介護職で5連勤・6連勤が発生する背景

「どうしてこんなに連勤が続くのだろうか」と疑問に感じている方も多いでしょう。

介護職では人員不足や夜勤・休日勤務の組み合わせ、さらに人員配置基準の仕組みなど、業界特有の事情が影響しやすい環境にあります。

その結果、休みが取りづらく、連勤が続いてしまうことも少なくありません。ここでは、その主な背景をわかりやすく整理して解説します。

人手不足によるシフトの偏り

介護職で連勤が増える大きな理由の一つは、人手不足によるシフトの偏りです。

介護業界は慢性的に職員が不足しているため、限られた人数でシフトを回す必要があり、結果として連勤勤務が続きやすくなります。

さらに、シフト作成時には、労働基準法の労働時間規定や人員配置基準を守らなければなりません。

これらを守らないと事務所に罰則が科される可能性があるため、結果として職員に負担が集中し、連勤につながってしまいます。

夜勤や休日出勤が重なりやすい

介護職で連勤が続くのは、夜勤や休日出勤が重なりやすい勤務形態が要因の一つです。

夜勤には、16時間勤務を基本とする二交代制と、8時間勤務の三交代制があります。三交代制では夜勤明けの翌日に勤務が入ることもあり、休みを挟めず連勤となる場合があります。

さらに、人員が不足していることで、急な欠勤を補うために休日に出勤を依頼されることも少なくありません。その結果、5連勤・6連勤になることがあります。

職場の人員配置基準の問題

介護現場で連勤が増える背景には、人員配置基準の影響もあります。人員配置基準とは、入居者の人数に応じて、配置しなければならない職員の数を決めた基準のことです。

質の高い介護を提供するためには一定以上の人員が必要で、入居者三人に対して職員一人という最低限の配置が求められます。

しかし、人手不足の職場だと限られた職員でシフトを回すため、出勤回数が増えて5連勤や6連勤といった勤務が発生します。

労働基準法から見た連勤のルール

「連勤が続くけれど、法的には問題ないのか」と疑問に感じる方も多いでしょう。労働基準法では、労働時間の上限や法定休日が定められています。

さらに、残業や休日出勤を認めるためには36協定の締結が必要です。連勤そのものは違法ではありませんが、基準を超えると過重労働と判断されます。

ここでは、その基本的なルールをわかりやすく解説します。

労働時間と休日の基本ルール

働くうえでまず知っておきたいのが、労働時間と休日の基本ルールです。労働基準法では、1日8時間、1週40時間までの労働時間が原則です。

これを超える場合は、従業員の過半数代表者または労働組合との間に時間外労働・休日労働に関する協定を締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません。

また、休日は週1日以上、もしくは4週間で4日以上を確保しなければなりません。さらに、6時間を超える勤務では45分以上、8時間を超えるときは1時間以上の休憩を取らせることも決められています。

週1日の法定休日について

週に1回の休日は、法律で保障されている労働者の大切な権利です。これを法定休日といい、4週間単位で見ても4日以上の休みを与える必要があります。

休日は暦日（午前0時から午後12時までの24時間）を与えるのが原則ですが、業務の都合で出勤しなければならない場合もあります。

その場合は、就業規則や雇用契約書に定めたうえで36協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることが条件です。

