ガイドヘルパーと同行援護の違い

ガイドヘルパーは広義での外出支援を行い、同行援護は視覚障害者に特化した支援です。また、ガイドヘルパーには同行援護のほかに、行動援護従業者と全身性障害者移動介護従業者も含まれます。

ここでは、ガイドヘルパーと同行援護の違いを、目的や対象者を中心に簡潔に説明します。

ガイドヘルパーの目的は、障害のある方の外出を支援し、社会参加や日常生活の自立の促進です。買い物や散歩、イベント参加などの外出先での活動を支援します。主な対象者は以下のとおりです。

• 身体障害者
• 知的障害者
• 視覚障害者
• 聴覚障害者
• 精神障害者
• 発達障害者

　

なお、同行援護の目的は、視覚障害者の安全性の高い移動を確保し社会参加の支援です。

移動中のリスクの軽減や道案内などの移動支援のほか代読や代筆、排泄、食事などの日常生活の支援も行います。

対象者は、全盲またはそれに準ずる重度の視覚障害者です。どちらも外出支援が主な目的ですが、同行援護は視覚障害者の移動に特化したサービスです。

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ガイドヘルパーと同行援護の資格や講座に関する比較

ガイドヘルパーは移動介護従事者の総称で、同行援護のほか、行動援護従業者や全身性障害者移動介護従業者を含みます。

そのため、ここでは同行援護従事者や行動援護従業者、全身性障害者移動介護従業者の以下の内容を比較します。

• 資格の必要性
• 資格要件
• 講座のカリキュラム
• 受験費用

　

それぞれ詳しく見ていきましょう。

資格取得の有無

同行援護従業者は資格が必須で、視覚障害者の外出支援を行うには同行援護従業者養成研修の修了が求められます。

行動援護従業者は資格が必要となり、知的障害や精神障害者の外出支援を行うには行動援護従業者養成研修の修了が条件です。ただし、2027年3月31日までは経過措置があり、介護福祉士の資格と実務経験で従事できます。

全身性障害者移動介護従業者にも資格が必須となっており、全身性障害者の移動支援を行うには移動支援従業者養成研修（全身性課程）の修了が必要です。

また、地方自治体によってはガイドヘルパーの資格がなくても支援可能な場合もあるため、各自治体に事前に確認しましょう。

資格要件

同行援護従業者の一般課程受講資格は特になく、誰でも受講可能です。一方で、応用課程には資格要件があり、一般課程修了者または移動支援従業者養成研修（視覚障害課程）修了者が対象です。

または、視覚障害を有する福祉に関する事業に1年以上従事した経験者もしくは、リハビリテーションセンター学院視覚障害科の教科を履修した方も対象です。

行動援護従業者の受講資格は特になく、誰でも受講できます。また、従業者として働くためには、行動援護従業者養成研修修了に加えて知的障害者や精神障害者の直接支援業務に1年以上の実務経験が必要です。

全身性障害者移動介護従業者の受講資格は特になく、誰でも受講可能です。また、初任者研修や実務者研修、介護福祉士の資格保有者は一部科目が免除される場合もあります。

知的障害や精神障害は障害の内容や程度に個人差があるため、利用者と自分の身を守るためにも、専門的な知識を身につける必要があります。

講座のカリキュラム

同行援護従業者の一般課程の講座のカリキュラムは、以下のとおりです。

• 障害・疾病の理解
• 障害者（児）の心理
• 代筆・代読の基礎知識
• 同行援護の基礎知識
• 基本技能
• 応用技能

　

これらのカリキュラムを約20時間で学びます。応用課程では、以下の内容を学びます。

• 障害・疾病の理解
• 障害者（児）の心理
• 場面別基本技能
• 場面別応用技能
• 交通機関の利用

　

これらのカリキュラムを約12時間で学びます。行動援護従業者のカリキュラムは、以下のとおりです。

• 障害児福祉に関する制度およびサービス
• 知的障害者ホームヘルプサービスに関する知識
• サービス利用者の理解
• 移動支援の基礎知識
• 移動の支援に係る技術
• 実際の支援場面を想定した演習

　

これらのカリキュラムは合計約24時間で、講義を10〜14時間、演習を10〜14時間実施します。全身性障害者移動介護従業者のカリキュラムは、以下のとおりです。

• 障害児福祉に関する制度およびサービス
• 身体障害者ホームヘルプサービスに関する知識
• 場面別基本技能
• 移動支援の基礎知識
• 車いすでの移動の支援に係る技術

　

