特別養護老人ホームとは

特別養護老人ホームは、要介護高齢者のための生活施設として、入浴・排泄・食事などの日常生活上の介護を提供します。介護保険制度のもとで運営され、原則として要介護3以上の方が入所対象です。

医療機関とは異なり、介護を主体とした施設である点が大きな特徴です。施設には医師・看護職員・介護職員・栄養士・生活相談員などが配置されており、チームで入所者の生活を支えます。

入所者一人ひとりの心身の状況に応じて、個別のケアプランを作成し、その方らしい生活を送れるよう支援を行います。機能訓練・健康管理・療養上の世話も提供されており、医療的なケアが必要な方も安心感を持って生活できる環境です。

入所者が可能な限り在宅復帰できることを念頭に置きながらも、実際には終の棲家として長期間生活する方の施設となっています。

訪問看護に行ける場所の特徴

訪問看護は、利用者が療養生活を送る場所へ看護師が訪問し、医療処置や健康管理を行うサービスです。ただし、どこでも訪問看護が利用できるわけではありません。

訪問看護の対象となるかどうかは、その場所が居宅として扱われるかによって決まります。この居宅の定義を理解することで、訪問看護が利用できる場所を正しく見分けられます。

基本は利用者の自宅

訪問看護の基本は、利用者の自宅を訪問することです。自宅で療養生活を送る要介護者や医療的ケアが必要な方に対して、主治医の指示のもと看護サービスを提供します。

血圧測定・服薬管理・医療機器の管理・褥瘡の処置・リハビリテーションなど、在宅での療養をサポートする幅広いケアが含まれます。介護保険または医療保険を利用して、定期的な訪問看護を受けることが可能です。

看護師は利用者の生活環境を把握しながら、個々の状況に応じたきめ細やかなケアを提供します。利用者が住み慣れた自宅で安心感を持って療養生活を送れるよう、専門的な看護の視点からサポートを行います。

居宅と見なされる場所

訪問看護が利用できる場所は、利用者の自宅だけではありません。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、居宅とみなされる施設でも訪問看護サービスを受けることが可能です。

これらの施設は、利用者がそれぞれの居室で生活する住まいとしての性格が強く、医療や介護が包括的に提供されていない点が特徴です。そのため、外部の訪問看護ステーションからのサービスを受けられる仕組みとなっています。

利用者は自分の生活スタイルに合わせて必要なサービスを選択でき、訪問看護もその選択肢の一つです。施設内での生活でありながら、在宅と同様の訪問看護サービスを利用できる環境が整っています。

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特別養護老人ホームへは訪問看護に行けるのか

特別養護老人ホームへの訪問看護については、一般的な理解と実際の制度には大きな違いがあります。

特養は介護を中心とした生活施設ですが、施設内に医師や看護職員が配置されており、その体制が訪問看護の利用に影響を与えます。ただし、すべてのケースで訪問看護が利用できないわけではなく、特定の条件下では例外的な対応も可能です。

原則不可能

特別養護老人ホームでは、原則として訪問看護の利用は不可です。特養は介護保険施設であり、施設サービス費のなかに医療や看護のサービスが包括的に含まれています。

施設には配置医師や看護職員がおり、入所者の健康管理や療養上の世話はこれらの職員が行います。外部の訪問看護ステーションからのサービスを重複して提供することは制度上認められません。

施設内で必要な医療的ケアは、配置されている医療スタッフによって対応する仕組みとなっています。入所者の日常的な健康管理から急変時の対応まで、施設内の医療体制で完結するよう設計されています。

末期がんの方は例外

特別養護老人ホームにおいても、末期の悪性腫瘍の入所者に限っては、例外的に外部からの訪問看護を受けることが可能です。

これは、末期がんの方には専門的な緩和ケアや頻回の医療処置が必要となることが多く、施設の配置医師だけでは対応が困難なケースがあるという理由によります。この場合、在宅患者訪問診療料や訪問看護療養費を算定することが認められます。

末期がんの方への訪問看護は、痛みのコントロールや症状緩和など、専門的な知識と技術が求められる分野です。施設内の医療スタッフと外部の訪問看護師が連携することで、より質の高いターミナルケアを提供できます。

