介護送迎ドライバーに関する資格

送迎を行うのが事業者なのか個人なのかによって、道路運送法に基づく許可や登録の必要性が異なり、それぞれの法的な扱いも変わってきます。

通常、介護送迎ドライバーは訪問介護事業者や介護施設などに雇用されているケースが少なくありません。ドライバーは利用者の方の自宅と施設間の送迎を行うため、特別な資格は必要がありません。

また、運転以外にも利用者の安全性を重視した乗降や気配りが重要な仕事なため、取得しておくと安心感をもって業務に従事できる資格もあります。

以下で資格を紹介していきます。

必要な資格

介護施設の送迎は普通自動車第一種運転免許があれば始められる職業です。また、AT限定の介護施設も少なくありません。

道路運送法では、介護タクシーなど運賃を受け取って乗客を運送する業務には、専門的な運転免許である第二種運転免許が必要になります。

要するに介護送迎ドライバーとして独立した資格があるわけではなく、送迎サービスを提供する主体によって求められる運転免許の種類や許可が決まります。

明確な資格のみならず、利用者を安全に送迎するため、高い運転技術と慎重な運転への配慮が求められるでしょう。

取得しておくとよい資格

勤務する事業所や施設によっては、利用者の送迎時に同乗する介護職員がいない場合があります。

ドライバー自身が利用者の乗降や車内での安全性をしっかり見守る必要があります。

介護職員初任者研修の介護系資格や普通救命講習の資格を取得しておくと、万が一の対応にも役立ち、安心感をもって業務に従事できるでしょう。

介護系の資格を取得していくことで、介護業界でのさまざまな業務に対応可能になり、業務の幅が広がるでしょう。

介護送迎ドライバーに必要な運転免許の種類

送迎ドライバーには特別な資格が必要がないと前述しましたが、利用者の送迎には一般的な普通免許が必要です。

普通免許とは、日本国内で自動車や原動機付自動車を運転できる第一種普通自動車免許を指します。

介護事業所や施設によって使用されている車種が違うため、それぞれの車種に合わせた免許が必要になることもあります。

勤務する事業所の車種を確認しましょう。

第一種普通自動車運転免許

国土交通省の定める、道路運送法の許可または登録を要しない運送に関するガイドラインによると道路運送法では許可の必要な行為ではないため、ドライバーも第一種普通自動車免許だけで業務ができます。

介護送迎ドライバーの仕事は普通自動車免許があれば可能な業務ですが、ただ運転できるだけでは務まりません。

高齢者や障がい者の方を乗せるため、普段の運転以上に慎重で丁寧な運転が求められます。急ブレーキや急発進を避けるのはもちろん、乗降の際のサポートや安心感をもって過ごしてもらえるような気配りも大切です。

乗る方に「この人の運転なら心配ない」と感じてもらえるような、安全第一の運転技術と心配りをしましょう。

中型・大型普通自動車運転免許

事業所の規模によっては、中型や大型の自動車で送迎する場合もあるので、それぞれ必要に応じて中型や大型の自動車運転免許を取得しましょう。

中型自動車とは、車両総重量が7.5トン以上で11トン未満で、乗車人数は定員11人以上で30人未満をさします。

大型自動車とは、車両総重量が11トン以上で、乗車人数の定員は30人以上をさします。

中型車や大型車を使った送迎は、普通車に比べて乗車人数が増えるため、さらに安全性が高い配慮がいっそう重要です。

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介護送迎ドライバーの勤務先

送迎業務を担当する機会がある代表的な介護施設の種類を紹介します。

• デイサービス
• 特別養護老人ホーム
• 有料老人ホーム

　

利用者の生活を支える大切な役割を担う送迎業務は、施設の種類によって仕事の内容や対象となる方の状態にも違いがあります。

それぞれの施設の特徴を理解することで、自分にあった職場を見つけやすくなるでしょう。

デイサービス

デイサービス（通所介護）事業所とは、高齢者や障がい者ができる限り自宅で自立した生活を続けられるように支援する施設です。

支援の目的は日中に通所して食事や入浴、リハビリのサービスを提供することで、利用者の心身機能の維持や孤立の防止と家族の介護の負担を軽くすることです。

送迎ドライバーは、毎日決まった時間に利用者の自宅と事業所を往復して送迎を行います。

近年では介護職員の負担軽減のため、複数の介護サービス事業所や障がい福祉サービス事業所が送迎車両を共有する取り組みが推奨されています。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、常に介護を必要とする入所者を受け入れて入浴やの生活支援や機能訓練を提供できる施設をさします。

