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福祉用具専門相談員の将来性|仕事内容ややりがい、キャリアアップ方法まで解説

福祉関係の職種の中で福祉用具専門相談員という仕事があります。なんとなくイメージがわくようですが、具体的にはどのような仕事をするのでしょうか。

福祉用具専門相談員は介護業界になくてはならない職業であり高齢化が進む社会では需要の増加が見込まれている職種です。

この記事では具体的な仕事内容からキャリアについて幅広く解説します。福祉用具専門相談員に興味がある方に、やりがいや将来性をお伝えできれば幸いです。

福祉用具専門相談員とは

在宅介護
福祉用具専門相談員とは介護保険の利用者が自分に合った福祉用具を選べるように支援する専門職です。

主な業務内容は、福祉用具の選定や利用計画の作成、取り扱い説明、定期的な使用状況の確認などがあります。福祉用具専門相談員の資格は、都道府県知事指定の講習を受講し試験に合格することで取得できます。

講習は50時間程度で誰でも受講できます。勤務先は介護保険の指定を受けた指定福祉用具貸与・販売事業所や居宅介護支援事業所、介護老人福祉施設などです。

福祉用具専門相談員の将来性

案内する女性
福祉用具専門相談員は将来的に安定して働けるのでしょうか。今後見込まれる需要や活用の可能性、気になる処遇や福利厚生の傾向を解説します。

今後も需要が高まる

少子高齢化が進む日本では、介護業界の市場は大きくなっていくことが想定されます。

厚生労働省の社会保障審議会介護給付分科会(第220回)では福祉用具専門相談員の数は2021年までの10年間で2.1万人から3.5万人に増加していると報告されています。福祉用具のレンタル数も近年10年間で2倍近くに増えています。

このような傾向から福祉用具専門相談員の需要は今後も高まるといえるでしょう。

コミュニケーション能力の活用で広がる

夫婦と打ち合わせするビジネスウーマン
コミュニケーション能力が高いと、福祉用具専門相談員としての需要も高まります。仕事をしていくうえで同僚や営業先の担当者と円滑なコミュニケーションが取れると信頼関係を築きやすく、福祉用具の専門家としての評価が高くなるでしょう。

ケアマネージャーが作成したプランをもとに福祉用具の利用計画を作成するため援助の方向性を共有できるコミュニケーションは重要です。

また、福祉用具の利用者さんやご家族のニーズに沿った提案し、納得してもらえるためにはコミュニケーションは大変重要なスキルといえます。

処遇や福利厚生の変化

福祉用具貸与事業所は人材不足が課題となっています。人材確保や定着のため、各職場では環境改善に向けた取り組みが行われています。特に働きやすさを重視した取り組みを検討している事業所が多くなっています。

2023年の福祉用具専門相談員の平均年収は約394万円でした。月額に換算すると33万円です。職場により営業ノルマの成果に応じた加算を適用しているところもあるでしょう。

ほかの福祉に関する資格があると、資格手当が支給されることが多いです。福祉・介護職員等特定処遇改善加算やベースアップ等支援加算などの処遇改善に係る制度により処遇や福利厚生は充実してきています。

福祉用具専門相談員の仕事内容

車椅子のシニアの女性と介護士
福祉用具専門相談員は将来性に安心感が持てることがわかりました。では、具体的にどのような仕事をするのでしょうか。

仕事のイメージが明確になるよう、ここからは仕事の内容を大きく4つ挙げてそれぞれ解説します。

福祉用具の選定

介護保険サービス利用者から心身の状態や環境を聞き取り、福祉用具で解決できることを一緒に考えます。

福祉用具といっても障害者用の食器のような小さいものから移動用リフトのような大型のものまであり、例えば車椅子だけでもさまざまな種類があります。とても多岐に渡る福祉用具の中から利用者に合った適切な福祉用具を選定します。

介護を受ける側にも行う側にも適切な用具を選ぶことが重要です。また、他介護保険サービスの専門職と連携を取りながらアドバイスすることも必要です。

福祉用具サービスの計画立案

階段昇降機
相談内容に基づき福祉用具の利用計画(福祉用具利用計画)を立てます。この利用計画は作成後、利用者またはご家族に内容を説明し、同意を得たうえで介護支援専門員に対して交付するものです。

利用者や家族にとってできるだけわかりやすい言葉で記載しましょう。

取り扱いの説明

利用者の状態に合わせて福祉用具の調整を行います。また、福祉用具を安全で有効に使えるよう、取り扱いについて説明します。

モニタリングや営業

モニタリングとは定期的に利用者宅を訪問し福祉用具の点検や使用状況を確認することです。目標の達成状況を把握することや利用者の身体や環境についての継続的な評価(アセスメント)をすることを目的としています。

