社会福祉法人の退職金は2つあるといわれる理由

社会福祉法人の退職金が2つあると言われるのは、振込元が2か所に分かれる場合があるためです。すべての法人で2か所から支給されるわけではないため、加入状況や法人の規定によって異なると考えておきましょう。
退職手当共済と法人独自制度がある
社会福祉法人の退職金制度には、全国共通の共済制度と法人独自の制度の2つがあります。広く普及しているのが、独立行政法人福祉医療機構(WAM)が運営する社会福祉施設職員等退職手当共済制度(WAM共済)です。
WAM共済加入法人を退職するとWAMから退職手当金が振り込まれ、法人独自規程があれば勤務先からも別途支給されます。この2か所からの振込が退職金が2つあると言われる理由です。
社会福祉法人では、WAM共済の退職手当金に法人独自規程の支給が重なる場合があります。
ただし、法人独自規程には勤続年数や雇用形態などの条件が設けられるため、WAM共済のみの支給になるケースもあります。
民間企業の多くは1ヶ所からの支給のみで、共済と法人規程が重なる構造は介護福祉分野の特徴です。
すべての社会福祉法人で2つ出るとは限らない
WAM共済への加入は任意で、利用法人の約98%を社会福祉法人が占めています。
WAM共済未加入の勤務先では、法人独自の退職金制度のみが適用される仕組みです。また、求人票に退職金ありと記載があっても、内訳がWAM共済なのか独自制度なのかは文面だけではわかりません。
勤続5年以上などの条件がある場合、早期退職では受給対象外になる可能性があります。さらに正社員や契約職員、パート職員でも扱いが分かれることもあるでしょう。
そのため、退職金ありという表記だけで判断すると入社後に認識がズレてしまう可能性がありますので、面接などで事前に確認をすることで認識がズレることを防げます。
加入制度や勤務先の規定で金額が変わる
退職金の受取総額は、勤務先がどの仕組みに加入しているかで大きく変わるでしょう。WAM共済のみの法人と、上乗せ共済や法人独自規程も併用する法人では、同じ勤続年数でも受取額に差が出ます。
WAM共済に加えて都道府県社協などの上乗せ共済や法人独自規程がある場合、金額はそれぞれの計算式で算出されます。どの制度が適用されるかで受取総額が変わるため、注意が必要です。
同じ時期に入職しても、法人が加入している共済制度の違いによって退職時の受取額に差が出ることもあります。
「どんな職場がある?」「転職で迷っている」など、どんな小さな疑問でも大丈夫です。
専門アドバイザーがあなたの悩みに寄り添い、理想の職場探しをサポートします。
社会福祉法人の退職金制度の主な種類

退職金制度が複数あっても、それぞれの違いや特徴まで把握しにくいです。社会福祉法人で導入される主な種類を制度ごとに整理していきます。
社会福祉施設職員等退職手当共済
WAM共済の主な特徴を整理すると、以下のとおりです。
- 運営:独立行政法人福祉医療機構(WAM)
- 支給実績:制度創設以来60年以上で延べ約239万人に支給
- 2024年度の掛金:一人あたり年額45,500円(国や都道府県も補助する三者負担構造)
- 加入対象:正規職員(採用日から加入必須)、労働時間が正規の3分の2以上かつ雇用期間が1年以上の職員
- 支給条件:被共済職員期間の合計が12ヶ月以上であること
12ヶ月未満で退職した場合、退職手当金は支給されません。短期間で退職する可能性がある場合は、被共済職員期間の条件を入職前に確認しておくのがよいです。
法人独自の上乗せ退職金制度
WAM共済の支給額に上乗せして、勤務先が独自に退職金規程を設けているケースもあります。支給条件や金額の計算方式は法人ごとに違うため、一概に比較するのは難しくなっています。
法人独自の上乗せ制度がある場合、WAM共済とは別に勤務先から退職金が支給される仕組みです。支給額は法人の規模や方針で変わり、同じ勤続年数でも受取額に大きな差が出る場合もあるでしょう。法人独自規程は就業規則に記載されていることが多く、事前に確認しておくことで混乱を防ぎやすくなるでしょう。
地域や団体ごとの退職共済制度

都道府県の社会福祉協議会が運営する上乗せ共済も、制度の一つです。WAM共済とは別に運営され、勤務先が任意で加入する仕組みです。
都道府県によって制度の名称や内容、加入要件は異なります。法人が複数の共済に加入していれば、退職時に複数の枠組みから退職金が支給されます。
複数の共済制度や法人独自規程を組み合わせている法人では、退職時の支給内容に差が出ることもあるでしょう。対象制度を事前に把握しておくと、退職時の見込み額を整理しやすくなります。
地域ごとの共済制度は、求人票に制度名まで詳しく書かれないこともあります。退職金制度ありとだけ記載されている場合はWAM共済なのか、都道府県や団体の共済なのか、法人独自規程なのかを分けて確認することが大切です。
複数の制度に加入している職場では、それぞれの支給条件や加入期間も確認しておきましょう。
社会福祉法人の退職金はいくらもらえるのか

