ホームヘルパーの仕事内容

ホームヘルパーの仕事は、身体介護・生活援助・メンタルケアの3つに分けることができます。それぞれ明確な区分があり、どの仕事を提供するかで報酬も異なります。

介護施設とは異なり、一人で利用者宅へ出向きサービスを提供するのが特徴です。

身体介護

身体介護とは、利用者の身体に触れて行うサービスを指します。

利用者の身体を支えながら歩く歩行介助や、寝たきりの利用者のオムツ交換などが身体介護です。

また、掃除や洗濯を利用者とともに行う場合は身体介護に該当します。

身体介護に従事するためには、介護職員初任者研修以上の資格が必要です。

研修では、介護保険制度や介護サービスが提供される仕組みのほか、ボディメカニクスという体を使うときの基本的な法則を学びます。

身体介護はヘルパーに身体的な負荷がかかるため敬遠されがちですが、正しい体の使い方をすれば最小限の負担で介助することができます。

身体介護に不安がある方はまずは生活援助だけに従事し、徐々に身体介護を学んでケアの幅を広げる方法がよいでしょう。

事業所によっては、研修制度や資格取得支援を行っており、費用を抑えて技術を習得できる場合があります。

生活援助

生活援助では、利用者宅で掃除・洗濯・調理などの家事を代行します。

家事のやり方は利用者ごとに異なるため、ケアを進めるなかで順番や使う道具などの確認が必要です。

また、外出が難しい利用者の代わりに買い物を行うことがあります。

買い物ケアでは利用者のお金を預かるため、金額に誤差が出ないよう正確に扱い、間違ったものを買わないよう注意します。

基本的には通常の家事と変わらないため、日頃培った家庭的なスキルを活かすことが可能です。

生活援助に従事するためには、生活援助従事者研修以上の資格が必要です。

メンタルケア

利用者のメンタルケアも、ヘルパーの仕事の一つです。

訪問介護の現場では、サービスと並行してメンタルケアが行われます。

具体的には、コミュニケーションのなかで利用者の困りごとを聞いたり、不安に寄り添ったりします。

訪問介護は1対1のコミュニケーションが基本であるため、信頼関係が築かれやすく、場合によっては家族よりも近い存在です。

利用者の家族のメンタルケアもホームヘルパーの役割です。利用者の家族のなかには、介護に疲弊して悩みを抱えているケースが少なくありません。

毎回の訪問で声をかけたり近況を伺ったりすることで、悩みを打ち明けやすい関係を築きます。

利用者はデイサービスや訪問看護など、複数のサービスを併用していることが多く、機能訓練指導員は利用者にとって一番身近な専門職として心を支える重要な存在です。

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ホームヘルパーの仕事で苦労すること

ここでは、ホームヘルパーの仕事で苦労することを紹介します。

体力的な負担

ホームヘルパーの仕事は、訪問中に常に動き続けるため体力的な負担がかかります。

特に身体介護の場合は、利用者を抱えて車いすに移乗したり中腰の姿勢でオムツ交換をしたりする必要があり、身体への負荷が大きい業務です。

介助方法が難しい場合や身体への負担が大きい場合は、利用者の担当者に相談することで介助方法が変更され、無理なく実施できるようになることもあります。

訪問中以外は事務作業で座っている時間もあるため、常に立ち続ける必要のある施設勤務と比べると体力の消耗は少ないといえます。

精神的な負担

訪問介護は基本的に一人で利用者宅へ訪問するため、一人で判断し行動するプレッシャーがかかります。

訪問中に自分だけで判断できないことがあればすぐに電話で確認します。

確認する姿勢を示すことで、仕事仲間や利用者から信頼されるホームヘルパーになれるでしょう。

また、人間同士である以上、どうしても相性の問題が生じます。

良好な人間関係が築けないことで、訪問すること自体がつらくなるケースもまれにあるでしょう。

ベテランの先輩職員であれば訪問介護の精神的なつらさをよくわかっているため、相談すると「このように考えると楽だよ」といった解決策を教えてくれます。

それから、ホームヘルパーの仕事にはオムツ交換や掃除などが含まれており、きれいな仕事とはいえません。

汚物のにおいや汚れの掃除などにより、精神的な負担を感じる人は少なくないでしょう。

ホームヘルパーの苦労あるある

ここではホームヘルパーの現場でよくある苦労を紹介します。

給与が上がりにくい

ホームヘルパーの仕事は給与が上がりにくいため、苦労を感じる場合があります。

長く働くことで時給や基本給は少しずつ上がりますが、大きな昇給は望めません。

身体的な負担がかかるのに賃金が低く、割に合わないと感じているヘルパーは少なくありません。

給与水準は働く事業所によって違うため、事業所選びの際にチェックしておきましょう。

また登録ヘルパーの場合、訪問中にしか時給が発生しないため、収入が低い傾向にあります。

ホームヘルパーとして生計を立てたい方は、正社員になる必要があるといえるでしょう。