改善点があれば、必要に応じて用具業者やそのほかの福祉サービスの担当者と連携することもあります。モニタリングの結果は記録を残し、サービス計画を作成した介護支援事業者に報告を行います。

福祉用具専門相談員はデスクワークが多い一方、営業に回ることもあります。職場によっては営業ノルマが課せられるところもあるかもしれません。しかし、成果を出せば収入アップにつながる可能性もあり、モチベーションにつなげられる方もいるでしょう。

営業先は主に居宅介護支援事業所や地域の介護保険事業者です。新しい福祉用具の案内や商品のパンフレットを配布します。

営業先で積極的にコミュニケーションをとることは信頼関係の構築や契約締結、さまざまなニーズの把握につながります。福祉用具専門相談員にとって営業活動は欠かせない業務といえるでしょう。

福祉用具専門相談員のやりがい

ハートを持った女性
就業する際にやりがいを感じられるかはモチベーションや継続できるかどうかに関わるポイントになるでしょう。福祉用具専門相談員のやりがいを紹介します。

感謝の言葉や不安の和らげにつなげられる

利用者さんやご家族から感謝の言葉をかけてもらえたときには、福祉用具専門相談員としてのやりがいを感じられるでしょう。

利用者さんのニーズに沿ったものを適切に提案し、生活しやすくなったり、社会復帰ができると、利用者さんやご家族の笑顔を見ることができます。

利用者さんの困っていることを聞き、身体や環境の不安を共有します。精神的な不安も理解し、改善に向けて的確な提案をすることで身体や環境のみならず、精神的な支援にもつながるでしょう。

利用者さんやご家族の不安を和らげることにつながり安心感を持った生活が送れる様子を見られると提案してよかったと充実感を得られるでしょう。

営業の達成感

営業先の担当者と信頼関係を築き、利用者さんとも関わるなかで自分の提案を受け入れられたときには達成感を感じられるでしょう。さらに、新しい契約にもつながりやすくなります。

利用者さんや営業先に適した福祉用具を選定し、取り扱いの説明をわかりやすく伝えられるよう工夫するなど、営業を成功させる努力が必要になるでしょう。

福祉用具専門相談員はやりがいを感じられる職業です。自分が提案した福祉用具で利用者さんやご家族が喜ばれたときは充実感もひとしおです。社会貢献の実感をもてる魅力があります。

しかし、給与面や業務量などの現実的な条件はもちろん、やりがいを感じられる職場選びも大切です。

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福祉用具専門相談員に向いている方

介護士の女性
福祉用具専門相談員はやりがいを感じられる魅力ある仕事です。では、どのような方が向いているのでしょうか。

以下に、福祉用具専門相談員に向いている方の特徴を4つ挙げます。自分の強みや適性の認識をしましょう。

観察力のある方

利用者さんとの面談時に、会話だけでは伝えきれないことがあるのは珍しくありません。言葉として伝えられた内容だけでなく、利用者さんの様子や動きに難しいことがないか小さなことでも気付ける観察力は強みです。

また、利用者さん宅を訪問時に生活環境を観察することも重要です。適切な福祉用具を選定するために観察力は重要で、普段から小さな変化にもよく気が付くなど観察力のある方は福祉用具専門相談員に向いているといえます。

人の話を聞くことが好きな方

人の話を聞く気持ちがあると、利用者さんやご家族はしっかりと聞く姿勢で面接してくれていると感じます。

事務的な質問や紙面上での情報だけでは伝わりきらないことはたくさんあります。利用者さんやご家族の話をしっかり聞くことは、小さな課題に気付くきっかけになったり、しっかり聞いてくれた人にお願いしたいという信頼関係の構築につながったりします。

福祉用具専門相談員は利用者さんの感じていることを引き出して聞くことで適当な福祉用具の提案につなげる専門職です。人の話を聞くことが好きな人は福祉用具専門相談員に向いています。

提案する力がある方

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提案力とは商品の特徴とこの商品が持つメリットやおすすめする理由などをわかりやすく伝えられる力です。

福祉用具専門相談員は福祉用具を提案する専門職です。利用者さんのニーズを汲み取り、適した福祉用具を提案する力が求められます。

実物を見たり実際に使ってもらったりすることで、より利用者さんに適した福祉用具を選定できる場合もあります。使用目的が似ている福祉用具を複数提案して比較し、利用者さん本人にも検討してもらうなど、提案方法を工夫することも提案力につながります。

幅広く知識を持ち、常に新しい情報をもつようにアンテナを張っておくと自信を持って提案できるでしょう。

体力に自信がある方

福祉用具専門相談員の仕事は福祉用具の選定や説明だけではありません。利用者のもとに車いすや歩行器・ポータブルトイレ・介護用ベッドなどの福祉用具を運び入れる機会が多くあります。

