介護福祉士とは

介護福祉士は、介護現場を支える大きな役割を担っています。未経験からでも経験を積みながら目指すことができるため、これから介護の道に進みたい方にとって、現実的な選択肢といえるでしょう。

ここでは、将来的なキャリアの広がりに期待できる介護福祉士について詳しく解説します。

国家資格を持つ専門職

介護福祉士は、介護に関する知識や技能を習得していることを証明する国家資格です。数ある介護系資格のなかでも、唯一の国家資格として位置付けられており、介護分野で信頼性が高い特徴があります。

介護士との違い

介護福祉士と介護士の決定的な違いは、国家資格の有無です。介護士は資格を必要としないため、誰でも従事できる職種であるのに対し、介護福祉士は国家資格を取得して初めて名乗ることができます。

そのため、介護福祉士は根拠に基づいた介護の実践に加えて、利用者の自立支援に向けた介護過程の展開や介護士への助言を行います。また、多職種連携を含む施設環境の整備など多角的な役割を担うため、介護士と比較してよりプロフェッショナルな職種です。

仕事内容

介護士と介護福祉士のどちらも介護サービスに携わりますが、双方の違いは業務の幅と責任の重さです。介護士は、食事や入浴の補助など基本的なケアを中心に行います。一方、介護福祉士はケア全体を設計・管理する立場として、利用者の身体状態や生活環境を踏まえた介護計画の立案や実施を行います。

さらに、介護士への指導や育成といった教育的な役割を担うのも介護福祉士です。施設運営における管理業務やチーム内での調整など、マネジメント的な視点を求められる場面があり、現場における中心的な存在として機能します。

このように、介護士よりも責任の重い働き方が求められる職種といえます。

介護福祉士になるには

介護福祉士は、未経験からでも現場で経験を積みながら資格取得を目指すことができる国家資格です。働きながらキャリアアップを図りたい方にとって、現実的で計画的に進めやすい資格といえます。

介護福祉士になるための主なルートは以下のとおりです。

• 介護職として3年以上の実務経験を積み実務者研修を修了したうえで国家試験を受験する
• 高校卒業後に大学や短期大学などの養成施設で2年以上学ぶ
• 福祉系高校で所定のカリキュラムを履修して卒業する

　

介護福祉士へのルートは、実務経験・養成施設・福祉系高校の3つです。実務経験ルートは3年以上の実務と研修修了が必要で、筆記試験のみ受験します。養成施設や福祉系高校卒業後も受験資格が得られ、どちらも実技試験は免除されます。

それぞれのルートには特徴があり、生活スタイルや現在の状況に応じて選択しましょう。未経験からスタートしても資格取得を目指せるため、介護分野で長く働きたい方にとって、将来のキャリアを築くうえで有効な選択肢です。

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介護福祉士の平均年収や平均給与

介護福祉士の年収や給与はどの程度なのか、目安がわからず不安を覚えることがあるかもしれません。介護福祉士は一定のスキルが求められる国家資格であり、安定した収入を期待できる職種といえます。

地域差や勤務先の制度によっても条件は異なりますが、継続的なキャリア形成が見込める点も魅力の一つです。

平均年収

介護福祉士の平均年収は、厚生労働省の調査によると3,944,640円となっています。これは年収ベースでおおよそ4,000,000円という水準であり、ほかの介護職関連資格と比べても高めの金額です。

例えば、介護職員初任者研修のみを修了している方と比較すると、介護福祉士は300,000円以上高い傾向にあります。資格の有無が水準に直結することから、介護福祉士の資格取得は収入面でも有利に働くといえます。

平均給与

介護福祉士の平均給与は、厚生労働省の調査によると328,720円となっています。年収ベースで換算すると3,944,640円、無資格の介護職と比べて月収60,000円以上で、年収では760,000円の差があります。

これは、業務のスキルや責任の重さ、資格手当などが反映されている結果です。介護福祉士としてのスキルと経験が認められることで、給与面でも安定した収入が期待できます。継続的なキャリア形成を考慮すると、現実的かつ堅実な選択肢といえるでしょう。

