認知症ケア加算とは

認知症ケア加算とは、診療報酬上の加算の一つです。入院中の認知症患者さんに対して、専門的なチーム体制を整え、質の高いケアを提供している医療機関を評価する制度です。
認知症ケアに組織として取り組んでいるかどうかを評価する仕組みで、院内に認知症ケアチームを設置し、多職種で連携できる体制を整えているかが問われます。
特定のスタッフが優秀かどうかではなく、病院全体の取り組みが評価対象となる制度です。そのため、院内に認知症ケアチームを設置し、多職種で連携できる体制を整えているかどうかといった点が評価対象になります。
ここでは認知症ケア加算の目的や対象となる患者さん、体制について紹介します。
目的
認知症ケア加算の目的は、入院による環境変化によって症状が悪化しやすい認知症患者さんを守ることです。
入院中の認知症患者さんは、せん妄やBPSDといった症状が出現しやすい点が特徴です。そのため結果として身体拘束や向精神薬の使用が増えてしまうケースも少なくありません。
このような事態を防ぐためには、適切な評価と介入が欠かせません。認知症に関する知識や経験を持つスタッフが早い段階で状態を見きわめ、チームで支えていく体制を整える必要があるでしょう。
対象になる患者さん

認知症ケア加算の評価をするうえでは、対象となる患者さんに対して適切に介入しているかどうかを判断しなければなりません。そのため対象となる患者さんについて確認しておく必要があります。
認知症ケア加算で対象になる患者さんは、認知機能の低下が認められ、特別な配慮が必要と判断された患者さんです。単に高齢であるという理由だけでは対象にはなりません。
認知症の症状が理由となって、支援が必要な場合が想定されています。不穏や見当識障害があるケースや、治療への理解が難しいケースが挙げられるでしょう。
一方で、重度の意識障害がある場合などでは対象外となることもあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
体制
認知症ケア加算を算定するためには、院内に認知症ケアチームを設置し、組織的に活動していることが必要です。
加算の主体は個人ではなく、病院の体制そのものです。チームとしての仕組みが整っていなければ算定できません。
具体的には認知症ケアに関する研修を修了した職員を配置し、定期的な評価やカンファレンスを実施することが求められています。
認知症ケア加算の対象になる介護サービス

まず前提として、認知症ケア加算の対象となるのは入院医療のなかで、認知症患者さんに対応している体制です。この加算は医療保険上の制度であり、主に入院医療を提供する医療機関が対象になります。
具体的には以下のような施設が対象です。
- 一般病棟
- 療養病棟
- 地域包括ケア病棟
これらの病棟で、認知症のある入院患者さんに対して、要件を満たす状態のチームでケアを行った場合に算定されます。
認知症ケア加算の算定要件

認知症ケア加算は、その施設が一定の基準を満たす体制が整っており、その体制のもとで実際にチームとして介入していることが要件です。
組織としての仕組みや連携体制が整っていなければ算定できないため、注意しておく必要があるでしょう。
加算は加算1と加算2に分かれています。体制の充実度によって区分されているため、それぞれを解説します。加算1の方がより手厚い体制が求められ、加算2はそれよりもやや要件が緩やかです。
なお、介護保険の認知症専門ケア加算はⅠとⅡの区分があり、Ⅱの方がより高度な体制が求められます。制度が異なるため、区分の考え方も逆になる点に注意が必要です。
加算1の場合
加算1の要件としては、認知症ケアに関する専門研修を修了した医師や看護師などを含む認知症ケアチームを設置していることが挙げられます。
また、対象となる患者さんに対して、定期的な評価やカンファレンスを実施していることも必要です。
身体拘束を最小限に留めるための取り組みをはじめとする、病院内全体で認知症ケアの質の向上に関わる行動が求められるでしょう。
個別の患者さんへの対応だけでなく、組織的に認知症ケアに取り組んでいることが評価される区分です。
加算2の場合

加算2は、加算1と比べると要件はやや緩やかなため、取り組みやすい区分とはいえるでしょう。
ただし、認知症に関する一定の研修を受けた職員の配置や、対象患者さんへの適切な評価体制が必要です。場あたり的な対応や職員個人の能力では算定できません。
チームで認知症ケアに関わっていることが前提となる点は同じなので、注意しておく必要があるでしょう。
認知症ケア加算で対象外になるケース

