未経験が介護職に慣れるまでの期間

未経験者が介護職に慣れるまでは、一般的に3〜6ヶ月程度かかるといわれています。しかし、職場の教育体制や経験の有無によって適応期間にはバラつきがあるため、早く慣れなければと焦る必要は決してありません。

職場環境や個人の適性によっては、新しい職場へ馴染むまでに1年以上かかる場合もあるでしょう。介護の仕事にはさまざまな分野があり、覚える業務も多岐にわたります。代表的な介助の種類には、食事・入浴・移動・排泄が挙げられます。

ほかにもレクリエーションの企画・運営や、利用者さんごとの記録作成といった事務作業も発生するでしょう。

介護の現場では、多くの業務を習得するのに数ヶ月かかるため、焦らずに取り組むことが大切です。

介護職の新人職員が独り立ちするまでの教育の特徴

介護職の新人職員が独り立ちするまでの教育の特徴として、以下の2つがあります。

• OJTを受ける
• 現場の教育担当に付いてもらう

介護の現場では実践的な研修が多く用意されており、学びながら実務経験を積めます。また就職して最初の頃は、介助だけではなく掃除や食事の配膳などの業務に時間を割いている施設が多いため、徐々に新しい環境に慣れていけるでしょう。

OJTを受ける

介護職の新人職員が独り立ちするまでの教育として、多くの職場ではOJTを行うことが一般的です。OJTとはOn The Job Trainingを略した言葉であり、実際の仕事を先輩が一緒に行うことで新人に覚えてもらう指導方法を指します。

介護現場のOJTは、次の3つのステップで進められます。

• やり方を新人に見せる
• 先輩と新人で一緒に介助の実務を行う
• 新人が一人で介助を行う

OJTは現場の実践を通して知識をつけられるため、即戦力の育成に向いている新人教育です。

現場の教育担当に付いてもらう

多くの介護の職場では、新人職員が独り立ちするまで教育担当者を付けるケースが見られます。新人に対して一人の担当者が決められることもあれば、シフトが一緒になった方の中から教育担当が選ばれるパターンもあります。

教育担当をつける職場では新人への指導を計画的に行うため、介助に必要なスキルを漏れなく教えてもらえるでしょう。

教育担当者は新人ごとに指導方法を変えることもあり、自分のペースに合わせて進めてもらえます。

理解度を担当者に伝え、適切な指導を受けるためにも、わからないことや困っていることはため込まずに伝えましょう。

介護職に慣れるまでに時間がかかっても焦らなくてよい

介護職に慣れるまでには個人差があるため、時間がかかっても焦る必要はありません。新しい職場では、「仕事の覚えが遅いのではないか」「同期より業務ができていないのではないか」と感じることもあるかもしれません。

介護の現場では業務が多岐に渡るため、ひととおり覚えるだけで数ヶ月はかかります。少しずつ経験を積み重ねて成長すれば、確実にスキルが身につきます。慣れるまでの時間は人それぞれなので、早く慣れることよりも、確実に知識とスキルを身につけることが大切です。

コミュニケーション力が高い方は早く新しい環境に慣れる傾向がありますが、じっくり仕事を覚えるタイプにも丁寧さや着実性などの長所があります。

周りと比べず自分のペースで業務を習得していきましょう。

新人職員が介護職に慣れるための心得

新人職員が介護職に慣れるための心得として、以下の6点があります。

• 身だしなみを清潔に保つ
• 元気に挨拶をする
• 積極的にコミュニケーションを図る
• 教えてもらったことはメモを取る
• わからないことは自ら質問する
• 失敗は受け入れて改善する

新しい職種で緊張しても、職場に馴染みやすくなるポイントを知っておけば落ち着けるでしょう。介護職に慣れるための心得は同時に職場で成長を早めるポイントでもあるため、ぜひ参考にしてください。

身だしなみを清潔に保つ

新人職員が介護の職場に早めに馴染むためには、身だしなみを清潔に保つことを意識しておきましょう。

一生懸命に業務に取り組んでいても、髪が乱れていたり汚れの目立つヨレヨレの服だったりすると、悪い評価を受けかねません。メイクも派手すぎない方が、清潔で爽やかな印象を与えやすい傾向があります。また髪が長い方は介助中に引っかかる事態を防ぐため、まとめておくと安全です。

