施設ケアマネジャーとは

施設ケアマネージャーは、介護施設に勤務するケアマネージャーのことです。ケアマネージャーの形態としては、施設マネージャーのほかに居宅ケアマネージャーや介護予防ケアマネジメントがあります。

ケアマネージャーは介護支援専門員とも呼ばれ、介護保険のスペシャリストです。介護を必要とする方と事業者をつなぐ役割を担い、ケアプランの作成などを行います。

介護支援事業所や特別養護老人ホーム、自治体の介護相談窓口が主な勤務先です。施設ケアマネージャーの場合は、特別養護老人ホームや老人保健施設が勤務先として挙げられるでしょう。

業務内容や業務量は勤める施設によって異なり、ケアプランの作成以外にも身体介護も業務範囲となる場合があります。

就職や転職の際は、施設内のケアマネージャーの役割について確認しておくとよいでしょう。

必要な資格

ケアマネージャーになるためには、ケアマネジャー（介護支援専門員）資格を取得する必要があります。ケアマネージャー資格の取得には以下のステップを踏む必要があります。

• ケアマネジャー（介護支援専門員）試験
• 介護支援専門員実務研修の受講・修了
• 介護支援専門員資格登録簿への登録
• 介護支援専門員証の交付

　

まずは、ケアマネジャー（介護支援専門員）試験への合格が必要です。年に1回実施される試験で、勤務地や居住地の自治体ごとに開催されています。各都道府県ごとに申込期間や受験日が異なるため注意しましょう。

試験内容について、東京都を例に挙げると五肢複択方式でマークシート式の試験です。試験時間120分で全60問が出題されます。合格率は20〜30%程度で、難易度の高い試験といえるでしょう。

ケアマネジャー（介護支援専門員）試験には受験資格があります。指定業務に5年以上かつ900日以上従事している必要があり、実務経験がある方が対象です。

試験に合格したら、介護支援専門員実務研修を受講します。研修内容は、87時間の講義と演習、3日の実習で構成されています。

前期課程と実習、後期課程の内容は以下のとおりです。

• 前期課程：ケアマネジメントに必要な専門知識の習得
• 実習：アセスメントやケアプラン作成
• 後期課程：実習の振り返りなどグループワークを中心とした演習

　

研修が修了したら、3ヶ月以内に介護支援専門員資格登録簿へ登録し、介護支援専門員証の交付を受けましょう。試験への合格や研修の受講だけでは資格取得できない点で注意が必要です。

また、ケアマネジャー（介護支援専門員）資格には5年間の有効期限があります。資格の期限が切れる前に、研修を受講して期限を延長しましょう。

平均給与

ケアマネジャー（介護支援専門員）の資格を取得することで、無資格の方よりも給与アップが見込めます。ケアマネジャー（介護支援専門員）の年収は全国平均で4,296,000円です。施設介護員の年収が全国平均で3,760,000円であることを踏まえると、高い給与といえるでしょう。

給与は勤務する地域や事業所の規模、常勤か非常勤かによっても変わります。非常勤のケアマネジャーのほうが年収が低い傾向にあり、常勤の平均月収は361,770円なのに対し、非常勤の平均月収は250,710円です。

今よりも給与を上げたい場合は、ケアマネジャー（介護支援専門員）資格の取得が効果的です。施設によっては役職手当が付与される場合もあるため、資格取得を目指す前に確認しておくとよいでしょう。

また、介護保険のスペシャリストとして事業者もケアマネジャー（介護支援専門員）を求めています。実際に、2023年度の有効求人倍率は7.03と売り手市場の状況です。給与を上げたい場合は転職も視野に入れるとよいでしょう。

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施設ケアマネジャーの仕事内容とやりがい

ケアマネジャー（介護支援専門員）は、勤務する施設や事業所によって主に施設ケアマネージャーと居宅ケアマネージャーや介護予防ケアマネジメントに分けることができます。

主とする業務はケアプランの作成ですが、それぞれ業務内容にも違いがあります。施設ケアマネジャーの場合は、特別養護老人ホームやグループホームに勤務するケースを考えておくとよいでしょう。