訪問看護に行けないほかの施設

特別養護老人ホーム以外にも、訪問看護が原則として利用できない施設がいくつかあります。これらは施設内に医療や看護の体制が整っており、施設サービス費のなかに医療的ケアが包括されている施設です。

そのため、外部からの訪問看護サービスは基本的に利用できない仕組みとなっています。それぞれの施設の特徴を理解することで、訪問看護の対象範囲を正しく把握できます。

介護老人保険施設

介護老人保健施設は、要介護者にリハビリテーションを提供し、在宅復帰を目指す施設です。医師・看護職員・理学療法士などが常駐しており、医学的管理のもとで介護や機能訓練を行います。

施設サービス費に医療や看護が包括的に含まれているため、原則として外部からの訪問看護を利用することはできません。老健は在宅復帰を前提とした中間施設という位置づけとなっており、入所期間は原則として3～6ヶ月程度です。

施設内では医療と介護の両面から、利用者の機能回復に向けた支援を行います。専門的なリハビリテーションと日常生活の支援を組み合わせることで、在宅生活への復帰を促進します。

介護医療院

介護医療院は、長期的な医療と介護のニーズを併せ持つ要介護高齢者を対象とした施設です。日常的な医学管理や看取り・ターミナルケアなどの医療機能を備えており、医師や看護職員が配置されています。

介護医療院サービス費のなかに医療サービスが含まれているため、外部の訪問看護ステーションからのサービスは原則として利用不可です。2018年に新設された施設類型で、医療と生活の場を兼ね備えた施設として機能します。

重度の要介護者や医療依存度の高い方でも、長期にわたって安心感を持って生活できる環境を提供します。施設内で完結した医療・介護サービスを受けられることが大きな特徴です。

グループホーム

認知症対応型共同生活介護は、認知症の方が少人数で共同生活を送る施設です。家庭的な環境で食事や入浴などの日常生活の支援を受けながら生活します。

グループホームでは、施設サービスのなかに必要な支援が包括されているため、外部からの訪問看護は基本的に利用不可です。ただし、看護小規模多機能型居宅介護として運営されている場合は別となります。

1ユニット5～9名の少人数制で、認知症の方が穏やかに暮らせる環境です。馴染みの関係を築きながら、その方らしい生活を継続できるよう支援を行います。

小規模多機能型居宅介護（宿泊）

小規模多機能型居宅介護は、通い・泊まり・訪問・を組み合わせて提供するサービスです。利用者が事業所に登録し、月額定額制で柔軟にサービスを利用できます。

小規模多機能型居宅介護の宿泊サービス利用中は、包括報酬のなかにサービスが含まれているため、外部の訪問看護ステーションからの訪問看護は利用できません。

このサービスは地域密着型サービスの一つで、住み慣れた地域での生活を支えるという理念のもと運営されています。

利用者の状態や家族の状況に応じて、通い・泊まり・訪問を自由に組み合わせることが可能です。顔なじみのスタッフによる一貫したケアを受けられる点が大きな特徴です。

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訪問看護に行ける主な施設

訪問看護が利用できる施設は、居宅とみなされる住まいとしての性格が強い施設です。これらの施設では、利用者がそれぞれの居室で生活しており、医療や介護のサービスは外部から選択して利用する仕組みとなっています。

そのため、訪問看護ステーションからの看護サービスを受けることが可能です。訪問看護師として働く際には、これらの施設への訪問が主な業務の一つとなります。

有料老人ホーム

有料老人ホームは、高齢者が生活する民間の居住施設です。介護付き・住宅型・健康型などの種類があり、住宅型有料老人ホームでは外部の介護サービスや訪問看護を利用します。

利用者は自分の居室で生活しており、居宅とみなされるため、訪問看護ステーションからの看護サービスを受けることが可能です。有料老人ホームは民間企業が運営することが多く、設備やサービス内容が充実している施設も多くあります。

入居費用は施設によって大きく異なりますが、利用者のニーズに合わせた多様な選択肢が用意されています。外部サービスを活用することで、個々の健康状態に応じた柔軟なケアを受けられる点が特徴です。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー構造の賃貸住宅に安否確認や生活相談サービスが付いた施設です。利用者は賃貸契約を結んで生活し、必要に応じて外部の介護サービスや訪問看護を利用します。

