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仕事・働き方

2025.9.11

地域包括支援センターの保健師の役割は?メリット、働く方法、転職についても解説

日本は急速な高齢化が進み、総人口が減少するなかで、2024年9月の統計では65歳以上人口が総人口に占める割合は29.3%と過去最高です。

そのため、一人暮らしの高齢者や、要介護認定者や認知症の高齢者を抱える家庭は増加しており、地域との関わりも希薄になっている現状があります。

また、高齢者自身も交通手段や情報に制限があることで、地域のサービスや支援を十分に活用できていない現状もあります。

そのため、国民の医療や介護の需要はさらに増加することが見込まれており、地域で暮らす高齢者を支える仕組みの重要性が増しています。

そのなかで重要な役割を担うのが地域包括支援センターです。地域包括支援センターでは保健師や社会福祉士、ケアマネジャーなどの専門家が配置され、専門性を活かしながら地域で暮らす高齢者に必要な援助を行っています。

特に保健師は、専門性を活かしながら多岐にわたる業務を担っています。しかし、地域包括支援センターや保健師の具体的な業務内容、そこで働くメリットやキャリアへの活かし方について、詳しく知る機会はあまりありません。

この記事では、地域包括支援センターの役割から、そこで働く保健師の具体的な仕事内容、働くメリット、就職から転職方法までをわかりやすく解説します。

地域包括支援センターでの保健師の働き方を知ることで、自分に合った働き方を見つけられるかもしれません。ぜひ目を通していただければ幸いです。

地域包括支援センターとは

介護・相談のことば

地域包括支援センターとは、介護・医療・保健・福祉など、さまざまな側面から高齢者を支える、地域の相談窓口です。介護保険法第115条の46第1項で、全国の市町村に設置が定められています。

地域に暮らす高齢者が、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、心身の健康維持や生活の安定のために必要な援助を行っています。

地域に暮らす高齢者を支えるために、さまざまなケア施設やサービス提供機関がありますが、うまく活用しなければ必要な援助を求める方に十分な支援を届けることはできません。

そのため、必要とする方とケア施設やサービス提供機関を結び付けたり、活動を支援したりするのが地域包括支援センターの役割です。

各市町村が設置主体となり直接運営しているケースと、社会福祉法人や医療法人、民間企業などが市町村から委託されて運営しているケースがあります。

2024年4月末時点で、全国に5,451箇所設置されており、その割合は市町村直営が2割、委託型が8割と大半が委託型です。

地域包括支援センターには保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門家の配置が義務付けられています。それぞれの専門性や強みを活かし、連携や分担しながら業務を行っています。

また、地域包括支援センターは単に相談窓口として機能するだけではなく、地域の高齢者の生活状況を日常的に把握する拠点としても重要です。地域全体で高齢者を支えるネットワーク作りの中心的存在となっています。

さらに、地域包括支援センターは地域の高齢者に関する情報を集約や分析を行い、自治体の施策や福祉サービスの改善にフィードバックする役割も担っています。このため、行政や医療・福祉の現場との橋渡し役としても機能しています。

地域包括支援センターが担う主な業務は以下のとおりです。

総合相談支援は介護や健康など、住民の各種相談に幅広く対応しています。介護を必要とする高齢者だけではなく、高齢者を支える家族や介護者も含めて援助を行います。

相談に乗るだけではなく、実際に必要と思われるサービスや制度を紹介し、サービス提供機関やサポート制度を活用できるような援助が必要です。

例えば、一人暮らしで生活するうえでサポートが必要な高齢者には、訪問介護や配食サービスの利用を提案し、申請の手続きや担当者との連絡調整まで援助を行います。

こうした支援により、住民が地域で安心感を持って暮らせるような環境を整えていきます。

権利擁護は、高齢者が安心感を持って生活するために、その方が持つ権利を守る援助を行います。

例えば、認知機能の低下により金銭の管理ができなくなった方に対する成年後見制度の活用促進を行います。また、高齢者虐待への対応などを行います。

介護予防ケアマネジメントは、要支援と認定された高齢者や今後支援や介護が必要になる可能性の高い二次予防対象者に対して、自立した生活が維持できるように介護予防を目的とした援助を行います。

健康状態や生活状況を踏まえて、無理なく継続できる予防プランを作成することが大切です。

介護予防ケアマネジメントを行うことで、短期的な効果だけではなく、将来の介護や入院のリスクを減らすという長期的なメリットもあります。そのため、地域全体の健康度向上にもつながります。

包括的・継続的ケアマネジメント支援は、包括的・継続的なケアマネジメントを実現するために、地域における連携や協働の体制づくりを行います。

また、地域ケア会議の開催や個々のケアマネジャーに対する支援困難事例などへの指導や助言を行います。

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地域包括支援センターは大きなやりがいがある一方で、職場ごとに業務内容や体制が大きく異なるため、求人票だけではわからない点も多くあります。

