病院で働く介護士の仕事内容
「病院では具体的にどのような仕事をするのか」とのイメージはできていますか。病院介護士の業務は、以下のとおり大きく3つにわかれます。
- 患者さんの身の回りの介助
- 看護師の補助
- 病院の環境整備
施設介護と異なり、医療チームの一員として働く病院介護士ならではの役割があるのが特徴です。患者さんの身の回りの介助だけでなく、看護師のサポートや環境整備まで幅広く担当するでしょう。
医療現場ならではの専門性と緊急性を伴う環境のなかで、医療チームの一員として活躍する病院介護士の具体的な業務内容を見ていきましょう。
患者さんの身の回りの介助
「今日は食欲がないようですね」「昨日より顔色がよくなりましたね」などを食事や排泄、移動の支援をしながらバイタルサインや表情の変化の観察が仕事です。
変化に気がついた場合、速やかに看護師へ報告し、誤嚥や褥瘡(じょくそう)などを予防します。食事量や水分摂取量を電子カルテに記録し、チーム全体で栄養状態の管理を行います。
病棟の患者さんは日々状態が変わるため、転倒予防のクッション配置やナースコールの位置確認も重要な仕事です。食事前の嚥下体操や排泄後の皮膚チェックなど、細やかな観察と看護師への情報共有が欠かせません。
患者さんの尊厳を守るため、プライバシーカーテンを閉め、声かけをしてからの介助が基本です。新人研修ではチェックリスト形式で進み、定期的に先輩介護士との面談で進捗を確認します。
看護師の補助
看護師の補助業務では、以下のような役割を担当します。
- 患者さんの体位変換や検査室への搬送
- 診療材料や医療消耗品の物品補充
- 医療器具の準備と片付け(実際の医療行為は行いません)
- 多職種連携を軸とした業務調整
救急対応が続く病棟では、ストレッチャーのシーツ交換と環境整備を同時に行い、次の受け入れ時間を短縮する工夫も必要でしょう。
採血室への搬送では車椅子ブレーキの安全確認、急変コール時は酸素ボンベや救急カートの位置把握など、病院独特の役割も習得できます。
こうした経験は災害対策訓練でも活かされ、緊急時対応力も身につくでしょう。また物品管理や使用データの確認を通じて、医療現場の運営面を学べる機会も多いです。
病院の環境整備
病院の環境整備は感染管理の重要な一環です。具体的には以下のような仕事があります。
- 病室や廊下の清掃(標準予防策に基づく感染拡大防止)
- リネン交換やベッド周囲の環境整備
- 清潔域と汚染域のモップを区別した清掃
- 一定方向での拭き掃除(飛沫拡散防止)
- 加湿器の水交換や空調フィルター掃除
こうした環境整備は、患者さんの安心感に直結するだけでなく、病院の設備管理の基礎知識も身につけられる貴重な機会でしょう。
「病院介護士の仕事を実際に見てみたい」と思われた方は、実際に医療現場の雰囲気や業務内容の見学で具体的なイメージがつかめるでしょう。経験豊富なキャリアアドバイザーが、あなたの希望条件に合った見学先を丁寧にコーディネートします。
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病院の介護士と施設の介護士の違い
病院と施設では介護士の立ち位置が大きく異なるでしょう。業務内容だけでなく、チーム構成や働き方にも違いがあります。
施設では介護士が中心となり、ケアを提供しますが、病院では医療職との連携が密接です。介護士としてのキャリアを考えるうえで、両者の違いが大事です。ここでは、主な違いを見ていきましょう。
医師や看護師の指示を受けて仕事を行う
病棟では医師と看護師がケアを主導します。介護士は処置計画に沿って動き、調整する力が求められます。急変時はバイタルを測定し看護師へ報告、医師につなぐ役目です。
医師の診療方針が優先されるため、自分の判断で動く場面は限られます。日本の医療現場では、医師を頂点とした階層構造が今なお根強く残っており、病院内で介護士の立場は看護師よりも下位の位置づけが一般的です。
一方で、多職種連携やチーム医療の重要性が認識されるにつれ、介護士の意見も尊重される風土が少しずつ広がりつつあります。
