重度訪問介護の仕事内容

重度訪問介護とは、重度の肢体不自由な方や重度の知的障害、精神障害により常時介護が必要な方の自宅を訪ねて日常生活をサポートする福祉サービスです。

重度訪問介護のヘルパーは、利用者の身体介護や生活援助だけでなく、長時間の見守りや医療的ケアも行います。

ここでは、重度訪問介護の仕事内容について詳しく説明します。仕事内容について知り、重度訪問介護に興味を持ってもらえたら幸いです。

身体介護（食事・入浴・排泄などの直接支援）

身体介護とは、利用者の身体に直接接触して行う介助サービスです。

食事支援は、自力での食事摂取が困難な利用者に対して適切な姿勢や食事環境の提供をし、安心して食事が摂れるようにサポートします。

利用者のなかには、咀嚼や嚥下機能の低下がみられる方もいるため、援助に入る際は注意が必要です。

入浴介助は、自力での入浴が困難な利用者に対して、安全性を重視しかつ快適な入浴ができるようサポートします。浴室は転倒や溺水のリスクが高いため、安全性に配慮した介護技術が必要です。

また、入浴介助では皮膚トラブルをいち早く発見できる重要な機会でもあるため、体調の変化を見つけるための観察力も大切です。

排泄介助は、自力でトイレへ行けなかったり排泄ができなかったりする利用者に対して、トイレへの誘導や排泄行為の補助を行います。

排泄行為を他人に見られる、介助してもらうことは誰しも恥ずかしいものでしょう。そのため、利用者の羞恥心に配慮したサポートが大切です。

排泄物の形状や状態を確認することも、利用者の健康状態を知るうえで必要な行為です。

生活援助（掃除・洗濯・調理など日常生活のサポート）

生活援助とは、身体介護以外の日常生活を送るうえで必要な援助です。掃除や洗濯、調理などが含まれます。

生活援助で留意することは、直接利用者本人の日常生活の援助に属さなければいけない点です。

例えば同居している家族がいる場合、利用者以外の食事の提供や共用部分の掃除などは行うことができないため、注意が必要です。

また、商品の販売や農作業などの生業の援助も行うことはできません。

人工呼吸器をつけている利用者宅では、常に部屋を清潔に保つことが求められるため、掃除や物品の管理などしっかりと行いましょう。

見守りや外出支援・医療的ケアの補助

重度訪問介護には、常時見守りや待機の支援があります。

意思疎通が困難な利用者や医療的なケアが常時必要な利用者も多く、そのニーズに備えて常時見守りや待機の支援が必要です。

利用者の顔色を常時気にかけたり、喀痰吸引の医療的なケアが常に必要だったりと居宅介護ではカバーしきれない援助を行います。

介護職員が行える医療的なケアは、喀痰吸引と経管栄養の2つです。

医療的なケアがある利用者の援助に入る場合は、喀痰吸引など研修を修了し、各利用者ごとに医師または看護職員の有資格者からの実地研修を受ける必要があります。

そして登録喀痰吸引など事業所として登録している事業所で、医師や看護師の指示のもと、喀痰吸引や経管栄養を行うことができます。

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重度訪問介護が「きつい」と言われる理由

重度訪問介護はきつい、というイメージを持っている方は少なくないでしょう。

たしかに、長時間の支援や医療的なケアがあり専門性が求められることから、きついと感じる方が少なくないのも事実です。

ここでは、重度訪問介護がきついと言われる理由について詳しく解説していきます。

重度訪問介護について不安がある方や自分に向いているのかわからない方は、ぜひ確認してみてください。

長時間勤務や夜勤で体力的に負担が大きい

重度訪問介護は、常時見守り支援や医療的ケアが必要な利用者がいるため、長時間の勤務や利用者宅への泊まり込みの勤務があります。

夜間の医療的ケアや排泄介助、体位交換などは利用者の希望に添いながら定期的に行わなければなりません。そのため、体力的に負担が大きいと感じてしまう方も少なくないです。