施設ケアマネジャーの仕事内容について詳細を解説します。

主な仕事内容

ケアマネジャー（介護支援専門員）の主な業務はケアプランの作成です。施設ケアマネジャーも同様で、ケアプランの作成が主な業務になります。

施設内の利用者のケアプランを作成するため、居宅ケアマネジャーと比べると担当する利用者の数は多い傾向にあります。

勤務する施設によっては、ケアプランの作成に関わる業務以外にも利用者の身体介護を担う場合もあるでしょう。

一日のスケジュール

施設ケアマネジャーの1日のスケジュールは、施設によっても異なりますが主なスケジュールは以下のとおりです。

• ケアプランの作成
• 利用者や家族との相談
• 利用者のモニタリング
• モニタリングを受けたケアプランの修正
• 事業所内の打ち合わせ
• 事務作業

　

上記のスケジュールに加えて、介護保険の請求業務も毎月発生します。利用者負担分以外の介護保険は自治体に請求する必要があるためです。請求に必要な書類の作成も重要な仕事です。

ほかにも、利用者の身体介護や食事介助、見守りなどの業務が発生します。施設ケアマネジャーも利用者との関わりが減ることはないでしょう。

施設ケアマネジャーに求められること

施設内の介護スタッフと密に連携を取ることが求められます。施設ケアマネージャーの主な業務はケアプランの作成ですが、利用者の介護に携わることもあります。

また、ケアプランを作成するにあたっても、介護スタッフとの連携は欠かせません。利用者の状況を理解するだけでなく、実現性のあるプランを作成する必要があるためです。

利用者にとってよいケアプランであったとしても、介護スタッフの負担になってしまうと実現性のないプランになってしまうということもあります。

施設ケアマネジャーの場合は、利用者だけでなく介護スタッフの業務や働き方への理解が求められるといえるでしょう。

施設ケアマネジャーのやりがい

施設ケアマネジャーは責任の重い仕事ですが、やりがいのある仕事です。担当した利用者の健康状態に改善が見られた際や利用者や家族の方と信頼関係を築けた際にやりがいを感じることができるでしょう。

また、介護や医療業界は日々新しい技術や知識が更新されているため、ケアマネジャー（介護支援専門員）としても勉強を重ねていく必要があります。

人に感謝されたり、勉強を積み重ねながらキャリアアップしたい方にはぴったりの仕事といえるでしょう。

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【施設別】ケアマネジャーの役割

施設ケアマネジャーのなかでも、勤める施設によって役割や仕事内容は異なります。主な勤務先としては以下の施設が挙げられるでしょう。

• グループホーム
• 特別養護老人ホームや介護老人保健施設
• 介護付き有料老人ホーム

　

施設別のケアマネジャー（介護支援専門員）の役割を解説します。

グループホーム

グループホームとは、認知症の方向けの施設です。1ユニット5〜9名の利用者が共同で生活し、家事などの生活補助をスタッフが行います。

グループホームにおいては配置基準が設けられており、ケアマネージャーは3ユニットまで1人で対応可能です。

少人数型の施設のため、ケアマネジャー（介護支援専門員）の業務範囲はほかの施設と比べて広い傾向にあります。

施設によってはケアマネジャー（介護支援専門員）が管理職を務めることもあり、マネジメントを含めた幅広い業務に挑戦したい方向けの職場といえるでしょう。

特別養護老人ホームや介護老人保健施設

特別養護老人ホームは、要介護の高齢者向けの施設です。介護老人保険施設は、要介護の高齢者がリハビリを通じて自宅復帰することを目的とした施設です。

特別養護老人ホームが長期間の滞在を前提としているのに対し、介護老人保険施設は短期間の利用を想定している点で異なります。利用者の要介護レベルに違いがあります。

ケアマネジャー（介護支援専門員）は、ケアプランの作成だけでなく、介護職員や生活相談員としての役割も担うことがあるでしょう。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは24時間スタッフが常駐し、常に介護サービスを受けられる民間施設です。民間施設のため、施設によって価格やサービスが異なる点が特徴です。

