介護におけるソフト面とハード面とは？

老人ホームにおけるソフト面とハード面は、入居者さんが施設を見る場合によく参考にされます。

ここでは、ハード面とソフト面の定義や違い、なぜ分ける必要があるのかを解説します。

ソフト面とハード面の定義

簡単にいえば、ハード面は施設の設備や建物の構造に関する物理的な環境に関する事柄です。

ソフト面はハード面以外の事柄を表します。具体的には、スタッフに関する事柄や日常のケアおよび行事などです。

まずは、ソフト面について詳しく見ていきましょう。その前に、老人ホームにはどのような種類があるのか確認しておきます。

どの施設でも介護士が入居者さんの日々のサポートや介護を行います。そのため、ソフト面に含まれるスタッフの技術や人間性は重要です。

スタッフの接し方がよければ、入居者さんは気持ちよく介護を受けられます。また、入居者さんが生活を楽しむためのレクリエーションやイベントも大切でしょう。

つまり、老人ホームの介護のソフト面はとても重要です。

一方のハード面は、施設の設備および建物に関する事柄です。老人ホームでは訪問介護とは異なり、施設内で介護を行います。また、老人ホームは入居者さんの生活の場です。

介護や生活に必要な設備が整っているかはとても大切です。

介護のための設備が整っていれば、入居者さんの体や心の負担が少なくて済むでしょう。居住空間が快適であれば、入居者さんの生活の満足度も上がります。

つまり、老人ホームの介護においてハード面もとても大切です。

ソフト面とハード面の違い

ソフト面とハード面の違いは、目に見えるかどうかです。

ソフト面はスタッフに関する事柄や日常のケアおよび行事であるため、一目見て良し悪しがわかりません。

施設に出向いて、スタッフの雰囲気や入居者さんの態度を見て判断しましょう。

ハード面は設備および建物に関する事柄のため、老人ホームを見学すればある程度確認できます。

実際に介護が行いやすいかどうか、入居者さんが生活しやすいかどうかが重要なポイントです。

ソフトとハードで分ける意味

老人ホームの介護でソフト面とハード面を分けるのは、混ぜて考えてしまうと施設の良し悪しを判断しにくくなるためです。

老人ホームは、ハード面である設備を利用してソフト面であるスタッフが介護を行います。

目に見える設備が多少古くてもそれを使うスタッフの質がよい場合はどうでしょう。

設備の欠点を補うスタッフの気遣いや行動で、入居者さんの満足度を高められる可能性があります。

老人ホームは生活の場でもあるため、人と人のつながりが重要です。

老人ホームの良し悪しを判断するにはハード面も重要ですが、それ以上にソフト面であるスタッフの質の方に重きを置いた方がよいでしょう。

老人ホームにおけるソフト面の役割

この記事を読んでいる方のなかには、介護は体力仕事と思っている方もいるでしょう。たしかに介護には体力仕事が含まれます。

介護は相手が人間であるため、単なる作業ではありません。心の通った対応が求められます。ソフト面に含まれる心を込めたケアは入居者さんの満足度を高められるでしょう。

ここでは具体的なソフト面を挙げて、その役割と重要性を解説します。

職員とのコミュニケーション

1つめは、職員と入居者さんとのコミュニケーションです。介護は作業だけではありません。コミュニケーションも大切な要素です。

挨拶を交わすことはもちろん、何気ない声がけや会話が入居者さんとの関係をよくして満足度を高めることができます。

コミュニケーションを取るときは、話し上手より聞き上手になるとよいでしょう。聞き上手になるには、傾聴・受容・共感を心がけるとよいとされています。

どちらかというと聞き上手な方は、入居者さんとのコミュニケーションに向いているかもしれません。

自分から話題を提供するのが苦手な方は、入居者さんの相手に向いている可能性があります。

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レクリエーションや日常のケア

２つめは、レクリエーションや日常のケアです。

老人ホームでは日常のケアはもちろん、生活を楽しく送る手助けとなる軽い運動やカラオケなどのレクリエーションが行われています。

レクリエーションでは、スタッフのコミュニケーション能力や一緒に楽しむことが重要です。声をかけて一緒に楽しむことで、入居者さんの満足度も高まるでしょう。

日常のケアにおいても、相手を思いやり入居者さんに寄り添った対応は満足度を高めることができます。

食事

3つめは食事です。食事は生きていくために必要なだけでなく、多くの方にとって日々の楽しみでもあります。食べることが難しい方にはスタッフが食事介助をします。

このサポート次第で、入居者さんの食事がさらにおいしく楽しいものになるでしょう。

食事介助を必要としない入居者さんにとっても、スタッフの明るい声がけや食事中のちょっとした会話で食事がよりおいしく楽しいものになります。

食事は、入居者さんの心のうるおいにつながる大切なソフト面です。