介護福祉士の平均年収：勤務先別

介護福祉士の平均年収はどの職場でも同じだと思われがちですが、実は勤務先によって明確な違いがあります。転職を考えるうえで、勤務先の種類による収入差は見逃せないポイントです。

介護福祉士が活躍できる場は多岐にわたりますが、厚生労働省の調査で勤務先の種類によって、年収の相場に差が見られることがわかっています。

例えば、介護老人福祉施設や介護老人保健施設といった入所型の施設では、年収が高い傾向にあります。これは、夜勤やシフト制の勤務があり身体介護の負担も大きいため、給与水準は高いです。

訪問介護事業所やデイサービスといった日勤中心の職場では、身体的な負担が少ないため、年収はやや低めとなる傾向があります。通所リハビリテーションや小規模多機能型居宅介護なども同様で、日勤のみで家庭との両立がしやすい反面、給与水準は控えめです。

また、介護付き有料老人ホームは医療体制が整っている施設もあり、一定の給与水準を維持しています。介護医療院や介護療養型医療施設のように医療と介護が連携する施設では、施設ごとの体制により収入に差が生じやすいです。

このように、介護福祉士の収入は勤務先の種類や業務内容、勤務体制によって大きく左右されます。収入面での安定を重視するなら、勤務先の特徴を比較検討することが、今後のキャリア選択につながるでしょう。

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介護福祉士の平均年収：年齢と性別

介護福祉士の年収は、年齢や性別によって変動することがあります。年を重ねれば昇給するのか、女性でも安定した収入が得られるのかといった疑問を持つ方もいるでしょう。

実際は、勤続年数や役職の有無が収入に大きく関わっており、長く働くほど給与水準が上がる傾向にあります。具体的な年収を把握して、今後のキャリアの見通しを立てましょう。

男女別29歳以下

29歳以下の介護福祉士の年収は、男性が3,480,000円、女性が3,400,000円と男女差は80,000円にとどまっています。若年層では、勤続年数や役職に就いている割合が低いことが考えられるでしょう。

これからキャリアを積み上げていく段階であり、今後のスキル習得や資格取得によって収入の伸びしろが十分に期待できます。未経験から介護福祉士を目指す方にとっても、将来的な収入アップが見込めるスタートラインといえるでしょう。

男女別30～39歳

30代の介護福祉士になると、年収は男性で4,050,000円、女性は3,710,000円となり男女差は340,000に広がります。この年代は、役職やリーダーを任され始める時期であり、給与にも反映されやすくなります。

男性の方がやや高い傾向にあるものの、働き方や職場の待遇制度によっては、女性でも同等の年収を得ることが可能です。スキルアップやキャリア形成に力を入れると、さらなる年収向上が期待できる年代です。

男女別40～49歳

40代になると介護福祉士としての経験が深まり、年収は男女ともにピークを迎えます。男性は4,310,000円、女性は3,820,000円でその差は490,000円となります。施設内でも指導的立場を任される方も見られ、役職や勤続年数が給与に反映されやすい世代です。

また、スキルや資格の有無によって個人差が出やすいのも特徴です。性別による格差は残るものの、昇給のチャンスがあり、キャリアアップによって収入の安定が得られる時期といえます。

男女別50～59歳

50代では、男性が4,070,000円、女性が3,800,000円となっており年収の差は260,000円です。この年代は、長く同じ職場で働き続ける傾向にあり、給与水準も安定しています。

また、家庭との両立を意識した働き方にシフトする方もおり、個人のライフスタイルによって収入が変化するケースもあります。男女ともに役職に就いている割合が高く、現場での信頼も厚い世代のため、職場によってはさらに収入が上がるでしょう。

男女別60歳以上

60歳以上では、男性が3,360,000円、女性が3,490,000円と女性の方が平均年収が高くなる傾向が見られます。これは定年後も継続して働く女性の割合が高く、フルタイムで働いていることが影響すると考えられます。

男性の場合は定年前後での退職や勤務形態の変化によって、収入が減少する場合もあるでしょう。年齢に関わらず働き続けやすい職種であり、経験を活かした柔軟な働き方が選択できるのも介護福祉士の魅力です。