さらに、休日労働を行なった場合には、通常の給与に加えて35％以上の割増賃金を支払う義務が会社側に発生します。

36協定と時間外労働の扱い

残業や休日出勤をさせる際に欠かせないのが、36協定です。これは労働組合や労働者の過半数を代表する者と書面で契約し、労働基準監督署に届け出る必要があります。

協定があるからといって、無制限に働かせられるわけではありません。

残業の上限は月45時間、年間360時間と法律で定められており、これを超えることはできません。

ただし、繁忙期や緊急対応など特別な事情がある場合には、特別条項付き36協定を結ぶことで一時的に上限を超えることも可能です。

とはいえ、働く環境や条件は一人ひとり異なり、「このままでいいのか」と不安を抱える方も少なくありません。

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介護職で連勤が続くことで起こるリスク

介護職で連勤が続くと、「我慢すれば大丈夫」と考えてしまうかもしれません。しかし、疲労が蓄積すると体調不良を招き、精神的なストレスやメンタル不調にも直結します。

さらに、集中力の低下によって介護現場でのミスや事故のリスクも高まります。この状態を放置すれば健康や安全に深刻な影響を及ぼしかねません。

ここでは、連勤が続くことで起こりうるリスクについて解説します。

体力的な疲労や健康トラブル

介護職は夜勤や早番などシフト制勤務が多く、生活リズムが安定しにくいのが特徴です。

そのため連勤が続くと、十分な睡眠がとれず慢性的な疲労が溜まりやすくなります。

翌日の勤務が早朝から始まる場合、「遅刻できない」という緊張感から眠りが浅くなることがあります。

寝不足や疲労の蓄積は免疫力を低下させ、風邪や体調不良を招くだけではなく、腰痛や腱鞘炎の発生リスクも高めるので注意が必要です。

体力が回復しないまま働き続けると心身に負担をかけ、健康トラブルへとつながる可能性があります。

精神的なストレスや燃え尽き

精神的ストレスは、連勤が続くと特に生じやすいリスクです。残業や連勤が重なると心の余裕を保つのが難しくなり、仕事が終わっても疲れが取れにくくなります。

十分な休養が取れないと精神的に不安定になり、うつ病や不安障害、不眠症などの不調を引き起こしかねません。

さらに、「もっと頑張らなければ」と自分を追い込み続けると、燃え尽き症候群（バーンアウト）に陥る可能性もあります。

気持ちが休まらないまま働き続けると、精神的負担が限界に達し、仕事を続けること自体が困難になる恐れがあります。

ミスや事故のリスク増加

ミスや事故の増加も、連勤や長時間労働による大きなリスクの一つです。疲労が溜まると集中力や判断力が低下し、普段なら避けられるはずのミスや怪我が起きやすくなります。

体力を消耗した状態で介助を行えば、転倒や介助ミスなどの事故を引き起こすリスクが高まります。

また、注意力が低下すると利用者の小さな体調変化や異変を見逃し、生命に関わる重大な事故に発展しかねません。

介護職は利用者の安全性を守る責任が大きいため、働く側のコンディションがそのままケアの質に直結します。

疲れを溜め込んだまま無理を続けることは、自分自身だけでなく利用者にも影響を及ぼす大きなリスクになります。

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5連勤・6連勤を少しでも楽にするセルフケア

長く続く連勤は心身に大きな負担となるため、「どう乗り越えればよいのか」と悩む方は多いでしょう。

すぐに転職や職場環境を変えるのは難しい場合でも、日常の工夫で負担を軽減することができます。

意識を少し変えるだけで、日々の過ごし方が大きく楽になるはずです。

ここでは、食事・睡眠の工夫や休憩時間の活用方法など、無理なく取り入れられるセルフケアのポイントを詳しく紹介します。

食事や睡眠を整えて体調管理する

連勤が続くなかでも元気に働き続けるためには、まず食事と睡眠の質を整えることが欠かせません。質の高い睡眠は体の疲れを癒すだけでなく、翌日の集中力や仕事への意欲を支えます。

就寝前はスマートフォンの使用を控え、ブルーライトによる脳の覚醒を防ぐことが重要です。

さらに、入浴や軽いストレッチで血行を促したり、自分に合った寝具を使ったりすることで眠りの深さが変わります。

また、偏った食生活も体調不良の原因になります。疲れているとインスタント食品に偏りがちですが、ご飯・おかず・野菜を組み合わせたバランスの取れた食事を心がけることが重要です。