老人ホームにおけるハード面の役割

老人ホームで負担が大きいとされる力仕事は、ハード面にあたる施設の設備によって労力が変わるでしょう。

ここでは、ハード面の具体例を挙げてその役割と重要性を解説します。

バリアフリー設計

1つめはバリアフリー設計です。老人ホームでは多くの入居者さんが車椅子や歩行器を利用します。そのため、段差や階段を可能な限りなくしたり玄関や廊下の幅を広くするなどの工夫がされています。

バリアフリー設計は、入居者さんの役に立つだけでなく介護するスタッフの役にも立っています。

段差があると、段差を超えるための台を設置したり歩行器を持ち上げたりする作業が必要です。

しかし、段差がなければこの作業は必要ありません。バリアフリー設計の施設であれば、力が弱いスタッフも楽に介護できるでしょう。

介護の仕事に興味があるものの、力が弱いから介護士になるのは無理だと思っている方もいるのではないでしょうか。

バリアフリー設計の老人ホームなら、力が弱くても働ける可能性が高いでしょう。

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備品

２つめは備品です。老人ホームの備品は、家具類から消耗品まで多岐にわたります。

備品が充実していると、スタッフの作業も効率よく進められます。作業の際に入居者さんを待たせることも減らせるため、満足度の向上につながるでしょう。

居住空間や浴室・トイレの設備

3つめは、居住空間や浴室・トイレの設備です。

居住空間には、エアコンや洗面台やベッドおよび照明などが用意されているケースが多いでしょう。また、ナースコールが設置されている場合もあります。

これらの設備があると入居者さんは快適に個室で過ごすことができるでしょう。

浴室は、施設によって設備が異なります。老人ホームにある浴室の種類は以下のとおりです。

• 個浴（1人ずつ入れる浴室）
• リフト浴（歩行が困難な方向けの座ったまま入れる浴槽設備）
• 機械浴（寝たまま入れる浴槽設備）
• 大浴場

　

入居者さんの状態によって使用する浴室が異なります。介護が不要な場合は大浴場や個浴があると満足度が高まるでしょう。

介護が必要となった場合も考えてリフト浴や機械浴があると、将来の心配がありません。

トイレの設備も施設によりさまざまです。車いす利用の入居者さんが、トイレの中まで車いすで入れるとよいでしょう。

体の自由が利かない入居者さんのために、トイレットペーパーの位置や緊急コールの位置などにも配慮する必要があります。

これらの居住空間や浴室・トイレの設備が整っていると、入居者さんが快適に過ごせるだけでなく介護するスタッフも業務効率が向上します。

ソフト面が介護の質に与える影響

ここまで、ソフト面とハード面を解説してきました。老人ホームの介護では、施設の設備および建物に関わる事柄であるハード面はたしかに大切です。

しかし、スタッフの質や人間関係などのソフト面がさらに大切であることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

ここでは、ソフト面が介護の質に与える影響を解説します。

入居者の満足度とQOLの向上

ソフト面は、入居者さんの満足度とQOLに大きく影響します。QOLは入居者さんが充実した自分らしい生活ができているかを表す目安です。

QOLの低下は、望んでいる生活と実際の生活に大きな差が生じるときに起こります。QOLを構成する要素は以下の3つです。

• 身体的・精神的な健康状態である生命の質
• 生活機能である生活の質
• 社会性である人生の質

　

つまり、心身の健康と日常生活、社会への参加がQOLに大きく影響します。

QOLを構成する要素を見ると、老人ホームのハード面よりもソフト面に関係があることがわかります。

立派な施設やきれいな設備などのハード面のよさは、入居者さんの満足感を得られて健康面や生活の質などが向上するでしょう。

しかしながら、精神的な満足感を得られるのはソフト面です。

ソフト面には、日常の食事がおいしく楽しい・日常のケアが丁寧でうれしいなど精神的な健康状態や生活の質を向上させる要素があります。

レクリエーションでは社会に参加している実感を得られ、社会性を伴う人生の質の向上につながるでしょう。

老人ホームでの日常生活やイベントごとなどのソフト面の満足度が高まれば、QOLの向上に結び付きます。

入居者さんのQOLを向上してあげたいと思う優しい方や、相手の気持ちを察するのが得意で心配りができる方は、ぜひ介護の仕事にチャレンジしてみましょう。

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ケアの柔軟性

日常的なケアは、介護の質に大きく影響します。もちろん、マニュアルや手順書がありケアの手順や頻度などは定められているでしょう。

スタッフが入居者さんの性格や好みを考慮して、できる範囲で柔軟なケアを行うと入居者さんの満足度が上がります。満足度が上がることで入居者さんのQOLも向上するでしょう。