退職金の金額は転職先選びの判断材料の一つです。ここではWAM共済の計算式と勤続年数別の目安を確認しましょう。
勤続年数によって金額が変わる
WAM共済の退職手当額は計算基礎額×支給乗率で算出される仕組みです。勤続年数が長くなるほど支給乗率は大きくなり、受取額も増えていきます。
勤続年数別のおおよその目安は以下のとおりです。
- 5年:約500,000円
- 10年:約1,000,000円から約1,500,000円
- 20年:約4,000,000円から約6,000,000円
- 30年:約10,000,000円から約15,000,000円
2016年の制度改正後は、16年以上勤務した職員ほど改正前より有利な乗率設定になっており、長期在籍者ほど退職金が手厚くなる構造です。
複数の法人をまたいで勤務した場合、WAM共済の支給乗率は単純な通算年数ではなく、制度上の被共済職員期間に基づいて計算されます。
同じ年数を1か所で積み上げる方が、複数に分散するより受取額は大きくなりやすい仕組みです。
ただし、ここで紹介した金額はあくまで目安です。実際の支給額は退職時の本俸月額や被共済職員期間、退職理由などの組み合わせによって変わります。
求人票や説明資料に記載される金額が総支給額なのか、税金などを差し引く前の金額なのかでも受け取り方は変わるため、具体的な金額は勤務先の規程や共済制度の試算で確認しましょう。
退職前の給与や本俸月額で金額が変わる

計算基礎額のランクは、退職前6ヶ月間の本俸月額(平均)で決まります。下限額62,000円から上限額360,000円の20ランクで設定されており、本俸月額が高いほどランクが上がり退職手当額も増えます。
具体的な試算例を示すと次のとおりです。
- 5年で本俸200,000円:約500,000円
- 10年で本俸220,000円:約1,150,000円
- 15年で本俸260,000円:約2,700,000円
- 20年で本俸280,000円:約5,720,000円
本俸220,000円で勤続10年なら、WAM共済だけでも1,000,000円前後になるケースがあります。昇給や昇格のある勤務先で長期に働くことが、退職金を増やすことにもつながります。
自己都合退職か法人都合退職かで変わる
見落としやすいのが退職理由による違いです。法人都合退職(解雇や法人の廃止など)の場合は自己都合退職より高い乗率が適用されるため、同じ勤続年数でも受取額に差が生まれます。
転職では自己都合での退職が大半のため、自己都合の乗率を前提に金額を確認しましょう。法人独自の上乗せ制度が別途あるなら、WAM共済とは別の計算式が適用される点も押さえておきましょう。
「どんな職場がある?」「転職で迷っている」など、どんな小さな疑問でも大丈夫です。
専門アドバイザーがあなたの悩みに寄り添い、理想の職場探しをサポートします。
社会福祉法人の退職金を確認するときの注意点

退職金ありの記載だけでは、制度の中身や対象条件まではわかりません。転職後のミスマッチを防ぐために、入職前に押さえておきたいポイントを整理しましょう。
求人票の退職金ありだけで判断しない
退職金ありと記載された求人票でも、適用される仕組みはさまざまです。支給条件や対象職員の範囲も、職場ごとに異なります。WAM共済のみの勤務先もあれば、複数の制度を組み合わせる法人もあります。独自規程しかないパターンにも注意が必要です。
WAM共済未加入で、勤続10年以上から法人独自規程が適用される職場もあるため注意が必要です。退職金の内容は求人票だけで判断せず、面接や内定後に直接確認しましょう。
面接で退職金の話を出すのを躊躇する方もいますが、「長く働きたいので、福利厚生として退職金制度の仕組みを教えてください」と添えるだけで印象は変わります。
共済加入の有無と対象職員を確認する

