居宅ケアマネの仕事内容

居宅ケアマネは、要介護者が自宅で介護サービスを受けられるようさまざまな支援をする仕事です。業務内容は多岐にわたりますが、地域に密着したやりがいのある仕事でしょう。

ここからは、居宅ケアマネがどのような仕事を行っているのか、具体的に解説します。

利用者やご家族の相談対応

居宅ケアマネの仕事は、利用者やご家族の相談への対応から始まります。家族の形態はさまざまで、要介護者と同居している家族もいれば、遠方に住んでいてなかなか訪問できない家族もいるでしょう。

家族の形態によって支援内容は変わってきます。困っていることを聞きだし、必要な介護サービスの提案が必要です。介護業界に携わっていないと、介護保険制度の仕組みや介護サービスに関する理解が不足しているケースも多いため、わかりやすい説明が求められます。

要介護認定手続きの代行

要介護認定とは、どの程度の介護が必要かを市区町村が判断する手続きです。要介護者の身体状況や家族構成、生活環境や主治医の判断を基準に評価します。

要介護認定を受けるためには、介護認定申請書や主治医の意見書、本人確認書類が必要です。専門的な知識もある程度必要になるため、個々で行うのは面倒だと感じる方も多いでしょう。

そのため、居宅ケアマネに要介護認定申請の代行を依頼するケースも少なくありません。

ケアプランの作成

要介護認定を受けた後は、ケアマネジャーがケアプランを作成するステップです。

ケアマネジャーは利用者やご家族の困っている点を聞きながら、適切なサービスを組み合わせながら提案します。

サービスの種類や内容、利用回数、時間、料金などを細かくリスト化し、ケアプランの原案を利用者やご家族に提示します。できあがったケアプランの原案は利用者やご家族に説明しますが、わかりやすい言葉での説明が重要です。

サービス担当者会議

ケアプランの原案に問題がなければ、サービス担当者会議が開かれます。サービス担当者会議には居宅ケアマネや介護・医療関係者だけでなく、利用者やそのご家族も参加するのが一般的です。

介護サービスの利用者によりよいサービスを提供するために、意見を交換したり情報を共有したりする会議です。参加者すべてが意見を出し合えるよう、和やかな雰囲気で進める必要があります。

さまざまな意見を聞きながら、最終的なケアプランを完成させます。

給付管理

介護サービスがスタートしてからは、給付管理業務が必要です。給付管理業務は翌月10日までと決められており、期限を守って提出しなければなりません。

要介護認定の等級によって使える介護サービスの単位が決められているため、単位内で最大限のサービスを受けられるよう調整します。利用者やご家族が現在のケアプランで満足しているかどうかのモニタリングも必要です。

居宅ケアマネといっても、施設によって業務内容や働き方には違いがあります。

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居宅ケアマネと施設ケアマネとの違い

同じケアマネジャーでも、働く職場によって居宅ケアマネジャー・施設ケアマネジャーと呼び方が異なります。

居宅ケアマネと施設ケアマネにはどのような違いがあるのでしょうか。ここからは居宅ケアマネと施設ケアマネの違いを、5つの視点から解説します。

利用者

厚生労働省の調べによると、2019年4月の在宅サービス利用者数は378万人でした。居宅系・居住系の地域密着型サービス利用者数を合わせると、460万人にものぼります。

対して、施設サービスの利用者数は地域密着型サービスと合わせても101万人程度です。居宅サービス利用者数は20年間で4倍近く増加しており、居宅ケアマネの需要も高まっています。

担当件数

厚生労働省の居宅介護支援・介護予防支援の調査によると、2022年度の居宅ケアマネ一人あたりの担当件数は平均31.8件です。

一人あたりの担当件数が40件以上になると介護報酬が少なくなる逓減制により、40件未満に抑えるケアマネがほとんどです。1事業所あたりの平均利用者数は95人なので、1事業所につき3人程度のケアマネが在籍している計算になります。

一方、施設ケアマネは一人あたり100人まで担当可能です。施設によっては、入居者全員のケアプランを一人のケアマネが担当しているケースもあります。一般社団法人日本介護支援専門員協会の調べによると、施設ケアマネの多くが41～50件の担当を持っています。

施設ケアマネは施設内を巡回して利用者ひとり一人に対応できますが、居宅ケアマネは自宅を一件一件回らなければなりません。利用者一人にかかる時間が多いため、担当件数が施設ケアマネよりも少なく設定されています。