住まいとしての性格が強く、訪問看護の対象です。サービス付き高齢者向け住宅は新しい施設形態で、高齢者の住まいの選択肢として急速に普及しています。

自立した生活を送りながらも、必要なときには適切なサポートを受けられる環境が整っています。利用者の自由度が高く、自分らしい生活を維持しやすい点が魅力です。

ケアハウス

ケアハウスは、自立または軽度の介護が必要な高齢者が入居する施設です。一般型と介護型がありますが、一般型ケアハウスでは外部の訪問看護サービスを利用することが可能となります。

入居料金も低額で、食事提供や生活支援を受けながら生活できます。ケアハウスは社会福祉法人や地方自治体が運営する施設です。

経済的な負担を抑えながら安心感を持って暮らせる住まいとして位置づけられています。利用者同士の交流も活発で、孤立を防ぎながら自立した生活を送れる環境です。

小規模多機能型居宅介護（自宅）

小規模多機能型居宅介護に登録している方が、自宅にいる時間帯については、外部の訪問看護ステーションからの訪問看護を利用することが可能です。

これは、自宅での生活時には小規模多機能型居宅介護のサービスが提供されていない時間帯があるという理由によります。ただし、通いや宿泊のサービス利用中は、訪問看護の対象外です。

小規模多機能型居宅介護は包括報酬制のサービスで、登録定員は29名以下と小規模な運営形態となっています。利用者の状態や家族の都合に応じて、通い・泊まり・訪問介護を柔軟に組み合わせることが可能です。

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高齢者施設の訪問看護となるメリット

高齢者施設での訪問看護は、一般の在宅訪問とは異なる魅力があります。施設内は環境が整っており、複数の利用者を効率的に訪問できる環境です。

施設スタッフとの連携が取りやすい点など、働きやすさにつながる要素が多くあります。また、看護業務に集中できる環境が整っているため、専門性を発揮しやすいという点も大きなメリットです。

看護業務に集中できる

高齢者施設での訪問看護では、看護業務に専念できる環境が整っています。一般の在宅訪問では、利用者の生活全般にわたる支援が求められることもあります。

一方、施設では介護スタッフが生活支援を担当しているため、看護師は医療処置や健康管理といった専門的な看護業務に集中できる環境です。これにより、看護師としてのスキルを存分に発揮できる職場環境が実現します。

医療的な判断や処置に時間をかけられるため、質の高いケアを提供することが可能です。また、介護スタッフとの役割分担が明確なため、業務の効率化にもつながります。看護師本来の専門性を活かした働き方ができる点が、施設での訪問看護の大きな魅力です。

清潔な現場で看護できる

施設内は衛生管理が行き届いているため、清潔な環境で看護業務を行うことが可能です。一般の在宅訪問では利用者の自宅の環境がさまざまで、清潔さや設備の状況も異なりますが、施設では一定の基準が保たれています。

感染対策も徹底されており、看護師自身も無理なく業務に取り組むことができます。医療機器の管理や物品の補充も施設側で行われるため、準備に手間取ることなくスムーズに業務を進められる環境です。

また、緊急時の対応体制も整っており、バックアップ体制が充実している点も心強いサポート環境となっています。

ワークライフバランスがとりやすい

高齢者施設での訪問看護は、勤務時間が規則的で、ワークライフバランスを保ちやすい働き方です。施設内での訪問であれば移動時間が短く、効率的に業務を進められます。

また、夜間のオンコール対応が少ない施設も多く、プライベートな時間を確保しやすいのも魅力です。家庭と仕事を両立したい看護師にとって、働きやすい環境といえます。

訪問先が施設内に集約されているため、天候に左右されることも少なく、計画的に業務を進めやすい点もメリットです。残業も少なく、定時で帰宅できる日が多くプライベートの予定も立てやすくなります。

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訪問看護師として活躍したい方は

訪問看護師として活躍するためには、施設の種類や訪問看護の仕組みを正しく理解することが重要です。特別養護老人ホームへの訪問看護は原則不可ですが、末期がんの方には例外規定があります。

また、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、訪問看護が可能な施設も多く存在します。訪問看護師は、利用者の生活を支える重要な役割を担い、やりがいのある仕事です。

高齢者施設での訪問看護は、看護業務に集中できる環境や、ワークライフバランスを保ちやすいといったメリットがある働き方です。

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