介護職はどの業種に分類される?
介護職はどの業種に分類されるのか。実は、すぐに答えられない方も少なくありません。介護職は、総務省が定める日本標準産業分類において、「医療・福祉業」に分類されています。
さらにこの「医療・福祉業」は、大きな分類ではサービス業に含まれています。
つまり、介護職は「サービス業」の一部として位置づけられているのです。ここでは、介護職がどのように分類されているのか、そして「サービス業」「医療・福祉業」との関係について詳しく解説します。
介護職はサービス業なのか?
介護職がサービス業といわれると、少し意外に感じる方もいるかもしれません。サービス業とは、モノをつくったり販売したりするのではなく、人や企業に対して直接サービスを提供する業種のことを指します。
その観点から見ると、利用者さんに介護サービスを提供する介護職は、まさにサービス業に該当するといえるでしょう。
これから介護の仕事を目指す方にとって、「介護職=サービス業」であるという認識はとても重要になります。なぜなら、サービス業の本質は「相手の立場に立ち、求められていることを提供する」ことにあるからです。
利用者さんの気持ちやニーズを丁寧にくみ取り、安心感を持って過ごせるようにサポートすることが、介護職に求められる役割です。
介護の現場でも「人に寄り添う姿勢」や「丁寧なコミュニケーション」が何より大切になります。サービス業のプロとしての意識を持つことが、質の高い介護につながっていくのです。
医療・福祉業界との関係
総務省が定める日本標準産業分類では、各産業が次のように分類されています。
- 学術研究、専門・技術サービス業
- 宿泊業、飲食サービス業
- 生活関連サービス業、娯楽業
- 教育、学習支援業
- 医療、福祉
- 複合サービス事業
- サービス業(ほかに分類されないもの)
この一覧からもわかるように、「医療・福祉」は独立した分類として設けられています。
名称に「サービス業」とは明記されていませんが、位置づけや性質を考えると、介護職はサービス業の一環であるといえるでしょう。
医療や福祉、教育といった分野は、モノを生産・販売するのではなく、形のないサービスを提供している点で共通しています。その意味で、これらの業種も広義のサービス業に含まれます。
「医療・福祉」という大分類のなかには、さらに次のような中分類が存在します。
- 医療業
- 保健衛生
- 社会保険・社会福祉・介護事業
医療業は医師・看護師・助産師などの医療従事者を指し、保健衛生は保健所や検疫所の職員を指しています。
介護事業は、社会保険事業や児童福祉事業・障害者福祉事業と同じ分類となっており、自立した生活を送れなくなった方々を支える大切な仕事です。
今後、日本では2040年に65歳以上の高齢者が全人口の約35%を占めると予測されており、介護が必要な方の増加が見込まれています。
このような背景からも、介護職のニーズは今後ますます高まっていくと考えられます。安定した職業として、長く働き続けられる可能性が高いことも、介護職の大きな魅力のひとつです。
サービス業としての介護職の特徴
介護職をサービス業として考えた場合の特徴や、求められるスキルについてご紹介します。
サービス業は農業や製造業と異なり、品質の客観的な評価が難しい業種です。そのため、サービスの本質を理解することが、仕事をするうえでの意識づけにもつながります。
特に介護職は、サービス業と医療・福祉業、両方の特性を持つ複合的な分野に属しているのが特徴です。ここでは、サービス業としての介護職の特徴を5つの視点から整理し、介護の仕事をより具体的にイメージできるように解説します。
- 同時性(サービス提供と消費が同時)
- 無形性(目に見えないサービス)
- 個別性(利用者ごとの個別対応)
- 新規性(新たなニーズへの対応)
- 非反復性(一律でないサービス)
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
同時性(サービス提供と消費が同時)
サービス業の大きな特徴のひとつが、「サービス提供」と「サービスを受けること」が同時に行われる点です。
製品をつくって後から販売する製造業や商業とは異なり、サービス業では提供者と利用者が同じ時間・場所に存在し、その場でやり取りが行われます。
つまり、人と人とのコミュニケーションが重視される仕事だといえるでしょう。
介護の現場では、介護士が利用者さんに行うすべての行為(食事の介助、入浴、声かけなど)がそのまま「サービス」として成立します。そのため、言葉づかいや表情、態度など、接し方すべてがサービスの質に直結するのです。
無形性(目に見えないサービス)
サービス業が製造業や農業と大きく異なる点のひとつが、「提供するものが形のないサービスである」ということです。
モノをつくったり販売したりするのではなく、介護職では目に見えないサービスを提供し、利用者さんに満足してもらうことが目的となります。
このような無形のサービスは、数値での評価や目に見える成果が出にくいため、利用者さんとのコミュニケーションが不可欠です。