24時間体制で生活リズムが崩れやすい

重度訪問介護は、長時間の支援が一般的です。日中の勤務でも、終了時刻が夜遅くになることもあるでしょう。

また、日勤と夜勤の組み合わせで生活リズムが崩れやすくなり、体調管理が難しくつらいと感じるヘルパーもいます。

自分なりのストレス発散方法やシフトの組み方など、働き方に対する工夫が大切です。

一人勤務が多く孤独感を抱きやすい

重度訪問介護では、利用者とヘルパーの1対1の勤務が多く、ほかのヘルパーと仕事をする機会が少ないです。

また、自宅と利用者宅の往復勤務になるため、孤独を感じてしまう方も少なくありません。

加えて、利用者と長時間一緒に過ごすことになるため、精神的に疲れてしまうこともあるでしょう。

一人での勤務は仕事のやりやすさにも繋がりますが、不安を抱きやすくなるため、上司や同僚にいつでも相談できる体制を整えておくことも大切です。

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緊急時対応や医療的ケアに対する責任が重い

重度訪問介護では、緊急時の対応が決まっていたり医療的ケアが多かったりする利用者も多くいます。

ALS（筋萎縮性側索硬化症）や筋ジストロフィー、頚椎損傷などの障害がある方は、たんの吸引や経管栄養といった医療的ケアが常時必要です。

医療的ケアは慎重かつ素早い対応が求められるため、プレッシャーに感じるヘルパーも少なくないでしょう。

不安を解消し安全性の高い医療的ケアを行うためには、実地研修で看護師からの指導をしっかりと聞くことが大切です。

また、利用者の顔色や状態の変化が見られた場合は自分で解決しようとせず、速やかに医療機関に連絡をして判断を仰ぎましょう。

利用者によって緊急時の対応は異なるため、しっかりと確認しておくことが大切です。

重度訪問介護の現場で感じやすい大変さと不安

重度訪問介護の現場では、医療的ケアや長時間労働などの特殊な働き方から、大変さや不安を感じやすい傾向にあります。

ここでは、どのような場合に大変さや不安を感じやすいのか詳しく紹介します。具体的な理由を知り、柔軟な対処法や解消法を持ちましょう。

腰痛や疲労など身体的なトラブル

介護の仕事全般にいえますが、重度訪問介護では排泄介助や移動、移乗介助などで腰を曲げて低い体制で仕事をする機会が多いです。

また、利用者の目線にあわせるために、座ったり立ったりを繰り返すこともあります。そのため、足腰の痛みや疲労が蓄積されてしまう可能性が高いです。

無理な姿勢を続けることは、自分の身体を壊してしまうことにも繋がりかねないため、注意しましょう。

腰痛にならないためにも、ボディメカニクスを使用した介助方法やストレッチをして、疲労を残さないことが大切です。

利用者や家族との関係性に悩むことがある

重度訪問介護は長時間の勤務と常にそばにいることが多い仕事のため、利用者や家族との関係性について悩むヘルパーも少なくないです。

利用者との距離が近くても遠くても問題が生じる可能性が高くなります。そのため、適切な距離感を保つことが大切です。

社会人としてのマナーやモラルを守り、親しみと礼儀を忘れないサポートをしましょう。

精神的なストレスやプレッシャー

重度訪問介護は、一人勤務が多いため、仕事上での悩みやストレスを誰かに打ち明ける機会が少ないです。

医療的ケアがある利用者を担当している場合は、たんの吸引や経管栄養などの繊細な作業も多くなるため、プレッシャーを感じることも少なくないでしょう。

精神的な心労が溜まり続けてしまうと、仕事にもプライベートにも支障をきたす可能性があります。

業務上の負担軽減のため、医療的ケアの現場を少なくしたり、相談できる上司や同僚・友達を持ったりすることが大切です。

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「きつい」と感じたときの対処法

重度訪問介護の仕事をしていくなかできついと感じてしまう場面は少なからずあるでしょう。

ここではきついと感じたときの対処法を紹介します。対処法を知ることで、身体、精神的に負担を軽減させましょう。

休憩やリフレッシュを意識的に取り入れる

重度訪問介護では、長時間の勤務で、利用者と常に一緒にいることが多い仕事です。いくら環境が整っていても、ストレスはたまってしまうため、意識的にリフレッシュさせる場面を作りましょう。

