訪問介護（ホームヘルパー）の仕事内容

訪問介護は利用者の自宅でケアをする仕事と認識していても、 具体的には何をするのかわからない方は多いのではないでしょうか。

ここでは、訪問介護の仕事内容について解説します。施設介護との違いについても解説するので、両者の違いを把握しましょう。

身体介助

身体介助は、 起床や就寝・食事や入浴・排せつや移動などを手伝うことです。

利用者の身体を支えたり身体に触れる介助を指します。どこまで踏み込めるかは、利用者によって異なります。

例えば食事介助は一人で食事をするのが難しい方に、食べ物を口に運んだり食後に口腔ケアをしたり、利用者の必要に応じた対応が必要です。

入浴や排せつの介助では、自力でできない方のために誘導したり手伝ったりします。

特に排せつ介助ではトイレの誘導やトイレに座るまでの手助け、おむつ交換などさまざまあり、排せつ物の状態から健康状態を把握します。

移動介助は、利用者が歩いたり座ったり、動作を手伝うことです。ベッドから車いすへの乗り換えなどを手伝います。

場合によっては、移動で使用する介護機器に不具合がないかをチェックすることもあります。

生活援助

生活援助は、利用者の身体に触れない業務で、 掃除や洗濯・炊事やゴミ出しなど家事全般です。

献立や買い出し、片付けや薬の受け取りなど、利用者の日常を支えます。

一般的な家事ができれば問題なくできる業務ですが、 介護士の視点で家事を代行する意識で取り組むことが大切です。

基本的には、上記のような日常で困らないように行う家事が中心です。

しかし、事業所によっては保険適用外で草むしりや大掃除・家具の移動やお節料理の準備など、季節や行事に合わせたサービスを提供する場合があります。

通院等介助・通院等乗降介助

利用者の通院日に付き添う業務です。公共機関や、場合によってはタクシーの手配、車への乗降もサポートします。

利用者の希望や地域によっては、介護職員が自走で送るときもあるでしょう。また、通院等介助と通院等乗降介助には、サポートする時間が違います。

病院までの道が遠かったり院内でサポートする時間が長かったりなど、 20分を超える場合は通院等介助です。

通院等乗降介助は、通院までサポートするものの、 20分未満で済む場合のサービスを指します。

訪問介護員の働き方

訪問介護員は、 正社員のほかパートやアルバイト・登録ヘルパーなどの雇用形態があります。勤務形態は、主にシフト制で早番や遅番などで割り当てられることが多いです。

正社員は一日8時間週5日の勤務が一般的です。メインの業務は食事や入浴、排せつなどの身体介助で、責任者の役割を担う場合もあります。

事業者によるものの、賞与や昇給・福利厚生もあり、将来の設計が立てやすいのが魅力です。

パートやアルバイトは正社員と同じく直接雇用ですが、学業や子育てなどを優先し、柔軟に働きやすいです。主に正社員のサポートを行います。

施設介護員なら資格がなくても働けますが、訪問介護は資格の取得が必要です。登録ヘルパーは、 自分が勤務したい曜日や時間などに業務を行います。

直接雇用や業務委託など雇用形態はさまざまで、利用者に対して数十分から1時間程度の短時間のサービスを行う働き方です。

また、パートやアルバイト、登録ヘルパーの場合は、賞与や福利厚生などがない場合が多いです。

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訪問介護で働くメリット

訪問介護で働くと得られるメリットは、時間の使い方や仕事のやりがいなど、たくさんあります。

特に、施設の介護職と比べるとメリットにどのような差があるのか気になる方は多いでしょう。ここでは、 訪問介護で働く具体的なメリットについて解説します。

時間の融通が利きやすい

訪問介護は、短時間で単発的に働きやすいため、時間の融通が利きやすいのがメリットです。

なかでも、登録ヘルパーなら自分で勤務時間や業務内容を決められるため、 子育て中でまとまった時間を取りにくい方やダブルワーカーなどにとって働きやすい環境といえます。