ソフト面の向上のさせ方

介護の現場では、ソフト面が大事であることがおわかりいただけたと思います。とはいっても、介護の現場に合わせた心配りや言葉遣いができるのか不安な方もいるでしょう。

老人ホームの多くは、新人教育やガイダンスを行っています。未経験でも心配する必要はありません。

ここでは、老人ホームでの具体的な教育方法を挙げて介護士のソフト面の向上方法を解説します。

介護士の徹底的な新人教育

多くの老人ホームでは、介護士が新人指導を行います。早く戦力になれるよう徹底的な指導が行われるケースがほとんどです。

老人ホームの仕事で最初に教わるのは、介護士の心構えです。同時に介護事故防止の重要性を説明されます。この2つは介護士の仕事の根幹となる教育です。

次に、実際の作業を計画に沿って指導されます。最初の週は職場に慣れる、2週目は食事介助やおむつ交換などを習得するといった具合です。

先輩の手本を見つつ実際の作業を習得するため、業務が早く身につくでしょう。

新人教育があるなら介護士にチャレンジしたい方もいるのではないでしょうか。興味があるけれど自分には知識がないと諦めていた方も大丈夫です。

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介護士の仕事に興味がある方は、ぜひお気軽に今感じている疑問や不安など、お気持ちを聞かせてください。

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介護士同士のコミュニケーション

ソフト面の向上には、介護士同士のコミュニケーションも大切です。介護士同士のコミュニケーションがうまくいっていないと、業務に支障が生じたり、介護の質が下がったりします。

老人ホームはいわばチームプレーです。普段から介護士同士のコミュニケーションが活発であれば、困ったことやわからないことを質問しやすく業務が円滑に進みます。

新人が質問できず困ってしまうリスクも回避できるでしょう。

介護士同士で知識や工夫を共有できれば介護の質も上がり、入居者さんに質の高いケアを提供できます。

介護士の意識の向上

日々忙しい介護士のなかには、毎日の業務に追われてモチベーションがダウンしている方もいるでしょう。

モチベーションがダウンすると、自己肯定感が低くなったり、仕事をする気が出なくなったりします。

これでは、質の高いサービスを提供できません。そこで、老人ホームの多くは、介護士の意識向上のための面談や目標設定を行っています。

未経験でも、相談できる機会や目標があると働きやすいでしょう。

働きやすい老人ホームの見極めポイント

介護士の求人票を見てもどこがよい施設なのかわからない方もいるでしょう。実は求人票だけではよい施設かどうか判断できません。

ここでは、実際に見学や面接に行った際にチェックするポイントを解説します。

ハード面で注意すべきポイント

ハード面である設備や施設に関する情報は、求人票のなかに一部記載されていることもあります。それだけでは判断できないため、実際に施設に出向くのがおすすめです。

施設が大きくて設備が立派なだけでは、よい施設だと判断できません。見学の際には食堂やトイレの位置、設備のメンテナンス状況を見てみましょう。

ハード面の設計や手入れがよくないと、業務に当たるスタッフに負担がかかる可能性が高くなります。

ソフト面で注意すべきポイント

ソフト面に関しても、求人票に一部記載されていることがあります。こちらもそれだけでは判断できないため、実際に施設に出向くのがおすすめです。

スタッフに関しては表情をチェックすると、ある程度良し悪しが推測できます。スタッフの表情が生き生きとしているか、挨拶がちゃんとされているかは重要なチェックポイントです。

環境が充実した施設に転職したいなら

老人ホームにはハード面とソフト面があり、ソフト面はスタッフの接し方や気配りが影響します。

介護の仕事なら自分の性格や得意なことを活かせると思った方もいるでしょう。また、ハード面が整っていれば自分も働けそうと思った方もいるでしょう。

ただ、いざチャレンジしようと思うとどこから行動すればよいのかわからない方が少なくありません。

介護職にチャレンジしたい方は、人材紹介会社のサービスの利用がおすすめです。求職者支援のプロは、施設の内情に詳しく施設の特徴をよく知っています。

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