また、対応が人に依存する部分が大きく、機械化やマニュアル化が難しい分野でもあります。そのため、丁寧で思いやりのある対応ができる介護士は、現場にとって欠かせない存在となります。
高い評価を受ける介護士ほど、長期的に安定して働ける傾向にあるのも、こうした背景があるからです。
個別性(利用者ごとの個別対応)
介護職のもう一つの特徴は、「一人ひとりに合わせたサービス提供」が求められることです。
例えば、飲食店や美容室などのサービス業では、基本的に同じ品質のサービスをすべての顧客に提供します。しかし、介護の現場では、利用者さんごとに異なるサービスを提供する必要があります。
利用者さんの身体的な状態、生活習慣、好み、日によっての体調の違いなどを踏まえながら、適切な介護を行うことが求められます。
新規性(新たなニーズへの対応)
介護職では、常に新しいサービスを考えたり、新たなニーズに応えたりする「新規性」も大きな特徴のひとつです。
介護士も利用者さんも人間である以上、その日の体調や気分は日々変化します。毎日同じ内容の介護や支援では、利用者さんにとっても単調に感じてしまうかもしれません。
例えば、食事や運動、日々の声かけ、施設内で行うレクリエーションなど、どれも型にはめず工夫することが求められます。
常に新しいニーズへの対応を意識することで、利用者さんの満足度や生活の質を高めることにつながります。
もちろん、毎回新しいことを考えるのは簡単ではありません。しかしその分、介護職は働く側にとっても刺激が多く、日々新鮮な気持ちで仕事に取り組めるやりがいのある職場といえるでしょう。
非反復性(一律でないサービス)
介護職の「非反復性」とは、サービスが一律ではなく、提供する方によって内容が少しずつ異なる点を指します。
製造業などでは、誰が担当しても同じ品質になることが求められますが、介護の現場ではそれとは異なり、介護士一人ひとりの対応や工夫がサービス内容に反映されます。
例えば、同じ食事の介助でも、ある介護士は丁寧な声かけを心がけ、別の介護士は利用者さんの好みに応じてスプーンの大きさを調整するかもしれません。
もちろん、基本的なマニュアルは必要ですが、マニュアル化しすぎると新規性や個別性が失われるおそれもあります。
だからこそ、介護士には状況に応じた柔軟な対応が求められ、自分の裁量で工夫できる場面も多くあります。
その結果、利用者さんから「こ方方に介助してほしい」と思ってもらえる関係が築けることもあり、介護職は大変やりがいのある仕事といえるでしょう。
介護職の業種分類別施設の種類と特徴
介護職には、さまざまな種類の職場があります。どのような施設で働くかによって、仕事内容や働き方は大きく異なります。ここでは、介護職の代表的な3つの職場について紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
それぞれの施設には特徴があり、業務内容も異なるため、介護施設に居住するか在宅のまま行うかという視点が職場選びのポイントになります。
介護職として働く際には、主に以下の3つの形態から職場を選ぶことになるでしょう。
- 入所型施設
- 通所型施設
- 訪問型サービス
それぞれの施設について、順に見ていきましょう。
入所型施設
入所型施設とは、利用者さんが施設に入居し、長期的に生活する介護施設です。特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホームなどが該当し、施設ごとに入所条件やケア内容が異なります。
入所型では、24時間あらゆるケアが必要となるため、食事・入浴・排せつなど生活全般のサポートを行います。
調理や清掃などを担当するスタッフとも連携しながら、チームで支援するのが特徴です。勤務はシフト制が多く、夜勤や早朝勤務もありますが、パートなど柔軟な働き方ができる施設も増えています。
通所型施設
通所型施設は、利用者さんが定期的に通って介護サービスを受ける施設です。デイサービスやデイケアなどが代表的で、それぞれ利用条件や提供されるサービス内容に違いがあります。
要介護の方だけでなく、介護予防を目的に通う高齢者もおり、さまざまな利用者さんと関わる機会があるのが特徴です。
勤務時間も日中のみのことが多く、夜勤や早朝出勤はほとんどありません。そのため、家庭やプライベートとの両立がしやすく、ワークライフバランスを重視したい方にも人気の働き方です。
訪問型サービス
訪問型サービスは、介護士が利用者さんの自宅を訪問し、必要な介護サービスを提供する働き方です。
食事の提供や家事の代行・入浴や着替えの介助など、利用者さんの状態に合わせた支援を行います。
勤務は日中が中心ですが、起床介助や体位変換などの必要があれば、早朝や夜間の対応も発生する場合があります。基本的には個人宅を回る仕事ですが、チームで情報共有を行うことも多く、連携力や柔軟な対応力が求められます。
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入所型施設での介護職の仕事内容
ここからは、それぞれの介護現場での仕事内容について解説していきます。入所型施設には、以下の3つの主な種類があります。
