ホームヘルパーと訪問介護の違いは？

一般的にホームヘルパーは、利用者の自宅を訪問して介護を行う介護員のことを言い、訪問介護はホームヘルパーが提供するサービスのことを言います。

では、ホームヘルパーと訪問介護のどのような違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。

ホームヘルパーは職種の名称

ホームヘルパーは、一人で利用者の自宅を訪問して身体介護や生活支援を行う介護員のことです。ホームヘルパーは通称で、正しくは訪問介護員と呼ばれています。

実際にホームヘルパーとして働くには、介護職員初任者研修以上の資格を持っていることが条件です。無資格でも業務は可能ですが、資格を持つホームヘルパーに同行し、身の回りの整頓や掃除などの生活面でのケアが主な仕事となります。

ホームヘルパーの主な仕事は、ケアマネジャーが作成したケアプランに沿ってサービスを提供することです。

主に、食事・排泄・入浴などの身体介護から、食事の準備・掃除・洗濯などの日常生活の支援を行います。

快適な日常を送れるように、利用者一人ひとりにあわせたケアや介護サービスを提供するのがホームヘルパーの役割です。

訪問介護はサービスの名称

訪問介護とは、ホームヘルパーが提供するサービスのことで、要介護度1〜5の認定を受けた方が利用できる介護サービスです。

ケアマネジャーが利用者の健康状態や身体状態を把握して、ケアプランを作成し、ホームヘルパーがプランに沿った介護やサービスを提供します。

訪問介護の目的は、利用者が住み慣れた自宅や地域でできる限り、自立した生活を送れるように支援することを目的としています。

そのため、利用者ができることは利用者が自ら行うように支援したり、介護をしすぎたりしないことも訪問介護の役割の一つです。

ホームヘルパーの主な仕事内容

ホームヘルパーは、利用者の自宅を訪問してケアマネジャーが作成したケアプランをもとに身体介護や生活支援を行います。

身体介護とは、食事や入浴、排泄のほかに更衣や移動などの利用者の身体に直接触れて介護を行うサービスのことです。

生活支援は、調理や掃除、洗濯などの身の回りのケアを行うことです。利用者が自分では難しい家事などを代行して行うのが特徴です。

では、ホームヘルパーの主な仕事内容について具体的に確認していきましょう。

食事介助

食事介助は、食事の配膳や片付け、食事中の見守りなどが主な業務内容です。

利用者の健康状態や嚥下の状態を把握し、気管に詰まらないように気を付けながら見守ったり、食事を手助けしたりします。

食事の前には、食事がしやすい姿勢を整えて、誤嚥を防ぐことも大事です。

また、一口分の調節や食事のスピードにも配慮しましょう。

起床介助や就寝介助

起床時や就寝時の介助も行います。

起床介助では、朝起きてから準備するまでの動作を介助します。具体的には、ベッドから起き上がる動作の補助や洗顔・歯磨き・着替えなどを行い、快適な1日をスタートできる準備などです。

また朝の体調確認や床ずれ、発疹の確認などを行い、利用者の健康状態を確認することも重要です。

就寝介助は、快適に眠れるよう寝る前の準備を行います。着替えや歯磨き、ベッドへの移乗や就寝時の体位の調整などが具体的な仕事内容です。眠前薬を服用している場合には、薬の服用も忘れずに確認しましょう。