大型の福祉用具では移動リフトや手すり、スロープなどがあります。複数人で運搬することになりますが、複数人で運ぶ場合も、福祉用具を解体してパーツごとに運ぶ場合も体力は必要です。

また、所属する事業所から介護施設や利用者さん宅、営業先などに移動する機会が多いため体力に自信があることは福祉用具専門相談員として働く際の強みになるでしょう。

福祉用具専門相談員に向いている方の特徴をご紹介しました。

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福祉用具専門相談員になるための心構え

車椅子のシニアの女性と介護士
福祉用具専門相談員として働くために、事前にできる準備があります。準備しておくとよいこと、心構えなどを解説します。

体の使い方を覚えておく

福祉用具専門相談員は、福祉用具の運搬や設置など、体を使う場面も多い職業です。重いものを運ぶときは体の使い方を間違えると肩や腰の痛みを引き起こしかねません。正しい姿勢や持ち方などを知っておくとよいでしょう。

体型の近い先輩に教わるのもおすすめです。また福祉業界では介護の現場で使われるボディメカニクスという技術を知っておくことも大きなメリットになります。

具体的には、足を開いて立つ、重心を低くする、対象の人や物と自分の重心を近づけるなどの技術があります。

業務効率化を図る

時計とパソコンとTODOリスト
福祉用具専門相談員の業務内容はデスクワークや利用者宅や連携事業所への訪問、福祉用具の運搬設置など多岐に渡ります。業務がたてこみすぎて支障が出ないよう注意すべきです。

業務を効率よく行えるよう工夫をしましょう。例えば、書類を電子化すると資料作成や情報共有がスムーズにでき、業務の簡略化が実現できます。

また、各職種との業務分担の明確化をすると、するべきことが整理しやすくなります。環境面では事務所や倉庫の整理をしておくことでスムーズに作業できます。どこに何があるか把握しやすいように環境整備をしましょう。

このように福祉用具専門相談員には体の使い方の習得や業務の効率化を意識しておくとよいでしょう。

しかし、どちらも一人で解決するよりも先輩にアドバイスをもらったり、同僚と連携をとったりすることでスムーズに進むこともあります。職場の勤務体制や人間関係などは仕事を始めないとわからず不安な要素です。

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福祉用具専門相談員のキャリアップ方法

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福祉用具専門相談員はキャリアアップできるのか不安な方もいるのではないでしょうか。キャリアアップには資格の取得や転職によるステップアップなどの方法があります。

スキルアップにつながる資格は複数あるため、それぞれについて解説します。

用具や介護関連資格の取得

福祉用具に関連する資格は福祉用具専門相談員の他にも複数あります。具体的には、以下の3つがあげられます。

  • 福祉用具プランナー
  • 福祉用具選定士
  • 福祉住環境コーディネーター

以上のような資格は、福祉用具専門相談員として従事されている方がレベルアップのために多く受講・受験されています。それぞれの資格について解説します。

福祉用具プランナーとは福祉用具専門相談員の上位資格です。2年以上の実務経験があり、より専門的な技術や知識を得るための講習を受講し認定試験に合格すると取得できます。

履修時間が100.5時間あり、前半の約半分はeラーニングによる個々にパソコンで履修するスタイルです。後半の約半分は集合して講習や認定試験、実技や演習などを行います。しっかり学びながら資格を取得したい方に適しています。

福祉用具選定士も福祉用具プランナーと同じく福祉用具専門相談員の上位資格であり、資格取得のための条件も同じですが、福祉用具専門相談員であることが条件です。

5日間の研修会を受講し、座学のほか、実際に福祉用具を使いながら直接指導を受けられます。実用的な技術が身につくことが期待できます。

福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障碍者にとって住みやすい住環境を考えアドバイスする専門職です。医療や福祉だけでなく、建築についての幅広い知識が必要です。

各専門職との連携を取りながら利用者にとって適切な住宅改修プランを提案します。福祉用具やさまざまな施策情報についてアドバイスすることもあります。

転職

他の事業所に転職するスキルや実績があれば管理職として採用される可能性があります。

福祉用具専門相談員としての経験をいかして、施設に入居、入所しようとする方の状態を把握し、その方に合ったサービスを選び快適に施設で生活できるようにサポートします。

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福祉用具専門相談員は今後の需要が見込まれる職業です。幅広く専門的な知識を持って利用者さんやご家族の生活の不安を軽減できるやりがいのある仕事として就業者数も増加しています。

国の処遇改善のほか、職場ごとに福利厚生や処遇改善も進んできています。あなたにあった職場で福祉用具専門相談員としてのキャリアをスタートしてみてはいかがでしょうか。

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