訪問介護で料理を作る流れ

訪問介護で利用者の自宅で料理を作る場合、行きあたりばったりではなく、手順を踏んで作業を進めることが大切です。

訪問介護の料理援助でも、家庭での料理と同様に食べる方の好みに配慮します。そのうえで、利用者の自宅にある食材や調味料を使い、その場で食事を作るのが基本です。

いつも家にある食材を使うと、違和感がない料理になりやすいメリットもあります。訪問介護の利用者宅へ行って食事を作る、大まかな流れを紹介しましょう。

要望を聞いて献立を決める

利用者宅に着いたら、まず何か食べたいものがないか尋ねます。自由に食事が作れない利用者にとって、食べたいものを作ってくれるのが何よりうれしいはずです。

基本的に自宅にあるもので料理するため、在庫がある材料で何ができるか、ホームヘルパーのほうでも考えてみます。

また、利用者の体調はどうか、食欲はあるかも尋ねます。体調がよければしっかり食べられる量を作り、そうでなければ控えめな量にしないと食べきれません。

この点は自宅で家族の食事を作るのと同じことです。

食材が足りない場合は買い物に行く

献立が決まったら、材料の有無を確認します。利用者と相談し、足りなければ買い物に行きます。必要なものの品名は必ずメモを取り、買い忘れないようにしてください。

食材にこだわりがあるのは誰しも同じです。同じ豆腐でもメーカーが違えば口に合わないということがあるため、できれば利用者が普段買うものと同じにするとよいでしょう。

代金は概算金を預かります。帰ったら預り金の残金とレシートをいっしょに利用者に渡して金額を確認してもらいましょう。

利用者宅で料理をする

料理も利用者宅にある調理器具や調味料を使うのが基本です。普段自宅で使っている調理器具とは勝手がちがい、何かと戸惑うことがよくあります。

移動ができる利用者であれば、近くに来てもらい細かいことを訪ねながら料理をするほうがお互いにストレスを感じずに済むでしょう。訪問回数を重ねるうちに、要領を覚えて楽になってきます。

一人で調理する場合は、事前に大まかでも利用者に味付けや火の通し加減の好みを確認します。

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訪問介護で求められる料理スキル

訪問介護の現場では、料理スキルが求められる場合があります。ホームヘルパーの生活援助の仕事には、食事の援助が大変重要な位置にあるからです。

ただし、専門的な調理スキルは必要ありません。あくまで家庭料理のレベルで十分です。普段自宅で家族の食事を用意している方なら、訪問介護の現場でも即戦力になれます。

普段の家事と違うところは、利用者の様子をチェックしたり、コミュニケーションを取ったりしながら仕事を進めることです。

また、既定の作業を段取りよく時間内に片づける能力も求められます。これも主婦や一人暮らしの経験がある方なら、まず問題ありません。

訪問介護の料理でおさえておきたい基礎知識

訪問介護の料理では、作る前に心得ておくべき情報があります。知らないと食べた方の健康に影響する可能性があるので、注意が必要です。

訪問介護の利用者の場合は、ケアプランに示されている事項もあるほか、利用者とのコミュニケーションによって入手できる情報もあります。

基本的な栄養バランス

要介護の利用者の多くは食が細く、栄養バランスが崩れやすい状況です。そのため基本的な栄養バランスに配慮した料理の提供が求められます。

食事で少なくとも必要なものは以下の3種類です。

• 主食：エネルギー源の炭水化物が豊富なコメやパンなど
• 主菜：身体を維持するタンパク源の肉・魚・卵・大豆類
• 副菜：食物繊維・ビタミン・ミネラルが豊富に摂れる野菜類

　

これだけでは不足気味なので、補助食品として乳製品や果物を追加できればベストです。

利用者の食物アレルギー

食物アレルギーがおこってしまうと、命に関わる事態にもなりかねません。もし訪問介護の利用者がアレルギー体質であれば、それはケアマネージャーが把握しています。

ケアプランにも書かれていて、アレルギー情報は関係者が共有できる体制です。ホームヘルパーはそれを見て該当物質を把握し、料理の材料から排除します。

訪問介護で料理を提供する場合、担当のホームヘルパーは必ずケアプランを見てアレルギーの有無を確認するのが極めて大切です。

利用者の禁止食

訪問介護における「禁止食」とは、利用者の健康状態に応じて提供を控えるべき料理や食品を指します。これらの情報は、施設内やヘルパー間で確実に共有されます。対象には、禁止食に加えて、病状に応じた減塩などの制限食も含まれます。

また、消化機能が弱った利用者には、硬い食材や繊維質の多い野菜、脂質が多い食材は要注意です。嗜好的に嫌いなものは出しませんが、必要性の高い食材は形や味を変えて対応します。