仕事内容

利用者やご家族からのヒアリングやケアプランの作成など、大まかな仕事内容は居宅ケアマネも施設ケアマネも大きな違いはありません。

ただ、施設ケアマネは施設内で働くほかの職種の方との密な連携が必要です。特に介護士や看護師とは日頃から情報を共有し合い、スムーズな連携を図る必要があるでしょう。

また、事務作業や介護業務など、ケアプラン以外の仕事が求められるケースもあります。それに対し、居宅ケアマネはケアプランに関わる仕事がメインです。

介護サービスを提供している業者や福祉用具会社などとの連携が必要ですが、個人で判断しなければならない機会も多くなります。

移動

施設ケアマネは施設内で業務を行うため、基本的に移動はありません。しかし、居宅ケアマネは利用者一人ひとりの家を訪問しなければならないため、移動時間が長くなります。

サービス事業者との打ち合わせもあり、一日中移動している日もあるでしょう。自転車で移動するケアマネもいますが、車で何十kmも離れた地域へ移動するケアマネも少なくありません。

給料

給料面では、施設ケアマネのほうが居宅ケアマネよりも高い傾向にあります。厚生労働省の2022年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、居宅ケアマネの平均給与は362,550円です。

施設ケアマネは施設形態によって給与額が異なります。通所介護事業所や介護医療院の平均給与は320,000円～360,000円と、居宅ケアマネよりも安いケースがあります。

ただ、介護老人福祉施設や介護老人保健施設の給与は390,000円～410,000円程度で、居宅ケアマネよりも高い結果になりました。有料老人ホームは民間企業なので、データはありませんが、企業によっては高めに給与が設定されているところもあります。

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居宅ケアマネの1日の仕事の流れ

居宅ケアマネも施設ケアマネ同様、朝は8:00～9:00の間に出勤するのが基本です。朝は居宅介護支援事業所に出勤し、一日のスケジュールを確認したり、スタッフと情報共有をしたりします。

訪問までに時間があれば、利用者の訪問やサービス調整のための事務作業も必要です。その後は事業所を出て、利用者宅へ訪問したり、退院する利用者に面会するために病院を訪問したりします。

訪問の合間には、市区役所へ行って要介護認定申請の手続きを行うこともあるでしょう。昼休憩を挟み、午後も引き続き利用者の訪問やサービス担当者会議を行います。

訪問が終われば、事務所に戻り、ケアプランの作成や事務処理を行うことがほとんどです。移動先は日によって異なるため、事務所に戻る時間もバラバラです。

その日ごとにスケジュールが異なるため、事前の調整が求められるでしょう。また、日によっては急な対応が求められることもあります。利用者の体調変化や緊急事態への対応が入ると、早急なサービス調整が必要です。

居宅ケアマネに求められるスキル

居宅ケアマネにはさまざまなスキルが求められます。一例として下記が挙げられます。

• アセスメント能力
• 書類作成やケアプラン立案の事務処理能力
• 調整力・交渉力
• ITリテラシー
• 傾聴力・共感力

利用者やご家族を理解するために情報収集・分析を行い、情報を整理していくアセスメント能力はケアプランの作成に重要です。アセスメントを行い、利用者にふさわしいケアプランを作成できます。

また、空き時間で書類作成やケアプランの立案などの事務処理をしなければならないため、事務処理能力も必要不可欠です。さらに、利用者に必要なサービスを提供するために、さまざまな関係者と連携しなければなりません。その際には適切な調整力と交渉力が求められるでしょう。

居宅ケアマネの業務効率化と多職種連携をスムーズに行うためには、ICTツールの活用が欠かせません。そのため、ITリテラシーは日々の業務記録や給付管理システムの使用に必要なスキルです。

最後は傾聴力や共感力です。利用者やご家族の意見を聞き出し、自分が必要な情報を得るためには質問力や傾聴力が求められます。相手が話しやすい雰囲気を作り、相手の立場に立って、しっかり傾聴する必要があるでしょう。

さまざまなスキルを上げましたが、最初からすべてのスキルを身につけている方はいません。ある程度のスキルは必要ですが、経験とともに身につくものもあるため、できることからスキルを伸ばしていきましょう。