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保健師とは

アドバイスをする看護師

保健師とは、保健師助産師看護師法総則第二条で、厚生労働大臣の免許を受けて保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者と定義される国家資格です。

保健師になるには、保健師課程がある教育機関への入学が必要です。そして、国家資格である保健師免許と看護師免許の両方を取得する必要があります。

保健師の主な勤務先は、保健所や保健センターなどの行政機関、病院などの医療機関、学校の保健室、企業の産業保健師など多岐にわたります。

地域包括支援センターにおける保健師の配置は、高齢者の人口に応じて設置人数が定められています。健康相談や保健指導などを通して、高齢者の生活の質を維持・向上させることが求められています。

地域包括支援センターの保健師の役割

タオル体操・リハビリする車椅子の高齢者

地域包括支援センターの保健師の役割は多岐にわたりますが、特に相談業務や指導を行ううえで、医療的な知識やサポートが必要な場面での活躍が期待されています。

相談者や地域の人々の生活に寄り添い、健康をサポートしていく重要な役割を担っています。

具体的な仕事内容についてまとめました。

健康相談

公園で話す高齢者と介護スタッフと女性

高齢者や家族からの健康相談に応じ、適切なアドバイスや情報提供を行います。

例えば、高齢者と暮らす家族から「最近もの忘れが増えて不安」と相談を受けた場合、簡単な認知機能チェックを行い、必要に応じて医療機関の受診を勧めます。

相談は地域包括支援センターへの来所を待つだけではなく、電話や自宅訪問で対応することも多いです。生活環境や食事の状況など、普段どのように生活しているのかを把握することで、本人の状況に合ったアドバイスを行います。

保健指導

公園で話す高齢者と笑顔の介護スタッフ女性

健康診断や介護予防事業の結果をもとに、生活習慣改善や疾病予防のための具体的な個別の保健指導を行います。

例えば、健康診断の結果で低栄養が認められた方には、食事内容を見直すよう提案し、食事プランを一緒に作成します。また、食事が作れないなどの理由があれば宅食サービスなど活用できる支援を検討したり、手続きのサポートを行います。

生活に取り入れやすい保健指導を行い、個々の対象者に合った保健指導が求められます。保健指導は一度きりで終わらず、数週間〜数ヶ月後に再度連絡を取り、生活改善の定着度も確認します。

健康教育

ストレッチをするシニアとトレーナーの女性

高齢者の介護予防や健康増進を目的とした健康教育を企画、実施します。内容は転倒予防やフレイル予防、口腔ケア、認知症予防など多岐にわたります。

参加者が日常生活で実践できる知識を提供し、実際に参加者同士で簡単なゲームや会話を行うなど、楽しみながら学べる工夫をします。健康教育などの機会を通して、相談しやすい関係作りを行います。

地域活動への参加

地域包括支援センターの保健師は、地域の行事や健康イベントにも参加します。地域住民と実際に会って話をしたり相談に乗ることは、地域のネットワーク作りのために重要です。

このような活動を行うことで地域住民の困りごとや健康問題を早期に把握、介入できるようになります。

関係機関との連携

勉強会をする医師・医療スタッフの男女

医療機関や介護事業所、地域ボランティアなどと連携することで、必要な支援をつなぐ役割を担います。

病気を抱えながらも、自宅などの住み慣れた生活の場で療養し、自分らしい生活を続けるためには、地域における医療・介護の関係機関が連携する必要があります。

例えば、虐待や孤立の恐れがあるケースでは、民生委員や警察、行政の福祉課とも連携して安全性を確保します。保健師はこうした場面で、健康面からのアセスメントや提案を行い、チームのなかで重要な役割を果たします。

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保健師が地域包括支援センターで働くメリット

パソコンを使う白衣姿の女性

保健師が地域包括支援センターで働くことにはさまざまなメリットがあります。主なメリットについてまとめました。

地域に貢献できる

地域で生活する高齢者を支援することで、直接的に地域社会に貢献でき、やりがいにつながります。

必要な援助を行うだけでなく、その後の生活も継続的にフォローできるため、大きな充実感を得られます。

予防措置の効果を直近で見て実感ができることも、やりがいにつながるでしょう。

専門性を活かせる

健康相談や保健指導など、保健師としての知識や経験を活かして活躍することができます。対象者に合わせた個別的なサポートが求められるため、臨床経験のある方はその視点を強みにできます。