入職前に押さえたいのはWAM共済への加入の有無、対象職員の要件を満たすか、最低勤続期間の条件の3点です。
加入対象となるのは正規職員(採用日から加入)や労働時間が正規の3分の2以上かつ雇用期間が1年以上の職員です。パートタイムや短時間勤務の場合は対象外になることもあります。
勤務時間や雇用期間によって対象外になる可能性があるため、自分の働き方が条件を満たすか確認しましょう。
特にパートタイムから正規職員へ切り替わる予定がある場合や、入職後に勤務時間を増やす可能性がある場合は、いつから被共済職員として扱われるのかを確認しておくと安心です。
採用日から加入できるのか、一定期間の勤務後に加入するのかで、退職時に算入される期間が変わります。
逆に制度の対象外だと思っていた職員が、勤務時間の増加や雇用契約の変更によって対象になるケースもあります。反対に、短時間勤務のままでは対象外となる職場もあるため、自分の働き方に照らして確認することが重要です。
被共済職員期間の合計が12ヶ月未満だと退職手当金は支給されません。複数の法人を短期間で渡り歩いた場合は、被共済職員期間の条件を満たせず、退職手当金が支給されない可能性もあります。
確認するなら、内定承諾前の段階が最も確認しやすいでしょう。WAM共済への加入有無や、自分が被共済職員の対象になるかは、可能であれば書面で確認しておくのがよいでしょう。
社会福祉法人で退職金が多くなりやすい人の特徴

退職金は働き方や勤務状況で差が出やすい仕組みです。どのような働き方で退職金が増えるのかを理解しておくと、キャリア設計の参考になります。
同じ法人で長く働いている人
WAM共済は、1つの勤務先での被共済職員期間が長くなるほど支給乗率が高くなる仕組みです。2016年の制度改正後は16年以上の勤続で改正前を上回る乗率設定になりました。長期在籍者ほど手厚い支給額を受け取れるでしょう。
複数の法人で勤務年数が分散すると、1法人あたりの被共済職員期間が短くなり、退職金が伸びにくくなる場合があります。次の働き先こそ長く続けられる環境を選ぶことが、退職金の観点でも合理的な判断といえるでしょう。
退職金制度の対象職員として加入している人

退職金が多くなりやすいのは、入職時からWAM共済の被共済職員として適切に登録されている人です。加入漏れや登録の遅れがあると、実際の勤続年数より被共済職員期間が短くなり受取額に影響します。雇用形態が変わる場合は、どの期間が算入されるかも確認しておきましょう。
本俸月額が高いほど計算基礎額のランクが上がるため、昇格や賃上げが見込める勤務先で働くことも退職金増加につながります。退職金と給与体系や昇給ルールは一体で確認しておきたいところです。
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転職前に確認したい退職金と職場選びのポイント

退職金制度を理解しても、職場選びで何を基準にすればよいかは迷う方もいるでしょう。退職金だけで比較すると、見落としやすい条件が出てきます。
給与や賞与と合わせて総合的に比較する
退職金が手厚い勤務先でも、月給や賞与が低ければ短期的な収入は下がる可能性があります。退職金とあわせて確認したい項目は以下のとおりです。
- 月給や基本給と昇給の仕組み
- 賞与の有無、支給回数、支給額の基準
- 夜勤回数と夜勤手当の金額
- 休日数や有給取得のしやすさ
- 残業時間の実態
給与や賞与に退職金も併せたトータルの待遇で比較すると、職場選びの精度が高まります。
退職金制度を質問しやすい職場を選ぶ

面接時に退職金の詳細を聞いておくことも、入職後のミスマッチを防ぐうえで有効です。「退職金はWAM共済だけですか、法人独自の規程もありますか」と一言聞くだけで、全体像は見えやすくなるでしょう。
また支給対象となる雇用形態や勤続年数の条件も確認しておくと安心です。
「正社員以外も対象になりますか」「勤続何年以上で支給されますか」「就業規則や退職金規程で確認できますか」と聞けば、制度の有無だけでなく実際に自分が対象になるかまで判断しやすいです。
退職金について丁寧に説明してくれる職場は、情報共有の文化が根づいている傾向があると考えられます。
面接で退職金制度の詳細が曖昧な場合は、入職後に想定と違う条件がわかる可能性があります。
転職エージェントを活用すれば、直接聞きにくい条件面を代わりに確認してもらうことも可能です。
法人ごとの加入制度を整理して伝えてもらえるため、比較検討も進めやすくなるでしょう。
「どんな職場がある?」「転職で迷っている」など、どんな小さな疑問でも大丈夫です。
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社会福祉法人の退職金制度や条件が気になったら職場を比較してみよう

社会福祉法人の退職金制度は法人によって大きく異なり、求人票だけでは判断しにくい部分も多くあります。
給与や休日に加え、夜勤回数や人間関係、職場の雰囲気などを総合的に比較することが長く働き続けるための基本です。内定承諾前には、WAM共済加入の有無を確認しましょう。法人独自規程の支給条件や上乗せ共済の有無も、あわせて整理しておきましょう。
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