これらのカリキュラムは合計約16〜17時間で、講義を約12時間と演習を4〜5時間行います。

資格取得のためには2〜4日程度所定のカリキュラムを受講する必要があり、一部科目は初任者研修や介護福祉士などの資格保有により免除可能です。また、筆記試験や実技試験は課されないため、受講するだけで簡単に取得できるでしょう。

受験費用

それぞれの受験費用は、以下のとおりです。

• 同行援護：20,000〜50,000円（税込）
• 行動援護従業者：30,000〜50,000円（税込）
• 全身性障害者移動介護従業者：20,000〜50,000円（税込）

　

地域やスクールにより資格取得の金額は変わるため、確認しましょう。また、ほかの資格の取得により一部の講義や演習がカットされた場合は、費用が安くなるでしょう。

ガイドヘルパーの特徴

ガイドヘルパーの特徴は、以下のとおりです。

• 障害のある方の外出支援と介助従事者の総称
• 行動援護従業者や全身性障害者移動介護従業者も存在する

　

このように、行動援護や全身性障害者への支援など、複数の支援形態があります。それぞれ詳しく説明します。

障害のある方の外出支援と介助従事者の総称

ガイドヘルパーは、視覚障害や知的障害、身体障害などの障害のある方が外出する際に支援をする職業です。移動介護従事者と呼ばれる場合もあります。

視覚障害者には道案内や周囲の状況説明、知的障害者にはスケジュール管理や意思決定のサポートなど、障害特性を正しく把握して必要な支援を提供します。

行動援護従業者や全身性障害者移動介護従業者も存在する

ガイドヘルパーには、特定の障害やニーズに対応できるように、行動援護従業者や全身性障害者移動介護従業者の専門的な資格や役割を持つ仕事もあります。

行動援護従業者は、主に知的障害や発達障害のある方を対象に支援します。仕事内容は以下のとおりです。

• 行動に伴う危険回避のために必要な援護
• 外出時の移動中の介護
• トイレや食事などの介護

　

このほかにも、予期せぬ事態が起こったときの対応や誘導のためのコミュニケーションも求められます。

全身性障害者移動介護従業者は、先天性脳性麻痺やALS （筋萎縮性側索硬化症）など四肢に障害のある方や、重度の身体障害がある方の移動の支援を行う職業です。

仕事内容には、車いすの操作や体位変換、移動中の身体介助などの高度な介護技術が求められる場合もあります。ほかにも、外出時に必要な食事や排泄処理、代筆や代読なども提供します。

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同行援護従事者の業務について

同行援護従事者について、以下の観点から詳しく解説します。

• 視覚障害の方へ外出でのサービス
• 代筆と代読や食事などのケアを行う
• 年齢制限はなく1年ごとの更新が必要
• 介護給付を行ってから利用する

　

同行援護の仕事は、付き添うだけではありません。視覚障害者への外出支援に加え、代筆や代読、日常生活支援などの幅広い役割を担います。

それぞれ詳しく説明します。

視覚障害の方へ外出支援サービス

同行援護従業者は視覚障害者ガイドヘルパーとも呼ばれ、視覚障害のある方が快適に外出できるように支援します。サポート内容は、以下のとおりです。

• 道案内や障害物の回避支援などの移動時のガイド
• 公共交通機関の利用サポート
• 外出先での必要な情報の提供
• 買い物の補助

　

視覚障害には差があり、全盲の方からわずかに見える方、眼鏡で矯正している方などさまざまです。そのため、利用者の視覚レベルに合わせて補助を行わなければなりません。

代筆と代読や食事などのケアを行う

視覚障害者は文字を読むことや文字を書くことが困難な場合がほとんどです。そのため、同行援護従事者は視覚障害者のために代筆や代読、食事などのケアも行います。

視覚障害者が日常生活や社会参加に必要な情報を得ることや、活動をスムーズに行うためにサポートが必要で、その場に応じた臨機応変な対応が求められます。

年齢制限はなく1年ごとの更新が必要

同行援護のサービスは、年齢制限はありませんが、利用のためには1年ごとに更新が必要です。通常、65歳以降は介護保険サービスが優先して適用されます。

しかし、介護保険には視覚障害のある方向けの外出支援サービスが含まれていません。そのため、65歳以降も同行援護を利用できます。

介護給付を行ってから利用する

同行援護サービスを利用するには、介護給付の申請を行わなければなりません。介護給付を取得するためには、以下の内容を行う必要があります。

• 市町村の福祉の窓口に相談
• サービスの利用申請
• 障害支援区分の判定
• 利用計画の作成
• 市町村の支給決定と受給者証（支給決定通知書）の受け取り

　