質のよい睡眠と健康的な食事が、体調を崩さずに働き続ける力になります。

休憩時間を上手に活用する

連勤を少しでも楽に乗り切るためには、休憩時間の使い方が大きなポイントです。特に効果的なのは、短い時間でも仮眠をとることです。

数十分の仮眠でも疲れが和らぎ、頭がすっきりして集中力が高まるため、仕事の効率が上がります。

介護の現場では小さな不注意が事故に直結する可能性があるため、休憩中にしっかり休むことが重要です。

夜勤は強い眠気に襲われやすく判断力も低下しやすいため、30分程度の仮眠を意識的に取り入れることが効果的です。

モチベーションを上げる

連勤を無理なく続けていくためには、気持ちを前向きに保つ工夫が欠かせません。

モチベーションが高まると自然と仕事への姿勢が積極的になり、日々の疲労を乗り越えやすくなります。

その方法の一つが、短期目標の設定です。小さい目標を立てて達成していくことで達成感を得られ、前向きな気持ちを維持できます。

また、休み時間や勤務後に好きなものを食べたり、自分の趣味やリラックスできる時間を過ごしたりするのも効果的です。

仕事以外に楽しみを持つことは「また頑張ろう」という気持ちを生み、連勤を支える大きな力になります。

モチベーションを上げる工夫は、仕事の質を高めるだけでなく、自分自身を守るためにも重要です。

ですが、それでも限界を感じるようなら、「働く環境そのものを見直す」という選択肢もあります。

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連勤がつらいときの職場での対応策

連勤による疲労で体力・精神の限界を感じ、「職場に伝えても改善されない」と考える方は少なくありません。

しかし、現場での工夫や小さな行動によって、負担を減らすことは十分に可能です。

小さな一歩を実行するだけでも気持ちが軽くなり、働きやすさにつながります。ここでは、連勤が辛いと感じたときに職場で取り入れられる対応策を紹介します。

上司に相談してシフト調整を依頼する

連勤が続いて辛いと感じるときは、一人で抱え込まずに上司へ相談することが大切です。我慢を続けても状況は変わりません。

現状の負担を理解してもらうためには、具体的にどのように調整してほしいのかを伝えることが重要です。

「週に1回は休みがほしい」「夜勤と日勤の連続を避けたい」など希望を明確に示すことで、シフト改善につながる可能性があります。

無理を続けて体調を崩してしまえば、職場に迷惑をかけることになりかねません。

安心して長く働き続けるためには、心身が限界に達する前に早めに上司へシフト調整を依頼することが重要です。

有給休暇を積極的に活用する

連勤の負担を軽減するためには、有給休暇を上手に使うことも重要です。有給を活用すれば、疲労やストレスを軽減し、働き続けるための体力を回復できます。

例えば、連勤の後に有給を組み合わせれば2連休を作ることができるため、心身をリセットする有効な機会になるでしょう。

また、連勤の途中に有給を入れるだけでも、疲労を分散させて大きな負担を避けられます。

事業所は原則として労働者からの有給申請を拒否できないので、休みたいときは遠慮せずに申請することが必要です。有給休暇を積極的に活用して、自分の体調を守りましょう。

とはいえ、「有給が取りづらい」「そもそも相談できる雰囲気じゃない」という職場環境に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

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介護職の働き方を見直す選択肢

介護の仕事は「夜勤や長時間勤務が避けられない」と感じている方も少なくありません。

しかし、実際には夜勤のない職場や短時間勤務など、柔軟な働き方を選べる環境も存在します。

自分に合った勤務スタイルを見つけるために、転職を視野に入れることも有効な手段です。ここでは、介護職で実現できる多様な働き方の選択肢を紹介します。

夜勤なしや短時間勤務を選ぶ

介護職を長く続けるためには、夜勤なしや短時間勤務など自分に合った働き方を選ぶことが重要です。

もし今の職場で部署異動の希望が出せるなら、デイサービスやデイケア、訪問介護など日勤のみの職場へ移ることで体への負担を軽減できます。

また、勤務時間を短縮すれば蓄積した疲労を軽減でき、心身のバランスも保ちやすくなるでしょう。

同じ入居施設内でも、別のフロアに異動すれば、より自分に合ったシフトで働ける場合があります。勤務形態を工夫することで、体と心に余裕を持って働けるようになります。

無理のないシフトが組める職場に転職する

連勤が続く状況を改善したいなら、思い切って無理のないシフト体制が整っている職場へ転職するのも一つの方法です。

施設によっては、5連勤や6連勤など負担の大きい働き方を避けるために、あらかじめシフトを調整しているところもあります。

また、夜勤を避けたい場合は若い職員が多く在籍している職場を選ぶと、代わりに夜勤を担当してくれるケースもあります。

転職活動では、同じ負担を繰り返さないために、勤務シフトの実態や休暇の取りやすさを事前に確認することが大切です。

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