特別養護老人ホームでは医師が常駐しているため、日常的な体調管理は施設内で対応でき、通院の付き添いや介助がほとんど必要ありません。

送迎サービスが必要となるのは、主に人工透析の医療処置を受けるための通院時です。

有料老人ホーム

有料老人ホームには介護付き有料老人ホームと住居型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅とがあります。

それぞれの老人ホームは定義や法的根拠が細かく異なるため、確認が重要です。送迎サービスは老人ホームの施設によって提供されるか、利用者が個別に介護サービスを契約しサービスを受けるかで対応が違います。

また、デイサービスのような場に送迎する場合も個人契約で行うことも少なくありません。

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介護送迎ドライバーの仕事内容と1日のスケジュール

介護送迎ドライバーの主な仕事は運転だけではありません。使用する車両の清掃や日常的な点検と整備も大切な業務の一つです。

車内を清潔に保ち、常に安全性の高い状態で運行できることは、利用者の安心感にもつながります。

何よりも大切なのは利用者の方の安全性を重視し、そして時間どおりに目的地まで送り届けることです。高齢者や障がい者の方を乗せるため、慎重な運転や細やかな気配りが求められます。

さらに詳しく見ていきましょう。

利用者の乗車・降車介助

高齢者や障がい者の転倒防止対策は大変重要な仕事です。事故が起きた場合、乗車や降車の際に介助者側の過失として扱われる事例がほとんどです。

基本的な注意すべき介助方法を紹介します。

• 常に手の届く距離を意識する
• 決して目を離さない
• 同時に違うことをしない

　

利用者のそばを離れるときは、万が一のために椅子に座ってもらうようにしましょう。

立ったままの場合は、急にふらつくことがあるため、転倒防止に備えて利用者の身体の一部に軽く手を添えておくことが大切です。

携帯電話を操作しながらや、利用者以外の方と話しながらの介助は行わないように心がけましょう。

乗り降りのサポートは、利用者の方の安全性に配慮して車に乗り込み、降りた後もしっかりと安全性が確認できるまで続けましょう。

利用者の送迎

送迎業務で特に注意が必要なのは、交通事故のリスクです。事故を防ぐためにも、交通ルールをしっかり守り、常に安全運転を心がけることが大切です。

ドライバーは自動車運転に係る法令の内容をしっかりと理解し、遵守する必要があります。また、送迎コースの決定の際も気をつけましょう。

事業所内の安全教育の一環として運転技術や注意点をお互いにアドバイスし合う取り組みも必要です。

警察署が実施する交通安全講習会の参加や安全運転管理者の選任などの取り組みが該当します。

交通事故を起こさないために個人的にドライバーとしてできることは、健康管理と精神的な安定です。

送迎計画書の作成

利用者の送迎は一人のお宅に直接向かうのではなく、予定されている複数の利用者宅を順番に訪問し、相乗りで送迎を行うのが一般的です。

送迎ルートや乗車順は、あらかじめドライバーが作成する送迎計画書で決められています。送迎計画書とは、利用者の自宅と事業所や施設をどのように走行するかを定めたスケジュール表です。

作成した送迎計画書に基づいて運行することで、複数の利用者を効率よく、安全性の高い送迎ができるように調整されています。

1日のスケジュール

ドライバーの1日の業務スケジュールは、原則として月曜日から金曜日の午前8時から午後5時までです。

出勤後は送迎スケジュールを確認し、午前中は利用者を迎えに行きます。昼休憩を挟んで、午後は利用者を自宅まで送り届け、業務を終えて夕方に退勤するのが基本的な流れです。

