ホームヘルパー（訪問介護員）の仕事内容

介護保険法に基づく要介護者や高齢者、障害者総合支援法に基づく障害者などの自宅を訪問し、生活援助や自立支援を行うのが主な役割です。

ホームヘルパーは、無資格者や入門的研修だけの受講では訪問系サービスには従事できません。

生活援助従事者研修を59時間受講するか、介護の資格を持つことで、利用者の心身を支える仕事をすることができます。

自治体、社会福祉協議会や企業などが行っている、介護職員初任者研修課程を受講して修了する必要があります。

また、2013年4月に改定された介護資格制度によりホームヘルパー2級の資格を取得しているものは、介護職員初任者研修課程の修了相当とみなされています。

ホームヘルパーの主な仕事内容は以下のとおりです。

• 身体介護
• 生活援助
• 通院などの介助

　

上記の業務に加えて、訪問した利用者の介助内容を記録し、ケアマネジャーへの報告も大切な役割です。

ケアマネジャーは報告の記録をもとに利用者の状況を把握し、毎月のケアプランを作成します。

ホームヘルパーの多くは指定訪問介護事業所に雇用され、常勤や非常勤と雇用形態もさまざまです。働く時間も短時間から業務が可能で、時間制限のある主婦の方なども活躍しています。

主な業務を解説していきます。

身体介護

身体介護とは、利用者の身体に直接触れて行う介助のことで、介助の内容はさまざまです。具体的な介助内容は以下のとおりです。

• 食事介助
• 入浴介助：全身清拭、部分浴、洗髪
• 排泄介助：トイレ利用、おむつ交換など
• 更衣介助、身体整容：口腔ケアなど
• 体位変換
• 服薬介助
• 健康チェック

　

自立した生活を支援したり、症状の悪化を防ぐために見守りを行ったり、また利用者の健康状態を毎日記録することも身体介護に含まれます。

生活援助

生活援助の主な業務は、利用者本人や利用者の家族に対する家事支援をさし、基本的には介助の対象は利用者本人に限られます。

家族全員の生活をサポートはしませんが、精神的なサポートを行うこともあり、家族には介護に関する技術的な指導を行うこともあります。

利用者への具体的な援助は以下のとおりです。

• 室内やトイレなどの清掃：ゴミ出しから後片付けまで
• 洗濯全般：物干しやアイロンがけ
• ベッドメイク
• 衣類整理
• 調理から配膳まで
• 日用品の買い物や常備薬の受け取り

　

利用者が自分でできない生活のなかの家事を代わりに行うのが生活援助になります。

また、要介護度によっては、ADL(日常生活動作)の維持と向上につなげる適切な介助を行うことも大切です。

通院介助

利用者が病院に通う際の通院介助は、車での送迎だけではありません。通院前の準備や病院での受付手続きや乗り降りのサポートなども行います。

また、通院の方法は利用者によって異なるため、それぞれに合った介助が必要です。

病院では、排泄の介助や薬の受け取りもホームヘルパーの業務に含まれます。ただし、通院介助の範囲を超えての買い物や、道中の寄り道は認められていません。

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ホームヘルパー（訪問介護員）の1日の仕事の流れ

現在、ホームヘルパーの雇用形態は非常勤のパートタイマーやアルバイトとして扶養の範囲内で短時間からの働く方が少なくありません。

ホームヘルパーの一日は、ケアマネジャーが作成したケアプランをもとに複数の利用者宅を訪問します。

厚生労働省の2023年度介護事業経営実態調査結果によると、訪問件数や時間は日によって異なります。常勤で一日8時間働く場合、一人が訪問する件数の平均は一日あたり5.2件です。

ただし、5.2件はあくまで平均で事業所によって違いもあり、短時間で終わる業務ばかりの日は一日10件以上訪問することもあります。

パートタイマーやアルバイトのヘルパーは常勤の方ほどの件数はこなせませんが、依頼の集中するお昼や夕方のみの場合は、1〜2件の訪問となることも少なくありません。

一日の流れを常勤の場合でみていきましょう。

出社

出社後、当日のスケジュールや引継ぎ事項を確認します。

スケジュール確認や準備

訪問する利用者の情報とサービス内容を再確認し、必要な準備をします。訪問先によってサービス内容やかかる時間が違うため、それぞれの利用者にあわせた準備が必要です。

午前中の訪問

利用者Aさん宅を訪問し、身体介護や生活援助を行います。1回の訪問にかかる時間は、60〜90分程度が目安です。

次に時間に余裕があれば、利用者Bさん宅に向かいサービスを行い、午前中の業務を終わらせて事業所へ戻ります。

訪問と訪問の合間に移動し、時間があれば休憩を取ることも可能です。

昼食や休憩

事務所や外出先で60分の昼食と休憩を取り、午後の訪問に備えます。

午後の訪問

再び2〜3件の利用者宅を訪問し、身体介護や生活援助、通院介助を利用者ごとにサービスを提供します。30分程度のケアもあり、毎日訪問する利用者ごとに大きく内容は異なります。