認知症ケア加算は、認知症ケアに取り組んでいれば算定できる制度ではありません。対象となる患者さんや病棟、チーム体制には制度上の明確な基準があります。
そのため基準を満たしていない場合には算定できないため、注意しておく必要があるでしょう。ここでは具体的に、認知症ケア加算を算定できないケースを紹介します。
なぜこの患者さんは対象にならないのかといったケースから、どうしてうちの病棟では算定できないのかといった施設の体制がボトルネックとなるケースまでさまざまです。
それぞれの特徴を理解しておくことをおすすめします。
重度の意識障害がある
認知症ケア加算は、認知症によって引き起こされる行動や、環境変化への適応などに対して介入することを評価する制度です。
そのため、重度の意識障害がある場合には、認知症に対するアプローチを行うことが困難とされます。
制度の趣旨が、認知症の症状に対してチームで介入することにあるため、このようなケースでは算定対象外となるので注意しておくとよいでしょう。
自立度判定基準が軽度から中度
認知症の患者さんが、自立度判定基準において一定の基準に満たない場合も対象外となります。認知機能の低下があったとしても、チームとしての介入を必要とする状態でなければ算定できません。
認知症ケア加算が一定以上の支援が必要なケースに対応していることを評価する仕組みとなっているためです。
そのため、患者さんの状態によって算定状況が左右される点にも留意しておくべきでしょう。
指定された加算算定対象外の病棟に入院中

認知症ケア加算は、すべての病棟で算定できるわけではありません。制度上、算定対象となる病棟の種類が定められているためです。
同じ病院内であっても、病棟の機能によって算定の可否が分かれるため、注意しておく必要があるでしょう。例えば、一般病棟では算定できても、特定の機能に特化した病棟では対象外となる場合があります。
病棟の機能区分や施設基準に左右されるため、自分の職場がどの病棟区分に該当しているのかを理解しておくことが重要です。
基準を満たさないチーム体制
見落とされやすいポイントとして、チーム体制の基準を満たしていないケースが挙げられます。
認知症ケア加算には、研修修了者の配置や、定期的なカンファレンスの実施など、制度で定められた要件があります。そのためこれらの要件を満たしていない場合には算定できません。
現場で認知症に対していくらケアを行っていても、組織としての体制が整っていなければ評価されないのが制度の特徴です。
もし今の職場でチーム体制の構築が難しいと感じているなら、無理に抱え込む必要はありません。体制が整っている職場への転職を検討することも選択肢の一つになるでしょう。
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認知症ケア加算の注意点

認知症ケア加算は、単に要件を満たせば自動的に評価されるものではありません。運用方法によっては減算や算定の制限が生じることもあります。
身体的拘束を実施した場合の取り扱いや、重度算定における制限は押さえておきたいポイントです。チームケアによる実施も事前に理解しておくべきでしょう。
現場の一部の職員だけが頑張っていても、チームとして連携できていなければ、本来の評価には結びつきません。
制度を知らなかった、共有されていなかったという理由では済まされません。想定外の減算を招かないためにも、事前に制度を理解しておきましょう。
また、チームケアといった観点から今の職場に不満を感じているのであれば、環境の問題かもしれません。
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身体的拘束を実施した場合は減算される
認知症ケア加算は、身体拘束を極力行わないように取り組んでいることも評価の前提になっています。
安全を確保するために、やむを得ない場面があることは事実です。ただし制度としては、拘束に頼らない支援を検討する姿勢が求められます。
そのため、身体的拘束を実施した場合には、一定の条件のもとで減算の対象となることがあります。
重度算定には制限がある