看護助手としての業務もある
施設では行わない器具洗浄や検体搬送も担当します。医療知識を吸収したい方には魅力的な環境です。透析室ではライン準備、緩和ケア病棟ではクリーンルーム整備など、専門知識も習得できるでしょう。
夜勤も看護師主体で動くため、施設と比べて精神的負担が軽減される傾向です。
病院で働く介護士の給与相場
介護職の給与は勤務先によって差があります。厚生労働省の統計データをもとに、病院介護士の収入を詳しく見ていきましょう。
夜勤の有無や資格の保有状況、勤務形態などにより収入は変わりますが、全体的な相場の把握は転職の判断材料にもなります。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、病院介護士の平均月収は230,000円前後です。夜勤担当者は夜勤手当が上乗せされるのが一般的です。公的病院は賞与が安定しており、医療費減免や退職金制度も整っています。
夜勤手当は施設により差がありますが、一回あたり5,000〜10,000円が目安でしょう。収入を増やしたい場合は回復期病棟で夜勤回数を増やす、生活リズムを優先するなら日勤中心の地域包括病棟など、選択肢はさまざまです。
月収には処遇改善加算や処置介助手当なども含まれ、配分方法で手取り額が変わります。職場によっては、住宅手当や駐車場代、ガソリン代補助などがあり勤務先によっても給与の差が出るでしょう。
ワークライフバランスを大切にしながら長く働き続けるためには、福利厚生の充実した職場選びが重要です。病院によって育児支援制度や休暇制度、研修制度は大きく異なります。
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病院の介護士として働くメリット
病院の介護士としての勤務は、施設とは異なるメリットがあります。主な4つのメリットは以下のとおりです。
- 未経験からでも働きやすい
- 医療知識が身につく
- 病院の充実した福利厚生を受けられる
- 幅広い年代の方と関われる
医療的な環境ならではの強みや、キャリア形成上のメリットは長期的な視点で考えると大きな価値です。特に医療と介護の連携が重視される今後の社会では、病院での経験は貴重な財産となるでしょう。
未経験からでも働きやすい
段階別のマニュアルと教育体制が整い、先輩介護士によるサポートが受けられる特徴があります。介護未経験でも働きやすいでしょう。新人研修はチェックリスト形式で進み、定期面談で疑問を解消しながら成長できる環境が整っています。
病院では介護職向けの院内研修も定期的に開催されており、医療知識や新しい介護技術を学ぶ機会も豊富です。介護施設と比較すると、医療職と一緒に学べる環境も大きな魅力でしょう。
医療知識が身につく
心不全の症状と観察ポイントや術後リハビリの流れ、人工呼吸器装着患者のケアなどの医療現場での勤務で自然と身につく知識には、疾患の症状や経過、治療の流れ、医療機器の基本的な取り扱い方法などがあります。
日々のケアカンファレンスや申し送りを通じて、医学用語や医療略語にも馴染むでしょう。これらの知識は、将来介護支援専門員(ケアマネジャー)や認定介護福祉士などのキャリアアップを目指す際にも大きなアドバンテージです。
特に近年は在宅医療の普及により、地域の訪問看護や訪問介護サービスでも医療知識を持った介護職の需要が高まっています。
認知症ケアや終末期ケアなど、医療と介護の境界領域の専門性は、これからの介護職に求められる重要なスキルでしょう。
また、医療安全や感染管理の考え方は、介護の現場でも応用できる普遍的な知識です。標準予防策や転倒予防対策など、病院で学んだ安全管理の知識は、どの職場に移っても活かせる貴重な財産になるでしょう。
病院の充実した福利厚生を受けられる
医療機関の福利厚生費は一般企業より高いです。特に国公立病院や大学病院などでは、公務員に準じた福利厚生制度が整備されており、社会保険や退職金制度も充実しています。