咀嚼や嚥下機能が低下した利用者には、特に飲み込みにくい物を出さないように配慮します。あわせて食事中の見守りも重要です。

利用者の好み

利用者の好みも決して軽視できない要素です。個人差が大変大きい部分でもあり、好みではない食事には箸を付けない利用者も珍しくはありません。

一方で、好みではないものでも我慢して食べ続ける方もいます。そのような事態を避けるために、利用者の好みを理解しておくことが、訪問介護では大切なことです。

ただし好みの把握は公的な記録からでは難しく、普段のコミュニケーションの中から聞きだすのが有効な方法です。親族の方と会う機会があれば、好みとともに食習慣全般の聞き取りも行っておきましょう。

訪問介護で料理をする場合、利用者の好みや健康状態などの情報を正確に共有することがとても大切です。また、信頼関係を築くためには、丁寧なコミュニケーションも求められます。

そう聞くと「自分にできるかな…」と不安になるかもしれませんが、ご安心ください。

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訪問介護で料理する際の調理ポイント

訪問介護での料理は、家族の食事を作る場合とは少し違います。作った料理を食べるのは、さまざまな事情で自分で料理が作れなくなった、主に高齢者の方です。

身体の状態はさまざまですが、高齢で抵抗力が落ちた方や咀嚼や嚥下機能が低下した方なども多く、料理を作る際には少々の配慮が必要になります。

衛生管理に気をつける

料理を食べる方の多くは免疫力が低下した高齢者です。感染を避けるために衛生管理を徹底する必要があります。

ホームヘルパー自身の手もよく洗ったうえ、訪問先で使う調理器具も念のため洗浄が必要です。ふきんやスポンジも全部洗ってから料理を始めます。

作るものは、刺身やサラダなどの生ものは極力避けましょう。火を通す場合も、中心部の温度を75度以上に上げて1分以上の維持を励行すると安全性が上がります。

例えば片面焼きで半熟の目玉焼きは避け、両面焼きにして黄身を固めたほうがより低リスクで提供できます。

嚥下能力に応じて作る

訪問介護を受ける方の多くは高齢者で、喉の筋力低下に伴い嚥下能力が低下しています。高齢者が餅を詰まらせる事故が絶えないのがその典型です。

料理する場合は食材の大きさに注意して、できるだけ小さめなカットを心がけます。歯も衰えてかみ砕く能力が落ちているので、大きいものは危険です。

また、食材はよく煮込むとやわらかくなるため、噛まずに飲み込んでも喉でつぶれて詰まりにくくなります。食材のやわらかさは、歯茎でつぶせる程度が目安です。

好みの味付けにする

訪問介護を受ける方にとって、食事は大きな楽しみです。依頼した料理の味付けが自分の好みでないと、気持ちまで落ち込むかもしれません。

利用者の好みに合わせて料理を作ることは、訪問介護の料理では大切な要素です。好みの味付けであれば食欲が増し、食べ終わった後の満足感も大きくなります。

訪問介護で作る食事を楽しみにしてもらえるようになれば、利用者の生活の質が上がることも期待できます。

利用者の好みは、日頃の何気ない会話の内容から知ることができるものです。訪問を重ねるうちに得られた情報を活かせば、利用者の好みの味付けができるようになるでしょう。

訪問介護で料理を作るときは少々気を使います。訪問介護での料理に不安が残るのなら、ハッシュタグ転職介護でカウンセリングを受けてみましょう。

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訪問介護でのおすすめの食事メニュー例

初めて訪問介護で料理をする際は、どのような料理が適しているのか判断に迷うこともあるでしょう。介護料理の基本は簡単調理・栄養バランスのよさ・飲み込みやすさの3点です。

これを満たすおすすめの料理メニューを3種類紹介しましょう。

鶏ひき肉と豆腐のあんかけ

まずは超短時間でできる一品です。

材料一人分

• 豆腐（絹または木綿）半丁
• 鶏ひき肉50g
• ☆醤油小さじ1
• ☆砂糖小さじ半分
• ☆おろし生姜小さじ半分
• ☆塩少々
• ☆水（鶏そぼろ用）50cc
• ★片栗粉小さじ1
• ★水（水溶き片栗粉用）大さじ1

　

手順

• ★を混ぜて水溶き片栗粉を作る
• フライパンで挽肉をパラパラになるまで炒める
• ☆を入れ一煮立ちさせて味を整える
• 水溶き片栗粉を入れとろみをつける
• 皿に乗せた豆腐にあんをかけて完成

　

