介護施設のユニットリーダーの役割と介護リーダーとの違い

ユニットリーダーと混同しやすい役職に介護リーダーがあります。なんとなく言葉のイメージが似ているため同じ職種と勘違いされることがありますが、責任を持つ範囲に明確な違いがあります。
ユニットリーダーとは、少人数単位のユニットで直接的なマネジメントを行い、現場に密着して動く点が特徴です。
まず、ユニットについて解説します。介護福祉施設の中には、施設の中を少人数のいくつかのまとまりに分けて生活をするスタイルをとっている施設があります。
ユニットはリビングスペースを利用者の個室が囲む形で配置され、より居宅に近い環境での生活が提供できることが特徴です。このスタイルをユニット型と呼び、各ユニットにユニットリーダーが配置されます。
ユニットの利用者の数はおおむね10人です。一人ひとりに寄り添いやすく、その人らしい生活のためのケアを提供しやすいスタイルです。
ユニットリーダーは、そのユニット内で責任を持つリーダーです。
介護リーダーは施設全体を統括する介護部門のリーダーです。責任の範囲が施設全体になる点がユニットリーダーとは異なります。
ユニットと施設全体で責任の範囲は異なりますが、いずれも介護現場の中心的な存在として重要な役割を担います。
介護施設のユニットリーダーの仕事内容

ユニットリーダーは、少人数のユニットで現場に密着した中心的な役割を担います。では、実際に毎日の業務ではどのようなことをしているのでしょうか。
具体的な仕事内容6つを以下で解説します。
介護職員のシフトの作成と調整
ユニットリーダーは、ユニット内のスタッフのシフトの作成と調整を行います。
ユニットの介護スタッフはほとんどが固定されており、24時間体制の施設では、そのメンバーで早番・日勤・遅番・夜勤などのシフトを組む必要があります。また、行事に合わせたスタッフの確保も考慮しなければなりません。
シフト体制や休みの取り方は施設によりさまざまです。各施設のシフト作成のルールにしたがってスタッフのシフトを組みます。
スタッフの教育
ユニットのスタッフの教育もユニットリーダーの仕事です。ユニットを円滑に運営し、質の高い介護を提供するために、リーダーはスタッフに対してアドバイスや指導・研修を行います。
スタッフから悩みや疑問を相談されることもあるでしょう。ユニットリーダーは相談に乗ったり、アドバイスをしたりしてスタッフのスキルアップを図るサポートをします。
レクリエーションや行事の企画

ユニット内で開催するレクリエーションや季節の行事の企画もユニットリーダーの仕事です。
例えば、利用者のお誕生日のお祝いや、夏祭りやクリスマスのように季節を感じられるイベントなどを企画します。
しかし、企画のすべてをユニットリーダーがしなくてはならないわけではありません。ユニットスタッフが企画した案をチェックし、修正や改善を提案して開催につなげることもあるでしょう。
企画をチェックする際は、安全性への配慮に十分注意しましょう。また、時間やスタッフの配置に無理がないか確認します。事前にスタッフ間で注意点を共有し、安全意識を高めて、充実したレクリエーションの実現につなげます。
利用者のケア方法の見直し
ユニットリーダーは、利用者の生活を支えるための個別介護計画の作成や見直しをして、よりよい介護が提供できるように配慮します。その際、必要に応じて、利用者やご家族との面談を行うこともあります。
ケア方法の見直しは、日々ケアを行っているユニットのスタッフの意見やご本人の様子を常に観察していくことで適切に進められるでしょう。
日頃のユニットのスタッフとのコミュニケーションは、感じたことの共有やケア方法の改善点などを見つけるためにとても重要です。
利用者の家族との連絡
利用者の健康状態や生活状況に関する報告を行うため、必要に応じてご家族と連絡を取ります。
施設側から伝えること以外にも、ご家族からの情報提供や家族のやりとりから施設内だけでは気付けない利用者の状態や気持ちを知ることができます。それらを知ることで、よりよい介護の提供につながります。
介護士は利用者だけでなく、ご家族の気持ちや希望を汲み取りながら、信頼関係を築くことが重要です。
会議への参加

施設では定期的にほかの部署や施設の管理者と連携し、情報の共有や交換をします。会議にはユニットの代表としてユニットリーダーが参加することになるでしょう。
ユニットの雰囲気や課題を常に把握しておくことが必要です。また、会議での内容をユニットのスタッフにきちんと伝えて共有することが重要です。
介護施設のユニットリーダーになるには資格が必要?