こうした傾向は民間病院にも徐々に広がりつつあり、具体的な福利厚生の例として、以下が挙げられます。
- 医療費の減免制度:本人や家族が自院で受診する際の医療費を減免
- 院内保育所:24時間対応の保育施設や病児保育を完備する病院
- 職員住宅や寮:特に地方の病院では低額で利用できる住宅を提供
- 研修費用の補助:資格取得に向けた研修費用や受験料の一部助成
- メンタルヘルスケア:職員向けのカウンセリングサービスの提供
- リフレッシュ休暇:勤続年数に応じた特別休暇制度
大規模病院では職員向けの福利厚生専門部署が設置されていることも多く、ライフステージにあわせたきめ細かいサポートが受けられる点も特徴です。育児や介護との両立支援制度が整備されている病院も増え、長く働き続けやすい環境が整ってきています。
幅広い年代の方と関われる
小児科病棟での絵本の読み聞かせから、高齢者病棟での回想法を用いたコミュニケーションまで幅広く担当し、さまざまなケアプランを提案する力が磨かれます。
理学療法士や管理栄養士と連携し、在宅復帰率向上に貢献できれば評価は高くなるでしょう。
介護未経験でも、病院での就業に不安を感じる必要はありません。教育体制の整った職場で、あなたのペースでスキルを身につけられます。
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病院の介護士として働くデメリット
メリットがある一方で、病院介護士ならではの課題や難しさもあり、どのような職場にも長所と短所があります。
自分のキャリア志向や価値観と照らしあわせて、デメリットが許容できるかの判断が大切です。転職を考える前に一度考慮しておきましょう。
介護スキルが身につきにくい
生活全般を担う施設と比べると、専門的な介護スキルを深める機会は限定的です。入浴介助のスキルを向上させたい場合は、急性期ではなく在宅系の部署への異動希望を出す必要があります。
キャリアアップが難しい
看護部主導で昇進ポストが限られますが、院内資格ラダーや研究発表に挑戦すれば道がひらける可能性があるでしょう。病院経験を生かし地域包括ケアでコーディネーター職に進む選択肢もあります。
病院組織では管理職ポストも限られており、主任介護士までは昇進できても、それ以上のキャリアアップが難しい現実があるでしょう。特に中小規模の病院では、介護職のキャリア形成に関する体系的な仕組みが整備されていないケースも多いです。
多職種との連係が必要
病院では、医師や看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士などさまざまな職種と連携しながら業務を行うため、専門用語や医学知識の理解が欠かせません。医療現場ならではの略語や専門用語に慣れるまでには時間がかかり、コミュニケーションに苦労する場面もあるかもしれません。
また、電子カルテやオーダリングシステムなどのICT(情報通信技術)機器の操作スキルも必要です。デジタル機器の操作に不慣れな方にとっては、環境への適応が難しく感じられるでしょう。定期的な院内研修や勉強会への参加も求められるため、自己研鑽の意識が高い方には向いています。
主体的に仕事がしにくい
病院では医療行為が優先されるため、介護士の意見やケアの提案が採用されにくい環境です。特に古い体質の病院では、医師や看護師の指示に従うだけの役割と見なされ、介護の専門性を発揮する機会が限られる場合もあります。
また、業務マニュアルや手順書が細かく決められている場合が多く、個別性に配慮したケアよりも標準化された対応が求められるケースも少なくありません。
患者さんの状態や状況に応じた柔軟な対応ができないことにもどかしさを感じる方もいるかもしれません。
しかし、こうした環境でもカンファレンスや申し送りの場で積極的な発言や、患者さんの生活背景を踏まえた情報提供で徐々に自分の役割を広げることは可能です。
特に在宅復帰支援や退院調整の場面では、生活者の視点を持つ介護士の意見が重視され、発言の機会も増えています。