豆腐は温めても冷たくても大丈夫です。☆に水菜やエノキを加えると、栄養バランスがよりよくなります。

鮭のクリーム煮

次はボリューム感のある鮭のクリーム煮です。

材料一人分

• 鮭切り身：1切れ
• 塩・こしょう：各少々
• 薄力粉：適量
• ほうれん草：1〜2株
• 玉ねぎ：1/4個
• しめじ：1/4袋
• バター：大さじ1/2

　

クリームソースの材料

• 水：100ml
• コンソメ：小さじ1（キューブ1/2個）
• バター：大さじ1/2
• 薄力粉：大さじ1/2
• 牛乳：100ml
• 塩・こしょう各適

　

手順

• 鮭は塩・こしょうを振り10分おく
• ほうれん草は塩少々でゆでて冷まし水を切る
• しめじをほぐし玉ねぎはスライス、ほうれん草は4～5cmに切る
• 鮭の水気をふき薄力粉をまぶし、バターを入れたフライパンで焼く
• 両面焼き色が付いたら取り出し、タマネギとしめじを炒める
• 水とコンソメを入れて煮立たせる
• バターを入れ薄力粉を少しずつ入れて伸ばしとろみを出す
• 牛乳を少しずつ入れて混ぜ合わせる
• 鮭とほうれん草を入れる
• 塩・こしょうで味を整え、盛り付けて完成

　

栄養バランスがよくボリュームがある主菜です。

麻婆豆腐

次は中華料理で、家庭でもよく食べられている麻婆豆腐の作り方を紹介します。

材料一人分

• 木綿豆腐：1/2丁
• 豚ひき肉：50g
• 長ねぎ：1/4本
• にんにく：1/2かけ
• しょうが：1/2かけ
• サラダ油：大さじ1/2
• 豆板醤：小さじ1/2
• ごま油：適量
• 細ねぎ（刻み）：適量

　

☆調味料

• 水：100cc
• 酒：大さじ1/2
• 鶏ガラスープの素：小さじ1/2
• 砂糖：一つまみ
• しょうゆ：大さじ1/2

　

★水溶き片栗粉

• 片栗粉：小さじ1
• 水：小さじ1

手順

• 豆腐は2cm角に切り、長ねぎやニンニク、ショウガはみじん切り
• フライパンに湯を沸かし、塩少々入れて2分ゆでて水切り（崩れ防止）
• 拭いたフライパンに油と豚肉を入れて色が変わるまで炒める（2分）
• ねぎとにんにく、しょうがを入れて香りが立つまで炒める（1分）
• 豆板醤を入れて炒めなじませる
• ☆を入れて煮立たせ、蓋をして7分煮詰める
• 豆腐を入れて2分煮て★を回し入れてとろみがつくまで1分煮る
• ごま油を回し入れて盛り付け、刻みねぎを散らす

　

辛さの好みは利用者により違うため、豆板醤を増減して調整します。

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訪問介護で料理する際の注意点

利用者の自宅で料理する場合、気になるのは衛生面です。訪問介護の料理に起因する健康トラブルがおきないよう、細心の注意を払いたいものです。

訪問介護の料理で注意すべき点には以下のような事項があります。遵守に努めれば利用者からも信頼される存在になれるでしょう。

作り置きは2食程度にする

訪問介護の料理で作り置きが認められているのは、生活援助としてケアプランに記載がある利用者に限られます。

作り置きは雑菌が繁殖しやすく、老化や基礎疾患などで免疫が低下している利用者には食中毒のリスクが大きいためです。

条件に該当して作り置きする場合でも、必ず冷蔵保存するよう利用者に伝えます。また、求められても何食分も作らず、2食程度にとどめるべきです。

一度箸をつけた料理は保存しないよう伝える

作り置きした料理を食べ残した場合、次の食事でまた食べようと保存する利用者がいるかもしれません。食べ物を捨てることに、強い抵抗感を持つ利用者が少なくないのが実情です。

ところが一度箸をつけた料理には雑菌が付き、保存する環境次第では急速に繁殖して腐敗する可能性があります。そうなると、高齢の方が多い利用者には大変危険です。

作り置きした場合は必ず、食べ残しを保存しないように伝えましょう。

訪問介護の仕事は人材紹介会社に相談しよう

生活援助としての訪問介護では、利用者の自宅で料理支援を行う仕事があります。要望を聞いて献立を決め、必要な食材をそろえて料理を作ります。

特別な知識やスキルは不要で、家庭料理レベルで利用者に喜ばれる仕事ができます。ただし衛生面や利用者の身体状況への配慮は必要です。

ここまで読んで介護の仕事に興味を持った方も、不安を感じることがあるかもしれません。そのような場合は、まずは人材紹介会社へ相談してみましょう。

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