移乗介助や移動介助

移乗介助は車椅子やベッドに移る動作のことで、移動介助は違う場所への移動を介助することを言います。

移動や移乗は、日常生活では欠かせない動作で、ホームヘルパーではよくある介助です。

移動介助や移乗介助は、一歩間違えば転倒や転落などのケガを伴う動作なので、移動時や移乗時には声かけをしてから行いましょう。

入浴介助や更衣介助

入浴や更衣介助もホームヘルパーの仕事の一つです。

入浴するための準備や温度設定、衣服の着脱、洗髪や洗顔などの補助を行います。

一般家庭の浴室は介護施設とは異なり、浴室に手すりや滑り止めがない場合もあります。

介護施設のように介護の環境が整っていない場合も少なくないため、転倒しないよう十分注意しながら介護を行いましょう。

また、更衣介助では、パジャマや部屋着・外出時の準備なども行います。靴下や靴の履き替えも含まれます。

排泄介助

排泄介助では、排泄のサポートを行います。

トイレ誘導やおむつ交換、ポータブルトイレの利用に加えて、排泄時の衣服の着脱や立ち座りの補助などを行います。

排泄は利用者にとって、恥ずかしさや情けない感情を抱きやすい行為です。

そのため、利用者の尊厳に配慮しながら、自力で対処する場合は余裕があればドアの前で待つようにするとよいでしょう。

体位変換

体位変換は、定期的に身体を動かす身体介護のことです。

寝たきりの利用者の場合には、長時間同じ体位で過ごしていることも少なくありません。

同じ体位で過ごしてしまうと、血流が悪くなり皮膚が傷ついて床ずれを起こしたり、血行障害を起こしたりする可能性があります。

床ずれや血行障害を防ぐためにも、定期的な体位変換が大切です。

体位変換を行う際には、利用者に声かけをしてから、快適に過ごせる体位に整えます。

調理

ホームヘルパーは、利用者の調理も代行します。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づいて栄養バランスの取れたメニューを考え、調理します。

食事は健康状態の維持や、体力をつけるためにも大事なことです。

全部食べてもらえるように、利用者の味の好みや食材のやわらかさなどを事前に確認しておくと調理しやすくなり、利用者にも喜ばれます。

また、作り置きをする場合には、食中毒を起こさないように注意して保存しましょう。

掃除や洗濯

利用者が普段使う場所の掃除やごみ捨ても行います。

リビングやトイレ、キッチン、お風呂など日常生活を送るうえで欠かせない場所は清潔に保つことが重要です。

また、利用者の衣服の洗濯やアイロンがけなども行います。

掃除や洗濯の方法にこだわりがある利用者もいるので、事前に確認しておきましょう。

買い物代行

利用者が自由に動けない場合には、買い物代行も行います。

買い物代行では、利用者が必要とする日用品や食料品の買い出しのほか、薬の受け取りなどを代行します。

買い物前には、利用者から必要なもののメモを受け取りますが、生活必需品以外のものやご家族への買い物はできないので注意が必要です。

また、買い物代行は金銭が関与するため、事前に買い物の内容やお金の管理などについて確認してトラブルが発生しないように心がけましょう。

ホームヘルパーに必要な資格

ホームヘルパーは、資格がなければ一人で業務をこなすことはできません。

利用者の自宅を訪問後、身体介護や生活支援の途中でトラブルが発生しても資格や知識がなければ正しい判断を下すことは難しくなります。

介護に関する知識や技術を身につけることで、質の高いサービスの提供にもつながり、利用者が快適に暮らせる手助けが可能となります。

では、ホームヘルパーに必要な資格について詳しく見ていきましょう。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、介護の基本的な知識を学べる資格です。受講制限がなく、誰でも受講できるため、介護業界未経験者やホームヘルパーを目指している方におすすめです。

介護職員初任者研修は2013年に廃止されたホームヘルパー2級に該当する資格で、すでにホームヘルパー2級を保有している場合には、新たに受講する必要はありません。

介護職員初任者研修は、10科目130時間の座学と実技を通して、身体介護や生活支援を行うための知識やスキルを身につけられます。

カリキュラム後には、1時間程度の筆記試験を受ける必要がありますが、講義をしっかりと聞いていれば合格できる資格です。

短期間で資格取得を目指せるので、これからホームヘルパーとして活躍していきたい方は資格取得しておきましょう。

介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修も介護職員初任者研修と同様に、ホームヘルパー1級に変わる資格です。ホームヘルパー1級を保有している場合には、介護福祉士実務者研修の一部の科目が免除されます。

介護福祉士実務者研修は、基本的な介護ケアに加えて医療や認知症に関する知識が身につき、介護職員初任者研修より専門的な知識や技術を学べる資格です。

20科目450時間のカリキュラムを終了することで資格を取得できます。

介護福祉士実務者研修に受講制限は特にありませんが、介護職員初任者研修を取得している場合には130時間分の研修が免除されるので、順番に資格取得するとスムーズにステップアップを目指せます。