ケアマネジャー（介護支援専門員）においては、ケアプランの作成だけでなく、各施設独自のルールや方針に従う必要があります。

就職する施設の運営方針に納得できるかもあらかじめ確認しておく必要があるでしょう。

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施設ケアマネジャーと居宅ケアマネジャーの違い

ケアプランを作成する点でケアマネジャー（介護支援専門員）の業務は一貫しています。しかし、施設ケアマネジャーと居宅ケアマネジャーでは業務内容が一部異なります。

自身の適正にあった働き方を選ぶことで、その後の働き方が変わってくるでしょう。施設ケアマネジャーと居宅ケアマネジャーの業務内容の違いについて解説します。

受け持ち担当件数

介護保険法によって、ケアマネジャー（介護支援専門員）が担当できる利用者の人数には制限が設けられています。

施設ケアマネジャーが利用者100名を1人で対応できるのに対し、居宅ケアマネジャーは利用者35名に対し1人の配置が基本です。

居宅ケアマネジャーに関しては、利用者40名以上の対応となると介護報酬が減少するため、事業者は注意が必要です。

ケアプランの内容

ケアプランの内容も異なります。施設ケアマネジャーは、施設で提供できるサービスをもとにケアプランを作成します。そのため、ケアプランの自由度は居宅の場合よりも低いです。

一方で、居宅ケアマネジャーは利用者の自宅に出向いてサービスを提供するため、利用者個人に合わせたケアプランの作成が求められるでしょう。

介護業務の兼務

施設にもよるものの、施設ケアマネジャーは介護業務や相談員との兼務が発生することがあります。利用者や家族とのコミュニケーションから得られる情報もあるため、積極的に介護業務に取り組むことが求められます。

一方で、居宅ケアマネジャーは利用者ごとにケアプランを立てたり、移動を伴う業務があったりと介護業務との兼務が難しくケアプランの作成に集中しやすい環境です。

施設ケアマネジャーと生活相談員の違い

生活相談員は、介護施設や障害者施設で施設側と利用者や家族とをつなぐ役割を担っています。施設ケアマネジャーが勤めるグループホームや特別養護老人ホームにも配置されている場合があります。

施設ケアマネジャーと生活相談員は、利用者や家族と相談して事業者との連携や調整を行う点で近しい職種といえるでしょう。しかし、大きな違いとしてはケアプランを作成できるかどうかが挙げられます。

ケアマネジャー（介護支援専門員）は介護保険法上で定められた職種です。ケアプランが作成されない場合は、介護保険を利用できません。利用者や家族からの相談を主な業務とする生活相談員とは主軸とする業務が異なります。

ほかの役職と兼務できる条件

施設ケアマネジャーは、居宅ケアマネジャーと異なりほかの役職と兼務する場合があります。兼務する業務内容は勤務する施設によって異なるため、詳細を解説します。

グループホーム

グループホームは、認知症の方向けの施設で小規模な施設のため、施設ケアマネジャーの兼務内容も幅広いです。

施設ケアマネジャーは、施設内の業務であれば兼務可能です。スタッフの人数も限られているため、介護業務に携わることもあります。

しかし、同一法人内の複数施設で勤務する場合は、勤務時間の合計時間がケアマネジャー（介護支援専門員）の勤務時間内に収まるよう調整する必要があります。

介護老人保健施設

介護老人保健施設は、リハビリなどで自宅復帰を目指す要介護の高齢者向けの施設です。利用者100名に対し1人のケアマネジャー（介護支援専門員）を配置する必要があります。

業務時間に収まる範囲であれば、ほかの業務と兼務することが可能です。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームの施設ケアマネジャーは、同一敷地内であれば施設ケアマネジャーとしての業務に支障がない範囲で兼務することができます。

介護付き有料老人ホームは民間施設のため、事前に施設の方針を確認しておくことで、兼務の状況を判断するとよいでしょう。

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