帰社

退社の1時間〜30分ほど前に事務所に戻り、利用者の介護記録の記入やケアマネジャーに報告し、翌日の準備を行います。

介護記録の記入や引き継ぎ

必要な情報や引継ぎ事項を同僚と共有し、利用者の体調変化には特に注意をはらい、引継ぎはサービス内容やポイントと注意点をセットで整理して伝えることが大切です。

退社

退社時刻は各事業所によって違いますが、常勤の方は8時間労働が基本になります。アルバイトやパートタイムの方の場合、直行直帰で訪問を行うことも少なくありません。

大切な引き継ぎは、朝の出勤時に電話で伝えるほか、携帯のチャットツールを使って連絡する方法も増えています。

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ホームヘルパー（訪問介護員）に向いている方

ホームヘルパーは基本的に一人で利用者宅を訪れ、単独で介護サービスの提供を行います。利用者の生活環境や習慣を理解し、一人ひとりに寄り添ったコミュニケーションが必要です。

また、施設や事業所のようにほかの職員と一緒に働く機会も少ないため、職場の人間関係のストレスは少ないでしょう。

ただし業務は基本的に一人で行うため、利用者への責任感や、予想外の出来事に対応する判断力が求められます。

さまざまな業務内容の身体介護や生活援助に対応するスキルの知識も身に付けている方には向いている職種です。

訪問介護に向いている方の4つの特徴をさらに詳しく解説していきます。

コミュニケーションが得意な方

ホームヘルパーは利用者と密接に関わる仕事のため、人と話すのが好きな利用者もいるので、おしゃべりを楽しむ方も少なくありません。

また、利用者の家族やほかのスタッフとの信頼関係を築くために、丁寧なコミュニケーションも必要です。

しかし、始めから高いコミュニケーション能力が求められるわけではありません。基本的なあいさつや簡単な日常会話ができれば十分です。

仕事を重ねていくなかで利用者との信頼関係ができてくると、自然とコミュニケーション力も身についていきます。

何よりも常に笑顔で接することを心がけるだけでも、利用者は安心感をもってホームヘルパーの来訪を心待ちにしてくれるでしょう。

責任感の強い方

利用者の自宅に一人で訪問することは、頼れる同僚がいないなかで、どのような環境でも身体介助や生活援助をすべて自分の責任で行える方が向いているでしょう。

自分の行うケアが、利用者さんの生活の質や心と身体に影響を与える可能性があることを常に意識しながら仕事に取り組むことが大切です。

利用者に緊急のことが起きた場合は、まず自分で状況を判断し、責任をもった対応が求められます。また、時間や約束をきちんと守ることも、大切な責任の一つです。

体力に自信がある方

ヘルパーの仕事は一日に何軒もの利用者宅を訪問しなければならないため、体力と健康に自信がある方が求められます。

現場では、利用者の身の回りのことから外出時のサポートまで幅広く対応する必要があるため、当然ながら疲れがたまることもあります。

介護の現場では利用者をベッドから起こしたり、車いすに移動させたりと、人を持ち上げるような場面も少なくありません。

いくら体力があっても、正しくないケアをしていると利用者にケガをさせてしまうリスクもあります。基本的な介護の技術を身につけて、正しい身体の使い方を学ぶことが大切です。

職場の人間関係で悩みたくない方

ホームヘルパーの仕事は、基本的に一人で行う業務なので、ほかのスタッフと関わることは少なく気をつかわずにサービス提供ができます。

まったく人と関わらないわけではなく、もちろん利用者とは一対一で信頼関係を築いていく必要があります。

利用者を第一に考えて寄り添ったケアを行うことが求められるため、職場での人間関係づくりとは少し違った関わり方になるでしょう。

所属する事務所とのやり取りや、ほかのスタッフとの関わりは多少はありますが、自分のペースで働きたい方にはおすすめです。

私たちハッシュタグ転職介護では、「もっと人間関係のよい環境で働きたい」「コミュニケーション能力を活かした働き方をしたい」などの希望に合った職場を見つけるサポートが可能です。

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ホームヘルパー（訪問介護員）の働き方

ホームヘルパーの働き方は複数の雇用形態があり、自分のライフスタイルにあわせて働けるメリットがあります。

代表的な雇用形態は以下の4つです。

• 正社員（常勤）
• パートやアルバイト（非常勤）
• 登録ヘルパー
• 派遣社員

　