残業や夜勤が少なく働きやすい

地域包括支援センターは病院勤務の看護師や保健師とは違い、基本的に夜勤はありません。
残業も少ないため、家庭やプライベートとの両立がしやすい環境です。

ワークライフバランスを重視する方には働きやすい環境でしょう。

経験を活かしてキャリアアップできる

地域包括支援センターでの経験を活かして管理職を目指したり、ケアマネジャーの資格を取得したりとキャリアアップが可能です。

保健師としての経験を積むことにもつながるため、産業保健師を目指すなど、ほかの分野にチャレンジするきっかけになることもあります。

役割を通して成長できる

病院や介護サービス事業者、介護施設などさまざまな関係機関と連携しながら業務を行うため、調整力やコミュニケーション能力などが身につきます。

また、介護保険制度などの法律や、医療・福祉など幅広い知識や経験を身につけられます。

未経験や新卒でも採用される

看護学生

新卒や地域包括支援センター未経験の保健師でも採用するケースがあります。キャリアラダーなどの研修制度が整っている場合もあり、安心感を持って働くことができます。

ハッシュタグ転職介護では、業界に特化した知識とネットワークを持つスタッフが、豊富な求人情報の中からあなたの希望に合った職場をご紹介します。

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地域包括センターで保健師として働くには

パソコンを使う白衣姿の女性

実際に地域包括支援センターで保健師として働くために必要な資格や、試験について解説します。

看護師や保健師の資格を取得

保健師助産師看護師法で、保健師になろうとする者は、保健師国家試験と看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならないと定められています。そのため保健師になるには保健師免許と看護師免許の両方を取得する必要があります。

看護師と保健師の教育課程がある4年制の教育機関を修了すると、看護師と保健師の国家試験の受験資格が得られます。

看護師のみの教育課程しかない教育機関の場合は、看護師の国家試験合格後に保健師の教育課程がある教育機関へ進学または編入する必要があります。

このため、看護学を基礎としながら、公衆衛生学や地域保健学などの知識や技術を幅広く学ぶことになります。

教育機関を修了した後、国家試験に合格して保健師免許を取得します。保健師は看護師免許の取得が必須条件となっているため、両方の資格試験に合格する必要があります。

各自治体の採用試験に合格

地域包括支援センターの保健師は、自治体の職員として採用されることが多いです。そのため、自治体が行う採用試験に応募し、合格することが必要です。

採用試験は自治体ごとに日程や形式が異なりますが、一般的には筆記試験や面接試験が行われます。

筆記試験では、一般教養試験に加えて、専門的な知識が問われる試験があることが多いです。自治体によっては、論文試験や小論文が課される場合もあるので対策が必要となります。

地域包括支援センターの保健師に転職するには

指差すビジネスウーマン

転職活動を何から始めればよいのかわからない方も多いでしょう。地域包括支援センターで保健師として働くために実際に行う転職活動についてまとめました。

求人情報を探す

各自治体のホームページにある求人情報やハローワーク、求人サイトなどで求人情報を探すことができます。

募集時期や人数は自治体によってさまざまですので、こまめな情報収集が必要です。

また、雇用形態も正職員や契約職員、非常勤などさまざまです。給与面や福利厚生にも差があります。そのため、自分が希望する働き方や条件に合うかどうかを確認することが大切です。

特に人気の自治体は応募期間が短いこともあるため、こまめな情報収集と、応募準備を事前に整えておくことが転職成功のポイントです。

面接対応など転職に向けて準備

応募する際は、求人票や採用ページで必要な応募書類を確認しましょう。

多くの場合、履歴書や職務経歴書のほか、資格証明書の写し、志望動機や自己PRをまとめた書類が求められます。

面接では、公衆衛生に関する知識や地域包括支援センターの役割を理解しておくことが必要です。事前に地域包括支援センターの業務内容や、応募する地域の高齢化の現状、保健師として具体的にどのような貢献ができるかなどの考えを整理しておくと、自信を持って面接に臨むことができます。

また、多職種との連携が必要な職種であり、コミュニケーション能力やチーム連携についてのアピールも重要です。

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保健師としての仕事が未経験でも、今までの経験を活かしてアピールできるポイントなど、あなたの強みを活かす方法があります。

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地域包括支援センターの保健師に転職したいなら

病院で働く医療スタッフ

地域包括支援センターは、高齢化社会においてますます重要な役割を担っています。保健師として、地域に暮らす高齢者の生活や健康を支える仕事はやりがいがあり、大きな魅力です。

夜勤がなく、家庭やプライベートとの両立がしやすい一方で、多職種と連携しながら地域に暮らす高齢者に必要な援助を提供する必要がある、責任ある仕事でもあります。

地域に根付いた働き方をしたいと考えている方には、地域包括支援センターの保健師はとてもやりがいのある選択肢となるでしょう。

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