介護現場では、見た目の印象だけではなく利用者の健康を守るという観点からも清潔さが求められます。

利用者を傷つけないためにも、大ぶりのアクセサリーや長い爪は避けてください。爪の長さやヘアスタイル、髪型などは毎日しっかりと確認しましょう。

元気に挨拶をする

新人職員が介護職に慣れるためには、元気な挨拶を心がけてください。コミュニケーションの入口である挨拶で、人の印象は大きく変わります。

笑顔で明るく気持ちのよい挨拶をする方は、職場に早く溶け込めて利用者からも信頼されやすいでしょう。

逆に挨拶に元気がないと、「具合が悪いのではないか」「機嫌がよくないのではないか」と利用者は勘違いをして、頼れなくなるかもしれません。

挨拶は明るくはっきりとした言葉で行うことを意識してください。

積極的にコミュニケーションを図る

新人職員が介護職に慣れるためには、自分から積極的にコミュニケーションを図りましょう。コミュニケーションが取れていると、想定していなかったことが起こった際にスムーズに連携がとれ、解決へ向けてチームで動けます。

自ら話しかけてくれる新人には、先輩にとってアドバイスがしやすい傾向があるため、自分の成長スピードも上がるでしょう。

普段からコミュニケーションがうまく取れていない場合、新人は助けを求めにくく追い詰められてしまうかもしれません。

積極的なコミュニケーションで同僚と良好な関係を築き、自分が働きやすい職場にしていきましょう。

教えてもらったことはメモを取る

新人職員として介護職に慣れるためには、教えてもらったことはメモを取るよう心がけることが大切です。

日々忙しく業務に取り組むなかで、記憶だけを頼りにして仕事を覚えても限界があります。メモを見ながら業務を振り返ることで仕事が身につくスピードが早くなるため、しっかりと記録をとるクセをつけてください。

介助中はなかなかメモを取れないため、時間があまり経っておらず記憶が新鮮なうちに、仕事の合間にメモするとよいでしょう。

わからないことは自ら質問する

新人職員が介護職に慣れるためには、わからないことは自ら質問する姿勢が大切です。新人はわからないことがあって当たり前であり、周囲から失敗も許される時期です。新人である間に積極的に質問をして、できる限り不明なことをなくしておくと独り立ちしたときも焦らないでしょう。

まったく質問しない新人は、先輩からするとつかみどころがなくどのよう指導してよいか迷うかもしれません。積極性にかけると思われるリスクもあります。

わからないことをそのままにせず、自ら質問する姿勢が成長を早めるポイントです。

失敗は受け入れて改善する

新人職員が介護職に慣れるためには、失敗は受け入れたうえで改善できるよう行動しましょう。どのような職種であっても、新人であれば失敗して当たり前です。

だからといって開き直るのではなく、自分の失敗は真摯に受け止めて指導職員に報告しましょう。

速やかな報告と相談があると職場としても新人が陥りやすい失敗を把握できるため、現場での事故予防に役立ちます。

介助は利用者さんごとに異なり、職員には柔軟さが求められます。職場に早く慣れることに注目するより、さまざまなパターンに適した介助ができるよう実力をつけることに意識を向けてください。

介護職に慣れるまでにぶつかりやすい壁

介護職に慣れるまでにぶつかりやすい壁を知っておくと、いざというときに心の準備ができているため焦らずに乗り越えられます。

介護職の新人がぶつかりやすい壁は以下の3つです。

• 介護の知識やルールが理解しにくい
• 独り立ちへの不安を感じる
• 質問するタイミングがわからない

仕事に慣れるまでに生じやすい課題を事前に知り、介護職に就いたときの心のゆとりにつなげてください。

介護の知識やルールが理解しにくい

介護職に慣れるまでにぶつかりやすい壁の1つは、介護の知識やルールが理解しにくい点です。介護職では基本的にOJTで研修を行う場合が多いため、新人であってもすぐに現場で実務に取り組みます。

現場では常に新たな状況に出くわすため覚えることも多く、いっぱいになってしまう方もいるでしょう。現場の実務が中心だと、介護業務を体系的に学ぶ機会が少なく、知識やルールが曖昧になりがちです。

不安を感じる方は、介護職員初任者研修といった資格を取得して知識を得るとよいかもしれません。

また、介護の現場では先輩によって教える内容が異なることもあります。どの先輩の意見を取り入れるべきか迷うこともあるでしょう。業務に慣れていく過程で、さまざまな先輩のよいと思うところを取り入れ、自分の仕事に対する基盤を作っていってください。

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独り立ちへの不安を感じる

多くの新人が介護職に慣れるまでに感じる壁に、独り立ちへの不安が挙げられます。気がかりなことを抱えたままだと、表情や行動にあらわれて利用者にも不安を与えてしまうかもしれません。