それぞれの施設によって利用者さんの特徴や仕事内容が異なるため、事前に理解しておくことが大切です。
- 特別養護老人ホームの仕事内容
- 介護老人保健施設の仕事内容
- 有料老人ホームの仕事内容
順に詳しく見ていきましょう。
特別養護老人ホームの仕事内容
特別養護老人ホームは、自立した生活が難しい高齢者が入居できる公的な介護施設です。厚生労働省の要介護認定制度に基づき、原則的に要介護3以上の方が対象となります。
日常生活の多くにおいて支援が必要な方が入居しており、常に手厚い介護が求められる現場です。介護士は、食事・入浴・排泄・着替え・体位変換など、日常のほぼすべてをサポートします。
利用者さんとの距離が近いぶん、信頼関係を築きやすい職場ですが、体力や気配り、そして根気強さも求められます。やりがいと責任の両方が大きい、介護職の中心的なフィールドのひとつです。
介護老人保健施設の仕事内容
介護老人保健施設は、在宅復帰を目指す高齢者のための公的施設です。
要介護1以上の認定を受けた方が対象で、病院を退院した後、すぐに自宅に戻るのが難しい方が一時的に入所するケースが多く見られます。
ここでは、食事・排せつ・入浴などの基本的な介助に加えて、リハビリテーションを通じて利用者さんの自立を支援することが大きな目的となります。
理学療法士と連携しながらリハビリをサポートしたり、身体や認知機能を刺激するレクリエーションを考案・実施したりするのも大切な業務です。
有料老人ホームの仕事内容
有料老人ホームは、民間企業が運営する入所型施設の総称です。
公的施設と異なり、サービス内容や設備、費用、介護体制などは施設によって大きく異なります。利用者さんの要介護度に応じて、以下のような種類に分類されます。
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- 健康型有料老人ホーム
健康型や住宅型では要介護度が低く、主に生活支援やレクリエーションの提供が中心となります。一方、介護付き施設では身体介助などの業務も多く、介護スキルが求められる場面が増えるでしょう。
施設によって仕事内容や求められるスキルに幅があるため、自分の得意分野や希望に合った職場を選ぶことがポイントです。
通所型施設での介護職の仕事内容
通所型施設は、利用者さんが在宅のまま定期的に通って利用できる介護施設です。
日中のみのサービス提供が基本になるため、入所型施設に比べれば生活全般の介護業務は少ないのが特徴です。通所型施設には、利用者さんの要介護度にあわせて、以下の2つがあります。
- デイサービスの仕事内容
- デイケアの仕事内容
それぞれ内容を解説します。
デイサービスの仕事内容
デイサービスとは、要介護1~5の方を対象にした通所型介護施設です。介護保険の対象となり、食事の提供や機能訓練・レクリエーションなどが主な仕事となります。
また、自力での通所が難しい利用者さんを、自宅まで送迎することも少なくありません。車での送迎時には、車椅子での乗降介助などがあるため、体力のある男性が重宝されます。
デイケアの仕事内容
デイケアとは、要介護1未満の要支援の方でも利用できる通所型介護施設です。
要支援の方が要介護に進行しないよう、運動や健康管理のためのプログラム提供が主な仕事となります。
デイケアは通所リハビリテーションとも呼ばれ、医師やリハビリテーションスタッフが常駐しており、利用者さんの健康状態を管理しています。
デイケア施設でも、車での送迎が行われることが一般的です。
訪問型サービスでの介護職の仕事内容
訪問型介護サービスとは、職員が利用者さんの自宅に訪問して、必要な介護を提供するサービスです。
この訪問型サービスは、職員の資格や提供する内容によって、次の2種類に分けられます。
- 訪問介護サービス
- 訪問看護サービス
それぞれの仕事内容を見ていきましょう。
訪問介護サービスの仕事内容
訪問介護サービスは、介護士が利用者さんの自宅に出向き、通所型や入所型施設と同様の介助を行う仕事です。
食事・入浴・排せつ・着替え・体位変換といった身体介助のほか、調理・洗濯・買い物・掃除といった生活援助を行うケースもあります。
自宅というプライベートな空間で介護を提供するため、信頼関係や丁寧な対応が特に求められる現場です。訪問介護は、入所施設や通所施設に併設されている場合もあり、働く環境はさまざまです。
勤務はシフト制で、早朝や夜間の訪問が発生することもありますが、パート勤務や短時間勤務も多く、働き方を柔軟に選べる職場といえるでしょう。
訪問看護サービスの仕事内容
訪問看護サービスとは、看護師が利用者さんの自宅に訪問して、在宅治療に関わる医療行為を提供するサービスです。
在宅酸素療法・たん吸引などの医療機器の操作や、服薬の管理は医療行為に該当するため、資格を持った医療従事者でなければ行えません。
利用者さんが在宅のまま医療行為を受けられれば、医療機関への負担が軽減され、より効率的な医療リソースの運用が可能となります。
看護師の資格を持つ方が介護職への転職を検討する際には、訪問看護サービスも選択肢のひとつとなるでしょう。
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