たくさん働きたい方にとっては、ほかの事業所と掛け持ちもできます。

事業所にもよりますが、電話やチャットなどで連絡や引継ぎなどを行うことが多いため、直行直帰できるのも魅力です。

資格やスキルが活かしやすい

介護の仕事は、地域や年齢問わず働きやすいメリットがあります。急な引っ越しなどがあっても、介護職は人手が足りていない地域が多いです。

どの場所に行っても働きやすいほか、自身の家族を介護する際にも役に立つ知識ばかりです。

また、介護業界では 資格の取得によって仕事の幅が広がり給与アップも目指せます。

訪問介護を行うのに必須な資格のほかにも、利用者の役に立つ資格やスキルはたくさんあります。

例えば、視覚障害者の方の援助に役立つ同行援護従事者、行動障害に特化した強度行動障害支援者などは、体に障害がある方への理解を深めることが可能です。

認知症ケア専門士の資格なら、認知症のケアに特化した事業所で働きやすくなったり、認知症の利用者のケアができたりします。

そのほか、在宅介護インストラクターの資格があれば、介護をする家族やスタッフの心身やストレスのケアが行えます。

元々持っている資格はもちろん、新たに資格を取得すれば、スキルアップが可能です。

やりがいのある仕事ができる

訪問介護は、利用者と一対一で会話する場合が多く、深い信頼関係が生まれやすいです。

そのため、 直接感謝される機会が増えたり仕事ぶりを評価されたりと、やりがいのある仕事です。

利用者の気持ちや悩み、ご家族の思いを汲み取り、ケアマネージャーに相談すれば利用者に寄り添ったサービスを提供できます。

また、業務内容がはっきりわかりやすいため、仕事がしやすいです。慣れればテキパキこなせるでしょう。

介護の現場では日々学ぶことも多いです。利用者やその家族、先輩たちとの会話などから自分が知らない知識や経験・考え方などを学べる場が多いため、自然と視野が広くなるはずです。
出典：公益財団法人 介護労働安定センター「令和元年度介護労働実態調査」