例えば、座っていてもできるストレッチなどで身体を動かすことで血流がよくなり、心身のリラックスに効果的です。

また、こまめな水分や糖分の摂取で集中力が上がり、仕事中のミスの軽減にも繋がるでしょう。

職場のサポート体制や仲間に相談する

重度訪問の現場できつさを感じた際は、職場の上司や同僚への相談が解決の第一歩です。

例えば、介護技術で不安なことがあれば、研修や勉強会に参加できるようシフトの調整を行うこともできます。

また、利用者からの暴力や暴言、過度な要望で困っているなら対処法を指示してもらい、直接利用者へ対応してもらえる可能性もあります。

現場での悩みは一人で抱え込まずに、職場のサポートを受けることが大切です。現場の環境改善が難しいのであれば、訪問先を変更してもらうのも一つの方法です。

不安を抱えたまま仕事を行うのはミスやストレスの原因にも繋がるため、周囲の力を借りながら働きましょう。

スキルアップや研修で自信を持つ

つらい気持ちや不安は自信のなさが原因の一つかもしれません。

各事業所での研修に積極的に参加したり、上司や同僚に介護技術を教えてもらったりすることは仕事に対する自信に繋がります。

また、介護業界には取得できる資格がたくさんあります。例えば、介護福祉士や認知症ケア専門士などを取得し、専門性を高めることはスキルアップとともにキャリアアップにも繋がるでしょう。

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重度訪問介護のやりがい・向いている人

重度訪問介護は、利用者の生活の一部となって長時間ともに生活をするサービスです。そのため、やりがいや達成感がたくさんあるという特徴があります。

ここでは、どのようなやりがいや達成感があるのか、向いている方はどのような方なのかを詳しく解説していきます。

重度訪問介護に興味がある方や、やってみたいと考えている方は、ぜひ読んでみてください。

利用者と信頼関係を築ける喜びがある

重度訪問介護は、長時間を利用者とともに過ごし、介護サービスを提供します。そのため、利用者とその家族との信頼関係を築くことは、とても大切で重要なことです。

利用者は、通常人には見られたくない排泄や入浴などをヘルパーとともに行います。羞恥心に配慮した介護サービスを行わなければ、信頼関係は生まれないでしょう。

徐々に関係性を構築していければ利用者の表情で考えを受け取ることができたり、家族との密に連携を取ることができたり、よりよいサービスの提供ができるといえます。

しかし、心の距離が近すぎてしまうと要求が過度になったり、互いにストレスになったりするため注意が大切です。

人の役に立つ実感を得られる

重度訪問介護は、ALS（筋萎縮性側索硬化症）や筋ジストロフィー、重症心身障害者などの常時介護を必要とする方の支援を行います。

医療的ケアが難しい現場や、体力的にきつい介助もあります。

しかし、利用者とともに過ごしていくなかで利用者やその家族から感謝の言葉をもらったり、コミュニケーションのなかで笑顔が増えてきたりと役に立っている実感を得られやすいです。

利用者のQOL（生活の質）をともに向上させていくケアが、そのままヘルパーの充実感にも繋がります。

また、うまくいかなかった移乗や移動、医療的ケアの専門性スキルが上がった実感も得られる機会が多いでしょう。

忍耐力と柔軟性がある人に向いている

重度訪問介護では、利用者のなかには四肢が不自由な方が多く、自分で身体の位置を直せなかったり物を動かせなかったりします。

そのため、体勢の要望や置く物の位置などの要望が細かいことが多いです。

コミュニケーションもスムーズに取れるとは限らないため、辛抱強くコミュニケーションと要望を聞くことのできる人材が求められます。

また、時間で何かをすることが決まっているとは限らないため、利用者の要望を聞き柔軟な姿勢が求められます。

長時間の勤務のなかで、見守り支援がある現場では、過ぎる時間が長く感じられることもあるでしょう。

そのため重度訪問介護は、忍耐力と柔軟性がある方に向いているといえます。

重度訪問介護の仕事に興味がある方へ

重度訪問介護を検索すると、きついや大変などネガティブなものが多く出てきます。

たしかに、長時間の勤務や夜勤、医療的ケアなどで精神的にも肉体的にも大変だと感じる方は少なくありません。

しかし、重度訪問介護は利用者との関係性を構築していくなかで、やりがいや達成感を直に感じることのできる素晴らしい仕事です。

利用者や家族との距離が近すぎてしまうと、トラブルのきっかけになるので注意しましょう。

また、居宅介護や施設などでは経験できない専門性のあるスキルを磨き、キャリアアップに繋がる資格取得も目指すことができます。

重度訪問介護に興味をもった方は、ぜひ一度ハッシュタグ転職介護にご相談ください。

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キャリアアップや譲れない希望など、些細なことでも構いません。