拘束時間が長め

拘束時間が長いため、ホームヘルパーの仕事に苦労を感じる場合があります。

ホームヘルパーの仕事は利用者宅への移動が伴うため、拘束時間が長くなりがちです。

訪問スケジュールの関係で業務時間外に移動しないと間に合わない場合、就業時間外に働かなければなりません。

そのため「拘束時間が割に合わない」と感じる人が少なくないようです。

スケジュール管理が大変

ホームヘルパーはスケジュール管理が大変です。

訪問スケジュールがタイトな日は、「次の現場に間に合わない」と焦りながらケアを行うことになります。

利用者ごとにケア内容が異なり、なかには時間内で終えられるかギリギリの訪問もあります。

「もっと丁寧に対応したいのに」と、理想とのギャップに悩むヘルパーが少なくありません。

また、ヘルパーのスケジュールはその日の訪問予定で決まります。日によって訪問予定が変動するため、その分スケジュール管理に苦労を感じることが少なくありません。

訪問介護の現場ではスケジュール帳に予定を書き込み、何度も確認したり出発時間にアラームを設定したりして時間の勘違いを防ぐなど、さまざまな工夫が行われています。

腰痛に悩まされる

介護の仕事では、体の使い方を誤ると腰痛を引き起こすことがあります。利用者宅は施設に比べて設備が整っていません。

そのため、無理な介助方法や長時間の中腰姿勢など、ヘルパーの体に負担がかかる介護が行われることがあります。

腰の痛みを感じたり身体に負担がかかっていると感じたりする場合は、担当者に相談しましょう。

無理のない介助方法に変更してもらうことで、ヘルパーの身体だけでなく利用者の安全も守ることができます。

もともと腰痛のある方は、ベルトやコルセットなどによる腰痛予防が必要です。

また、事業所によっては人手不足で負担の大きいケアに従事する回数が多いことで腰痛に悩まされることがあるでしょう。

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ホームヘルパーの仕事は苦労が多いと感じたときの対処法

ここでは、ホームヘルパーの仕事に苦労を感じたときの対処法を紹介します。

自分に合った改善策をとることで、つらさを乗り越えられます。

管理者や責任者に相談する

「時間内にケアが終わらない」「利用者への接し方がわからない」など悩んだときは、なんでも管理者や責任者に相談するのがおすすめです。

訪問介護事業所には、必ずサービス提供責任者と管理者が配置されています。

訪問介護に長く従事しているため、介護に関する施策を熟知しており、相談してみると具体的なアドバイスはもちろん、ケアの変更を検討してくれることもあります。

訪問介護では一人で行動することが多いため悩みを抱え込みやすいです。

ほかの職員に話を聞いてもらうように意識すると、一人で抱え込まずに済み、ホームヘルパーの仕事を長く続けることができます。

キャリアアップを目指す

ホームヘルパーの仕事で苦労を感じたときは、キャリアアップで解決できる場合があります。

身体的な負担に悩んだ場合、サービス提供責任者へキャリアアップすることで訪問の件数が減り、身体への負担を軽減できます。

その他にも、訪問介護の経験を活かして介護福祉士やケアマネージャーの資格を取得したり障がい分野の支援員になったりと、キャリアアップの道はさまざまです。

キャリアアップによって、新たなやりがいや仕事の面白さを感じられるようになります。

介護現場で働く人のなかには、働きながら資格勉強をしている人が少なくありません。

ホームヘルパーとして働きながら自分のキャリアを考えることで、苦労があっても「今頑張れば将来の自分の役に立つ」と考え、前向きに乗り越えられます。

また、キャリアアップによって収入の増加も見込めます。

事業所によっては、資格取得の支援制度や資格手当などに違いがあるため、就職する前に確認しましょう。

キャリアアップのための学習は日々のホームヘルパーの仕事にも役立つため、自分のケアに自信を持つことにもつながります。

YouTubeやInstagramなどのSNSで気軽に勉強できるため、ホームヘルパーの仕事に行き詰まったときはキャリアアップを考えてみましょう。

ホームヘルパーの仕事を選んだ理由を振り返る

ホームヘルパーとして働くうちに目の前の仕事をこなすことで精一杯になって、仕事にやりがいを感じなくなってしまうかもしれません。

そんなときは、ホームヘルパーになったときの気持ちを思い出すことで、初心に返ることができます。

ホームヘルパーを選ぶ理由はさまざまでしょう。

利用者が「ありがとう」と声をかけてくれたり、利用者の生活を直接的にサポートできたりと、ホームヘルパーだからこそのやりがいは少なくありません。

自分が何にやりがいを感じたのか思い出すことで、仕事のつらさを乗り越えることができます。

転職する

ホームヘルパーの仕事がつらくなってしまい、どのような対処法でも効果がなければ、転職するのも解決策の一つです。