スムーズに介助を受けてもらうためには、職員のメンタル面の安定も大切です。独り立ちへの不安を感じている場合は、気持ちや課題を具体的に上司へ話してみましょう。

不安を解消するための方途を上司と話し合い、実践に移す繰り返しによって次第に自信が育まれます。

相談しながら得られた着実な知識とスキルは、独り立ちしたときの自信と力へと変わるでしょう。

質問するタイミングがわからない

介護職に慣れるまでにぶつかりやすい主な壁に、質問するタイミングがつかみにくいという点が挙げられます。介護の現場では幅広い分野の仕事があり、突発的な事態も発生します。

業務中はなかなか時間にゆとりがないため、先輩が忙しくしていると気を使って質問できない方もいるでしょう。

質問したい場合は、時間を取ってもらえるよう先輩や教育担当者に事前に一声かけておくことが肝要です。質問する際は、聞きたい内容をまとめて明確にしておきましょう。

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介護職に慣れるまでの壁の乗り越え方

介護職に慣れるまでにぶつかる壁を突破する方法を知っておくと、自分の状況に合わせて活用できます。壁の乗り越え方には、以下の4つがあります。

• 資格を取得する
• 日々の経験を積み重ねる
• 失敗した場合の対処法を見つける
• 時間が取れるタイミングを尋ねておく

壁をクリアする有効な方法を事前に知り、実践することでスムーズに仕事に慣れていけるでしょう。

資格を取得する

資格を取得すると介護職への理解が深まり自信にもつながるため、新人時代の壁を乗り越える方法として有益です。介護業界には国家資格もあり、キャリアアップも狙えます。

全般的な介護業務で活用できる資格は介護職員初任者研修・介護福祉士実務者研修・介護福祉士の3つがあります。

介護職員初任者研修は基礎的な知識を得られる入門的な資格です。講義と演習で130時間のカリキュラムを修了し、試験を受けます。

中級的な資格である介護福祉士実務者研修では、講義と演習で450時間の受講が必要です。初任者研修を修了していると130時間が免除されるため320時間の受講となります。

介護福祉士実務者研修を修了し実務経験が3年以上あると、国家資格である介護福祉士を受験できます。

介護業界ではほかにも分野によってさまざまな資格があるため、進みたい方向によって検討するとよいでしょう。

介護業界では現場経験をしながら正社員にスキルアップできる企業が多数あります。

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日々の経験を積み重ねる

介護職に慣れるまでの壁の乗り越え方として有効な方法は、日々の経験を積み重ねることです。幅広いパターンへの対応が求められる介護職では、多くの経験が必須です。

しかし、ただ数多くの業務をこなすだけではスキルアップにつながりません。目指したい目標や尊敬する先輩がいると、仕事をする姿勢も積極的になり成長が早いでしょう。

目標のためにどのように仕事をしていくべきか、尊敬する先輩のやり方で真似できる点はないかと模索していくなかで実力が上がり自信がつきます。

仕事内容はメモをとって復習し、経験できた業務を吸収していきましょう。

失敗した場合の対処法を見つける

介護職に慣れるまでには、失敗した場合の対処法を見つけておくとパニックにならずに済みます。新しい仕事の挑戦で失敗はつきものです。

むしろ失敗をした後に、どうすべきだったかを確認し再度実践していくことで仕事を身につけられるでしょう。

また対処法を先輩に相談することで、知恵やノウハウを教えてもらうこともできます。失敗や対処法の共有は、新たな事故予防や職場全体のスキルアップの観点からも重要です。

介護の現場での失敗は、利用者の介助中にバランスが崩すといった大きな事故につながるケースもあるため、早めに共有してください。

時間が取れるタイミングを尋ねておく

介護職に慣れるまでに出てくる壁を乗り越えるためには、教育担当者や上司に時間が取れるタイミングを尋ねて質問する機会を確保しましょう。

自分が不安を感じていても、上司から見るとしっかり仕事ができていると評価しているケースもあります。

教育担当者であっても日々の煩雑な仕事のなかでは、新人の困りごとにまで気がつかないこともあるでしょう。

時間をとれるタイミングを事前に聞く配慮があれば、相手も心地よく指導できるはずです。不安なことやわからないことは、時間を確保して教えてもらいましょう。

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介護職に早く慣れるには職場選びも重要

介護職に早く慣れるためには、教育体制が整い、職場環境が働きやすい施設を選ぶことが重要です。

新しい職場は、自分との相性も重要でしょう。転職のプロへ相談すると、客観的な視点と仕事の紹介を多く行ってきた実績から自分に適した職場を提案してもらえます。

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