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訪問介護で働くデメリット

転職先を決める前に、仕事を続けるうえで大変なことを把握しましょう。

ここでは、 訪問介護で働くデメリットについて解説します。

身体的・精神的ストレスを感じる場合がある

訪問介護は、他人の家に上がって作業するため、家の状態によっては精神的に負担になることがあります。

掃除が行き届いていない家や、冷暖房が付かない家などを担当することがあるかもしれません。

また、家によって家事のルールが違うので、覚えるのが大変だったりプレッシャーに感じたりしてしまうでしょう。

身体の大きい利用者を介助したり重いものを運んだり、体力を使う場面も多いです。腰や肩などを怪我しないよう注意が必要です。

そのほか、支離滅裂なことをいう利用者の相手をしたり、暴言を吐かれたりすることもあります。

利用者一人ひとりに合わせた対応を心がけることでトラブルを防げますが、精神的に辛くなることがないとはいいきれません。

給与が安定しにくい

訪問介護の仕事は、施設での仕事と違って収入が一定になりにくく、安定しないことがあります。

勤務時間の融通が利きやすいメリットはあるものの、月によって上下しやすく一定でなくなることも多いです。

パートやアルバイト、登録ヘルパーの場合は有給や福利厚生などがない場合が多いので、仕事を休む日が増えれば必然的に収入も減少してしまいます。

働きやすい勤務時間を取るか、安定した収入を取るか決めなければなりません。

個人の負担が増える可能性がある

事業所によっては、 人手不足によって一人でいくつもの訪問先を抱え、負担が大きくなる可能性もあります。

また、訪問介護は基本一人で行う仕事です。時間内にキッチリ業務を終わらせることが大切なので、てきぱきと行動しなければなりません。

何か問題が起きた場合も、一人で対応しなければならないので、個人の負担が増える可能性もあります。

そのため、単独での仕事や自分の判断に自信がない方は、施設介護から始めて業務に慣れるところから始めるのがおすすめです。

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訪問介護員に向いている人

職業には向き不向きがあり、訪問介護の仕事が合っている方もいれば、合わなくて悩んでしまう方もいます。ここでは、 訪問介護員に向いている方の特徴を紹介します。

普段の考え方や行動などを振り返って、訪問介護の仕事が向いているか見てみましょう。

コミュニケーション能力がある人

訪問介護員は、利用者や利用者の家族と接する場面が多いため、円滑にコミュニケーションを取れる方が向いています。

会話を広げられるような高いコミュニケーション力が必要なわけではなく、相手の話を聞く能力や人の心を感じ取る力があると喜ばれることが多いです。

例えば話を聞いて欲しそうな利用者には、話に関心を持って聞く、静かに過ごしたい利用者にはむやみに話さずにそっとしておくなどの対応が必要になります。

相手の状況を観察して居心地がよくなるようにできるのは、介護員のコミュニケーション能力次第です。

そのため、「会話が苦手だけど大丈夫かな」と不安に思う方は、まずは挨拶や笑顔を欠かさず、利用者との約束を守る事を大切に行動してみましょう。

利用者やご家族と積極的にコミュニケーションを取るようにすれば、相手が心を開きやすくなり、信頼関係が築けます。

臨機応変に対応できる人

訪問介護の現場では、利用者さんの体調が悪くなったり要望が変わったりと、予定外なことが起きることがよくあります。

例えば、認知症や精神疾患などでパニックになったり、怒り出したり、徘徊して行方がわからなくなったりすることがあります。

また、利用者が伝えたいことがあるのにうまく話せないなどの状況も考えられ、冷静に状況を判断して管理者などに連絡しなければなりません。

そのため、変化する状況に冷静に対応できる力、細かい事に気が付く力が求められます。

チームワークを意識できる人

訪問介護では、利用者や家族の要望によって複数の介護士や社会福祉士、医療従事者などと一緒に連携して仕事をする場面が多々あります。

それぞれがバラバラに行動しては、仕事が円滑に進まず、利用者に迷惑をかける可能性が高いです。

また、一人で対応する現場であっても、一人の利用者に対して複数名の介護スタッフが担当します。そのため、ノートや資料などで情報を共有できるようにしなければなりません。

情報共有がうまくいかないと、「〇〇さんは嫌だ」「〇〇さんのときはお風呂に入りたくない」など、利用者が不安や不満を抱えてしまいます。

誰が対応しても同じクオリティのサービスができるように、利用者だけでなく仲間のためを思った配慮を心がけることが大切です。

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訪問介護員に転職するためのポイント

訪問介護員への転職を考えるなら、資格の有無や訪問先などを事前に確認しましょう。ここでは、 訪問介護員に転職するためのポイントについて解説します。

必要な研修を修了または資格を取得する

訪問介護は、利用者の自宅で単独で仕事をするケースが多いです。単独で介護ケアをするには、介護資格を持っていなければなりません。

主な介護資格は、介護職員初任者研修・介護福祉士実務者研修・介護福祉士の3つです。資格を何も持っていない方は、まずは、介護職員初任者研修を取得しましょう。

1〜4ヶ月の研修を受ければ、介護の基礎知識やスキルが学べ、単独での介護が可能になります。

介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修に内容がさらに追加され、簡単な医療ケアも行うことが可能になります。

介護職員初任者研修の取得者は、一部が免除されるので訪問介護職員へ転職してからの取得でも遅くはありません。取得期間は、4ヶ月～6ヶ月ほどです。

介護福祉士は、より専門性の高い知識やスキルが身につく国家資格です。

福祉系の高校や大学や専門学校を卒業するほか、実務経験3年以上を経て、実務者研修講座を修了すると受験資格が与えられます。筆記試験に合格すると、資格を取得できます。


処遇改善加算の有無は、介護職に転職するならマストな条件です。

介護職員の賃金改善や労働環境をよくするための政府の取り組みで、人員不足を補うために導入されました。

加算が高いほど国からの資金支給が上がり、介護職員に分配されます。

加算される要因は、人員と業務に対する割合や適正な賃金・研修制度の充実などがあり、転職するなら処遇改善加算がある事業所のほうが働きやすいです。

介護職員がいないサービス業は、処遇改善加算の対象外なので、よく確認しましょう。処遇改善加算の有無は、事業所のホームページや転職エージェントなどで確認できます。

希望に合う事業所や派遣先を探す

訪問介護では、一日に何件もの利用者の自宅に訪問して介助や家事などを行います。

そのため、勤務地が家から遠く移動に時間がかかる・ライフスタイルに合わせたシフトを組むのが難しいなどの問題があると、長く続けられない場合があります。

安定して働くためには、自分の希望条件を明確にし、条件とマッチした事業所や派遣先を探しましょう。

気になる事業所を見つけたなら、ホームページやSNSなどのチェックなどを行ってみてください。

訪問介護員への転職を考えるうえで、資格の取得や処遇改善加算の有無、そして働きやすい職場環境を見極めることはとても重要です。

ですが、「自分に合った事業所をどう探せばいいかわからない」「資格を持っていないけれど挑戦したい」と悩む方も多いのではないでしょうか？

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訪問介護への転職をお考えなら

訪問介護は、利用者の自宅で一人で業務を行い、 時間に融通が利きやすく働きやすい仕事です。

資格の取得により、キャリアアップやスキルアップも目指せます。ただ、人によっては業務内容や負担の高さにより、身体的・精神的にストレスを感じる可能性があります。

登録ヘルパーやパート・アルバイトなどの雇用形態によっても収入が安定しないなどのデメリットがある仕事です。

メリットとデメリットを考慮して、訪問介護員に転職するか決めましょう。

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訪問介護という働き方で、新しいキャリアを一緒に築いていきましょう。