労働環境が原因の場合、どのように頑張ってもどんどん疲弊するばかりです。

働き方や給与など、どこに不満を感じたのかを明確にして、それを改善できる職場への転職を目指します。

介護業界であれば、より高い給与や柔軟な働き方ができる高齢者施設やデイサービスなどへの転職が可能です。

また、介護業界以外への転職であっても、ホームヘルパーの経験は十分活かすことができます。

ホームヘルパーとして培った細部への気配りや手際よく作業する能力は、今後のキャリアでも必ず活かせる強みです。

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ホームヘルパーのやりがい

ホームヘルパーはやりがいのある仕事です。実際に、ホームヘルパーに魅力を感じて、何十年も従事している方も少なくありません。

利用者の生活を支える実感、感謝される喜び、1対1で深く関われる満足感は、ホームヘルパーでしか感じられないやりがいです。

サービスを利用しながら在宅生活を続けている利用者のなかには、「この家で生活する」という強い意志を持った方が少なくありません。

そんなエネルギーを持った利用者のお手伝いができることに、誇りを感じるでしょう。

また、利用者の希望に沿ったケアが実現できることもやりがいの一つです。

施設では起床時間や食事の時間がある程度決まっているのに比べ、訪問介護では利用者の希望する生活を実現するためにケア内容を組み立てます。

利用者本位の介護ができるため、やりがいを感じやすいでしょう。

実際に訪問を喜んでくれる一人暮らしの方は多く寂しさを感じている方や、介護を頑張っている利用者の家族から感謝の言葉をいただくことがあります。

利用者やその家族にとってヘルパーは、話を聞き、ときに親身になってアドバイスをしてくれるありがたい存在です。

「ありがとう」という言葉は、働く人にとって何よりもうれしい言葉です。

ホームヘルパーの仕事には、やりがいを感じられる場面が多くあります。

ホームヘルパーに向いている方の特徴

ホームヘルパーは未経験からでも活躍できてやりがいのある仕事です。

ここでは、ホームヘルパーに向いている方の特徴を解説します。

少しでも当てはまる点があれば、あなたにとってホームヘルパーは天職となる可能性があります。

利用者に寄り添う気持ちやコミュニケーション能力がある

ホームヘルパーは、コミュニケーション能力を発揮する場面が多くあります。

コミュニケーション能力がある方は利用者との信頼関係を築きやすいため、ホームヘルパーに向いているといえます。

話し上手である必要はなく、利用者に寄り添ったコミュニケーションができることが大切です。

利用者にはさまざまな方がいます。お話し好きな方にはテンションを合わせて話題を提供し近況を伺うなど、現場では利用者に寄り添った丁寧なコミュニケーションが求められます。

反対に、ヘルパーが一方的に話したり話をさえぎってしまったりすると、利用者との信頼関係は築きにくいでしょう。

人に相談されることが多い方や聞き上手な方は、ホームヘルパーに向いているといえます。

家事スキルを活かしたい

家事の経験がある方は、ホームヘルパーとして十分な素質があります。

得意ではなくても掃除や洗濯など一通りの家事を日常的にやっていた経験があれば、ホームヘルパーの仕事に有利です。

訪問介護の仕事は身体介護と生活援助に分かれており、このうち生活援助は、通常の家事と同じ内容だからです。

利用者宅で利用者にやり方を確認しながら、調理・掃除・洗濯などの家事を行います。

利用者の家族の分の家事は行えない、大掃除に該当する家事は行えないなど、訪問介護の生活援助にはルールがあるため上司や先輩職員に確認しながら仕事を進めます。

柔軟な働き方がしたい

柔軟な働き方を望む方は、ホームヘルパーの仕事に向いています

ホームヘルパーは、正社員だけでなくパートや登録ヘルパーといった雇用形態があるためです。

登録ヘルパーは、ヘルパーの自宅から利用者宅へ訪問し、ケアを終えると自宅へ帰ります。登録ヘルパーであれば、「家事の隙間時間に1件だけ」「週に3日間だけ」といった働き方が可能です。

その他にも、日中だけ働くパート職員や夜勤だけを担当する夜勤専従の職員などがあります。

ヘルパーのスケジュールは訪問予定によって決まるため、正社員であっても柔軟に働くことが可能です。実際の勤務体制は事業所によって異なるため、入職前に確認しましょう。

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働きやすい職場でホームヘルパーとして活躍するなら

ホームヘルパーの仕事は、体力的にも精神的にも楽な仕事とはいえません。

しかし、感謝されながら働くことができ未経験でも活躍できる仕事です。

訪問介護事業所ごとに給与や働き方の選択肢が異なるため、事業所選びが重要になります。

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