また、送迎の合間に事務処理や車両の整備を行います。事業所や施設の雇用形態によって、拘束時間が異なるため、確認をしましょう。

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介護送迎の雇用形態と平均年収

介護送迎ドライバーの雇用形態として、正規雇用とアルバイトやパートタイマー、派遣社員のような非正規雇用の働き方があります。

正社員として働く場合、ドライバー業務だけでなく、ほかの作業の兼任も少なくありません。

安定した働き方ができる一方で、求められるスキルの幅も広がるため、キャリアアップを目指すことも可能です。

パートやアルバイトの場合は、シフト制で働くことになります。希望する日や時間帯で勤務できるため、家庭や予定に合わせやすく、未経験の方でも始めやすいのが特徴です。

ただし、勤務時間が短くなりがちなため、収入が不安定になりやすいデメリットもあります。

正規雇用

正規雇用の送迎ドライバーとして働く場合、全国的な平均年収は4,300,000円ほどで、月収に換算すると358,000円程度です。地域によって差があり、需要の高いエリアでは4,500,000円前後の収入になる県もあります。

正規雇用は、介護関係の資格を取得していると資格手当が支給される場合もあり、保有資格によって収入アップにつながります。

仕事を探す際には基本的な給与だけでなく、資格手当の有無や支給条件も含めて総合的な比較と検討が大切です。

自分のスキルや将来のキャリアにあった職場を選ぶことで、長く安定して働ける環境を築けます。

非正規雇用

アルバイトやパートとして働く場合、平均的な時給は1,100円程度とされています。一方で、派遣社員として働く場合は時給がやや高く、平均でおよそ1,300円です。

さらに、都市部や人手不足の地域では派遣社員の時給が1,500円を超えることもあり、勤務先や地域によって大きく差が出るのが特徴です。

働く形態や勤務地を選ぶ際には、時給だけでなく交通費の有無や福利厚生も合わせて確認しましょう。

ハッシュタグ転職介護では、今後ますます高齢化が進み、介護業界の需要が拡大すると予想しています。介護業界は人材不足が深刻化している現状をふまえ、未経験の方でも挑戦しやすい環境です。

まったく違う業種で働いている方でも副業や定年後の再就職先でも現実的なのが介護業界です。

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介護送迎ドライバーに必要なこと

送迎ドライバーは、第一種普通自動車免許さえ持っていれば仕事ができると前述でお伝えしましたが、現場で求められる基本的なスキルと心構えも一緒に意識しましょう。

利用者を乗せて車両を運転する自覚をもち、通常の車両にはない車いすリフトの操作方法を正しく理解することと、さらに周囲の方々への配慮を忘れないことが大切です。

詳しく見ていきましょう。

交通安全への高い意識

車両の運転は、常に交通事故のリスクとは背中合わせです。利用者の大切な命はドライバーの運転技術と安全性の意識にかかっています。

毎日の業務をただのルーティンにせず、常に初心を忘れずに取り組むことが大切です。事故や交通違反のない安全運転を心がけ、利用者が安心感をもって乗車できるようにしましょう。

車いす用のリフトやシートベルトなど特殊装備の理解

介護事業所や施設で使用されている車両のほとんどには、高齢者や障がい者の方への配慮として、車いす用リフトや電動ステップなどの特殊装備が備えられています。

送迎ドライバーは、車いす用リフトやシートベルトなどの機器を正しく理解し扱えるように、まずはメーカーの取扱説明書をよく読みましょう。

実際の車両を使って操作訓練を受ける必要があります。また、定期的に実施される安全運転講習会や特殊装備に関する研修の受講で、知識や技術を常に新しい状態に保つことができます。

近隣への配慮

実際に送迎業務にあたるなかで、利用者だけでなく、ご家族や地域のさまざまな方々と接する機会があります。

利用者を第一に考えて高い安全性と丁寧な対応はもちろん大切ですが、加えて送迎時の騒音や駐車位置などにも気を配り、近隣住民への配慮も忘れてはいけません。

送迎業務はただ利用者を運ぶだけでなく、地域社会とのつながりのなかで成り立っています。

業務を円滑に進めるためにも、信頼される送迎ドライバーとして利用者やご家族と近隣住民との良好な関係づくりを意識し、日頃から丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。

介護送迎ドライバーに必要な資格を取得し就職を考えているなら

介護送迎ドライバーに必要な資格と仕事内容、給与に関してお伝えしてきました。得意な車の運転を活かせる送迎ドライバーは、これからの介護業界では重要な職業の一つです。

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