認知症の状態が重度であれば必ず算定できるというわけではありません。重度の意識障害がある場合など、算定が認められないケースもあるため、事前に理解しておく必要があるでしょう。
特に重度の意識障害がある場合などは、大変なケースなのに評価されないと感じることもあるかもしれません。特にこのようなケースでは、現場に不公平感が生まれやすいともいえます。
制度を正しく理解しておくことで、現場の努力不足ではなく、制度の枠組みの問題だと整理することができるでしょう。
チームケアによる実施が奨励されている
認知症ケア加算は、医師や看護師を中心とした多職種チームでの関わりが前提の制度です。そのため個人が熱心に対応していても、チームとしての仕組みが整っていなければ、制度上の評価にはつながりません。
定期的なカンファレンスの実施や評価、計画の見直しなど、組織として継続的に取り組んでいることが求められます。裏を返せば、チーム体制が整っていない職場では、どれだけ努力しても評価に結びつきにくいでしょう。
しかし、チームケアといいながら実際は個人任せになってしまっている現場など、現状の環境ではなかなか本質的なチームケアが行えていない現場も少なくありません。
そのようなケースで、今働いている現場に限界を感じているなら、体制が整った環境へ目を向けることも一つの選択肢です。
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認知症ケア加算を算定するための研修

認知症ケア加算を算定するためには、一定の専門研修を修了した職員の配置が求められます。これらの研修は、施設全体の体制を支える重要な役割を持つ研修といえるでしょう。
また認知症ケア加算と類似した介護保険の制度で認知症専門ケア加算があります。認知症専門ケア加算で必要な資格と混同しないことが重要です。
具体的に解説しますので、今後受講を検討している方や、認知症ケアの現場をけん引する立場の方の参考になれば幸いです。
認知症看護に係る適切な研修
医療機関では、認知症看護に関する適切な研修を修了した看護師の配置が要件となる場合があります。医療現場で認知症への対応力を持っている人材が必要となるためです。
身体疾患と認知症症状の両面を理解し、適切に対応できる知識を養成することができます。また、演習を通じてより実践的に学ぶことができる研修です。
このような研修を受けることで、認知症看護分野でのキャリア構築にもつながるでしょう。
認知症介護実践リーダー研修

認知症介護実践リーダー研修は、現場で中心的な役割を担う人材を育成するための研修です。知識を学ぶだけでなく、チームをまとめ、ケアの質を高めていく力が求められます。
現場での力を養成する研修のため、認知症ケアにおけるチームケアやマネジメントについても学びます。
認知症ケア加算の算定に必要となるだけでなく、チームリーダーとしての役割を理解しチームを引っ張っていくうえで重要な研修です。
なお認知症介護実践リーダー研修は、認知症ケア加算では必須ではありません。ただし医療と介護が併設されている施設では、研修修了者がいることが体制強化につながる場合もあります。
認知症介護指導者養成研修
認知症介護指導者養成研修は、より高度な専門性を持ち、指導的立場で活躍できる人材を育てる研修です。
指導者養成という名称からもわかるように、認知症介護実践リーダー研修より専門性をさらに深め、幅広い場面で中心的な役割を担える人材を育成する研修です。
このレベルの研修修了者がいることは、施設の評価や信頼性向上にもつながるといえるでしょう。
ただし認知症介護指導者養成研修も認知症介護実践リーダー研修同様、認知症ケア加算では必須ではない点を念頭に置いておくとよいでしょう。
また研修の受講を通じてキャリア形成を検討している方のなかには、今の職場とは違う環境で研修の受講を目指したい方もいるでしょう。
ハッシュタグ転職介護は、研修を受けた経験を活かせる職場探しまで、しっかりと寄り添って伴走します。
研修体制や資格取得支援制度の有無まで丁寧に確認しますので、働く際に重要視していることを大事にした転職活動が可能です。
学びを無駄にしないキャリアを築きたいなら、まずは無料相談で希望を伝えてみるとよいでしょう。
「どんな職場がある?」「転職で迷っている」など、どんな小さな疑問でも大丈夫です。
専門アドバイザーがあなたの悩みに寄り添い、理想の職場探しをサポートします。
研修受けて認知症ケア加算に関わろう

本記事では、認知症ケア加算について紹介してきました。認知症ケア加算は、組織として専門的な体制を整えているかどうかが問われる制度です。
チームでの認知症ケアの土台となるのが、認知症ケアに関する研修を受けた人材の存在です。制度を正しく理解し、必要な研修を受けることで、チームのなかでの役割が明確になるでしょう。
また認知症ケアに積極的に関わることで、キャリアアップの道が拓けることもあるでしょう。キャリア形成を考えている方にも、おすすめです。
ただし、あなたの学びや経験がきちんと活かされる環境に身を置くことができるかは、考えておくべきポイントです。
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