手続きは2ヶ月程度かかり、介護給付の決定を受けた後、事業所と利用契約を行います。給付を受けることで費用の自己負担が軽減されるため、利用者は必要な支援を受けやすくなります。

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ガイドヘルパーと同行援護従事者の勤務場所

ガイドヘルパーと同行援護従事者の勤務場所は、以下のとおりです。

• 移動支援事業所
• 居宅介護支援事業所
• 障害者グループホーム

　

それぞれ詳しく説明します。

移動支援事業所

移動支援事業所とは、障害のある方の外出を支援する事業所です。

ガイドヘルパーの業務内容は、さまざまな障害のある方への移動時の案内やリスクの軽減、目的地までの付き添いです。一方、同行援護従事者の業務は視覚障害のある方に特化し、移動支援のほか代読や代筆、環境説明などの視覚情報の補完を提供します。

事業所自体は事務や調整の拠点となるため、事業所内でのサービス提供はほとんどないでしょう。さらに、地域密着型で運営しているため、市町村が委託するケースがほとんどです。

居宅介護支援事業所

居宅介護支援事業所とは、障害者や高齢者の自宅での生活を支援する事業所です。

ガイドヘルパーの業務内容は、幅広い障害のある方への外出支援や居宅内での家事援助、身体介護です。一方、同行援護従事者は視覚障害のある方に特化して外出支援や代筆または代読、日常生活の補助などをしています。

サービス提供時はケアマネージャーと連携し、利用者のケアプランに基づいて行います。

移動支援事業所と比べて外出支援だけでなく、居宅内での支援も含まれるため、業務範囲が広いです。また、移動支援事業所と同様に実際の支援は利用者の自宅や外出先で行うため、事業所内でのサービスの提供はほとんどありません。

障害者グループホーム

障害者グループホームとは、障害のある方が少人数で共同で生活を送るための居住施設です。

ガイドヘルパーは入居者の外出を支援し、同行援護従事者は移動支援や環境説明、代読などの情報提供を行います。また、グループホーム内での食事や生活相談などの生活支援を兼務する場合もあります。

移動支援事業所や居宅介護支援事業所と比べて、外出先での支援だけではなく施設内での業務を行わなければなりません。移動以外の介護も行うため、介護職員初任者研修や実務者研修、介護福祉士などの資格も取得するとよいでしょう。

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ガイドヘルパーと同行援護に向いている方の特徴

ガイドヘルパーと同行援護に向いている方の特徴は、以下のとおりです。

• 他の方とのコミュニケーションが得意
• 地図を正しく読み込み案内できる
• 臨機応変に柔軟な対応ができる

　

専門スキルよりも人柄や姿勢が活かされるため、特別な資格がなくても、自身の強みで活かせるでしょう。それぞれ詳しく説明します。

他人とのコミュニケーションが得意

コミュニケーション能力は、以下の理由のため必要です。

• 利用者のニーズや気持ちを理解して安心感を与えるため
• 視覚情報や状況をわかりやすく伝えるため
• 利用者のペースに合わせた対話を行うため
• 信頼関係を築くため

　

マンツーマンで介助を行うことがほとんどのため、コミュニケーションが得意な方は、ガイドヘルパーと同行援護に向いているでしょう。

正しく地図を読み込んで案内できる

道案内ができる能力は、以下の理由のため必要です。

• 正確なルート把握
• わかりやすい道案内の説明
• リスクの少ない道順の判断と案内

　

外出支援がガイドヘルパーと同行援護の主な仕事となるため、方向感覚に自信のある方も向いているでしょう。

臨機応変に柔軟な対応ができる

臨機応変に柔軟な対応ができることは、以下の理由のため必要です。

• 急な予定変更への対応
• 代替ルートや手段の提案
• 個々のニーズに合わせた支援

　

ガイドヘルパーと同行援護の仕事は予期していないことが連続で起こる可能性があるため、臨機応変に柔軟な対応ができる方も向いているでしょう。

ガイドヘルパーと同行援護従事者の違いを知り多くの方に関わるために

この記事では、ガイドヘルパーと同行援護従事者の違いを解説してきました。資格や業務内容、勤務場所、向いている方の特徴の観点から解説しました。

ガイドヘルパーと同行援護従事者は、どちらもやりがいがありそうですが、どこから始めたらよいのでしょうか？

ガイドヘルパーは広義での外出支援を行い、同行援護は視覚障害者に特化した支援を行います。自身の興味や性格、ライフスタイルに合わせて、ガイドヘルパーか同行援護従事者かを選びましょう。まずは現場経験を通して理解を深めることが大切です。

ガイドヘルパーや同行援護従事者の仕事が気になる方は、まずはハッシュタグ転職介護までご相談ください。

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