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介護職員等特定処遇改善加算について

介護職の待遇改善のために処遇改善加算という制度が設けられています。この制度は、国が介護人材の定着を支援するために設けられ、介護職の収入を支える制度の一つです。

介護職員等特定処遇改善加算とは、介護サービスを提供する事業所が届け出を行い、一定の条件を満たすことで介護職員の給与改善を図る仕組みです。介護福祉士として10年以上勤務している職員が対象で、月あたり一定額の給与改善が行われます。

加算を申請している事業所は各地に点在しており、今後もさらに増加が予想されます。そのため、転職を検討している場合、求人情報のなかに処遇改善加算手当と記載されていることもチェックポイントの一つです。

こうした事業所では、継続して勤務することで給与アップの可能性があり、キャリアを長期的に考えるうえでもメリットがあります。安定した働き方を目指す方にとって、介護職は将来性のある分野といえるでしょう。

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介護福祉士の年収アップのためにできること

介護福祉士として年収を上げるには、資格の取得・夜勤手当の活用・役職への昇格など具体的な方法があります。未経験からでは難しいのではと不安を感じる方でも、段階を踏んで経験を積めば十分に収入アップが目指せるでしょう。

ここでは、実際にどのようなステップで収入を上げられるのか解説し、未経験の方でも目標を持ってキャリアを築ける道筋をご紹介します。

夜勤を増やす

介護福祉士として短期間で収入アップを目指すなら、夜勤回数を増やすことが効果的です。夜勤のある施設では、1回あたり5,000円〜8,000円の夜勤手当が支給されるため、月4〜5回の夜勤をこなすだけでも大きな収入増になります。

さらに、夜勤回数を増やす、あるいは夜勤専従として働くことで手取りが一気に上がることがあります。夜勤ができる人材は施設側からも重宝されやすく、シフトの調整次第ですぐに取り組めることも魅力です。

夜勤に抵抗がない方にとっては、今すぐに実践できる収入アップの近道といえるでしょう。

リーダーや主任を目指す

介護職で年収を上げたいなら、役職を目指すことも有効な手段です。リーダー・主任・施設長などのポジションに就くことで、基本給が上がり手当も増えます。

介護業界では異業種からの転職者もいるため、年齢よりも経験やリーダーシップが重視される傾向にあります。特に、他業界でマネジメント経験がある方は早い段階で評価されやすいでしょう。

役職に就くには実務経験や信頼関係の構築、問題解決能力などが求められますが、長期的なキャリア形成にもつながります。一般職員よりも収入アップの幅が大きく、やりがいも感じやすい選択肢です。

ケアマネジャーを目指す

介護福祉士からさらなるキャリアアップを目指すなら、ケアマネジャーの資格取得が有効です。ケアマネジャーは直接介護を行うのではなく、利用者に合ったケアプランの作成やサービス調整を担当します。

給与面では、介護福祉士より月30,000〜40,000円ほど高くなる傾向にあり、安定した収入を得やすくなります。受験資格には、介護福祉士としての5年以上・900日以上の実務経験が必要ですが、その分取得後の待遇改善も大きいです。

難関資格ではあるものの、長期的に介護業界で働く意思がある方にとって、目指す価値は十分にあります。

条件のよい施設に転職する

現在の職場で収入に限界を感じているなら、待遇のよい施設への転職も視野に入れるべきです。介護福祉士の給与は、法人の運営方法や施設の規模によって大きく異なります。特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの大規模施設は安定した運営資金があり、給与水準も高めです。

転職を検討する際は、基本給だけでなくさまざまな種類の手当も確認しましょう。主な手当は以下のとおりです。

• 介護職員等処遇加算手当
• 夜勤手当
• 時間外手当
• 通勤手当
• 職務手当
• 研修手当
• 家族手当

　

また、各手当の内容は以下のとおりです。

ただし、給与だけに注目してしまうと働きづらい環境に転職してしまう可能性があるため、労働時間・人間関係・自分の価値観に合った職場選びが重要です。長期的に働き続けるためにも、自分の希望条件を明確にしてから転職活動を進めましょう。

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