ユニットリーダーには必須の資格は定められていません。しかし、ユニットでの介護の方法やスタッフの指導なども行うリーダーであるため、介護福祉士の資格を求められることがあります。
ほかにも、介護職員初任者研修や実務経験の年数など職場によってばらつきはあるものの、リーダーとなるために介護の現場を十分理解していることが必須になるでしょう。
指導的役割を担うスタッフで受講が適切であると認められた場合は、ユニット型の施設で働くリーダーを対象にユニットリーダー研修があります。この研修ではユニットケアの専門的な知識や技術、マネジメントスキルを学べます。
ユニットリーダーに必要な資格は定められていないものの、介護職のリーダーとして常にスキルアップを目指しましょう。
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介護施設のユニットリーダーに必要なスキル

ユニットリーダーになるための資格は定められてはいないものの、リーダー職となるためにさまざまなスキルを求められます。ユニットリーダーは利用者への視点、スタッフへの視点を持ちながらほかの職種との連携をとる役割があるためです。
ここからは、豊富な経験やリーダーシップなどユニットリーダーに必要なスキルを6つ解説します。
実務経験
ユニットリーダーとして働くには実務経験は必要不可欠です。現場を十分理解しておかないと介護を充実させる視点やスタッフをまとめることは難しいでしょう。
特にユニット型の施設での経験はリーダーとして働く際に役立ちます。ユニット型における介護やスタッフ間の連携を経験すると、業務の改善点に気付けるようになったり、リーダーの役割や必要性などを体感できたりするでしょう。
リーダーシップや指導力
ユニットリーダーには、他者を導く人間性が求められます。スタッフに介護の方向性を示し、ユニットスタッフをまとめて引っ張っていく立場だからです。
リーダーシップや指導力は必須だといえるでしょう。経験や知識が豊富でなければ、スタッフをまとめたり指導したりすることができません。そのため、ユニットリーダーには介護に関する豊富な知識や技術が求められます。
利用者やご家族への接し方についても、笑顔で接することや時間をかけて丁寧に関わることなど、介護に携わるうえで基本となる姿勢もスタッフのお手本となるよう心がけましょう。
向上心
向上心のある方はユニットリーダーに向いています。ユニットリーダーは、ユニットスタッフや利用者にとって信頼できる存在になることが大切です。
日々の業務内容や介護の方法、利用者のニーズを常に意識し、改善していくことが重要です。スタッフとともに考え、よりよい介護が提供できるよう努めましょう。
経験を積むことや研修に参加すること、専門書を読むことなどでさらにスキルアップが目指せます。よりよい介護を提供するために、自身の成長を目指しましょう。
初めからすべてを完璧にこなせるリーダーはいません。わからないことは周りのスタッフに相談や質問をするとよいでしょう。わからないことを学ぶ姿勢を示すことも大切です。
常に改善点がないか意識し、向上心を持って仕事をする姿勢が大切です。
コミュニケーションスキル

ユニットリーダーにとってコミュニケーションスキルはとても重要です。
まず、介護職の一員として利用者とのコミュニケーションは日々の業務のなかで必要不可欠です。コミュニケーションは、利用者との関係を築いたり、体調や気持ちに気付いたりするための大切なツールとなります。また、利用者への態度や言葉遣いなどがほかのスタッフのお手本となるよう努めましょう。
ユニットリーダーはスタッフ間のコミュニケーションも積極的に、まんべんなくとるよう心がけます。スタッフが利用者との関わりや業務のなかで気付いたことや疑問点などの情報共有につながるからです。
また、スタッフ本人のモチベーションや仕事への悩みを知るきっかけにもなります。日頃からコミュニケーションをとっておくことで、ユニットのスタッフがリーダーに相談しやすい環境を作ることもできるでしょう。
介護施設では多職種とのコミュニケーションが必要で、ユニットリーダーはユニットの代表としてその役割を担います。多職種と円滑に連携し、協力体制を築くためには、日頃から良好な関係を作ることが大切です。また、連携事項の要点をまとめ、的確に伝えたり聞き取ったりするスキルも求められます。
マルチタスクスキル