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居宅ケアマネに向いている方

居宅ケアマネに興味があっても、自分の性格や理想の働き方にあっているかわからない方も多いでしょう。ここからは、居宅ケアマネに向いている方の特徴を詳しく解説します。

ひとつでも当てはまっている方は、居宅ケアマネの仕事を前向きに検討しましょう。

ケアマネージャーの経験を積みたい方

ゆっくり自分のペースで経験を積みたい方は、居宅ケアマネに向いています。訪問業務が中心で、自由度の高い働き方ができるため、自分のペースで働けるでしょう。

また、施設ケアマネと違い、介護業務や事務業務が少ないのも居宅ケアマネの特徴です。ほかの職務と兼務しないため、自分のケアマネジャーとしての業務に集中できます。ケアマネとしての知識やスキルを磨きたい方におすすめです。

仕事を選ばない方

仕事の選り好みをしない方は、居宅ケアマネに向いているでしょう。居宅ケアマネの業務は多岐にわたります。

利用者やご家族のヒアリングを行い、ケアプランや書類作成などの事務処理、多職種との調整などさまざまな業務が求められます。人と話すのは好きだけど、事務作業は苦手など、得意不得意が多い方は利用者に迷惑をかけてしまう可能性があるでしょう。

仕事を選ばず、どの業務にも真剣に取り組める方は、居宅ケアマネとして活躍できるはずです。

フットワークが軽い方

ケアマネジャーの仕事は、迅速な対応が求められるケースも少なくありません。相談内容によっては、すぐに利用者のご自宅に駆けつけなければならないこともあるでしょう。

対応が遅れると、重大な事故やトラブルにつながる可能性もあります。また人づてに聞いた話だけで判断するのではなく、自分の足で現場に行き、確認することも必要です。そのため、フットワークが軽く、すぐに行動できる方は居宅ケアマネに向いているでしょう。

責任感が強く自分で判断できる方

居宅ケアマネは自分で状況を判断し、利用者に適したサービスを選定しなければなりません。そのため、責任感が強く、自分で判断できる方は居宅ケアマネに向いているでしょう。

居宅ケアマネは利用者の家庭環境や個々のニーズを把握し、柔軟な対応が求められます。一人で訪問するケースが多いので、自分の目で見た状況をもとに判断しなければなりません。

その都度、上司や職場の同僚に相談できるわけではないので、その場の判断が求められるでしょう。その居宅ケアマネの判断は利用者の生活に大きく影響します。そのため、利用者の立場に立って考えられる、責任感の高い人材が必要です。

人と上手に接して人脈を築ける方

居宅ケアマネは、いつも多職種の方と接し、多方面の人脈を築くことが重要です。さまざまな専門家や介護関係者と連携し、いろいろな場に顔を出していくと、自然と人脈が広がっていくでしょう。

人脈が広がると、介護に関する新しい知識を吸収できたり、キャリアの成長につながるチャンスを見つけたりしやすくなります。新しい知識の吸収もできるため、ケアマネジャーとして成長できるでしょう。

そのためにも、人と接することが得意な方や抵抗がない方が、居宅ケアマネに向いています。

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居宅ケアマネとして働いていくコツ

居宅ケアマネを長く続けるためには、いくつかのコツを抑えておく必要があります。ポイントとして下記が挙げられます。

• 時間管理力
• 定期的な研修参加で知識をアップデートする
• 職場の仲間や多職種との連携を大切にする
• 抱え込みすぎず、なんでも相談できる環境づくり

居宅ケアマネは訪問の合間に書類作成を行わなければならないため、時間管理力が必要です。訪問先の距離や移動ルートを考えて、効率的なスケジュールを作成する必要があるでしょう。

状況によってスケジュールがずれることも多々あるため、隙間時間で事務仕事を行えるような時間管理力も必要です。

また、ケアマネジャーには専門的な知識やスキルが求められます。知識やスキルを身につけられるよう定期的な実務研修が課せられていますが、それ以外でも積極的に新しい知識を吸収していきましょう。

さらに、職場の仲間や多職種と密に連携を取り合うと、利用者に質の高いサービスを提供できます。困ったときや悩んだときにはなんでも相談できる環境づくりも重要です。居宅ケアマネは一人で動くことが多いため、孤独で悩みやすい環境です。

相談できる同僚や上司がいることで、自分の判断を確認し、業務の進め方に自信を持ちやすくなるでしょう。このように自分のスキルだけでなく、環境づくりや働き方を少し工夫することで、居宅ケアマネを長く続けることができます。

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居宅ケアマネは自分のペースで働けるだけでなく、大きなやりがいを得られる仕事です。自分に合った働きやすい職場で、居宅ケアマネの経験を積みましょう。とはいえ、自分にあった求人を見つけるのは至難の業です。

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