介護福祉士実務者研修の資格を取得すると、ホームヘルパーとしてより質の高いサービス提供が可能となりますが、現場の経験値もとても重要です。

ホームヘルパーは一人での仕事が基本となるので、現場で経験を積むことでスキルアップを目指せます。

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介護福祉士

介護福祉士は、介護分野で唯一の国家資格です。

介護福祉士を受験するには、介護福祉士実務者研修の取得と3年以上の実務経験が必要になります。

介護福祉士を取得すると、介護に関する高いスキルや専門的な知識を身につけることができるため、仕事の幅も一気に広がります。

また、管理職やリーダーを目指せるため、介護業界でのステップアップを目指している方にもおすすめです。

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ホームヘルパーとして働くメリットやデメリット

ホームヘルパーは介護資格を取得した介護員が、利用者の自宅を訪問して支援を行います。

そのため、利用者や利用者ご家族と密にコミュニケーションが取れ、介護経験やスキルを磨けるメリットがあります。

反対に、一人での介助が大変だったり悪天候でも訪問しなければならなかったりするデメリットもあります。

では、ホームヘルパーとして働くうえでのメリットとデメリットについて見ていきましょう。

メリット

ホームヘルパーのメリットは、利用者と1対1で向き合える点です。

介護施設では複数の利用者と関わりますが、ホームヘルパーは1対1で接するため、信頼関係を築き利用者にあわせたケアが可能となります。

他愛もない日常会話から利用者の好みや性格を理解することで、利用者一人ひとりにあわせた適切なケアや介護をすることができます。

また、介護の経験やスキルを磨くこともホームヘルパーのメリットの一つです。

ホームヘルパーは、一人で業務をこなすため、さまざまな状態の利用者に対応することになります。

寝たきりの方や要介護度が低い方、認知症を患っている方など幅広い利用者の介護を実施するため、臨機応変に対応する力が身につきます。

介護施設では、なかなか得られない知識や経験、判断力を養えるのはホームヘルパーのメリットといえるでしょう。

ホームヘルパーは利用者と1対1でコミュニケーションが築けるため、一人ひとりにあわせた丁寧な介護が可能です。

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デメリット

ホームヘルパーは、基本的に一人で利用者の自宅を訪問して介護するため、大変な介助や小さなトラブルもすべて一人で対応しなければいけません。

緊急時でも一人で判断を下す場面が多く、精神的にプレッシャーを感じてしまうこともあるでしょう。

一人での業務は大きな責任やトラブルが伴うので、何かあったときの対応について考えておくと、気持ちに余裕が持てます。

また、ホームヘルパーは1日に何件かの利用者のもとを訪問するため移動時間が多くなり、介護の実務にかける時間が減ってしまうのもデメリットでしょう。

豪雨や雪など天候が悪化した場合でも、利用者宅を訪れなければいけない点もホームヘルパーのデメリットになってしまいます。

ホームヘルパーが行ってはいけない業務

ホームヘルパーは、利用者が日常生活を送るために必要な支援を行います。

そのため、利用者がご自身でできることや日常生活に関係のないことは支援することができません。

買い物代行で利用者の嗜好品や趣味に関するものを購入したり、利用者のご家族の食事や買い物をしたり、庭の手入れをしたりすることはできません。

また、医療行為に該当するケアもホームヘルパーは行ってはいけない業務です。

インスリンの注射や爪に異常がある場合の爪切りなどは、医療行為に該当するので、医師や看護師の業務となります。

自分が保有している資格によってはできる場合もあるので、自分が保有している資格でできる業務を会社と確認しておくようにしましょう。

ホームヘルパーの給料

厚生労働省の2024年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、常勤のホームヘルパーの平均月収は349,740円、非常勤のホームヘルパーは177,090円でした。

前年の2023年度の介護従事者処遇状況等調査結果によると常勤の平均月収は332,810円、非常勤は164,250円となり、常勤は16,930円・非常勤は12,840円アップしていることがわかります。

前年よりもホームヘルパーの給料がアップしている理由として処遇改善が行われていることが考えられます。

継続的に処遇改善が実施されているので、来年以降はさらに給料アップを目指せることでしょう。

また、資格を保有をしている場合の平均月収は以下のとおりです。

2024年度の介護従事者処遇状況等調査結果によると、介護職員初任者研修が338,670円、介護福祉士実務者研修348,020円・介護福祉士が355,790円です。

2023年度は介護職員初任者研修が321,900円・介護福祉士実務者研修327,860円・介護福祉士が340,520円となり、15,000円から20,000円アップしていることがわかります。

ホームヘルパーは、今後も給料アップが期待できる職種です。しっかりと資格を取得をすることで、さらなる給料アップが目指せます。

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ホームヘルパー（訪問介護員）として働きたいなら

ホームヘルパーは、利用者の自宅で身体介護や生活支援を行う介護員です。

快適な日常生活を送るために、利用者ができないところをサポートすることが主な仕事内容となっています。

一人で利用者の生活をサポートするため、慣れるまでは大変に感じることもありますが、その反面、利用者との距離が近く一人ひとりに寄り添った介護ができる魅力もあります。。

これからホームヘルパーとして活躍していきたい方は、まずは職場選びが重要です。

介護業界が初めての方は、なかなか介護現場をイメージすることが難しく、入社後に理想的な職場環境ではなかったというケースも少なくありません。

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