ユニットリーダーの業務内容は多岐にわたるため、複数のタスクを遂行する力が求められます。
介護の現場は利用者の生活の場であるため、常に介護業務があります。それに加えほかの職種との連携やスタッフのサポート、緊急事態に対応することもあるでしょう。
介護の現場では、ユニットリーダーはさまざまな業務を同時に進めなければならないことは珍しくありません。複数のタスクを適切に調整し、優先順位を考えて管理できることが重要です。
マネジメントスキル
マネジメントスキルとは、経営資源やチームの連携、事業の成果などビジネスに関する全般を管理する能力のことです。管理者やリーダーのような役職の方にとっては身につけたいスキルといえます。
ユニットリーダーにはユニット内の目標設定や計画立案、スタッフのスケジュール調整、問題解決能力も必要です。マネジメントスキルを持つユニットリーダーは、業務の効率化や質の高い介護の提供を実現できるでしょう。
またユニットリーダーはユニットスタッフに対して指導や指示を出すだけではなく、ときにはスタッフが自ら考え、納得して行動できるよう促す働きかけも求められます。
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介護施設のユニットリーダーの適性

これまで解説したように、ユニットリーダーにはさまざまなスキルが必要です。それでは、ユニットリーダーの適性にはどのようなものがあるのでしょうか。ユニットリーダーに向いている方の特徴について解説します。
ほかの職種と協力関係を築ける
介護施設ではさまざまな職種の方と連携して介護を提供しているため、ほかの職種との関係づくりは重要です。
ほかの職種との連携がスムーズであれば、利用者に質の高い介護を提供できます。その結果、利用者やご家族からの信頼感や満足感にもつながるでしょう。
ユニットリーダーは、他職種と連携をとる際の窓口となります。円滑なコミュニケーションでほかの職種との協力関係を築いておきましょう。
客観的な判断と冷静な対処ができる

ユニットリーダーが活躍する職場は、高齢者である利用者の生活の場であるため、予測できないトラブルが起こる可能性があります。利用者の容態や思いがけない事故なども起こらないとは限りません。
そのような場面では、ユニットリーダーがスタッフに指示を出す役割を担います。不測の事態でも冷静に的確に指示を出し、自らも動ける冷静さがある方はリーダーに向いているといえるでしょう。
また、利用者やご家族、スタッフ間などでそれぞれの感情が錯綜することがあります。そのようなときにも個人的な感情やその場の雰囲気に流されず常に冷静な判断と行動ができる方はリーダーとして頼りになる存在でしょう。
利用者やスタッフの変化に気付ける
利用者やスタッフの変化に気付ける方はリーダーに向いています。ユニットリーダーは小さな変化でも察知し、対応する役割があります。
まず、利用者の変化に気付くことが重要です。身体の様子や表情、気持ちの面などあらゆる面での変化に気付くことで利用者に寄り添った丁寧なケアにつながるからです。
またユニットリーダーは、介護の内容に関する役割のほか、ユニットのスタッフをまとめる役割があります。そのため、スタッフの変化に気付き対応できることが求められます。
スタッフの表情や体調などの変化、スタッフ同士の関係性などに気を配れる方はユニットリーダーの適性があるといえるでしょう。
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介護施設のユニットリーダーの給料相場

ユニットリーダーは責任ある役職であるため、どの程度給料に反映されるかは気になる点ではないでしょうか。
厚生労働省の調査によると、介護老人保健施設で働く有資格介護職の月給相場は349,000円です。特に、上位資格である介護福祉士の資格を持つ場合は約356,000円となっています。
同調査での介護職全体の月給相場が319,000円であることから、有資格者、なかでも介護福祉士の給料は高い水準であるといえます。
さらに、ユニットリーダーには役職手当が付くことが多く、ほかにも資格手当や夜勤手当などが支給される施設もあります。ユニットリーダーの手当は基本給プラス5,000~10,000円程度ですが施設によりばらつきがあるため求人情報を確認しましょう。
今後ユニットケアを導入する施設は増えていくことが見込まれます。そのためユニットリーダーの需要も高まっていくでしょう。
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介護施設のユニットリーダーを目指すなら

ユニットリーダーは現場で利用者に寄り添いながら、スタッフと協力し質の高い介護を提供するためにチームをまとめ支える重要な役割があります。
ユニットリーダーを目指すなら、まずは介護の現場での経験をしっかり積みましょう。そして、介護福祉士の資格取得を目指すとよいでしょう。積極的に研修を受け、明確な目標を設定して常にスキルアップを目指すことが重要です。
経験や資格取得などの準備ができたら転職によるステップアップでユニットリーダーとして働くことも検討してみてはいかがでしょうか。
ユニットリーダーは、着実に準備すれば実現できる役職です。自身の経験や保有資格から次の目標を設定し、少しずつ準備をしてみてはいかがでしょうか。
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