施設と病院、それぞれの介護現場にはメリット・デメリットがあり、ご自身の価値観やキャリアプランに合った選択が大切です。客観的な視点からのアドバイスを受けることで、後悔のない転職が実現できます。
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病院介護士が向いている方
ここまで病院介護士の仕事内容やメリット・デメリットを解説してきましたが、すべての方に適した職場はないでしょう。
その方の性格や価値観、キャリア志向によって、向き不向きが決まります。では、どのような方に病院介護士の仕事が向いているのでしょうか。ここでは、病院介護士が向いている方の特徴を3つ紹介します。
医療現場に興味がある方
処置や検査を近くで学びたい方に向いているでしょう。医療現場では疾患治療の過程や医療機器の扱いなど、施設では得られない知識が自然と身につきます。将来的に医療系資格取得を目指す方に適した環境です。
看護師や医療職への転職を考えている方にも、病院介護士の経験は大きな財産です。実際に介護士から看護師を目指す方も少なくなく、働きながら看護学校の通信課程への通学や、奨学金制度を利用して看護専門学校へ入学などのキャリアパスを選択する方もいます。
また、医療と介護の連携が重視される現代では、双方の視点を持った人材の需要は高まる一方です。
例えば、退院支援を専門とする医療ソーシャルワーカーや地域連携室のスタッフなど、病院と地域をつなぐ役割でも医療知識を持った介護士の活躍の場は広がっています。
さらに、認知症ケアや緩和ケアなど、医療と介護の境界領域でのスペシャリストを目指す方にとっても病院での勤務経験は貴重な土台です。専門的な医学知識と介護技術の両方を兼ね備えた人材は、高齢化社会で今後ますます求められるでしょう。
幅広いスキルを身につけたい方
医療補助を経験し、キャリアの選択肢を広げたい方に適しています。病院ではさまざまな部署でのローテーションを通じて幅広いスキルを習得でき、将来の可能性が広がると考えられます。施設より変化に富んだ環境で働きたい方にも向いているのではないでしょうか。
また、急性期・回復期・慢性期のさまざまなステージの患者さんとの関わりで、状態に応じたケアの違いも学べます。幅広い経験は、介護の視野を広げ、応用力の向上につながるでしょう。転職市場でも、多様な経験を持つ人材は評価されやすく、キャリアの選択肢も広がります。
常に医療専門職がいる職場で働きたい方
24時間体制で医師や看護師が常駐しており、急変時も安心感があります。夜勤のない外来部門への異動も可能のため、育児や介護との両立もしやすい特徴もあるでしょう。
急変時にすぐ専門職に相談できる環境は精神的な負担軽減にもつながります。
介護士として病院に勤務したいなら
「病院で働いてみたい」と思ったら、まず求人の探し方から考えてみましょう。病院の介護職求人は一般的な求人サイトだけでは見つけにくいです。また、応募前の準備や面接対策も施設とは少し異なるポイントがあります。
月収には処遇改善加算や処置介助手当なども含まれ、配分方法で手取り額が変わる可能性もあります。2019年10月からスタートした特定処遇改善加算により、介護職員の給与水準は全体的に底上げの傾向です。
都市部では人材確保が難しいため、独自の手当や福利厚生を充実させている病院も増えています。例えば、通勤手当の上乗せや職員寮の完備、資格取得支援制度の拡充などです。経済的なメリットに加えて、働きやすさや将来性にも配慮した待遇改善が進んでいます。
ワークライフバランスを大切にしながら長く働き続けるためには、福利厚生の充実した職場選びが重要です。病院によって育児支援制度や休暇制度、研修制度は大きく異なります。
介護業界に精通したキャリアアドバイザーだからこそ知っている、非公開求人の情報もご提供します。福利厚生が充実した病院をお探しなら、ハッシュタグ転職介護にご相談ください。
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