正社員は介護事業所に直接雇用され、原則一日に8時間か一週間に40時間で働く形態です。固定の給与と福利厚生や有給休暇もあるため、安定して働くことができます。

非常勤のパートやアルバイトは介護事業所と直接雇用を結び、事業所によってシフトにあわせて短時間からフルタイムまで柔軟に働くことが可能です。

登録ヘルパーは事業所に登録し、希望する曜日や時間帯にあわせて仕事を紹介してもらう雇用形態です。

登録ヘルパーは介護業界ならではの働き方で、すき間時間を活かして働く方も少なくはありません。自由度の高い登録ヘルパーやパートタイムの非常勤の方々は、自宅から直接利用者宅へ向かえる直行直帰が可能な働き方です。

派遣社員は派遣会社に登録し、契約期間ごと派遣先の事業所で働く雇用形態です。派遣会社の担当者が給料や勤務時間、勤務地と休日などの希望に合う企業を紹介してくれます。

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ホームヘルパー（訪問介護員）の給料の目安

ホームヘルパーの給料は雇用形態や介護事業所の種類によって違いますが、厚生労働省が2022年度に出した介護従事者処遇状況調査結果によると給料の目安は以下のとおりです。

正社員(常勤)では、平均月収は315,170円で勤続年数によっても平均給与は異なります。正社員は保険料や税金が引かれるため、平均手取り月収は約250,000円です。

正社員は賞与(ボーナス)もあり、初年度から支給され、勤続年数に応じて賞与も増えていきます。

パートやアルバイト(非常勤)では、月給制の働く場合の平均月収は219,390円です。日給制で働く場合の平均月収は136,380円で、労働日数は平均で12日間が目安になります。

全国の平均時給額は約1,380円〜1,900円で地域差や勤続年数と経験差で大きく変動します。

登録ヘルパーは自由なライフスタイルで働けるメリットを活かして、兼業で複数の事業所と契約している方も少なくありません。

各事業所が設定する時給制で非常勤の雇用形態が一般的です。平均時給は1,380円で平均月収は117,560円となっています。原則として移動や待機時間は賃金が発生しません。

社会福祉法人では給与規定に時間給または訪問回数ごとと明記されている場合もあるので、登録している事業所の種類によって待遇も変わるため、しっかりと確認しましょう。

派遣社員は基本、時給制で働くのが一般的で、時給は非常勤のパートやアルバイトよりも時給が高いのが特徴です。希望の勤務日数や派遣会社によって給与は変動します。

派遣社員は基本的に派遣会社の管理下で働くため、賞与(ボーナス)は支給されません。

福利厚生も派遣会社のルールにしたがって提供されるため、内容は会社によって大きく異なります。事前にしっかり確認しましょう。

自分の生活スタイルにあった働き方を見極め、訪問介護の給与相場を確認することが大切です。

ホームヘルパー（訪問介護員）がやってはいけない業務

ホームヘルパーの仕事は前述したとおり、利用者の身体介護や生活援助が主な仕事になりますが、介護保険制度で禁じられているサービスも明確にあります。

利用者の日常生活の範囲外の家事や生活援助と医療行為が禁じられています。詳しくみていきましょう。

ホームヘルパーが生活援助を行える範囲は利用者に対してだけです。例えば以下のとおりです。

• 利用者が一人暮らし
• 利用者の家族が障害や疾病がある
• 家族などがやむを得ない事情で家事が不可能

　

上記の条件に当てはまらない場合、生活援助を行うことはできません。また、利用者が使ってない部屋の掃除や、介護サービスに該当しない行為は生活援助には含まれません。

医療行為として対応できないケアに摘便やインスリン注射、血糖値測定と床ずれの処置があげられます。

明確な線引きが難しい医療行為ですが、2005年に厚生労働省が原則として医行為ではない行為に関してのガイドラインを設定しています。

詳しい指示にしたがって条件を満たせば、介護の現場でもケアの処置が行えるようになりました。

• 測定関係（体温や血圧・血糖など）
• 在宅酸素療法関係
• 膀胱留置とカテーテル関係
• 排泄関係
• 服薬介助関係（内服薬・座薬・軟膏塗布・点眼など）
• ほかの関係（軽度な傷・耳垢・爪きり・口腔内）

　

上記に挙げたほかにも詳細に分類され39項目のガイドラインがまとめられました。各事業所でマニュアルをガイドラインに沿って作成し、常に医療職と連携して該当行為を実施することが重要です。

利用者の生活の質向上のために、利用者とのコミュニケーションをとおして、介護職員が医療職にいつでも相談できる環境づくりが求められています。

ホームヘルパー（訪問介護員）として働きたいなら

ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事内容から、ホームヘルパーに向いている方の特徴や給与形態まで解説してきました。

介護業界では、利用者が自宅で安心感をもって暮らせるようサポートできるホームヘルパーの必要性が高まっており、今後ますます需要が増えていくでしょう。

自分のライフスタイルに合った雇用形態を選ぶことで、無理なくホームヘルパーとして活躍できます。

出典：
公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度『介護労働実態調査』結果の概要について」

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家事が好きな方、誰かの生活のお手伝いが好きな方はホームヘルパーとして向いているかもしれません。

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