキャリアの礎となる役割を果たします。

基本的な資格から始まり、専門分野や認知症ケア、さらには福祉全体を見渡す国家資格に至るまでの幅広い選択肢が用意されています。

資格の取得で、現場での実践力はもちろん、転職市場での価値や待遇面の向上にもつながるでしょう。

スキルアップの第一歩として、まずは情報収集から始めてみてください。

各資格の内容や取得方法を調べるだけでも、今後のキャリア設計が明確になるはずです。

さらに、転職支援サービスやキャリア相談を活用すると、自分では気付かなかった選択肢や自分に合った職場が見えてくるでしょう。

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